助けた猫が擬人化して愛してくるのだけれど。   作:アルトルト

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第三話 猫娘とデート!?

「ちくせう…あのクソ親め…嵌めやがって…」

「どうしたのぶつぶつと?」

「いや、何でもねぇ…」

 

まさか親の思惑でおつかいという名のデートに行かされるとは…!だから俺はコイツとはそんな関係じゃねぇっての…!

 

「ねえねえケンタ、でーと、って何?」

「あ?デート?…それは…えっと…」

 

デートの意味を咄嗟に聞かれても答えが出ない。

…そりゃそうだ、童〇陰キャにそんなこと聞くなっての。

 

「あー…デートってのはな、仲のいい男女が買い物とかに行くことだ。わかったか?」

「うん、わかった!じゃあ私とケンタは仲のいい男女、ってことだよね?嬉しいなぁ」

 

…何故そこで嬉しそうにする!?お前一応元猫だろ!?訳が分からん…。

 

「…ええい、とにかくさっさと終わらせて帰るぞ!いいな!」

「うん、わかった」

 

くぅ、デートだなんて考えると顔が赤くなりそうだ…!コイツ相手なのに…!猫娘なのに…!くそぅ…!

 

***

 

「着いたー!」

「おい勝手にどっか行くなよ!?いいか絶対どこにも行くなよ!?」

 

数十分歩いてたどり着きしは近所のショッピングモール。デカからず、小さからずで丁度いいサイズのモールなのが特徴で、ゲーセンからスーパー、家具屋までいろいろ揃っている。ついでに立体駐車場も併設されているので車で来ても安心。

なお、迷うとなかなか合流しにくいのも特徴である。どんな特徴だ。

 

「とりあえずスーパーで買い物!それが終わったら即帰宅!いいな!?…ってもういない!?」

 

どこ行ったアイツ!?猫故の好奇心が働いたかこんちくしょう!

 

……ええい仕方ない、とりあえず買い物だ買い物!メモの量的にすぐ終わんだろ!多分!

 

……あれ、なんで、こんなテンションがおかしくなってんだ?自分でも訳分からん…。まったく…もしかして、照れ隠し?うわぁ…自分の事だけど、男の照れ隠しとか誰得?

 

***

 

で、買い物終了。

予想通りおつかいレベルなので大した量ではなかった。

でも……。

 

「ハァーーー…アイツは本当にどこいったんだ…?」

 

ざっと見、どこにも珠代の姿が見当たらないのだ。

やはりというか多分、猫故の好奇心であちこちウロウロしているのだろうが、探す側としては面倒くさいことこの上ない。その上この建物自体迷いやすいことで有名だ。迷った先で妙なことに巻き込まれてなければいいのだが…。

 

とりあえず買った物を潰さないように小走りで探していると、案外彼女はあっさり見つかった。

 

 

ただし、あからさまな不良2名のセット付きでだ。

 

「ねえねえキミ、俺たちとイイトコ、行かないかい?」

「え、ええっと、その…」

「ホラ、遠慮しないで。ホラ」

 

あーこれはもうテンプレなナンパですね間違いない…なんて面倒な。

男2人はどちらも金髪だったり派手なピアスだったりで明らかに不良してる格好だ。体格も悪くないし。

あー…こんな事なら無理やりにでもおつかい断っときゃ良かった…。

 

「う、うう…」

「ホラ、ちょっとだけだからさ。だから俺たちと一緒に行こうぜ?」

「ほらほら、遠慮すんなって…」

 

すると片方の男が珠代の腕を掴む。

…まさか実力行使に出る気か?流石にそれは不味い。

…ハァ、仕方ないか…。

 

「あ、あの…」

「アン?なんだテメェ?」

「ヒッ!?」

 

俺が声を掛けると、片方の男がギッと睨みつけてくる。

うわあめっちゃこええええ!!??

ひぇぇガン見されてるよ目線怖いよ!?ほらもっとスマイルー!?

 

「け、ケンタ…?」

「あ?…おいお前、この娘の知り合いか?」

「はっ、はい…」

「そうか…」

 

ヒィィ怖い怖い怖い!!

早く立ち去りたい…!!

 

「おいアンタ」

「はいごめんなさ「…丁度良かったぜ、探す手間が省けた」…はい?」

 

え?探す手間が省けた?それってどういう…。

 

「いや最初は待ち合わせか何かと思ってたんだけどよー、言動が完全に迷子のそれなもんだから俺たちが一緒に探そうって言ったんだがよ、全く聞いてくれなくてよー。…だがまさか彼氏持ちとはな。もう離れんじゃねぇぞ、彼氏さん?」

「え、あ、はい…すいません、ありがとうございました…?」

 

じゃあな、と不良2人は去っていった。

どうやら迷子になってた彼女を助けようとしてくれたらしい。俺の検討違いか…無駄に心配して損した…。

 

「あ、あの…ケンタ…?」

「ん?なんだ?」

「ご、ごめんなさい…勝手にどこか行っちゃって。それに、ちょっと迷惑かけちゃったし…」

「あー…」

 

彼女自身負い目を感じてるようだ。

 

「…いいんだよ、お前、ここ来るの初めてだろ?」

「え、怒らないの?」

「はっ、怒る訳ねぇよ。人間でも初めて来た場所は大体迷うもんさ。ま、だからって勝手にうろちょろして迷子になられるのはちょっと面倒だからこれからは止めてくれよ?それさえ守ってくれれば、俺は怒ったりしないさ」

「……!うん!」

 

俺が怒ってない、と言うと、彼女は顔に花を咲かせたように笑った。

俺自身確かにいなくなった時は怒りそうになったが、ぶっちゃけいろいろありすぎて怒る気になれなかったし。

しかし…あれだな、笑った時のこいつ…

 

……可愛いな。

 

ッは!?俺は何を!?落ち着けこいつは猫こいつは猫こいつは…!!

