うちの姉様は過保護すぎる。   作:律乃

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あけましておめでとうございます!

今年も【うちの姉様は過保護すぎる。】を宜しくお願い申し上げます(土下座)

そして、ここまで更新が遅くなった上に予定していた【重なる陰陽の太陽】の3話ではなくてごめんなさい。
内容や文字の色を変える作業が多すぎて、まだ更新出来そうありません(汗)

でも、約束していた着物の歌兎は下手っぴかもしれないけど描いたから許して……このとーりデスから(土下座)



※ちょっと長めです。

では、本編をどーぞっ!


002 妹恋(うたこい)

「ーー」

「‥‥」

 

(え、え〜と……これはどんな状況なんだろうか?)

 

現在が僕がいるのは、マリねぇとセレねぇがS.O.N.G.の皆さんが日本で暮らす為にと用意してくれたマンションのリビング。

正面に大きめなテレビが置かれ、そのテレビを取り囲むように真っ白な皮のソファが三つ並び、その中央の間スペースには本来ならば(・・・・・)シックな造りのガラス張りのテーブルが鎮座(ちんざ)してある。

そう、それはあくまでも本来ならばの説明であって、今はマリねぇかセレねぇか分からないけどどちらかの私室の椅子が置かれ、その上にちょこんと僕は座らされている。

 

そして、そんな僕を取り囲むように奏者のお姉ちゃん達と未来お姉ちゃんが勢揃いというわけだ。

みんなを無口で僕の事を見てくるだけで、気まずい他ならない。

 

「‥‥」

 

(な、なんでこんなことに……)

 

家に帰ろうとしたら、緒川様が突然現れて、『切歌さんが呼んでいるので来てもらっていいですか?』と爽やかな笑顔で強引にお姫様だっこされて、連れてこられたこのマンションであれよあれよとこの位置に追いやられ、こんな状態になっているという……。

 

(意味が分からない)

 

いつもなら、姉様の行動全てが理解出来るのだが……今回のこの行動だけは理解出来ない上に真顔がなんだか怖い。

 

「歌兎。お姉ちゃんに言うことはありませんか?」

 

重い口を開く姉様の口調はいつもの砕けた感じではなく、怒りを全面に出している感じで、僕はそんな姉様に震え上がりながら、暫し考えた末に思い浮かぶことがないのでそのまま答える。

 

「‥‥お、思いつかないよ」

「白を切るつもりデス?」

「‥‥白なんてきってないよ」

「ほぉ〜〜、ならこれを見てもそんな事が言えるデスかね」

 

そう言い、姉様はテレビの電源を付ける。

 

そして、画面に表示されるのはつい先刻僕が行っていたこと。

もっと厳密にいうと、机の上でうたた寝をしている黒髪を短く切りそろえている青年のおでこへとキスをしている僕の姿だ。

 

(‥‥な、なんで……)

 

「緒川さんに付けてもらっていたんデス」

 

し、知らなかった……。

でも、言われてみれば、何処か視線を感じることが多かったし、見知った雰囲気を感じ取れることも多々あった。

それが緒川様だったということか。

 

(今度からもっと気を張って、外を歩かないと)

 

顎に右手を添え、緒川様や姉様達から逃げ切るためのルートを頭の中で組み立てる僕を見ていた姉様は普段垂れ目な黄緑色の瞳を吊り上げて、空気を吸い込む。

 

「歌兎ゥ!!!!」

「にゃい」

 

姉様の怒声に思わず噛みながら返事する僕は肩をビクつかせながら、姉様の方を見る。

すると、姉様はソファから立ち上がると僕の周りをぐるぐる回り始める。

 

「歌兎。お姉ちゃんは今凄く怒ってます。その理由は分かりますか?」

「‥‥わ、分かりません」

 

ボソッと答える僕に突然顔を近づける姉様。

 

「それは歌兎が知らない男性のおでこにキスをしているからデス!!

