魔法少女リリカルなのは~魔法と精霊使いのなのは~   作:マルドゥーク

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昨日急に思いついたのでとりあえず勢いで書いてみました。
気に入ってくれたら嬉しいです。


第一話 動き出す高町なのは

 

 海鳴市にあるとある一軒家の庭に木造建築の道場がある。今その道場で二人の兄妹が剣を打ち合っていた。

 兄の名前は高町恭也、十九歳。クールで寡黙だが優しい性格。父である士郎から『小太刀二刀御神流』という剣術を受け継いでいる。妹の名前は高町なのは、九歳。今作の主人公であり、高町家三兄妹の末っ子でもある。

 なのはは兄の恭也から『小太刀二刀御神流』を習っており、今は毎朝恒例の稽古をしていた。

 

 「はっ!はぁぁぁぁ!」

 

 「くっ!てりゃぁ!」

 

 「はいそこまで!もう朝ご飯の時間だよ。」

 

 ノリにのっていた恭也となのはだったが、第三者の呼び止めで二人とも持っていた剣を床に置いた。

 第三者の名前は高町美由希、十七歳。なのはの姉であり、兄の恭也・父の士郎から『小太刀二刀御神流』を習っている。

 

 「もうそんな時間か。」

 

 「そう言えばお腹すいたね。」

 

 「もう二人とも熱中しすぎ。恭ちゃんなんか最初なのはに御神流教えるの嫌がっていたくせに・・・」

 

 「そうだった・・・かな。」

 

 御神流はもともと暗殺用の剣術であるため恭也は始め教えるのをためらっていたが、なのはの熱意に負け渋々と教え始めたのだが・・・

 

 「それにしてもなのはすごいな、もうほとんど御神流をマスターしてるぞ。」

 

 「にゃああ・・・お兄ちゃんの教え方が上手いからだよ。」

 

 「いや、それにしてもだ。俺がなのはぐらいの時はようやく剣術の基礎を身につけたんだぞ。」

 

 「ほんとすごいよね。剣術の基礎だって最初っから出来たし・・・」

 

 「た、たまたまだよ。」

 

 間違ってでも剣術の基礎が偶然、たまたま出来てるはずもなく・・・。恭也と美由希はなのはに才能を感じながらもどこか畏怖も感じていた。

 

 

 

 「いってきまーす。」

 

 稽古のあと、シャワーを浴び朝ご飯を食べたあと、制服に着替えたなのはは今日も元気に学校へと登校した・・・と家族の誰もが思っていたのだが。

 家を出たなのははいつもならスクールバスに乗るためにバス停に向かうのだが、どういうわけかバス停には向かわず海鳴神社に向かっていた。

 

 「はぁ、なんとか間に合った。」

 

 (何が間に合ったのかしら)

 

 なのはの左手の甲が黒く光ったかと思うと頭の中に少女の声が聞こえてきた。

 

 (レスティア・・・うん、なんとか今日までに御神流をマスター出来たなって。)

 

 (ああ、そういえば今朝恭也に言われていたわね。)

 

 (起きていたの?)

 

 (ええ、私たち精霊に夜も朝も関係無いから。剣精霊は寝ているけど。)

 

 (それにしても盗み聞きみたいなこと・・・)

 

 (しょうがないでしょ。〈元素精霊界〉《アストラル・ゼロ》に帰れない上になのはの許可がなければここから出れないんだから、なのはの心の中から。ここに居る以上なのはが経験したことは全て伝わるのよ。)

 

 〈元素精霊界〉《アストラル・ゼロ》とは精霊が住む別の世界のことだ。

 

 (今日までってことは今日がその日ってわけね。)

 

 (うん。今日がその日、ユーノ君との出会い。)

 

 なのはにとってユーノとの出会いの日は一言では言えない特別な日だ。なのはの永遠の相棒・レイジングハートとの出会い、魔法との出会い、魔導師への目覚め、初めての実践、いろんなことがあった日。

 忘れようとしても忘れられないあの日を思い浮かべているうちになのはは海鳴神社に到着した。

 

 

 

 「くーちゃん!」

 

