園崎リクはジードである   作:彩花乃茶

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 今回から防人組本格参戦です。いきなり強化させていきます。


孵化

~~リク~

 

 夏休みも終わっていよいよ新学期が始まった。伏井出ケイはペダニウムゼットンとの戦いから姿は現してないようだけど、たぶんまだ生きてて裏でコソコソ何かをしてる。これからも注意しないと。

「さてと、それじゃ今日の依頼内容だけど・・・」

 

「チッす!」

 

 放課後、僕らは新学期最初の部活動を始めようとしていた矢先、ゼロカプセルの力でワープしていた銀がやってきた。

「どしたの銀?こっちの部室に来るなんて珍しいわね」

 

「はい。実はここに来る前にも星雲荘にいるひなたのところにもよって見てもらったものがあるんですけど・・・一応希美さんにも相談しておいた方がいいって言われて」

 

 希美さんに?いったい何だろう?

「これなんスけど・・・」

 

 銀はいつも付けてるペンダントを外して希美さんに見せる。

「確か・・・エリアスの盾だっけ?」

 

「はい。何か今日になってから何度かピカって光っては消えての繰り返しで・・・学校で何度も焦らされましたよ」

 

 まぁ式とか授業中にいきなり光ると焦るよね。

「ひなたも水都もこればかりはちょっとってお手上げで・・・怪獣娘で巫女っぽい力を持ってる希美さんならって思ってきたんです」

 

「正確には巫女の力とは異なるものだけど。まぁいいわ」

 

 希美さんはエリアスの盾を手にしてみたけど、希美さんが持っても特に反応はなかった。

「ちょっと試してみるね」

 

「試す?いったい何を・・」

 

「ソウルライド。ミズノエノリュウ」

 

「あっ、やばっ!」

 

 希美さんがソウルライドをしようとした途端、銀が僕にまた目隠しをしてきた。

「セーフ。希美さん、変身するならするって言ってくださいよ~」

 

「ごめん。・・・もしかしたら変身してたらこれから何か力を感じることができるかなって思ったけど無理だった」

 

 状況は見えないけどミズノエノリュウにソウルライドした希美さんでもエリエスの盾からは力を感じなかったっぽいね。

「もういいッスよリクさん」

 

 目隠しをやめてくれた銀の手元にエリアスの盾が帰ってくる。どうやらもう希美さんは元の姿に戻ってしまってて、今回も僕は希美さんの怪獣娘姿をみることができなかった。

「リクさん。また希美さんの怪獣娘を見たかったんすか」

 

「うん。・・・あっ!いや、やましい気持ちなんて・・」

 

 他のメンバーに白い目で見られてたからすぐにやましい気持ちはないってことを言おうとしていたら、このタイミングでエリアスの盾が光っていた。

 

 

 

~~銀~

 

「うおっ!?」

 

 エリアスの盾がまた光出したことについついあたしは驚きの声を上げた途端、頭の中に不思議なイメージが浮かんできた。前に行ったインファント島、そこにあるモスラの卵がひび割れて中から幼虫が出てくるイメージだ。

「銀!しっかりしなさい銀!」

 

「ふ、風さん?」

 

「大丈夫銀?エリアスの盾が光ったと思ったらまるで意識がどっかに飛んで行っちゃったみたいにボーッとしていたのよ」

 

 あのイメージを見てた間ボーッとしてたのか。なんか恥ずかしいな。

「す、すみません心配かけて」

 

「大丈夫ならいいわ。にしても驚いたわね。まさかこのタイミングで光るだなんて」

 

「その事なんですけど、今エリアスの盾が光った時に見えたんです」

 

「見えた?いったい何が?」

 

「モスラの卵が孵化するところ。・・・でしょ?」

 

「えっ?もしかしてあの卵から出てた芋虫がモスラ?」

 

 どうやら今のイメージはあたしだけじゃなく希美さんとリクさんも見ていたっぽい。

「これはもう一度インファント島に確かめに行く必要があるようね。みんなに集まるよう連絡しとくわね」

 

 こうしてあたし達は2度目のインファント島調査が決定された。

 

 

 

~~芽吹~

 

「ここがAIB」

 

「な、何だか入る前から緊張してきたよメブ~」

 

 私、楠芽吹は現在防人の仲間である加賀城雀と弥勒夕海子さんに山伏しずく、そして巫女である国土亜耶ちゃんと共に大赦と協力関係にあるというAIBという組織に足を運んでいた。

「というかメブ。何で私達はここに来ることになったの?ここは勇者様達とか怪獣娘の人達が結構出入りしているから防人の私達はここに来ちゃ駄目って言われてたんじゃなかったっけ?」

 

 禁止事項をきちんと覚えてくれていた雀は本当にここに入っていいのかを尋ねてきた。

「不安になる気持ちは分からなくはないけど、今回は大丈夫よ。大赦神官の安芸さんからの指示でここに来たんだから」

 

 なんでもこのメンバーなのは乃木さんの推薦もあったらしいのだけど・・・いったい何をさせる気なのかしら?

