テイルズオブザワールドレディアントマイソロジー3~風の青年と輝きの物語~   作:カイナ

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プロローグ

ルミナシアという世界、そこのとある山――ルバーブ連山と人に呼ばれている――を一人の少女――桃色の髪にもみじの髪飾りをつけてサイドポニーにしている――が歩いていた。

 

「ふぅ……さて、と。今回の仕事もこれで終わり! 船に戻らなくちゃ」

 

少女は一人そう呟き、下山ルートを歩く。と彼女の頭上をすれ違うように光の球が二つ空を駆けていった。

 

「なんだろう?……」

 

光は山奥に向かっている。それを考えると少女はうんと頷いた。

 

「迎えまでまだ時間はあるし、行ってみよう」

 

そしてそう呟くと光が飛んでいった方に向けて走り出した。そして少女は光を追いかけついに追いつく。

 

「何?……光?」

 

少女はそう呟く。目の前には光輝く球体が二つ浮いており、しかも全てその中に何かが入っている。するとその光はふわふわとゆっくり地面に降りてくる。そして光が弾け飛ぶと、中から一人ずつ人が出てくる。

 

「ひ、光の中から、人が……」

 

少女は呆然としたように呟く。光から出てきたのは一人が薄緑色の髪をざっくばらんな短髪にした、顔立ちの整っている青年。もう一人は金色の髪――正確に言えば先の方が僅かに青っぽくなっている――を長く伸ばして横部分は結ばれている所謂ツーサイドアップという髪型にし、何故か左目に眼帯をつけている少女。青年の方は軽装な服に、少女の方は軽装な鎧に身を包んでいる。

 

「い、一体どういう……」

 

少女はまた呆然としたように呟く。二人とも瞳は閉じられているがちゃんと息をしているため死んでいるのではなくただ眠っているだけだと分かる。

 

「うっ……」

 

すると青年――薄緑色の髪の青年だ――が目を開き、少女を見る。

 

「あんたは?」

 

「気がついてよかった。空から降りてきたんだもん、すっごく驚いたよ!」

 

「空?」

 

「ね、あれって何かの魔術なの?」

 

「魔術? 何の事だ?」

 

「えっ!? 覚えて、ないの? あなた達、空から降りてきたんだよ。光に包まれて……」

 

「……」

 

少女の言葉に青年は考え込むが、やがて諦めたように息を吐くと首を横に振る。

 

「悪いが、覚えてない……ところで、あんたは誰なんだ?」

 

「あ、私、カノンノ。カノンノ・グラスバレー……ともかく、まだ気絶してるその人を連れて下山しよう。ここは魔物が多くて危険だから」

 

「魔物……」

 

青年の言葉に少女――カノンノはそう返し、それを聞いた青年は呟き声を出してカノンノより後ろを見る。

 

「っつーと、あれか?」

 

「?」

 

カノンノよりも後ろを指差しながらのその言葉にカノンノは振り返る。そこには水色のオタマジャクシみたいな魔物――オタオタや緑色の蜂っぽい魔物――キラービー、そしてクチバシが斧になっている鳥の魔物――アックスビークがいた。

 

「そうそうあんなの……」

 

それを見たカノンノは微笑みながら頷くが、次の瞬間その笑みが固まり、顔もどんどん青くなっていく。

 

「ええぇぇぇーっ!!??」

 

そして彼女の悲鳴がルバーブ連山に響き渡り、彼女は大慌てで立ち上がると剣を構える。

 

「う、嘘! こんな時に! オタオタやキラービーだけならともかくアックスビークまで!!」

 

するとカノンノが構えるのと共に今まで座っていた青年も立ち上がり、刀を構える。

 

「カイ」

 

「え?」

 

「俺の名前だ。カノンノ、そいつ任せるぞ」

 

青年――カイが言葉少なく名乗り、それにカノンノが呆けた声を出すとカイはそう言い残していつの間にか持っていた木刀を握ると、魔物の群れに真正面から突っ込む。

 

「え!? あの、ちょ、ちょっとー!?」

 

それを見たカノンノはカイと未だ気絶している少女を交互に見、困ったように声を上げた。

 

「らぁっ!!」

 

まず左腰にやっていた木刀を居合いのように振り上げてオタオタを殴り上げ、振り上げていた刀を両手で握ると真剣で言うならば刃を返して振り下ろす第二撃。それが別のオタオタを殴り倒したかと思うと最初にぶん殴ったオタオタが最後の力を振り絞ってカイに突進してくる。それを見ると彼はニヤリと笑みを浮かべて左手に闇の気を溜める。