 

「?ケンタ、どうしたの?」

「い、いや…何でもない…ああほら、帰ろう!そうだよ帰ろう!エアコンの涼しい我が部屋へ帰るんだよ!」

「…なんか、テンション大丈夫?」

「大丈夫だっ!!」

 

はぁ…なんでこいつにここまでドキドキさせられるんだ…!?

あれか、俺がこいつのことが好きだと、そう言いたいのか…!?

 

***

 

その後、帰路につく。

その途中。

 

「お、健太じゃん!チーッス!買い物帰り?」

「…ん?お、祐介か。チッス。そうだぜ、お前は?」

「俺か?俺はコンビニにちょっと魔法のカードを」

「おっ、爆死期待」

「なーに言ってんだ、爆死とかありえんから(笑)」

「…ねえケンタ、その人だあれ?」

 

後ろにいる珠代が俺に訪ねてくる。

 

「ん、コイツは祐介。俺の親友さ」

「ん?その女の人がどちら様かは知らないが…ども、小田(おだ)祐介(ゆうすけ)って言います!」

「あ、こんにちは…珠代って言います」

 

祐介とは小学校の頃からの付き合い。昔から陰キャオタクの俺に何だかんだ付き合ってくれるいい奴だ。

 

「…しかし健太もとうとう女に手を出すとはなぁ…童〇陰キャ脱出か?」

「ち、違わい!彼女とか、そんなんじゃねーし!」

「ええーホントにござるかぁー?

…それに、俺は彼女かどうかとかは全く聞いてないぞ?」

 

うぐっ、墓穴…!

 

「う、うっせー!いいか、俺は別にこいつのことなんて好きでも何でもねーんだよ!むしろ嫌いなくらいだ!鬱陶しいとさえ感じるな!」

「あ、おいバカお前そこまでにしとけ!」

 

俺が珠代のことを照れ隠しであれこれ言っていると、急に祐介に話を止められる。

 

「……ケンタの」

「ん?どうした珠代?なんかあんのか?」

 

珠代の声がしたので、その方を向く。珠代は、どこか悲しそうな目をしている。どうかしたのだろうか。

 

「……ケンタの、バカーーッ!!!」

 

パンっ

 

「………え?」

 

彼女の大きな声と共に、俺の頬に赤い紅葉模様ができる。

 

……え?どういうことなのか。

頬が痛い。目の前には背を向けて走り去る珠代と、俺の肩を掴んで何か言ってくる祐介。

何が起こった?

理解できない。

 

「おい健太!早く追いかけろよ!」

「……なあ、何で俺があいつを追いかけなきゃならないんだ?」

 

そうだ。俺があいつを追う理由なんて無いはずだ。俺は彼女を、彼女を…

 

「決まってんだろこの朴念仁のクズ!」

 

バシッ!

 

祐介にも殴られる。グーパンは止めてくれないだろうか。痛い。

 

「痛った…祐介、何を…」

「馬鹿野郎、お前何言ったのかわかってんのか!?」

「え、そりゃ…そりゃ…」

 

俺がさっき、何を言ったか?

 

それは…

 

 

『こいつのことなんて好きでも何でもねーんだよ!』

 

『むしろ嫌いなくらいだ!』

 

『鬱陶しいとさえ感じるな!』

 

 

「…………あ、ああ…!?俺は…何を…!?」

 

なんてこった…照れ隠しのつもりが、言いすぎた……!?

 

「照れ隠しにしたって言い過ぎなんだよお前はこのクソ童〇陰キャ!早く追ってこいよ!」

「あ、ああすまない、迷惑かけた!」

「おう、こんどは素直になりやがれよ!」

 

祐介が俺の背中を叩く。

 

…素直になれ、か…

…そうだ、今まで俺はあいつを、珠代を「元は猫だし」と思って逃げていたんだ…!

この1週間、ずっと毎日いて、心のどこかでは気づいていたのに、あの雨の日に出会った時からわかっていたのに!

それでもなお逃げていたんだ、この気持ちに…!

 

「あーそうそう、ちょっといいか?明後日なんだが…」

「なんだ!?今急ぎたいんだが!?」

「あーいや、明後日そこの寺で夏祭りがあるってことだけ。そんだけさ。…ホラ行った行った、頑張れよ!」

「…言われんでも!」

 

その言葉と共に駆け出す。

多分今のは、そのお祭りにでも誘えってことだろう。

…いいぜ、やってやるよ!

 

「…待ってろよ…!」

 

…ああそうだ、俺はこの気持ちを伝えたい…!

 

この、ずっと逃げて続けていた気持ちを…!

 

あいつに、珠代に、お前のことが好きだって!

 

そう誓った俺は、沈み始めた夕日に向かって走り始めた。

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