ジャンルはシリアスとバッドエンドが多めではありますが、日常系とギャグも混ぜさせてもらっており、話的にシスターラブのような……姉妹同士での恋愛というのが書かれているものもあります。
そういうのが嫌な方は迷わず回れ右して頂き、そういうのがあっても構わないという方は最後まで私に付き合ってもらえると嬉しいです!!
#時間軸は【2.5期】です#
#【にゃっぴーorサン】に深い意味はなく、仮につけたタイトルとなってます。ちゃんとしたタイトルは後々つけたいと思ってます#
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今後は【脚注タグ】を使わせていただき、作中に出てくる補足したいワードを説明していこうと思ってます。
脚注タグが付いているワードには色が付いており、ワードの前についてある番号を押していただけると説明文が表示されている場所まで飛びます。
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#本作主人公・
001 僕の姉様は過保護すぎる
1.
僕、*1
姉の名は、暁 切歌。
三つ上の姉は、僕にとってとても頼りになる
性格はお気楽というか、物事をポジティブに考えることができる人だと思う。でも、時に思い込みが激しく、一人で突っ張ってしまうこともあり……その都度、本人曰く黒歴史とやらが増えるらしいが、それも姉が僕や他の仲間たちを大事に思っているからこそだと思っている。
そのことをもっと掘り下げれば、姉は一段と仲間や家族に対する思い入れが強いのだ。
そう、姉は他の皆よりも家族や仲間たちのことを"大切に思っている"。
故に、姉は僕に対して––––
–––––過保護すぎる、のだろう。
2.
「起きるデス、歌兎。朝になったのデスよ」
ゆさゆさと身体を揺らす感覚と、おでこと頬に広がる柔らかく程よい弾力性を持つ何かによって、ゆらゆらと眠りの海を漂っていた僕の意識が覚醒していく。
(……ん?)
ゆっくりと目を開けると、まず最初に目に映るのが真っ白な天井……続けて視線を下にずらすとチャーミングな癖っ毛が特徴的な金髪の少女が僕を見下ろしていた。
(ああ……そっか……また、姉様に起こしてもらったんだ……)
自分の寝起きの悪さに嫌気をさしながらもまだ眠たくて、うとうとと瞑ろうとする目をこすりながら、身体を起こすと太陽のような明るい笑顔を浮かべる姉が僕へと話しかけてくる。
「おはようデス、歌兎」
「……ん、おはよ、ねえさま……」
うとうとと小舟を漕ぎ、まだまだ寝ぼけ眼な僕の周りを慌ただしくバタバタと動くのが、姉様で–––。
「……えーと、今日はどんな服にしましょうか。これも可愛いデスし……この服も捨てがたいのデス……」
僕が座るベッドの足元にある箪笥の真ん中の引き出しから着替えを取り出しながら悩みに悩み抜いた末に
「歌兎、着替えましょうか? パジャマのボタン外していいデス?」
「……ん、いいよ」
こくんとうなづく僕のパジャマへと両手を添えると慣れた手つきでパジャマのボタンを外し、指示を出しながら脱がせると持ってきた洋服を着せてくれる。
「歌兎、こっちに右手を通すデスよ」
「…こう?」
半分意識は眠りに入りながらも姉様の指示通りに右腕と左腕をカーディガンへと倒していく。
「そうそう。それと左腕をこっちへ」
「…ん」