 

「滅掌破ぁっ!」

 

放たれた一撃はオタオタを完璧に捉え、オタオタは吹っ飛ぶと崖下へと姿を消す。

 

「カ、カイッ! 後ろ後ろー!」

 

「おっとぉっ!!」

 

カノンノの某コントのような呼びかけにカイは瞬時に反応し、後ろから襲い掛かってくるアックスビークの斧のように発達している嘴をジャンプでかわすとその頭目掛けて勢いよく木刀を振り下ろす。彼の目は生き生きと爛々とした輝きを放っており、口元には笑みが浮かんでいる。その表情を分かりやすく纏めると完全に好戦的なものだった。

 

「え、えっと、えっと……」

 

カノンノは援護しなきゃでも気絶してる人をほっとくわけにもいかないしという板挟みに陥る。

 

「魔神剣!」

 

「わっ!?」

 

とその後ろから突如放たれる衝撃波。カノンノは思わずびくっとなってその場を飛びのき、衝撃波は地を這うように走ってオタオタを呑み込む。

 

「……何かよく分からないが……援護する」

 

そう言うのはさっきまで気絶していた少女。立ち上がってから改めて考えると自分より長身ですらっとした体型、しかしながら自分より胸が大きい。それを考えたカノンノはつい自分の小さ……もとい慎ましやかな胸にぺたりと手を当てた。少女はそれをちらりと見て不思議そうに首を傾げた後右手に握っている木刀を下げ、左手に握っている茶色い物体を戦場に向ける。木製っぽい雰囲気が漂うが間違いなく銃だ。

 

「ふっ」

 

ダギュンダギュンダギュンという銃声が響き、放たれた銃弾が一体のオタオタを容赦なく貫いていく。と、それとは別のオタオタがごろごろ転がってきた。

 

「チャージバレット!」

 

しかし少女は素早く銃口をそちらに向けると銃弾で牽制しつつ懐に潜り込み、右手の剣を構える。

 

「魔神剣!」

 

直後至近距離から放たれた衝撃波がオタオタの小さな丸い身体を吹っ飛ばし、それをカイはちらりと見るとにやりと笑みを見せ、目の前のキラービーを殴り潰すと地面を蹴り飛び上がる。とアックスビークが一体それを追うように飛び上がった。

 

「ラッキー」

 

しかしカイは慌てることなくむしろ笑みを見せるとそのアックスビークの頭を踏んづけるとアックスビークを崖下に蹴り落としながらさらにジャンプ、縦に回転しながら木刀でオタオタを殴り落とした。これで敵は全滅。カイはまるで軽業師のようにくるんともう一回転してとんっと小さな音を立て地面に着地する。

 

「カ、カイ……君、強いんだね……」

 

カノンノは目をぱちくりさせぽかーんという擬音が似合う通りの表情でそう言い、次にあっと声を漏らして少女の方を見た。

 

「え、えっと、あなたも覚えてるかな? 光に包まれて空を飛んでたんだけど?……」

 

「空?……」

 

カノンノの問いに少女はやはり首を傾げるのみ。それにカノンノはまた困ったようにえっとと呟いた。

 

「えっと、あ、そうだ。あなたのお名前は?」

 

「我か?……我は……レイ」

 

「レイ、いい名前だね」

 

カノンノの言葉に少女――レイは少し考えるように黙った後静かに名を名乗り、カノンノはえへへと笑ってそう言う。

 

「あっ、そろそろ船が到着する時間だ。急いで山を降りなきゃ!」

 

と、思い出したように彼女はそう言い、カイとレイを見る。

 

「少し急ぐことになるけど、いいかな? 船に乗ったら、あなた達の希望する場所へ送ってもらえるように伝えるから」

 

「希望する場所?」

「どういうことだ?」

 

「え? 二人とも、あの光の魔術でどこかに行こうとしてたんじゃないの? それで、間違ってここで降りちゃったとか……」

 

カノンノの言葉にカイとレイが首を傾げるとカノンノもそう問いかける。と二人は顔を見合わせた。

 

「つーか、そもそも……」

 

「ああ……貴様、何者だ?」

 

「…………はい?」

 

カイとレイは顔を見合わせてそう言い合う。それにカノンノは沈黙の後呆けた声を出した。

 

「え? あの? ちょ、ちょっと待って……二人って知り合いじゃないの?」

 

「「知らん」」

 

カノンノの問いかけにぴったり異口同音で返す二人。

 

