Fate/kaleid liner~指輪の魔術師~ 作:ほにゃー
Fate/kaleid liner~指輪の魔術師少年~を読むと、盛大なネタバレがあるのでご了承ください
穂群原学園小等部
俺、曽良島零夜はそこの5年1組に通っている。
今日もいつも通りの授業を終え、放課後。
ランドセル代わりのリュックに教科書やドリルを詰め背負う。
「レイ!一緒に帰ろう!」
背後から幼馴染のイリヤスフィール・フォン・アインツベルンもとい、イリヤが声を掛けて来る。
「態々言わなくても帰る家は同じだろ」
そう言い、リュックを背負ってイリヤと教室を出る。
俺は現在、イリヤの家、アインツベルン家にて居候している。
何でも両親は俺が小さい頃に亡くなり、友人であるイリヤの父親、衛宮切嗣さんがみなしごになった俺を引き取ってくれた。
俺が物心ついたころに養子にならないかっと誘われたが、それは断った。
切嗣さんと切嗣さんの奥さんであるアイリさんには感謝している。
赤の他人である俺をここまで育ててくれたんだ。
感謝しない方がおかしい。
だけど、苗字は俺と両親を繫げている数少ない物の一つ。
これは失いたくない。
そして、もう一つ。
両親の形見として切嗣さんから渡された、指輪。
リングの部分は錆びていて宝石も黒ずみ、何の色の宝石なのかも分からない。
その指輪は俺の机の引き出しに大切に保管している。
イリヤと二人で歩いていると、高等部の校門が見え、門から丁度イリヤの義兄、衛宮士郎もとい士郎さんが出て来るのが見えた。
ちなみに、どうしてイリヤと士郎さんの苗字が違うのかと言うと、切嗣さんとアイリさんは色々あって籍を入れていないらしい。
いわゆる事実婚と言う奴だ。
「お兄ちゃ~ん!」
士郎さんに気付いたイリヤは小走りで士郎さんに近づく。
「お、イリヤに零夜。今帰りか?」
「はい」
「一緒に帰ろう!」
「いいぞ」
士郎さんは自転車に乗らず、手で押しながら俺達と歩く。
「レイ、お兄ちゃん!家まで競争しよう!」
「いいぞ」
「俺もいいけど、俺、自転車だぞ」
「大丈夫!私、走るのは得意だから!」
「同じく。これでもクラストップです」
そう言うと俺とイリヤは同時に走り出す。
「たっく、待てよ!」
士郎さんも自転車に乗り、俺たちに追いつきそうで追いつかないスピードを維持して着いて来る。
「「「ただいまー」」」
「お帰りなさい、イリヤさん、零夜君。あら、士郎も一緒でしたか」
家に着くと俺達を迎えたのはセラさんだった。
セラさんは、アイリさんが切嗣さんの仕事に着いていき、よく海外に行くので、その間の家事やイリヤの教育を任された人だ。
「そうだ、イリヤさん。お昼過ぎに荷物が届いてましたよ。確か中身はDVD」
セラさんがそこまで言うと、イリヤは笑顔になりリビングへと走って行く。
「ああ、リズお姉ちゃん!自分だけ先に見てるなんて酷い!」
イリヤのそんな声が聞こえたので士郎さん、セラさんと一緒になってリビングを覗く。
そこにはセラさんの姉妹のリーゼリットもといリズさんがソファーに座ってアニメのDVDを見ていた。
「イリヤ、おかえり~」
「おかえり~っじゃないよ!先に見るなんて!」
「でも、お金出したの私だし」
「それはそうだけど………」
「何かと思えば」
「アニメの……DVD」
そうか。
どうりで今日一日上機嫌だったわけだ。
「イリヤさんもすっかり俗世に染まってしまって。これでは留守を任せて下さってる奥様に申し訳が立ちません……」
セラさんは申し訳なさそうに言う。
「いや、別に其処まで重く考えなくても」
「何を無責任な!義理とは言え、兄である貴方がしっかりしないからこんなことになるんですよ!」
「え!?俺!?」
「うおおおおおおおお!!」
士郎さんに説教をし始めるセラさん、苦笑しながら説教を受ける士郎さん、DVDを見てはしゃぐイリヤとリズさん。
これはもうあれだな。
「着替えて宿題しよっと」
誰かに言う訳でもなくそう呟き、階段を上がる。
上がる途中で足を止め、もう一度その光景を見る。
その光景に、俺は誰にも気づかれないように一人で笑い、自室へと向かった。