Fate/kaleid liner~指輪の魔術師~ 作:ほにゃー
『いやー、しかし相変わらず、いい年こいて恥ずかしい恰好ですねー』
「お前が着させてるんだろーがー!!」
凛さんがルビーを地面に叩き付けて怒鳴る。
「ハタから見ると魔法少女ってやっぱり恥ずかしいなぁ……」
イリヤが横でぼそっと呟く。
確かにそうかもしれないし、今の凛さんとルヴィアさんの恰好はかなり痛い………
言わないけど。
「この服を着こなすにも品格と言う物が必要なのですわ。この私のように!」
「うわっ、バカだ。バカがいる!」
『流石セレブはファッションセンスもナナメ上ですか』
その時剣士が斬撃を二度放つ。
二人はそれをいとも簡単に避ける。
『ボケーっとしてる暇はありませんよー!今は戦いの真っ最中です!』
「年中ボケ倒しのあんたには言われたくないわ!」
「気を付けてください!」
海斗が二人に叫ぶ。
「その斬撃は魔力と剣圧による複合斬撃!魔術障壁だけでは無効化できません!」
「やっかいね…防御に魔力を割き過ぎると攻撃が貧弱になるわ」
「けれどそんな貧弱な攻撃では、あの霧の壁を突破できない…!行きますわよ!
ルヴィアさんが剣士の周りに魔力弾を撃つ。
その威力は、イリヤや美遊の者とは比べ物にならなかった。
「なんて威力…!基本性能がまるで違う!」
「で、でも全然当たってないよ!?」
「それでいいのよ」
先程の攻撃は、剣士の足を止めるためのもの。
その間に凛さんが剣士の背後から殴りかかる。
だが、よく見るとステッキの先端に刃が付けられていた。
「
「かったいわね、コイツ……!筋力が足りてないわ!ルビー、身体強化7!物理保護3!」
『こき使ってくれますねー』
凛さんはルビーを手にあの剣士相手に互角で斬り合う。
「高密度の魔力で編み込まれた刃……!あれなら魔力の霧も突破できる上、残りの魔力を防御や強化にまわせる………こんな戦い方があったなんて…………」
「砲撃だけが能じゃ………ないのよ!」
凛さんが渾身の力を込め、剣士を斬り飛ばす。
剣士は脚でブレーキを掛けながら止まる。
『私としては泥臭い肉弾戦は主義に反するんですけどー。魔法少女はもって派手でキラキラした攻撃をすべきです。絵的にもイマイチですしコレ』
「うっさい!刃を交えて見える者もあるのよ」
そう言い、再び剣で斬り合う。
すると剣士は先程より動きを速め、凛さんを翻弄させる
「え!?だっ………ちょ……!」
凛さんが焦り、腕を大きく振り上げる。
剣士は剣を右手のみで持ち、左手で凛さんの振り下ろそうとしていた腕の肘を押さえる。
そして、勢いよく剣を振る。
「物理保護全開!!」
間一髪、防御が間に合い凛さんは斬られずに済んだ。
凛さんは、右手で剣士の剣を持ってる手を掴み、左手にルビーを持つ。
「ようやく捕まえたわ」
ルビーを剣士の脇腹に押し当てる。
「
「零距離砲撃…!」
「うわっ、なんかすごいデジャブ!」
零距離で砲撃を食らった剣士は一気に距離を取る。
「剣士相手に接近戦なんてやるもんじゃないわね」
『両手持ちだったらやばかったですね』
「ひとまず時間稼ぎご苦労様と言ったところですわね」
「準備出来てるんでしょうね、ルヴィア」
「当然ですわ」
そう言うルヴィアさんと凛さんの後ろには六つの魔法陣が展開されていた。
「シュート六回分のチャージ完了。ちょうどさっきの敵と立場が逆ですわね」
「魔力の霧だろうがなんだろうが」
「「まとめてぶっ飛ばしてあげるわ!!!!」」
「「
六つの砲撃と、凛さんとルヴィアさんが放つ二つの砲撃。
合計八つの魔力砲が剣士にぶつかる。
攻撃は地面を抉り、川にちょっとした滝を作ってしまった。
「ホ――ホッホッホ!楽勝!快勝!常勝ですわ!」
「よーやくスカッとしたわ」
……………凄い。
そうとしか言えなかった。
これがカレイドステッキの本当の力。
そして、凛さんとルヴィアさんの力。
それらは想像を絶していた。
「しかしちょっとやり過ぎたかもしれないわね。カードごと蒸発してないといいんだけど」
その時、川から水柱が上がった。
「嘘っ……!?」
「あれを受けてまだ………!?」
あの剣士が立ち上がった。
あの攻撃を喰らってもまだ立っていた。
そして、持っていた剣が黒い光を纏い、それが力を現していた。
全てをひっくり返す、絶対的な力を………………
俺達が戦っていた敵。
その敵の正体を、俺達は宝具の名前と共に知った。