事の始まりは中国にある軽慶市のとある病院に“発光する赤児”が生まれたというにニュースだった。
それ以降は各地で『超常』は発見され、原因も判然としないまま時は流れる。
いつしか『超常』は日常に溶け込み、『
世界の総人口の約八割が何らかの“特異体質”である超人社会となった現在、混乱渦巻く世の中でかつて誰もが空想し憧れた一つの職業が脚光を浴び始めた。
“超常”に伴い、爆発的に増加した犯罪件数。
そして、法の抜本的改正に国がもたつく間、勇気ある人々がヒーロー漫画さながらにヒーロー活動を始めた。
“超常”への警備、悪意からの防衛。
たちまち、市民権を得たヒーローは世論に押される形で公務的職務に定められる。
『中学を出たら、私たちの稼業を継ぐのよクラウン』
「俺はあんたらとは縁を切ったから母親でも何でもねぇ、それにクラウンの名を汚すな」
少年をクラウンと呼ぶ妖艶とした声の女性は、どうやら少年の母親だったらしく少年と女性は電話越しではあるが、お互いをけん制しつつあった。
『せいぜい足掻くがいいわ。どうせあなたが
意味深な言葉を言い残して電話を切り、少年は頭をかきながら教室に戻った。
「天皇寺が戻って来たところで〜! 進路希望のプリントを配るがみんな、ヒーロー科志望だよね〜」
天皇寺翔 十四歳。
個性『クラウン』
誓約によって力を発揮するぞ!
ただし、誓約で行動は縛られる!
実にもったいない個性だ!
先生は今の天皇寺の立場や事情を知った上でみんなにも、他の先生にも明かす事なく中学校生活三年間天皇寺の担任をしてきた懐がでかい仏レベルの先生である。
そんな先生の一言に生徒はfuuuuuu!と叫んだ。
「天皇寺だけ雄英高校志望だったよな確か」
ある生徒Aの一言で更に盛り上がりを見せる一方で張本人である天皇寺は空を見上げていた。
進路希望のプリントを無事配り終わると同時にチャイムが鳴り、生徒が帰ると一人席に座ったままの天皇寺に先生は声をかけた。
「俺が雄英に進んでも良いのかって顔だな翔」
「まあ、母さん達のことも清算しなくちゃいけねのに……俺は……」
天皇寺が清算しなくちゃいけないと言っているのは、まだ天皇寺が小学四年だった時に謎の仮面を被った女王と名乗る女性が救済と言いながら大虐殺を行なった事件である。
天皇寺にはその女王と名乗った女性が自分の母親だと瞬時に理解した。
そして事件があった夜、天皇寺は家に帰ることなく彷徨っていると担任である先生と出会った。
すぐに自分の母親が大虐殺を行なった女王と名乗る女性だと告げた天皇寺は藁にもすがる思いで事の全容を話したのである。
これが天皇寺の清算しなくちゃいけないという事の全容だ。