 なのはは社の後ろ手に回ると大切な仲間の名前を呼んだ。『くーちゃん』とは三百年の時を生きる妖狐でなのはの親友であり使い魔である。正式な名前は『久遠』《くおん》だがなのはは愛称で『くーちゃん』と呼んでいる。

 

 「ナノハ!」

 

 大好きななのはに名前を呼ばれたくーちゃんは大はしゃぎで駆け寄ってきてなのはに抱きついた。

 

 「もう、くーちゃんたら・・・」

 

 相手がくーちゃんであるからと油断しきっていたなのはは、くーちゃんのスピードに押されてバランスを崩し転倒したが、怒りの表情は一切無く心の底からの笑顔が溢れ出ているだけだった。このことからなのはとくーちゃんの仲の良さがよくわかることだろう。

 

 「くーちゃんそろそろ離れて、仲間を紹介したいから。」

 

 「ナカマ?」

 

 抱きついたままなかなか離そうとしないくーちゃんを「仲間を紹介したい」といい離れさせようとするなのは。案の定くーちゃんはなのはの言葉に食いついた。

 

 「うん、見ててね。今呼ぶから。」

 

 なのははそう言うと右手を前に突き出し呪文を唱えた。

 

 「来たれ、冷徹なる鋼の女王、汝の名は――剣精霊テルミヌス・エスト!」

 

 「はい、私はなのはの剣、なのはの望むままに――」

 

 なのはが呪文を唱えた瞬間、なのはの前に銀色の長い髪に白い美肌が特徴のなのはくらいの少女が姿を現した・・・ニーソをはいているだけの全裸当然だったが。

 

 「もう、だから服を着てっていつも言ってるでしょ!」

 

 「・・・はい。」

 

 なのはに言われてなのはと同じ制服姿に着替えたエスト。始めから着ていたら神々しく決まっていただろうに・・・もったいない。いや、一部からは大変人気が出そうなシチュエーションだったかもしれないが。

 

 「はぁ・・・もう一人も呼ぶよ。」

 

 なのははそう言うと今度は左手を前に突き出し呪文を唱えた。

 

 「来たれ、無慈悲なる闇の女王、汝の名は――闇精霊レスティア・アッシュドール!」

 

 「私はあなたの剣、あなたの望むままに――」

 

 「真似しないでください、闇精霊。」

 

 「だってあなたのほうが先に呼ばれたから・・・少し意地悪したくなったのよ。」

 

 「む~~」

 

 「もう・・・相変わらず仲悪いんだから。もっと仲良くしてよ。」

 

 「・・・いくらなのはの頼みでもそれだけは聞けません。」

 

 「ええ、それは剣精霊に同感ね。」

 

 エストとは対照的に禍々しい雰囲気を持つ艶やかな黒髪に黄昏色の瞳、それに黒い翼が特徴な少女、レスティア。闇精霊だけあって小悪魔というか意地悪な一面を持つ。意地悪をする対象は主にエストに対してだが・・・。

 前述のやりとりを見ればわかるとおりエストとレスティアは仲が悪い・・・ように見えてどこか仲が良いようにも見えるのは気のせいだろうか。これはあくまで個人的にだが仲の良い姉妹がじゃれあっているようにも見えなくは無いと思う。本人たちは否定しそうだが。

 何はともあれ今ここに最強の剣精霊と最強の闇精霊が『リリカル☆なのは』の世界に降臨したのだ。

 ちなみにくーちゃんはというと・・・

 

 「・・・あれ?くーちゃん?」

 

 「・・・・・・・・・」

 

 「・・・どうやら気絶しているようです。」

 

 「立ったまま気絶って・・・」

 

 そう、くーちゃんは突然現れた二人にビックリして気絶してしまったのだ。なんせ人見知りな妖狐だからね、仕方ないと言えば仕方ない。

 

 

 

 「とりあえず現状を整理しようか。」

 

 いろいろ揉め事やハプニングがあった気がするが、なのはは何事もなかったかのように話を切り出した。

 ちなみに今なのはは結界を張っている。本来ならばなのはは今頃学校にいなければならない時間だし、万が一エストたちを誰かに見られると面倒なことになると考えたからだ。

 

