Fate/kaleid liner~指輪の魔術師~   作:ほにゃー

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もう一人の魔法少女と魔術師

夜になり、士郎さんとセラさん、リズさんが寝静まったのを確認し、俺は自室を抜け出し、玄関へと向かう。

 

同じく玄関へ向かおうとしていたイリヤと合流し、そして、高等部の校庭を目指す。

 

校門を通り校庭に進むと凛さんが立っているのが見えた。

 

「おっ、ちゃんと来たわね」

 

そりゃ、あんな脅迫状が届けばね……………

 

「あの、もしかして今からカード回収ですか?」

 

「そうよ。取り敢えず転身してもらえるかしら?」

 

「……はい」

 

イリヤは憂鬱そうにして、校庭にある女子トイレへと向かう。

 

「ちょっと、何処行くのよ?」

 

「転身を見られるのが恥ずかしいそうですよ」

 

そう言い、俺は指輪を中指に嵌め、転身と口にする。

 

すると、俺の周りが光り輝き、俺は、この前と同じ格好を身に纏う。

 

それと同時に、イリヤも転身を終え、トイレから出て来る。

 

「さぁ、始めるわよ。カードの位置は校庭のほぼ中央。そこを中心に歪みが観測されてる」

 

「中央って………」

 

「なにもないですけど………」

 

中央には何も見当たらず、辺りも静かなものだった。

 

「ええ、ここにはないわ。カードがあるのはこっちの世界じゃないもの。ルビー」

 

『はいはーい』

 

ルビーがそう言うと、俺達を光り輝く陣が囲った。

 

「え!?な、何!?」

 

「これは……!」

 

『第五計測変数に虚数軸を追加。反転準備を開始。複素空間の存在を確認。中心座標の固定を完了。半径二メートルで反射路形成。境界回廊を一部反転します』

 

ルビーが訳の分からない言葉をずらずらと並べ何かを言う。

 

「な、何をするの?」

 

「カードがある世界に飛ぶのよ」

 

「カードがある世界って?」

 

そう尋ねた瞬間、いつの間にか変な空間に居た。

 

校庭と何も変わらないが、建造物が地面に映っていた。

 

まるで鏡の様に………

 

「無限に連なる合わせ鏡。この世界を一つの像とした場合、それは鏡面そのものの世界。鏡面界。そう呼ばれる世界にクラスカードは存在するの」

 

「………あの、凛さん」

 

イリヤが凛さんに何かを訪ねようとした時、校庭の中心から黒い煙のようなものが吹き出す。

 

「説明してる暇はないわ!構えて!」

 

「な、なんですかこれ!?」

 

「報告通りね。クラスカードは実体化するのよ」

 

「どうしてそんな大事な事を先に言わないんですか!?」

 

その事実に俺は思わず叫ぶ。

 

「カード回収って見つけるだけじゃないんですか!?」

 

「残念ながら違うわ。カードはアレを倒して回収するのよ」

 

黒い煙は徐々に女の人の形になり、目を隠し、目隠しの中央部分には大きな目が一つぎょろりと着いていた。

 

「戦うなんて聞いてないよぉ!」

 

襲って来た女性の攻撃を横に飛ぶことで躱し、俺は構える。

 

すると凛さんは赤い宝石を三つ取り出し、それを投げつける。

 

宝石は爆発し、女性を巻き込む。

 

だが、爆発が収まるとその煙の中から無傷の女性が現れた。

 

「あの爆発で効いてないのかよ!」

 

「やっぱこんな魔術じゃ効かないか。結構高い宝石だったのに……」

 

「効かないって……じゃあ、どうすれば!?」

 

「あんたらに任せるわ」

 

「「へっ?」」

 

「魔術は効かなくても純粋な魔力の塊なら通用するはずよ。それと零夜君の魔術は見た限り私の知り合いの魔術に似てるわ。その魔術は私達魔術師が使う魔術とは異なるからそれも効くはずよ。頑張って」

 

なんて他人任せだ!

 

そう思った時、女は鎖の付いた杭を手に攻撃をしてくる。

 

隣のイリヤを突き飛ばし、俺も横に移動する。

 

杭は俺とイリヤの間を通り抜け、イリヤの背中を掠る。

 

「掠った!今、掠ったよ!」

 

「イリヤ!避けろ!」

 

掠ったことに涙目で慌てるイリヤに女が再び攻撃を仕掛けて来る。

 

俺が声を上げると、ルビーが動きイリヤを移動させる。

 

『接近戦は危険です。ますは距離を取りましょう』

 

「そうだね。取りましょう、距離」

 

そして、イリヤは遠くを見つめ、一気に走り出した。

 

「きょおおおおおりいいいいいいいい!!」

 

速いな。

 

女も武器を手にイリヤの後を追う。

 

「逃げ足は速いわね」

 

「まぁ、アイツ走るのは得意ですから」

 

「てか、こら!逃げてないで戦いなさい!零夜君も!」

 

「でも、どう戦えばいいのか………」

 

「その指輪を使うの!」

 

「指輪を?」

 

呟きながら自分の中指に嵌められている指輪を見る。

 

「私の知り合いは、複数の指輪をうまく使って戦うの!その腰のチェーンに通されてるのを使いなさい!」

 

「でも、どれがどんな効果なのか俺には」

 

「きゃあああああああ!!」

 

その時、イリヤの叫び声が聞こえる。

 