「防人の皆さんですね?お待ちしておりました。どうぞこちらへ」

 

 AIBの職員に案内されて私達はトレーニングルームのような場所へとやってきた。

「急に呼び立ててすまない。私はAIBの瀬名武だ」

 

 そしてトレーニングルームのような場所に入るなり瀬名武というスーツの男性があいさつをしてきた。この人、見覚えがあるわね。確か犬吠埼風さんが指揮する讃州高校勇者部の顧問だという教師よね。

「確か貴方は高校の先生のはずでは?」

 

「怪獣娘の監督役として最も自然に学校内にいる手段として教師をしている。こちらが本業だ」

 

「なるほど。・・・それでどうして今日は私達をここに招いたんですか?」

 

「我々AIBはバーテックスやシャドウ、日々迫りくる怪獣からこの宇宙を守るため活動している。だが現状はウルトラマンや勇者達の力を借りなければ今発生してる事件に対処しきれていないのが現状だ」

 

 確かに今はまだウルトラマンや三好夏凜さん達に任せなくてはいけない状況なのが現状のようね。私達の防人装備も少し前までは調査用であって戦闘用じゃなかったし。そんなことを考えていたら瀬名さんの後ろの壁が開いて4つの鎧が出てきた。

「そこで我々AIB日本支部は勇者達の持つウルトラカプセルのデータからウルトラマンの力を再現するためのアーマーを作り出した。それがこの『ウルトラマンスーツ』だ」

 

「ウルトラマンスーツ・・」

 

 私達がここに呼ばれた理由がようやく分かった。つまり私達4人にこのスーツを試してほしいという訳ね。

「既にAIB職員が性能テストをして安全性は確認済みだが、勇者たちのウルトラカプセルのデータから作ったためか勇者の資質があるものの方がその性能を発揮できるのではないかと判断し、君達を呼ばせてもらった」

 

「Ver.ORB。スプリームカリバーという専用装備があり、その装備を最大限活用するための戦闘スーツとなっている。単純な破壊力は4つの中で一番高い」

 

 オーブと呼ばれたスーツの後ろには柄の部分が大きな円状になっている剣が置かれてる。あれがスプリームカリバーね。

「次にVer.X。他のスーツとは違い、データ圧縮された追加装甲を瞬時にマテリアライズして装備することができる。防御よりの設計だ」

 

 他のよりも布地部分が少なくて機械的な部分が多めなXスーツは追加でさらに鎧をつけれるらしい。動きにくくならなければいいのだけど。

「Ver.VICTORY。このアーマーはXとは逆に複数の武器をマテリアライズすることに長けている」

 

 瀬名さんが表示した武装のラインナップには黒く大きめの手甲や金色の狙撃銃、2振りの青い剣などがあった。私としてはこれが一番扱いやすそうね。

 

「Ver.GINGA。各部に搭載したスぺシウムリアクターでこの4つの中では最も高い機動性能を誇っているが、その性能故に扱いも難しくなってしまっている」

 

 1つ青い光を放つスーツは他よりも高い性能で、乗り手も選んじゃうタイプのようね。

「ではどうします?」

 

「オレはオーブがいいな!この剣、カッケェじゃん!」

 

 シズクと変わってるしずくはオーブがいいと希望してくる。他にオーブにしたいって立候補はいないしシズクはオーブで決まりなようね。

「雀は・・・エックスにしておく?」

 

「う~ん。ビクトリーはメブに譲るから私はギンガにしておくね」

 

 あら以外。てっきりメブなら守りのエックスにしておくと思ったのに。

「構わないけど・・・いったいどうしてエックスを選ばなかったの?」

 

「鎧が重かったらいざって時逃げにくいし、それよりだったらギンガの方かなって」

 

 確かに逃げにくいってことを考慮したらそうなるわね。

「では私がエックスを試させてもらいますわ。どんなものでも使いこなして必ずや功績を・・・」

 