「それに送る場所と言われてもな……」

「こいつがどうかは知らんが、我は自分の名前以外は何も分からん」

 

「ええっ!? 自分の名前以外、何も分からないって……んーんんん……それじゃあ、どうすればいいかな」

 

カイとレイはあっさりとそう言い、それにカノンノは困ったように声を漏らすが少し考えるとうんと頷いた。

 

「とりあえず、船までおいでよ。それから一緒に考えるから。行こっ!」

 

カノンノはそう結論を出すと歩き出し、カイとレイもその後を追って歩いていく。

それから再びオタオタやキラービー、アックスビークが襲い掛かるがそのほぼ全てをカイとレイが捌き、カノンノも魔術で援護しながら三人は下山し、道を進んでいく。そして山の麓まで行くとカノンノは真っ直ぐ進む道を指差した。

 

「えっと、この先の道は、いつもはこの道を真っ直ぐ行くんだけど……」

 

カノンノは次に石の階段で出来ている道を指す。

 

「今回は、そこのわき道を行くの。そこに船が迎えに来てくれるんだ」

 

「そうか」

 

カノンノの言葉にレイはそうとだけ返してわき道の石段を上がっていき、カイとカノンノもその後に続く。それから石段を登り切った先の道を行くと切り立った崖に到着、とカノンノは不思議そうな表情で空を見上げた。

 

「あれ? まだ船が到着してない。私達の方が先だったかな?」

 

カノンノはそう呟くと二人の方を振り向く。

 

「ねえ、カイ、レイ。ひょっとしたら、あなた達は記憶喪失なのかもしれないね……何か原因があって、そういう状態になっているんじゃないかなぁ」

 

「……」

 

「あ、今は無理に思い出そうとしない方がいいよ。あなた達が良ければ、これからどうしていけばいいかを一緒に考えるよ」

 

カノンノがそう言うと共に三人を影が覆い、何かエンジン音のようなものが聞こえてくる。とカノンノがあっと言って空を見上げた。

 

「船が来たよ!」

 

そう言うと共に崖に降りてくるのはカラフルな外見をした不思議な乗り物。カノンノはそれにおーいと言って手を振り、カイとレイは黙ってそれを見ていた。そしてカノンノに連れられて二人は船に乗船する。

 

「お疲れ様、カノンノ」

 

最初に声をかけてきたのは船に入ってすぐのところでテーブルの前にいる水色の髪をポニーテールのように結った女性。

 

「あなたが魔物を討伐してくれたおかげでペカン村の人達の移民は無事に済んだよ」

 

女性はそこまで言うとカノンノの後ろにいる二人に目を配る。

 

「ところで、そちらのお二人は?」

 

「二人とは、ルバーブ連山で出会って……ここまで連れてきたんです」

 

「それじゃあ、まずは自己紹介からね」

 

カノンノの報告に女性はにこりと人当たりのいい笑みを浮かべた。

 

「私はアンジュ・セレーナ。あなた達の話を聞いてもいいかな?」

 

「話、と言われてもな……俺は何も覚えてない」

「我もだ。ここにいるカノンノさんに助けられた、覚えているのはそれだけだ」

 

「え、そんな。そこにいた魔物と戦ったのは二人なんだし、私は大したことはしてないよ……」

 

女性――アンジュの言葉に二人はありのままそう返し、アンジュは困ったように顔を伏せた。

 

「そう。記憶がないなら、どこへ行っていいかも分からないよね。記憶が戻るまで、ここに置くのは構いません。でも、話を聞く限り体力には自信があるようだし、働いてもらいましょうか」

 

「はぁ……」

 

「それじゃあ、今からあなたをギルド[アドリビトム]の一員として迎えるね」

 

「アドリビトム?」

 

アンジュの言葉にレイが声を漏らし、その次の彼女の言葉にはカイが首を傾げる。

 

「このギルドの名前の事かな? 古代神官語で[自由]という意味よ。ギルドというのは、人々から寄せられる依頼をこなす、いわゆる何でも屋さんと思ってくれればいいかな。でも、仕事の話よりも、まずは他のメンバーとの顔合わせが必要よ。みんなの所へ行って、挨拶してらっしゃい。それが終わったら、仕事について教えるから」

 

アンジュはそこまで説明するとカノンノに目をやった。

 

「カノンノ、みんなへの挨拶について行ってあげてくれる?」

 

「はい。じゃあまずは一階の皆に挨拶に行こう。下の階の人達は仕事で外出中だから」

 

カノンノはそう言うと二人を引っ張るようにして歩き始めた。そして一つの部屋に向かい、そこのドアが開く。

 

