テイルズオブザワールドレディアントマイソロジー3~風の青年と輝きの物語~ 作:カイナ
「いいか、カイ。こう、片足を後ろにぐいってやって身体を支えて、そんで後ろに構えてぐぐっと気と力を溜めた両腕を思いっきり突き出して、どんっとぶっ放す! これが轟裂破だ!」
「ぐいって支えて、ぐぐっと溜めて……どんっ」
バンエルティア号甲板。カイはいつものように仲間から戦い方の指南を受けており、今回の講師であるティトレイが自分の技、轟裂破を教えており、ティトレイの技を見よう見まねで真似るカイを見るとティトレイは腕組みをしてうんうんと頷いた。
「そうだ! その感じだ! 筋がいいぞ、カイ!!」
「いや、よくその説明で分かるね、カイ……」
ティトレイの熱血講師のような台詞に対し甲板で素振りをしているクレスが苦笑を漏らす。
「うぉーい。ちょっと悪ィんだけどよォ。アドリビトムってのはここで構わねえのか?」
そこに突然聞こえてきたガラの悪い声。クレスとティトレイが声の方を向くとカイも少し遅れて構えを解き、声の方を向く。そこにはカイによく似た色素の薄い緑色の髪をざっくばらんに短く切り、ベレー帽を被ったいかにもガラの悪そうな青年が立っていた。
「ああ、そうだけど。依頼か?」
「いや、ここにアンジュっていんだろ? そいつに頼まれて来たんだけどよ」
「ふ~ん。分かった、んじゃ入れよ。カイ、一旦休憩にしようぜ。甘いもん作ってきてやるから」
ガラの悪そうな青年の言葉にティトレイはふんふんと頷くと入れよと言い、カイに一度休憩を入れるよう言うとカイとティトレイはガラの悪そうな青年と共に船内へと入る。
「よう、来たぜアンジュ」
「いらっしゃい、スパーダ君。旅先まで手紙が届いて、よかったぁ」
青年――スパーダの姿を見たアンジュが安心したように微笑む。どうやら知り合いだと言うのは嘘ではないらしく、スパーダはアンジュの字で書かれている手紙をひらひらとさせるように見せた。
「なーんか、ギルド始めたって書いてあってビックリしたぜ。ルカとイリアもいるんだろ?」
「ええ、二人とも待ってるよ。すぐ部屋に案内するね」
アンジュはそこまで言うとスパーダの後ろを見て、少し首を捻る。
「……リカルドさんは一緒じゃないの?」
「ちょっくら雇われて戦場へ入ったぜ。一仕事終わったら、連絡してくるんじゃね?」
アンジュが首を傾げながら問いかけるとスパーダはさらっとそう言う。
「うおっと、スパーダじゃん。何しに来たワケ? リカルドと旅してたんじゃないの?」
と、そこにイリアが現れ、スパーダを見ると驚いたように声を上げる。それにスパーダはアンジュを一瞥した。
「何しにって、アンジュが手伝いに来いっつったから来たんだよ。旅も出来るし、面白そうだしな」
「んじゃ、ルカちゃまとあたしの部屋まで案内してやるか」
「おお、ルカちゃまな」
そこまで言った時、スパーダの口の端が吊り上がる。
「久しぶりにイジってやるか。グヘヘ……」
「久しぶりだからって、あんまりやり過ぎないでよ」
「あー、シメのいじりは譲れってか?」
「よくわかってんじゃん。ギヒヒヒヒヒ……」
二人はそう言い合うとその場を後にし、カイが目を細めているとアンジュはくすくすと穏やかに笑った。
「カイ、彼らにとってはいつもの事だから、気にしないで。基本、行き過ぎない程度までは私もスルーしてるし」
そこまで言ってから、彼女は「そうそう」と続ける。
「あなたにも彼を紹介するから部屋にいらっしゃい」
「……了解」
断る理由もないためカイはアンジュについてルカ達の部屋へと向かう。
「あン、誰だァコイツ?」
カイが部屋に入った瞬間、スパーダは彼に向けてガンを飛ばす。しかしカイは無反応、と言ってもスパーダの凄味にビビっているわけではなく、ただ単にどう反応を返せばいいのか分からずに立っているような感じだった。
「ちょっ、スパーダったらもう! このギルドの仲間だよ」
「おー、そうか。ってか、ビビらすつもりはさらさらなかったんだけどな」
しかしそれをスパーダに怯えていると勘違いしたのかルカが慌ててスパーダを止め、それにスパーダはにししと笑う。と、ルカがため息を漏らした。ちなみにイリアは、さっきホールの方に行った時にスパーダを見てうっかり頭から飛んでいたらしいが研究室に少し用事があるらしく、この部屋にはいない。