 弥勒さんもエックスでいいと即決してくれたおかげで私も希望通りビクトリーを試すことが決まる。

「えっと・・・これはどうやって装着すればいいんですか?・・・サイズとかは」

 

「一度着込んでくれさえすれば装着者に合わせて最適化される。まずはギンガのスーツから始める。その円の中に入ってくれ」

 

 雀は自分からと驚きながらもビビりながら部屋の中心にある円の中に入ると、機械のアームがスーツをガチャガチャと装着させていく。

「これ、映画で見た事あるよ。確かアイアン・・・」

 

「皆まで言わなくていいわ雀」

 

「初期のスーツを装着するトニーってこんな気分だったんだね」

 

 さっきまでのビビりまくっていた雀は何処へやら。映画の主人公気分を味わっているような反応をする雀はそのスーツの装着が完了する。

「雀、調子はどう?」

 

「うん。動けはするよ」

 

 装着完了と同時に最適化されたスーツで雀は両手をグーにしたりパーにしたりして動作を確認してみると、軽くジャンプした。

「待て加賀城雀」

 

「・・・・・ほぇ?」

 

 瀬名さんの制止も間に合わず跳び上がった雀は頭から天井に突き刺さった。高いスペックを誇るだけあって軽いジャンプでもそうなってしまうのね。

「楠芽吹。ビクトリーを装着して彼女に手を貸してやってくれ」

 

「は、はい」

 

 私もビクトリースーツを装着して軽く手足を動かしてみた後、天井に刺さったままの雀を引っこ抜いてあげた。

「大丈夫雀?」

 

「う、うん。凄いねこの鎧。あんな勢いよく刺さったのに全然痛くなかったよ」

 

 結構な衝撃がありそうに見えたけどタフな作りにしているのね。

「弥勒夕海子。山伏しずく。2人もそれぞれスーツを装備してくれ」

 

「承りましたわ」

 

「いいぜ」

 

 弥勒とシズクもそれぞれスーツを装着し、ようやく性能テストの本番が始まった。

 

 

 

 

~~銀~

 

 風さん達に相談した結果。一度卵がダークザギに襲撃されてから今までインファント島に敵はやってきてないってことと、前回で道は分かっているからってことで今回のメンバーはあたしとリクさん。そして高嶋さんと千景さんの4人でやってきていた。

「高嶋さん、虫よけスプレーを持ってきたのだけど、良かったら使って」

 

「ありがとうぐんちゃん!」

 

 虫よけかぁ。もしモスラが孵化したら虫よけ嫌がっちゃうかな?

「銀。モスラって確かデカい蝶なんだよね?」

 

「いえ。蛾です」

 

 モスラのモスってのは蛾って意味で・・・つまりモスラは大きい蛾の怪獣なんだ。昔クライシスインパクトの記憶を無くす前の父さんがそう言ってたのを何となく覚えてる。

「大きい・・・蛾?・・・やっぱり私、帰っていいかしら?」

 

 流石の千景さんも蛾と聞いた途端、行くのを嫌がってしまった。

「大丈夫だって千景。蛾って言っても卵で孵化しても幼虫・・・」

 

「蛾の幼虫は毛虫でしょう?」

 

「・・・銀。モスラの幼虫って巨大な毛虫?」

 

「いや、あたしも成虫しか見たことないんで毛虫かどうかなんて・・・」

 

 ここにきて少し不安になってきた。本当に大きい毛虫だったらどうしよう。

『蛾の幼虫は毛虫と呼ばれるものが知れ渡っていますが、実際は毛の生えていないものの方が多いです』

 

 レムの飛ばしてるドローンのニュートムがあたし達の話に割り込んで解説をしてくれた。

「へぇ、毛虫が成長したら蛾になるって思っていたよ」

 

『間違いではありませんが、蝶の幼虫にも毛のような突起物があるものは少なくありません』

 

 つまり蝶の幼虫にも蛾の幼虫にも芋虫みたいなのと毛虫みたいなのはいるってことなんだな。

「知らなかったよ。教えてくれてありがとねレムさん」

 

 これでモスラの幼虫が毛虫じゃない可能性も出てきた。

「でもさ、人によっては芋虫よりも毛虫の方がマシっていう人もいるよね。銀はどっち?」

 

「あたしは・・・毛虫よりは芋虫ですかね」

 

「私も芋虫の方がいいかな」

 

「正直どっちも駄目ね」

 

 まぁ許容範囲も人それぞれだしなぁ。

「っ!みんな止まって」

 