「ロックス、クレアさん。新しい人だよ」

 

「お嬢様、お帰りなさいませ」

「あら」

 

カノンノの元気な声に青い小さな体をした羽で空を飛んでいる生き物と金色の髪を長く伸ばした少女が挨拶する。そして少女はカイとレイを見てにこりと微笑む。

 

「新しいギルドの方ですね。私は、クレア・ベネット。初めまして」

 

「どうも、初めまして。ロックスプリングスと申します。ロックス、とお呼びください」

 

「……カイ」

「レイだ」

 

少女――クレアが挨拶した後に青い生き物――ロックスが挨拶する。それにカイとレイは短く名前を名乗った後ロックスをまじまじと見る。

 

「その、僕は、こちらで、ギルドの皆さんのお世話をさせていただいている者です……え、えぇっと……あの、冗談みたいな姿ですけど……その、いじめないで下さい……ね?」

 

「ロックスさんは、家事やギルドの経理なども任されている、この船の、いわば[コンシェルジュ]なんですよ」

 

「この船で皆様が安心してくつろげるよう、日々ホスピタリティの向上に努めています。何か御用の時は申し付けてくださいね」

 

「ああ、よろしく頼む」

 

ロックスはまじまじと見られて困ったように笑いながらそう言い、次にクレアが説明するとロックスははいっと頷いて続け、カイはこくんと頷く。

 

「それにしても、また船の中がいっそう賑やかになりますね」

 

「ええ。食事の時は特に! 楽しくなると思いますよ」

 

「今日はカイ様とレイ様が新しく入った事ですし。腕にヨリをかけて、ご馳走にしましょうか」

 

「そうですね。それじゃあ、今日は忙しくなりますね」

 

「そうか。じゃあ俺達は出ていくよ」

 

クレアとロックスが楽しそうにそう言うと邪魔になると思ったカイがそう言い、クレアはええと頷いた後にこりと微笑んだ。

 

「それでは、カイさん、レイさん。今後ともよろしくお願いします」

 

「お仕事、頑張ってくださいね。それから御用があれば、いつでもどうぞ」

 

「ああ」

「よろしく頼む」

 

クレアとロックスの見送りにカイとレイはそう返し、三人は部屋を出ていった。

 

「あ、そうだ。二人とも、医務室に行ってみよう」

 

「「医務室?」」

 

「うん。もしかしたら記憶喪失の原因が分かるかもしれないし」

 

カノンノの言葉に二人は頷き、三人は医務室にやってくる。

 

「アニー。ちょっと診てもらっていいかな?」

 

「あ、はい。どうしたんですか?……えっと、そのお二人は?」

 

カノンノの言葉に、医務室と呼ばれる部屋にいた少女――茶色い髪を短く切り、先端が上に向くようにカールした髪型をした、ピンク色の服のへそ出しファッションをしている――はカノンノの言葉に聞き返した後後ろの二人に気付く。

 

「ルバーブ連山で会ったんだ。実は記憶喪失で、何か怪我をしてるかもしれないからちょっと診てもらいたいんだ」

 

「分かりました。じゃあお二人とも、そこに座ってください」

 

カノンノの言葉に少女――アニーは頷いてそう促し、二人は彼女の言葉に従ってベッドに座り、アニーは二人を診察していく。

 

「……特に異常は見当たりません。頭を打ったとかそういった形跡もありませんし……でも気分が悪くなったり頭痛や目まいなどの症状が見られたらすぐに来てくださいね」

 

「分かった。感謝する……えーと……」

 

アニーの診察結果と注意にレイはお礼を返した後少女の名を呼ぼうとするがどうやら覚えていないらしく、少女もくすっと微笑んだ。

 

「私はアニー・バース。ヘーゼル村の出身です。このギルドではここ医務室を任されています。医者としてはまだ不勉強なところがありますが、どうぞよろしくお願いします」

 

「ああ、よろしく頼む」

 

アニーの言葉にカイもぺこりと頭を下げて立ち上がり、三人は医務室を出ていった。

 

「ん? ああ、カノンノ」

 

「わっ!? ウィルさん!」

 

と、ちょうどそこにオレンジ色の服を着て、その服の上からでも分かるほどに筋骨隆々な男性が[医薬品]と書かれたラベルを貼った箱を持った状態で姿を現し、カノンノはその姿を見ると驚いたように声を上げる。と、ウィルと呼ばれた男性はカイとレイに目を向けると一旦箱を置いた。

 