「君は、誰に対してもそうだけど中には恐がる人もいるし……」
「ルカとかな、ヒャハハハ! 初めて会った時のお前、そうだったよな」
ルカの言葉にスパーダはそう言って「ヒャハハ」と笑う。
「この子はカイ、記憶喪失でこのギルドに来て、世話してるの」
「ほぉ~……俺はスパーダ。スパーダ・ベルフォルマ。こいつらのダチだ、よろしくな」
「よろしく」
アンジュから紹介を受け、スパーダも自身の名を名乗ってルカ達のダチだと説明。よろしくなと締めるとカイもよろしくと返す。
「ところで、スパーダ君。手紙にも書いておいたけど、情報は仕入れてきてくれた?」
「あー、赤い煙ってヤツかぁ? アレ、割と知れ渡っているみたいだな」
アンジュは彼に情報収集も頼んでいたらしく、スパーダは彼女に頼まれた赤い煙が既に知れ渡っていると言い、そこで難しそうな顔を見せた。
「気になんのは、見る者によって、その煙の姿が違うらしいって事だ」
「姿? 煙とかモヤとか、そんな不定形なものでしょ?」
「少なくとも俺はそう見えたし、カノンノも恐らくそうだと思う」
スパーダの言葉にルカが首を傾げると赤い煙を目撃したカイが続ける。それに対してスパーダはバリバリと頭をかいた。
「ソイツの存在が分かった頃は煙だったらしいな。けど今は、花や虫、魚、色んな姿で現れるらしいぜ」
「……まるで、進化しているみたいだね」
スパーダからの説明を受け、ルカが呟くとスパーダは「それだけじゃねェ」と続ける。
「変わってんのは街の人もだ。“病気を治す”から、いつの間にか“願いを叶える”って話になってんだぜ」
「願いを叶える?……それはもはや……それは、病気を治すなんてものではない……もっと“とんでもない”ものよ」
その説明を受けたアンジュは真剣な表情を見せ、シリアスな空気に部屋が包まれる。
「願いを叶える、か……じゃあ、もっとたくさんの人がその存在に会いたがるんだろうね」
そんな中ルカの呟いた言葉が、やけに大きく響いた。
「願いを叶える……病気を治すという噂にただ単に尾ひれがついただけ? いや、でも……」
スパーダからの報告を聞いたアンジュはホールに戻りながらぶつぶつと呟く。カイはその後ろをすたすたと、まるで鳥の雛が親鳥の後をついて歩くように歩いていた。
「あ、アンジュさん。カイ」
「あら、カノンノ」
と、丁度操舵室から降りてきたらしいカノンノが二人に合流し、彼女の声を聞いたアンジュはふふっと微笑んだ後ホールに用意された机に座った後、また考え始める。
「……どうしたの?」
「さっき入ってきたスパーダって奴から赤い煙について話を聞いて、考え始めた」
「ふーん……じゃあ邪魔しちゃ悪いね。ね、二人でお話しよっか」
カノンノはカイにお話しようと言い、にこっと微笑む。
「どうかな、何か思い出せた記憶ってある?」
「……いや」
カノンノの言葉にカイは少し考えた後静かに首を横に振り、それにカノンノは残念そうにうつむいた。
「そっか……まだ、何も思い出せないんだね」
「カノンノはまた絵を描いていたのか?」
「うん。またスケッチブックを買わなきゃ。もうなくなってきちゃったから。最近はね、前よりも風景が見えるようになって。一杯絵に描き溜めて、どんどん紙がなくなっちゃう」
カノンノが悲しそうな目を見せているとカイは話題を変え、それにカノンノはうんと頷き、スケッチブックに目を落とす。
「でも、やっぱり一番に思うのは……私の知らない風景がどうして見えるのかってこと。根拠はないけど、やっぱりこれらの風景はどこかにあるような気がするんだ……」
カノンノは楽しみそうな様子で微笑む。
「ぎゃああああぁぁぁぁぁっ!!!」
と、その時悲鳴が聞こえ、カイとカノンノ、アンジュは驚いたように研究室の方に目を向ける。
「今の、イリアの悲鳴じゃない? 研究室の方からね……カイ、ちょっと研究室へ行って、見てきてくれる?」
「分かりました」
アンジュの言葉にカイは頷き、訳が分からず硬直しているカノンノを置いて研究室へと向かう。と、悲鳴を聞きつけたのかレイが下の階から姿を現し、二人は一緒に研究室に入る。
「よし、やっと捕まえたぞ……」