カーディガンのボタンを留めながら、目の前で小さく小舟を漕いでいる僕を見つめ、小さなため息をついた姉様の口元は"仕方ないなぁ……"という意味が込められているであろう微笑で形作られており、小さな注意が飛ぶ。
「二度寝はダメデスよ、歌兎」
「…ん…分かってる…」
そう答えながらももう眠気に耐えきれなくなった僕の瞼が閉じていっているのをパジャマのズボンを脱がせにかかっていた姉様が気づき、僕の小さな肩へと両手を添えると乱暴に上下に体を揺さぶる。
「って、言ってるそばから寝てるじゃないデスか!!」
「…ね…てない…よ、ねえさ……スゥ……」
「ウ・タ・ウ! 起きるデス!! 二度寝はダメデス!!」
姉様の怒声と乱暴に体を上下に揺すられて、ハッと目を覚ますと僕はキョロキョロと辺りを見渡し、見慣れた黒髪がないことに気づくと目の前で短パンを履かせ終えて、ニーソックスへと取り掛かっている姉様へと問いかける。
「…姉様。シラねぇは?」
「調なら朝ごはんを作ってるデスよ」
「…そっか。シラねぇが……」
「なんデスか? 歌兎」
ジィ––––と目の前でニーソックスを右脚を履かせ終えて、左脚へと取り掛かっている姉様の適度に整った顔を見つめながら、ふと思う。
(そういえば、姉様がお料理してるところ見たことないなぁ……。僕は姉様の料理も好きだから、食べたいんだけど……)
そこまで考えたところで、リビングの方から白米の匂いとお味噌汁の匂いが漂ってくるとその香りたちに刺激されたのか、グーグーとお腹の虫が鳴り、姉様がクスッと笑う。
「お腹が空いたのデスか? 歌兎」
「…ん、空いた」
『切ちゃん、歌兎、ご飯できたよ』
ドア越しから、聞き慣れた声が聞こえてきて、着替えさせてもらった僕はベッドから立ち上がると姉様へと右手を差し出す。
「…シラねぇが呼んでる。行こ、姉様」
それを嬉しそうに握った姉様は意地悪な笑顔を浮かべると僕へと顔を近づける。
「はい、行きましょう。と、その前に歌兎〜ぅ、朝にお姉ちゃんにすることを何か忘れてないデスか〜ぁ?」
ニヤニヤと笑いながら、顔を近づけてくる姉様の仕草で忘れている事……いいや、忘れていたかったものが思い出され、僕はそっと姉様が視線を逸らすと白い頬へと朱を混ぜる。
「…アレは恥ずかしいよ、姉様」
「姉妹なのデスから。恥ずかしがることなどないのデスよっ。ほらほら、歌兎っ」
「…っ」
慣れた様子で右頬を僕の方へと突き出す姉様の様子に僕は覚悟を決めると羞恥心でやめたくなる衝動を抑え、突き出されている姉様の頬へと自身の唇を近づける。
「…ちゅっ」
小さなリップ音が自室へと響き、続けて上がるのは嬉しそうに顔をデレデレに緩めた姉様の弾んだ声である。
「えへへ〜♪ 歌兎からおはようのキス貰ったデス〜♪」
「…」
「お返しにお姉ちゃんからも歌兎にキスするデス〜♪」
「…」
僕へと抱きついて、ちゅっちゅっと頬へとキスする姉様を僕は不思議そうな顔で見つめる。
(なんで、姉様はこんなにも恥ずかしいことを毎朝したがるんだろ…)
物心つく頃からずっと疑問に思っていることなのだ。
いくら姉妹とはいえ、おはようのキスとおやすみのキスは流石に恥ずかしすぎる。
のだがーー嬉しそうに、にこにこと笑う姉様のこの笑顔を守るというのは大袈裟だけど、見る為ならば僕の些細な羞恥心などあってないようなものだ。
姉様は心ゆくまで僕の頬へとキスを落とすと、僕の手を握り、そして、ドアへ向かって歩き出す。
「さて、朝の挨拶も終わったので、調たちのところに行きましょう」
「…ん」
差し出せる姉様の左手を握り、僕は姉様と共にリビングへと歩いていった……
3.
