*今回はかなり少ないです…
師匠と訓練
一ヶ月絶対安静から、やっと解放された僕は約束通り、響お姉ちゃんに稽古をつけてもらうために指定された公園へと来ていた。
ヨイショ、ヨイショっと背中に固いでいる花青緑のリュックサックを右左と揺らしながら、公園へとついた僕をニコニコ笑顔の響師匠が出迎えてくれた。そして、僕が背負っているリュックを見て、唖然。そんな響師匠を見つめながら、僕は首をかしげる。それに響師匠はツッコミを入れる。
「…お待たせしました、師匠」
「ううん、私もさっき来たところだから、大丈夫…って、えぇええええ!!!?」
「…?」
「いやいや、歌兎ちゃん。そこで頭をかしげるところじゃないからね!?」
「…そうなんですか?」
響師匠にツッコまれて、僕は改めて姉様にコーディネートされたうさ耳付きジャージと半強制的に持たされた中身が満タンのリュックを見て、また首をかしげる。
それに響師匠は呆れを通り越して、苦笑いを浮かべると僕へと話してくる。
「そうだよ!ツッコミどころが多すぎでびっくりだよ、私。もしかして、そのリュックを準備したのって…」
「…姉様です」
「だよねぇ〜。だと思った!想像通りすぎて、私はびっくりだよ。切歌ちゃんはブレないね」
そう言うと、「あはは」と明るい笑い声をあげると僕へとリュックの中身を問いかけてくる。
僕は地面へとリュックを下ろすと、師匠共に中身を確認していく。
「それで、そのリュックの中には何が入ってるのかな?」
「…僕も分からないんです。姉様に持っていくように言われただけですので」
「なんだろ。私だけかな?嫌な予感がするのは…」
顔が強張ってくる師匠と顔を見合わせた僕はリュックの中をガサゴソと下がると手に当たったものを引っ張り出す。僕の手に合う形のそれを見た師匠の頬を冷や汗が垂れ落ちる。
「…これは?」
「…なんで、スタンガンなんて入れてんだろ…切歌ちゃん」
「…師匠、これは知ってるの?」
「…うん、知ってるけど…歌兎ちゃんは知らなくていいかな。他には何が入ってる?」
「…?」
僕が握っていたそれは師匠の手によって回収され、僕は首を傾げつつもリュックからものを取り出す。
そして、出てくるわ出てくるわ、過保護な姉様による重すぎる愛が多く詰まったものたち。それには、僕も師匠も苦笑いしか出てこない。
「えっと…入れてあって分かるのは、汗拭きタオルと着替えの服かな?この際、1日だけの練習でタオル5枚は多すぎとか、着替えの服が何故ジャージとか動きやすいものじゃないの!?ってツッコミは無しとしよう」
「…はい、師匠。しかし、なんで、姉様。缶詰めとか果物ナイフとか入れてるのかな?他にも、一週間ぐらい遭難しても暮らしていけるくらいのものが揃ってる…」
「…歌兎ちゃんの上げてくれたもので、切歌ちゃんが抱いてる私へのイメージがひしひしと伝わってきたよ…」
項垂れる師匠はパチンと頬を叩くと、僕と共に練習へと性を出すのだった…
そして、そんな二人を木の陰から見ている三人の影があった…