歌兎は普通にしていても可愛い子デス、そんな可愛い子にキスされてときめかない男性なんていないのデス!あんな事をしてあの男性が突然襲い掛かってきたらどうするつもりだったんデスかッ」

「‥‥そんな事しないよ。駄菓子屋のお兄ちゃんは優しい人だもーー」

「ーーだまらっしゃいデス!!」

「はいっ」

 

姉様の怒声に背筋を伸ばして、姉様の質問を答えていく。

 

「歌兎はあの男性が好きなんデスよね?」

「‥‥は、はい……好きです……」

 

(は、恥ずかしい……)

 

なんで僕。隠し撮りされて、誰にも知られたくない秘密を一番知られてはいけない姉様に見られた上に、親しくしてくれているお姉ちゃん達に囲まれて公開告白なんて恥ずかしいことしてるんだろ。

 

顔をうつむけ、頬を染める僕をビシッと指差した姉様は得意げにしたのセリフを口にするのだった。

 

「歌兎の気持ちはよく分かりました。なので、明日お姉ちゃんもその人に会いに行きます、歌兎を連れて」

「‥‥へ? だ、駄目ッ!お姉ちゃんとあの人を合わせちゃったら……。あの人がころさーー」

「ーー歌兎心配ないよ。切ちゃんが暴走しないように、当日は私とセレナが付いていくから」

「本当は私ではなくて、マリア姉さんや風鳴さんの方が力になれたと思うんですけど。任されたからには、精一杯頑張らせてもらいますね」

 

そんなこんなで僕は明日、姉様達と共に思い人に会いに行くことになったのだった。

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

当日。

姉様達と共に駄菓子屋に立ち寄った僕は姉様によって後ろに下げられていた。

そして、姉様は駄菓子をカウンターに置き、会計している店長であるお兄ちゃんへとズバッと切り込む。

 

「所で、貴方はあたしの妹のことどう思ってるんデス?」

「ハイ?」

 

(ね、姉様ぁああああ!? ダイレクトになんて事聞いてるの!?)

 

駄菓子を左手に持ち、右手はレジのボタンを押している柔らかい印象を受ける顔にはめ込まれている焦げ茶色の瞳をまん丸にしているお兄ちゃんの姿が見える。

そして、僕もズバッと本題を切り込んできた姉様に慌てはためき、姉様に近づこうとして、シラねぇとセレねぇに捕まえられる。

 

「歌兎、ここは切ちゃんに任せて」

「‥‥で、でも!」

「大丈夫ですよ、暁さんなら」

 

(全然任せられないし、大丈夫でもないっ!)

 

見た感じだとお兄ちゃん戸惑ってる様子だし、突然こんな事聞かれても迷惑なだけだと思うし、何よりも僕なんかお兄ちゃんの中では眼中にないのかもしれないし……こんな形でフラれるなんて悲しく辛い他ない。

 

「えー……と、君の妹さんというと? そっちの黒髪をツインテールにしてる子の事かな?」

「その子はあたしの親友デス。あたしの妹はまん丸にいる銀髪の子デスよ。あんな可愛い子が見えないなんて貴方の目は節穴デスか、そうデスか、そうなんデスか、そのまま病院行って入院しちゃえばいいんデスよ。この店番中居眠り男」

「ソノゴメンナサイ……………ってあれ? なんでこの子、俺が店番中に居眠りしてる事知ってるの?」

 

(それは盗撮されたからです……なんて言えないよね)

 

姉様の気迫に押されっぱなしのお兄ちゃんはシラねぇとセレねぇに取り押されられている僕を見て、ハッとした様子を見せる。

 

「あっ、その子って……いつも俺の店に来てくれてる」

「そうデス。いつも貴方の駄菓子屋に通い詰めてる子デスよ。その子のことをどう思ってるのかと聞いているのデス、あたしは」

 

トントンとカウンターを叩く姉様を怯えた様子で見ながら、お兄ちゃんは僕の方をチラチラ見ながら、不機嫌そうな姉様へと視線を戻す。

 

「いまいち君の言いたい事が俺分からないんだけど」

「チィッ」

 

(あっ、姉様。壮大に舌打ちした)

 

鈍い反応を見せるお兄ちゃんに苛立ちが募っていっているのか、姉様は眉間に皺を寄せると更にお兄ちゃんを睨む。

 

「だ〜〜か〜〜ら〜〜デスね。貴方は歌兎と手を繋いだり、キスしたり、デートしたり、一緒に大人の階段を駆け上がりたいのかとあたしは聞いているんデス、どうなんデス?」

「……き、ききすしたり、おおおおとなのかいだん!? って、その……いやらしい意味での?」

「それ以外に何があるデスか」

「それをそ、その子と?」

「えぇ、そうデス。したいんデスか? 歌兎と」

 

睨みを利かす姉様にお兄ちゃんはそっぽを向くとボソッと答える。

 

「……それは凄く可愛い子だし、そんな可愛い子と純潔(じゅんけつ)が捨てられるのならしたいけど」

「相手が可愛ければなんでもいいと…………このクズロリ男、万年ロリコン野郎」

「本当の事答えたのになんて言われよう!?」

 