 何かに気づいた千景さんはあたし達にストップするように呼びかけてくる。

「・・・付けられてるわ」

 

「付けられてる?いったい誰に?」

 

「この嫌な感じ。忘れるわけないわ。・・・そこにいるのでしょう?伏井出ケイ」

 

 睨みつけながら左後ろに振り返ったら・・・生きているとは分かってはいたけど、最近直接姿を現すことはなかった伏井出ケイが出てきた。

「貴女は随分と私に警戒心を抱いているようですね」

 

「むしろ抱かない方がおかしいでしょう?」

 

 千景さんと高嶋さんが勇者に変身して臨戦態勢を取ったから、あたしも少し遅れて勇者に変身する。

「目的は・・・どうせ卵の破壊でしょうね」

 

「やはり貴女方も卵が孵化する兆しを感じたから来たのですね。以前からこの島に気配は感じていましたが、卵の位置までは把握できていなかったので皆さんの道案内は助かりましたよ。・・・では私はこのまま卵の破壊をさせてもらいますよ」

 

 卵を破壊することを宣言した伏井出ケイはライザーを構えながらカプセルを取り出す。

「ゴモラ!レッドキング!」

 

 そして2つのカプセルを起動して、それをナックルにセットする。

「させない!勇者パァァァンチ!」

 

 高嶋さんはフュージョンライズさせまいと真っ先にパンチを仕掛けたけど、その拳はどうやって用意したのか分からない星屑を盾にされて防がれてしまった。

「なんで星屑が・・・」

 

「我々側に貴方方のいう造反神が味方しているのですよ。私がバーテックスを呼び出せても不思議ではないでしょう。たとえばこんなふうに・・・」

 

 伏井出ケイはライザーを持ってない逆の手で指パッチンをしたらさそり座のバーテックスが現実の世界に現れた。

『フュージョンライズ!』

 

「これでエンドマークだ」

『ゴモラ!』

『レッドキング!』

『ウルトラマンべリアル!スカルゴモラ!』

 

 そして伏井出ケイもあのスカルゴモラに変身して、さそり座のバーテックスとスカルゴモラの2体がモスラの卵目指して進もうとしていた。

「笑えない冗談ね。園崎さん、バーテックスは私達で対処をするから園崎さんは伏井出ケイをお願い」

 

「分かった。3人共気を付けて」

 

 本当はスカルゴモラの相手をしたいけど今は我慢し、あたし達3人はバーテックスに挑みに跳び上がった。

 

 

 

~~リク~

 

「ジーッとしてても・・・ドーにもならねぇ!」

『フュージョンライズ!』

 

「決めるぜ、覚悟!ジィィィィィィ!」

『ウルトラマン!』

『ウルトラマンベリアル!』

『ウルトラマンジード!プリミティブ!』

 

 ジードに変身した僕は伏井出ケイがフュージョンライズしたスカルゴモラの前に立つ。これ以上伏井出ケイを卵には近づけさせない。

「ジュァ!!」

 

 スカルゴモラと戦うのはこれで4回目だから負ける気はしない。そう思いながら僕は跳び膝蹴りで先制攻撃をしつつ、着地からのレッキングリッパーで追撃をかける。さすがに4回目だからプリミティブのままでもどう戦えばいいかっていうのは何となくだけど分かってるよ。

「やるようになったな。だが・・・」

 

 スカルゴモラは角を赤く光らせて力を溜めている。スカル振動波を打つ気だな。

「シュァ!!」

 

 打たせる気のない僕はジードクローを取り出して、それで角を受け止める。

「コークスクリュージャミング!!」

 

 そしてジードクローの刃で角を挟んだままコークスクリュージャミングを発動して角を破壊しようとしたけど・・・

「あ、あれ?」

 

 前よりもスカルゴモラが硬くなったのか角を壊すことは出来なかった。始めて戦った時より強くなっているのは僕だけじゃないってことか。

「リクさん!これを使って!」

 

 高奈は僕にネクサス・ジュネッスカプセルを投げ渡してくる。そういえばダークザギとの戦い以来1回もこれを使ってなかったね。

「久しぶりに使ってみようか。ユウゴー!」

 

 まず起動したのは高奈から受け取ったネクサス・ジュネッスカプセル。

「アイゴー!」

 

 次に起動したのはウルティメイトゼロカプセル。

「ヒィァウィーゴー!」

『フュージョンライズ!』

 