僕の自室は学生寮の間取りでいうとリビングへと続く廊下の一番奥……即ち、リビングに近い所に位置している。
そのリビングに続く廊下を歩いて行き、扉を開けると既に自分の席へと腰を掛けている三人の姿があり、僕と姉様は三人へと頭を下げていく。
「おはよう、歌兎」
「…おはよ、シラねぇ」
キッチン寄りの席に座るのが僕と姉様と共にこの学生寮に住んでいるシラねぇこと月読調。
そんなシラねぇの向かい側に腰掛けているのが昨日外国のチャリティライブから帰ってきたマリねぇことマリア・カデンツァヴナ・イヴとセレねぇことセレナ・カデンツァヴナ・イヴである。
「おはよう、二人とも」
「おはようデス! マリア」
「…おはよ、マリねぇ」
「おはようございます、暁さん、歌兎ちゃん」
「おはようデス! セレナ」
「…おはよ、セレねぇ」
二人が腰掛ける席には三つ並んだ椅子があり、二人が腰掛けてないそこの席が僕の指定席なのだが……姉様は僕の手を離すことはなく当たり前のように自分の席へと座ろうとする。
「歌兎、こっちにくるデスよ」
「…ん」
そんな姉様の行動を戒めない僕自身"姉のすることはいつも正しいと考えている"のと"いつも自身のことは時の流れに任せている"ことから––––今日も姉様の言う通りにしようと、そちらへと向かった時だった。
姉様の席の前に腰掛けている伸びた桃髪が特徴的なマリねぇが姉様を叱るのたが、何故か姉様は怒られたと言うのに、どこか自信満々な様子で……。
「こら、切歌! そっちに歌兎が行ったら、貴女が座れなくなるでしょう」
「大丈夫デスよ。歌兎はあたしの膝の上に座るのデス」
得意げに自分の太ももを叩く姉様へとマリねぇは即座に注意する。
「行儀が悪いでしょう。取り敢えず、その案は却下よ」
「むー、マリアがケチなのデス」
「ケチで悪かったわね。兎も角、歌兎は私の右隣が空いているのだから、そこに座りなさい」
「…ん、マリねぇのとこ行く」
マリねぇの正論にぐうの音も出ない姉様が頬を膨らませる中、僕は離れた手から身を翻すとマリねぇが自分の右横の席を叩くのでそちらへと向かう最中に後ろで何かが倒れこむ音が聞こえたが気のせいだろうか?
「なんデスと!? 歌兎はお姉ちゃんが嫌いになったのデスか!?」
「歌兎に限ってそれはないよ、切ちゃん。だから、泣き止んで、ね?」
「ゔぅぅ……やっぱり調は優しいのデス」
マリねぇに手伝ってもらい、自分の席へと座った時に見た光景に思わず苦笑いを浮かべてしまう。
その光景とは……ガ〜〜ンと文字が浮かびそうなほど、落ち込んでいる我が姉の背中優しく撫でているシラねぇ–––という構図は俗に言うと百合百合しいのだろう。そんな雰囲気を漂わせる二人に、マリねぇの左横へと腰掛けるセレねぇが苦笑いを漏らす。
「……」
「…あはは」
「さて、ご飯を食べましょうか? 歌兎、セレナ」
「…ん、マリねぇ」
「そうだね、姉さん」
二人の世界に入っている二人は放置しておいてもいいと判断したマリねぇに声をかけられ、僕は目の前に並んでいる箸を掴もうとして……目の前から箸が姿を消すので横を見るとそこには僕の箸を鷲掴みにした姉様が血相を変えて、僕の隣に腰掛けるマリねぇへと怒声を上げていた。
「あぁっ! 歌兎、箸は持っちゃダメデスよ! マリア、歌兎に箸を持たせちゃあダメじゃないデスか!」
「切歌、今更だけど貴女は過保護すぎるわ。そんなにしなくても歌兎は大丈夫よ」
姉様が騒ぎ立てる中、マリねぇは大人の余裕を漂わせながら、僕の頭をポンポンと撫でながら、対抗していく。
「マリアは何も分かってないデス! 歌兎はマリアが思っているよりも繊細な子なのデス。箸を持っただけでも筋肉痛になる子なのデスよッ!?」
「そんなわけないでしょう!? 切歌、話を盛るのは良くないことよ。それと歌兎はそこまでヤワじゃないわ。切歌のソレは度が過ぎてると私は思うの」
姉様へと向き直って、諭すようにそう言うマリねぇへと姉様は僕の箸ごと机の上へと両掌を叩きつけると垂れ目がちな瞳が鋭く挟まる。
「歌兎を大切に思う気持ちのどこが悪いんデスか! 妹が危険へと足を踏みいれようとしてるのデス! それを守って何が悪いのデスか! ソレは姉として当然の権利だと思うのデス!」
「だから、それが貴方は普通よりも多いというの!!!!」
「多いに越したことはないと思うデス!!!!」