「ホールでの話は聞こえていた。俺はウィル・レイナード。よろしく頼む。ここへ来る前も、故郷でギルドに所属していた。本業は博物学者をやっている」

 

ウィルはそこまで言うとそういえば、と漏らした。

 

「そういえば、記憶喪失と聞いたが……君達は、ここへ来る前に世界樹が光るのを見たか?」

 

「……いえ」

「覚えていない」

 

「そうか……俺はちょうど、甲板から見えたのだが……今まで観測されたことがない現象だったからな。それについて、君達が何か知っていたりするのか聞いてみたかっただけだ」

 

「……何故俺達が?」

 

ウィルの問いかけに二人が否定の言葉を返すとウィルはそう言い、それにカイが聞き返すとウィルは少し間を置く。

 

「記憶喪失の君たちが知っているはずもないが、はるか昔から伝わる[予言]の話だ。現実的ではないし、ありえないと考えてはいるのだが、記憶がない、というのが気になってな」

 

ウィルはそこまで言うとぺこりと頭を下げた。

 

「変な事を聞いてすまなかった。君の記憶が早く戻ることを祈る。では、今後もよろしく頼む」

 

ウィルはそう言うと医務室に入っていき、カイ達はそこを後にする。そして他のメンバーとの挨拶回りも終えてから彼らはアンジュの元に戻っていった。

 

「アンジュさん、挨拶終わったよ!」

 

「あら、そう? じゃあ、ここでの仕事を説明するね」

 

カノンノの言葉にアンジュはふふっと笑って返すとカイとレイに目を向ける。

 

「アドリビトムは、どの国にも属さない。依頼があればどこへでも向かう、自由のギルド」

 

「ああ、さっき古代神官語で自由とかなんとか……」

 

「そう。それで、そのギルドに人々から寄せられる依頼をクエスト、というんだけど。そのクエストは、ここで私が管理しているから、仕事がしたい時は訪ねてね?」

 

アンジュの言葉にカイはさっきの説明を思い出してそう言い、それにアンジュは一つ頷いてここでの仕事であるクエストについて説明。と思い出したようにぽんと手を打った。

 

「そうそう、私がいるカウンター以外にも、メンバーの皆と話すと直接依頼をしてくることもあるから、その時は聞いてあげてね?」

 

アンジュはそこまで説明するとにこりと微笑む。

 

「それじゃあ、初めてだと分からないこともあるだろうし、まずは簡単な仕事を用意するから、とりあえず二人とも見習いから始めてもらおうかな? カノンノ、二人の教育係をお願いできる?」

 

「はい、分かりました!」

 

「じゃあ……」

 

アンジュはそう言ってカノンノを二人の教育係に指名、それをカノンノが二つ返事で引き受けるとアンジュはカウンター内を探った。

 

「早速これが仕事ね。アドリビトムの正式なメンバーになるための入隊試験用クエスト」

 

アンジュはそう言ってカイに一枚の用紙を見せ、カイはそれをちらりと見る。

 

「コンフェイト大森林でプチプリの退治……」

「コンフェイト大森林とはどこだ?」

 

「あ、私が案内するから心配しないで」

 

カイの呟きにレイも用紙を覗き込みながら尋ね、カノンノが苦笑交じりにそう言う。とカイはこくんと頷いた。

 

「分かった。で、受ける時はどうすればいい?」

 

「じゃあ、ここに依頼受諾のサインをクエストメンバー分して」

 

「じゃあ私がお手本を見せるよ」

 

「あらあら、頼りになる先輩さんね」

 

カイの質問にアンジュはそう言って用紙の下にある四本の線の上部分を指でなぞるように示し、カノンノが自信満々にそう言うとアンジュがくすくすと笑う。それからカノンノ、カイ、レイの順番でサインをし、用紙をアンジュに渡してチェックしてもらう。

 

「うん、構いません。詳しい仕事の進め方はカノンノに教えてもらってね」

 

アンジュはそこまで言うとにこり、と柔和な笑みを見せる。

 

「それじゃあ、頑張ってきてね!」

 

「ああ」

 

アンジュの笑顔での言葉にカイはぶっきらぼうに返し、三人は船を出ていった。




さて、ここの某マイソロ3小説に触発されて書き始めました。初めまして、カイナと申します。
カイ「今小説の多分主人公になるであろう、カイと申します。お見知りおきを」
レイ「……レイ」
ぶっちゃけここで書かれている某マイソロ3小説に触発されて書き始めただけでこの先ほとんど全く考えてませんけど、お付き合いいただければ幸いです。それでは。
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