「超えるぜ、極限!ジィィィィィィ!」

『ウルトラマンネクサス・ジュネッス!』

『ウルティメイトゼロ!』

『ウルトラマンジード!ノアクティブサクシード!』

 

 2つのカプセルでノアクティブサクシードになった僕は右腕に剣を展開しながら、左手を空に掲げてメタフィールドとかいう亜空間を発生させる。これで前よりも島への負担が減らせるはずだ。

「ん?」

 

 今そこの岩陰でなにか動いたような気が・・・。いやでも今メタフィールドで包み込んだのはスカルゴモラと銀たちだけなはずだし・・。

「シュァ!!」

 

 気にしても仕方ない。とりあえず今はスカルゴモラを倒すことに集中しよう。

 

 

~~銀~

 

 

「高嶋さん、千景さん。気づいてます?」

 

「うん」

 

「何かいるわね。あそこの影」

 

 ジードとスカルゴモラの戦闘中、バーテックスを倒し終えたあたし達は岩陰で何か大きいのが動いていたことに気づいた。

「どうします?一応確かめに行ってみます?」

 

「そうね」

 

 あたし等は武器を構えながら慎重に岩陰に移動してその正体を確認してみたら・・・そこには巨大な茶色がかった芋虫みたいなやつがいた。

「えっと・・・もしかしてお前がモスラ?」

 

 あたしはその芋虫にモスラかどうかを尋ねてみたけど、その芋虫はあたしの言葉が通じてるのか通じてないのか首をかしげる反応をした。

「やっぱり生まれたてだから言葉も通じないのかな?」

 

「それ以前にこの怪獣、自分がモスラかどうかすら分かってないんじゃないかしら?」

 

 駄目だ。この芋虫が何なのか判断できる材料が少なすぎる。

「あっ・・・また光ってる」

 

 この芋虫に反応してるってことはやっぱりこの芋虫がモスラの幼虫なんだろうな。

「一応この芋虫がモスラの幼虫なのは分かったけど・・・どうします?」

 

「どうするって言われても・・・どうしよう?ぐんちゃん」

 

「どうしようと聞かれても・・・」

 

 高嶋さんも千景さんも既に孵化してたモスラをどうするか対処に困っていたら、モスラは岩陰から出てスカルゴモラの尻尾に噛みついた。

「っ!何だお前は・・・!!」

 

 スカルゴモラは尻尾を激しく地面に叩きつけることでモスラを離れさせる。

「まさかお前はモスラの幼虫か?」

 

 伏井出ケイも既にモスラが孵化してたまでは考えていなかったようで、その事に驚いていたらジードは右腕の剣に光を灯していた。

「ソードレイ・・・オーバードライブ!!」

 

 光を纏った斬撃のソードレイ・オーバードライブでモスラに注意が向いていたスカルゴモラを切り裂く。その一撃でスカルゴモラが爆発したら、元の姿に戻った伏井出ケイはモスラを見上げてきた。

「既にもう孵化した後とはな。完全に成長を遂げる前に手を打たなくては」

 

「あっ!こら待て!!」

 

 伏井出ケイはお得意のバリアからのワープでこの場からいなくなった。

「ったく、久しぶりに顔見せたと思ったらこれかよ」

 

 今回こそ伏井出ケイをとっ捕まえたかったけど・・・無理だったか。

「三ノ輪さん。伏井出ケイのこともあるけどまずは目先の問題よ」

 

「そっすネ」

 

 メタフィールドから元の世界に戻ったらモスラは元の世界に戻れたことを確認するみたいに辺りを見渡す。

「・・・・・」

 

 まだ変身を解いてないジードはモスラを指差しながら「どうするの?」ってこっちを向いてきた。

「ホント・・・どうしよ?」

 




ウルトラナビアプリ

楠芽吹(くすのきめぶき)
年齢 15歳
誕生日 5月9日
出身 香川県
趣味 日曜大工・プラモデル
好きな食べ物 うどん

 今現在40人ほどまで増えた防人のリーダーである芽吹は気が強く真面目な少女です。戦闘では「部隊の誰も殺させない」事を信条としていて、 夏凜と同様剣術を得意としています。

加賀城雀(かがじょうすずめ)
年齢 15歳
誕生日 7月22日
出身 愛媛県
趣味 おしゃべり
好きな食べ物 みかん

 自分に自信の持てない雀は積極的に前に出る事はなく、基本的には防衛を担当しています。しかしながらその臆病さから生き残る道を見つける事に関しては人一倍強く、結果として仲間や周囲の人間が救われることも多いようです。

次回「双璧の糸」

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