お兄ちゃんが悲鳴をあげるのを身を引いて、変質者を見る目で見ていた姉様は大きなため息を吐くともう一度聞く。

 

「はぁ……もう一度聞くデス。貴方はあたしの大切な妹の事をどう思っているんデスか? 今までのあたしの質問からこの質問の意味は分かりますよね?」

「……っ、分かってる」

「なら答えてください。ほら早く」

「……す、好きだよ。俺だってその子の事が前から気になっていた!これでいいだろうっ」

 

顔を真っ赤に染め、そう答えるお兄ちゃんを見て、姉様は満足そうにうなづくと僕の背中を押すとお兄ちゃんの方へと近づける。

 

「ね、姉様っ!?」

「良かったじゃないデスか。両思いだそうデスよ」

 

いきなりの展開すぎてついていけない僕が姉様の方を振り返ると姉様は柔らかい笑顔を浮かべていた。いつもの太陽のような明るい笑顔ではなく、僕の恋路を、成長を祝福してくれているような暖かくも柔らかい……美しい笑顔。

その笑顔に背中を押されるように僕は前を向くと、まだ顔を赤くしているお兄ちゃんに向かってずっと胸に秘めていた思いを口にする。

 

「‥‥貴方の事がずっと前から好きでした。僕と付き合ってくれませんか?」

「……そ、その……はい……よろしくおねがいします」

 

カウンター越しに微笑み合う僕達を穏やかな笑顔で見ていた姉様はビシッとお兄ちゃんの方を指差すと声を荒げる。

 

「お付き合いを始めたからって、あたしの目が黒いうちは歌兎とキスやそれより先はさせないデスからねっ!手を繋いだりするだけデス!それ以上をしたら、あたしが貴方をぶった斬りにくるデスーー分かったかデス」

 

光の消えた瞳で見てくる姉様にお兄ちゃんは震え上がりながら、コクンコクンと高速で首を縦に振るのを見届けた姉様は僕へと声をかけてくる。

 

「歌兎。あまり遅くならないうちに帰ってくるのデスよ」

「‥‥ん、分かってる」

「それじゃあ、あたし達は帰るとするデス」

 

そうして、姉様はシラねぇとセレねぇを連れて、一足先に家に帰り、僕は暫くお兄ちゃんとお話しした後に家に帰ったのだったーー。




姉様の目が黒いうちはデートをしてもキスやその先は無しで、手を繋いだりするだけとなかなかに厳しい条件ながらも姉様は駄菓子屋のお兄ちゃんと付き合うことを認めてくれて、お兄ちゃんも歌兎が好きという事で……無事恋路が実って良かったね、歌兎!

まずはお兄ちゃんとのお付き合いおめでとう!歌兎っ!!
姉様からの圧力に負けないで!駄菓子屋のお兄ちゃんっ!!


二人のこれからに祝福を!!╰(*´︶`*)╯


さて、この回で【妹恋(うたこい)】は終わりますが、この世界線の続きは【姉恋(きりこい)】という話にて続きます。
まぁ、タイトル通りで今回は切ちゃんの恋ですね(微笑)
歌兎との絡み・過剰な過保護を加えつつ、乙女チックな切ちゃんを書いていければと思っておりますので……次回を楽しみにしててくださいっ!




おめでたい回となった今回に合うかどうかは分かりませんが、前書きに書いていた【着物姿の歌兎】デス。

テーマは【和】かなぁ……あんまり和らしくないけど(苦笑)あと、そんなに上手でもないから期待しないで見てくださいね(笑)



【挿絵表示】



これでも可愛く描こうとしたんだよ?
精一杯可愛くしようとして……何故か色っぽくなった、なんで(汗)
まぁ、偶にはこんな歌兎もいいよねっ。
姉様も凄い喜んでると思うし!!




さて、少しだけ雑談コーナーを入れさせてもらって……今日から始まった【夕暮れに舞う巫女】。

巫女ギアのF.I.S.のみんな可愛すぎるでしょぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!(絶叫)

和装大好きな私からして見たら夢あるシナリオです!!(目をキラキラさせる私)

そんなイベントのシナリオはまだ1話目しか進めてないので、私はこれを更新した後に速攻で進めます!!

そして、アイテムを集めて、巫女切ちゃんと交換しないとッ!!

この切ちゃんはいつもの切ちゃんと違い、いい感じでお淑やかな感じがして……いいのデス!!


という感じで雑談コーナーを終えます。


読者の皆様にとって、これから始まる一年がいい年となりますように(*´꒳`*)

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