もしも織斑一夏が現実的だったら 作:舞波@現在進行形ゴールデン
「一つ!雨降る夜に2人は出会う!二つ!再会した2人の結婚ルート確定!そして三つ!その時の爆音波によって学園のガラスが半ば全滅状態!こんな感じかな?それじゃあ本編、はっじまるよー!」
殆どの生徒から魂が抜けた状態で昼休みの時間。円夏は『コーヒーガブ飲みとかヤだから2人でごゆっくり〜』と言いながら早々と食堂に行った。多分気を遣ってくれたのだろうと思い、鈴と屋上に向かおうとしたのだが、案の定屑蟲が
「おい鈴!その2人目とはどういう関係なんだよ⁉︎」
「あんたには関係無いでしょ?旦那様よ、だ・ん・な・さ・ま♪」
片手で弁当箱のような物を持ったまますりすり甘えてくる鈴。今まで会えなかったからか、反動ではないが甘え方が何となく犬猫っぽい。
「取り敢えず行くか」
「そうね〜♪」
「っおい!待てよこのド貧乳‼︎」
ブチッ‼︎
「「今なんつった三下アァァァァ⁉︎」」
ドメギッッッ‼︎
「ブホッ⁉︎」
鈴と完全にシンクロした動作で屑蟲をブン殴った。だがこれは最も吐いてはならない事を…屑蟲は4、5回転しながら地に落ちた。
「………」
伸びている。気絶したようだがまだ気が済まない。
「ちっ、まだ気が済まんが…」
「もういいわよ。早く行きましょ?」
「そうだな、っと」
「へっ?」
軽く鈴を両腕で抱える。それにしてもつくづく軽い。今の鈴の状態は、所謂お姫様抱っこと言うやつだ。唖然とする周りを他所に、足早に屋上に向かった。やはり視線を多く集める。その間鈴はと言うと、
「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜//////////」
頭から煙を出しながら小さくなっていた。
ようやく屋上。鈴はまだ頭から煙を出しているが、取り敢えずある程度戻ったらしい。
「は、早く食べましょ…早速麻婆作ってきたから」
「そうだな、では最初に」
鈴を目の前に引き寄せる。まだ赤い顔は今どうなっているのかわかっていないようでポカンとしている。
「鈴を味わってからな」
…ちゅ。
ゆっくり、味わうつもりで柔らかそうな鈴の唇に口付けた。こんな事、円夏がいたらとてもじゃないが出来ないな…。
「んぅ…?ぷはぁ…」
ほんの2、3秒の口付けを離すと潤んだ瞳で俺を見る。正直ここで止めるのは少し勿体無い気がするが、是非もなし。
「…すまんな。俺も少々抑えられなくなっているらしい」
「気にしないで、私もだし…それはそうと麻婆食べましょ」
「ああ。いただきます」
口にした麻婆は即座に甘い思考を香辛料の刺激で埋め尽くした。辛い。辛い。だが旨い。少しだけ俺が作るものとは味が異なるがそれもまた良し。
「どう?ご期待通りの味だったかしら?」
「最高だ。他人の作る麻婆なんて久しぶりだからな、中々染みるよ」
「そう言えばあんた何で麻婆にハマったんだっけ?」
「不思議な人々が集まるアーネンエルベという喫茶店が有ってな?俺も良く行くのだがそこで偶々隣の席になった男の人が色々話してくれてな…一度持って来てくれたのだが」
「それが激辛で見事にハマった、と」
「そういう事だ。ちなみに俺の黒鍵の原型はその人から渡されたものだったりする」
「何者よ、そいつ?」
「さあ?その手の場で名前を聞くのもな…最近は会ってないよ」
雑談をしながら食べ進める。にしても本当に旨い…。
「ご馳走様でした」
「お粗末様でした。あ、あとクラス代表って結局誰よ?」
「あの屑蟲だ。まあ取るに足らんだろうよ」
「うわっ、めんどくさ…」
と、まあこんな感じで会話して教室に戻ったのだが、教室は魂の抜けた生徒しかいなかった。だいたい俺のせいだがな。
感想、お待ちしております。あとアーネンエルベがあるだけあって結構この世界は色々混ざってます。