今日も白熱していく姉様とマリねぇの喧嘩に堪らずセレねぇが仲裁役をかって出てくれるのだが、見事に
「まあまあ、姉さんも暁さんも落ち着いてください」
「セレナは黙ってて!!」「セレナは黙っててください!!」
「…あ、うん、ごめんなさい…口出ししちゃって……」
しょんぼりするセレねぇの裾をくいくいと引っ張るのは近くで喧嘩が始まって席についているのが気まずくなった僕で、袖を引っ張る僕の方を向くセレねぇへとテーブルの上に並んだ料理を見つめながら言う。
「……」
「どうしたんですか? 歌兎ちゃん」
「…セレねぇ、僕お腹空いた」
「そうですね。私もお腹空いちゃいました。そうです、歌兎ちゃん、私の上で良ければ座ります?」
「…ん、座らせてもらう」
「はい、どうぞ」
よいしょっとセレねぇの膝の上へと座った僕へと前の席に座るシラねぇが僕の料理を手繰り寄せるとその中からおかずを箸でつまむと差し出してくれるので、申し訳なく思いながらも空腹には勝てず、おかずを大きな口を開けて、口の中へと招き入れるともぐもぐと
「歌兎。はい、これ」
「…あーん。もぐもぐ」
「美味しい?」
「…ん、美味しい」
自分の作ったおかずの出来を首を傾げて尋ねてくるシラねぇへと素直な感想を言い、再度箸を差し出してくるシラねぇに応じて、また大きな口を開ける。
「そう、良かった……まだまだあるから、しっかり食べてね。セレナも食べよ」
「そうですね、月読さん。歌兎ちゃん、味噌汁は美味しいですか?」
「…ん、シラねぇのお味噌汁はいつでも美味しい」
「歌兎が褒めてくれると私も作った甲斐がある。いつも褒めてくれて、ありがとう」
頭を撫でてくれるシラねぇの掌の暖かさに触れて擽ったくなりながら、僕はもぐもぐと朝ごはんを食べ進めていくと時々上手く口に含めなくて頬についたご飯粒などをセレねぇに拭いてもらいながら、僕は無事朝ごはんを終える。
そして、食べた食器を持っていこうと立ち上がる僕の手を掴むのは––––もちろん、姉様で……
「歌兎の食器はお姉ちゃんが持っていくデス」
「…ん」
素直に姉様の指示に従い、食器を渡そうとすると、そこへ割って入ってくるマリねぇのツッコミである。
「そこ、甘やかさないの! それくらい、歌兎なら出来るわ!」
「出来ないデス! それに出来たとしても、絶対させないデス!」
強引に僕から食器を受け取り、キッチンへと向かおうとする姉様の前へと両手を広げたマリねぇが姉様を説得させようとするがそれで大人しく僕に食器を返す姉様ではない。
案の定、形のいい眉をひそめてると睨みを効かせるように不機嫌な声を出すと自分の行く手を阻むマリねぇと果敢に立ち向かっていく。
「させないと歌兎がダメ人間になるでしょう!」
「もしも、歌兎の持っていた皿が割れて、歌兎の綺麗な身体に傷がついたらどうするデスか! そんなの絶対そんな事をさせたあたしがあたし自身が許せないのデス!」
「だからって加減をしらなさすぎるわ。だから貴女は過保護すぎるのよ!!!!」
「これが普通デス!!!!」
「貴女が普通なわけないでしょう!!!!」
いつもの如く、続く姉様とマリねぇの喧嘩を聴きながら思うことは、ただ一つ––––
––––やはり、僕の姉様は過保護すぎる、と。
名前|暁 歌兎
読み方|あかつき うたう
一人称|僕
家族|暁 切歌(姉)
年齢|G(二期)登場時・12歳 → 2.5期・13歳
誕生日|4月13日(姉と同じ)
血液型|O型
身長|143㎝
体重|36㎏
3サイズ|B61・W45・H62
好物|麻婆豆腐
苦手な食べ物|特に無し
好きな果物|梨
使用ギア|$€×€2$2€(のちのち出てきます)
外見|
陽が当たると水色に光る銀髪は腰あたりまで伸びている。眠たそうに半開きされている瞳の色は黄緑色。顔立ちは整ってはいるが童顔な為、年相応に思われないことが多い。全体的に線は細く華奢で、姉からはもっとご飯を食べて肉を付けなさいと言われている。
性格|
無表情で無口な僕っ娘で
羞恥心は特にない。理由は過保護な姉やお世話になっている人達に着替えやお風呂等を手伝ってもらう為、だが好きになった人や異性には恥じらいの表情を見せ、年相応に恥ずかしく感じる事もある。
また、勉強家な一面を持っており、一度集中すると姉や他の人が声をかけてもなかなか自分の世界から戻ってこない。
その他|
名前に"兎"という文字が入っているからか、動物に異常に好かれる。