 「まず私の身体だけどこれってシュテルちゃんの身体なんだよね。」

 

 シュテルとは闇の書の残骸が作った、高町なのはそっくりの『理』のマテリアル。なのはと異なる点があるとすれば、なのはがツインテールなのに対しシュテルはショートカット。性格も対照的でクールで折り目正しく大人びた性格をしている。またこの性格は今のなのはにも少し備わっている。

 

 「でもって人格は私、なのはであって一部シュテルちゃんの人格も受け継いでいると。」

 

 「サッキカラキイテテオモッタケド、ナノハッテフツウノニンゲンジャナイノ?」

 

 いまいち話の真意がわからなかったくーちゃんは我慢できなく聞いてみた。

 

 「今の私はおよそ三十年後の世界から来たんだよ、魂だけね。」

 

 「エッ・・・ソレッテドウイウコト?ドウヤッテキタノ?」

 

 「私にもわからない。」

 

 「今までの話を聞くと単純な時間遡行でもなさそうね。」

 

 「はい。それになのははカミトの記憶と力を持っています。」

 

 「カミト?」

 

 くーちゃんはまた新しく聞く単語にますます困惑した。

 

 カゼハヤ・カミト、エストとレスティアの本来の契約者で、本来あり得ないはずの男の精霊使い。実はかつて世界を混乱に導いた魔王の生まれ変わりである。

 

 「私と剣精霊はカミトの死を見送り〈元素精霊界〉《アストラル・ゼロ》に帰るはずだったのだけど・・・」

 

 「気がついたらなのはの中にいたというわけです。闇精霊と共に。」

 

 「どうしてこうなったのかはわからないけど私としては好都合。」

 

 「なのは、本当に実行するのですか、今ならまだ引き返せますよ。」

 

 エストはなのはの中にいたからなのはの過去、これからやることを全部知っている。だからなのはの意思の堅さをわかっているのだが、聞かずにはいられなかった。何故なら―――

 

 「やるよ。何があっても。」

 

 「しかし私を使い続ければ・・・」

 

 魔を滅する聖剣〈魔王殺しの聖剣〉《デモン・スレイヤー》であるエスト。対呪性能を持ち、呪いを断ち切ることも出来る優れた聖剣であるが、同時に使用者に呪いを蓄積し無残な死に導いてしまう一面がある。

 最初こそカミトではないなのはに力を貸すことを拒んでいたが、なのはの過去と目的を知りまたカミトの記憶を持っているためか、時折見せるカミトに似た一面を持つなのはを今は大切に思っている。

 

 「大丈夫、死ぬことは怖くないし今すぐ死ぬわけじゃないんだから。」

 

 カミトと似た答えにエストは覚悟が決まった。

 

 「なのは・・・わかりました。先ほども言いましたが、私はなのはの剣、なのはの望むままに――」

 

 「まあ良い暇つぶしにはなるでしょうね。協力してあげるわ。」

 

 「ヨクワカラナイケド・・・ナノハガコマッテルナラタスケルヨ!」

 

 「みんな・・・ありがとう」

 

 なのははみんなの気持ちが嬉しくて思わず嬉し涙が零れたのだ。

 

 

 

 「とりあえずこれからまず何をするのですか?」

 

 なのはが泣き止むのを待ってからエストはこれから最初にすることについて尋ねた。

 

 「まずは夕方までまってレイジングハートを取りに行く。」

 

 「何で夕方まで待つ必要があるの。」

 

 「・・・え?どういうこと?」

 

 「だから、レイジングハートを今持っているユーノって言う人は昨晩のジュエルシードの化け物との戦いで森の中で倒れているのでしょ、今も。」

 

 「・・・っあ」

 

 最初レスティアの言っている意味がわからなかったなのはだがようやく合点がいったようだ。

 

 「・・・とりあえず今から取りに行きましょうか。」

 

 「そうだね。」

 

 なのはたちはレイジングハートを取りにユーノが倒れている森に向かったのだった。

 

 

 

 

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