振り向くと女の攻撃でイリヤが飛ばされていた。

 

「イリヤ!」

 

咄嗟に走り出し、俺はチェーンから指輪を一つ取り出す。

 

殆ど無意識だった。

 

手に取った指輪がどんな効果を持っているのか分からない。

 

だが、頭で考えるより体が先に動いた。

 

指輪を左手の中指に嵌め、イリヤと女の間に立ち、指輪の宝石部分を見せるように構える。

 

その瞬間、宝石を中心に何かが展開され、女の攻撃を防いだ。

 

女は攻撃を防がれた衝撃で後方に飛び、距離を取る。

 

『今ですよ、イリヤさん!強い攻撃のイメージをして、私を振って下さい!』

 

「つ、強い攻撃のイメージ?」

 

イリヤが戸惑てる間にも、女は攻撃態勢を整える。

 

『早く!』

 

「もう!どうにでもなれ!」

 

イリヤは目を閉じ、渾身の力を込めルビーを振る。

 

すると、ルビーから魔力が斬撃の形になった飛び出し、女を襲う。

 

女は持っていた武器で攻撃を受け止めるが、押し負け爆発が起きる。

 

「すごっ!ナニコレ!こんなのが出るの!?」

 

『お見事です!行き成り大斬撃とはやりますねぇ~!』

 

「効いてるわよ!間髪入れずに速攻!」

 

凛さんが遠くの茂みから応援もとい助言をする。

 

「遠いな……」

 

「自分の攻撃が効かないからしょうがないんじゃないか」

 

『運動会を見に来た保護者のようですね』

 

同感だ。

 

「えっと、まだ戦わないといけないんだよね」

 

『はい。相手は人間じゃありません。思いっきりやっちゃって下さい』

 

「ちょっと殺伐し過ぎだけど……ようやく魔法少女らしくなってきたかも!」

 

イリヤはそう言うと再び攻撃を放つ。

 

だが、今度の攻撃は当たらず、躱された。

 

「あれ?」

 

『避けられちゃいましたね』

 

イリヤは再びルビーを振り攻撃をする。

 

だが、それも躱され、それ以降いくら攻撃しても攻撃は当たらなかった。

 

「さっきは当たったのに!」

 

「さっきの攻撃で警戒されたんだろ。もう同じ攻撃は喰らわないはずだ」

 

『零夜さんの言う通りです!ここは作戦を変えましょう。イリヤさん、散弾をイメージできますか?』

 

「散弾?」

 

「小っちゃい弾が沢山散らばるような感じだ」

 

「なるほど」

 

イリヤはそう言うと再びルビーを振り、小さな魔力の弾丸を大量に飛ばす。

 

女は大量に飛んでくる攻撃から体を守るようにに防御姿勢を取り、そして、周りに攻撃が落ちる。

 

「やった?」

 

『いえ、おそらくまだです』

 

土煙が張れ、中から女の姿が現れる。

 

すると、目隠しの目の部分が怪しく輝き、それを中心に黒い魔法陣みたいなのが現れる。

 

「あれは……!早く逃げて!」

 

凛さんはアレがなんなのか知ってるらしく叫ぶ。

 

『イリヤさん逃げてください!』

 

「逃げるって……何処に……」

 

『とにかく敵から離れてください』

 

取り敢えずアレが危険な攻撃だってのは分かる。

 

俺はもう一度指輪を構え、あの攻撃を防ごうとする。

 

だが、指輪は反応せず、うんともすんとも言わない。

 

「そんな!さっきは出たのに!」

 

「零夜君も早くこっちに!ダメもとで防壁を貼るわ!」

 

「……くそ!」

 

俺は悪態を吐きながらイリヤと一緒に凛さんの元まで下がる。

 

凛さんは宝石で防壁を貼り俺達を守る。

 

そして、女が何かしらの攻撃をしようとした瞬間、俺達の横を一人の少女が通り抜ける。

 

その少女の手には一本の槍が握られていた。

 

だが、その少女が攻撃するより向うの方が攻撃をするのが速い。

 

その時

 

「チェイン!」

 

俺達の頭上で声がした。

 

上を見上げると、白いコートを纏い、フードを被った者が空に浮いていた。

 

そして、左手に付けられた指輪から鎖が伸び、女を捕縛する。

 

「今だ!」

 

刺し穿つ(ゲイ)……死棘の槍(ボルク)!!」

 

少女の槍は、女の魔法陣の中央を貫き、そのまま体も貫く。

 

女はその場に膝を尽き、そして体は空間に溶けるように消えた。

 

「ランサー、接続解除(アンインクルート)

 

少女がそう言うと、持っていた槍はステッキへと形状を変えた。

 

そのステッキはルビーと酷似していた。

 

違うのは先端に嵌め込まれた五芒星が向うのは、六芒星なのと羽根の飾りがリボンの様な飾りであるぐらいだ。

 

「対象撃破。クラスカード“ライダー”、回収完了」

 

「手際が良いな、美遊」

 

声からして男と思われる奴が、その少女の隣に並ぶ。

 

その時、フードが外れ男の顔が現れる。

 

見た感じ、俺と同じぐらいだと思う。

 

「だ、誰?」

 

イリヤは少女に、向けそう言った。

 

そして、俺は―――

 

「俺と同じ魔術……?」

 

少年に向かってそう言った。

 

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