世界を騙す記憶の雨。   作:傘差し兎

2 / 2
雨漏り

ごめんね...ごめん...。

でも、これでよかったの...?

いや、やめよう...。

まだ終わりじゃない...。

あの人が完全に元に戻るまでは終わらない...。

 

 

 

「ごめんね...なんか。」

 

「いえいえ、あの状況で先輩を置いて

サヨナラなんてできませんよ。

飲み物入れてきますね、ごゆっくりどうぞ。」

 

(まさか...こんな形で女の子の家に上がることになるとは...少し情けないな...。)

俺はいま、さっき会った

少女の家にお邪魔していた。

倒れた時に自転車の前輪が曲がり、

服も濡れてしまい、とても帰れる状態では

無くなってしまったので、

家がすぐそこという少女の厚意により、

シャワーを浴びてから帰ることとなったのだ。

 

「はい、どうぞ。」

 

そう言って少女は青い飲料をだしてくれた。

(これは確か...水族館のお土産...?

あれ?行ったこと無いはずなのに

なんで知っているんだろ...?)

 

「そういえば...自己紹介を

してなかったですね。」

 

初対面の男に名前教えるって...。

というか、家にあげちゃってるし...。

この子少し不用心すぎやしないか...?

 

「私は花房晴、高校2年生です。

先輩のお名前はなんですか?」

 

「あぁ、俺の名前...。」

 

えーっと...俺の名前は...。

 

「えっと...高木...輝...だよ...?」

 

俺...いま一瞬...自分の名前忘れてた...?

 

「なんでいま一瞬間があったんですか?」

 

少女...花房晴が可愛らしく

ジト目で見つめてくる。

 

「あー...俺って影薄いからさ、

名前呼ばれることなくてそれでかな...?」

 

ハハハ...と笑い冗談めかしていう。

 

「そういえば花房...でいいかな?は

どうして俺が最初から先輩ってわかったの?」

 

「え?えーっと...なんとなく...?」

 

なんとなく...?それは俺が

先輩っぽいってことだろうか。

(身長は170程度で顔も幼めなんだけどな)

 

「先輩こそ最初からその喋り方だったじゃ

無いですか〜。」

 

あれ?そういえば...。

て、顔立ちが幼いしこれで年上は...。

(無いだろうなぁ...。)

 

「というか花房はなんで雨なのに外をあるいてたんだ?」

 

俺が出会った時、花房晴は手ぶらで歩いていたのだ。

一体何をしていたのだろうか...?

 

「えっと...散歩?ですかね?」

 

「なぜ疑問形なんだ...」

 

なんとなく着地点が見当たらなそうなので

この話は一度切り上げ、この後数分話し、

俺は帰る事にした。

 

「ありがとね。」

 

「いえいえ、また何かあったら

気軽に寄って下さいね。」

 

いつの間にか雨は上がっていた。




高木 輝 (タカギ アキラ)
花房 晴 (ハナブサ ハル)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。