と、その時ウィルが丁度ケースの中に何かを押し込んでいた。どうやらコクヨウ玉虫が逃げ出しただけらしい、とイリアが珍しく怯えが混じり、心なしか涙の見える目でカイとレイを見る。
「カイ! レイ! 見てよこの虫!! こんなんなっちゃってんのよ、気色悪ぅ!!」
そう叫ぶイリアが指差す先にあるのはコクヨウ玉虫、しかしその容貌はたしかに奇妙なものへと変わっていた。
「羽も鉱物のように固いわね。そして、呼吸するための気門がない。目も、口も無くなってる……生物として、あるべきものが欠けているわ」
「これは、あの赤い煙が原因なのか?」
「な、なんかいきなりぶしゅーって虫から赤い煙が出てきて、暴れ出したらこうなったのよ! ねえ、どうなの!?」
冷静に分析するハロルドの次にカイが尋ねると、イリアが半ば叫ぶようにハロルドに尋ねる。それにハロルドはうんと頷いた。
「その可能性は濃厚ね。もう一例くらい、確認できればいいんだけど」
ハロルドはうんと頷いた後、ふむ、と呟いた。
「……」
そんな中、レイはただ一人コクヨウ玉虫を、どこか懐かしいものでも見ているかのような目で眺めていた。
「場所は……カダイフ砂漠がいいかのゥ。あそこにあるオアシスにでも捨ててきてくれんかなァ。それじゃ、頼んだでよゥ。仕事を受けてくれる者が決まったら、魔物を引き渡すんでなァ」
「はい。分かりました……」
話が終わり、カイとレイ、イリアが研究室から出てくると、どうやら依頼人が来ていたらしくだがもう話も終わったのかその依頼人である老人は船を出ていく。
「どうしたんですか、アンジュさん?」
「ああ、カイ。仕事の依頼なんだけど……なんか変なのよ」
「変?」
どうかしたのかと尋ねてきたカイにアンジュは怪訝な表情でそう言い、カイが首を傾げる。
「依頼人はモラード村、この前依頼してきたジョアンさんが出身の村の村長のトマスさん」
アンジュは依頼人のデータをカイに説明し、ジョアンさんは病気が治った途端行商に出かけたらしいとついでに説明する。
「それで、肝心の依頼なんだけど……村に入ってきた魔物を捕まえたから、カダイフ砂漠に捨ててきてくれって」
「魔物を捨てるぅ!? 討伐じゃなくって!?」
アンジュの言葉にイリアが素っ頓狂な声を上げる。
「私もおかしいとは思うんだけど……依頼だからね……」
アンジュは考えるような様子を見せて呟く。と、カイが前に出た。
「分かりました。じゃあ、俺が依頼を受けます」
一番に依頼を受けると言いだすカイ。と、イリアがにっと笑った。
「んじゃ、あたしも受けるわ。さっきちょっと嫌な事あったから憂さ晴らしにね」
「ならば、我も行くとしよう。どうせ暇だ」
そう言ってぐひひと笑うイリアの次にレイが頷く。
「ふぅ、素振り終了……少しクエストでも受けるとするかな……」
と、そこに爽やかに汗を拭いながらクレスが船内に入り、ホールを見る。
「えっと……何かあったの? あ、そういえばさっきお爺さんが船に入ってきてたけど、依頼でもあったのかい?」
「……丁度良かったわね」
その言葉にアンジュはふふっと微笑んだ。
「あんたらァ、この仕事を引き受けてくれる者だね……」
「はい。モラード村の村長のトマスさんですね?」
カダイフ砂漠の入り口、そこで老人――今回の依頼主であるトマスが巨大なケージを隣にしながら話しかけるとクレスが相手の確認を行う。
「依頼は、この砂漠にそのケージの中に捕まえている魔物を捨てる……で構わないんですね?」
「そうだなァ……この土地がいいだろうなァ……ここなら、人に会う事も無かろうなァ。オアシスもあるしなァ……」
「……なぜ、わざわざ捕まえた魔物を捨てるんですか?」
「殺すまでは……出来なくてなァ……」
「はぁ……」
クレスとトマスが話していると、イリアはケージの方を見てニヤリと笑う。
「どれどれ。どんな奴が入ってんの?」
そう呟いてケージの扉に手をかける。
「開けてはならァん!!」
その瞬間トマスが血相を変えて叫び、イリアはびくっとなって動きを止める。
「薬で眠らせてあるんだ! 開ければ……光で目覚めてしまうぞィ!」
「ゲッ!? さ、先に言えっての!」
トマスの血相を変えた叫びにイリアも叫んでケージから離れる。
「すみません。確か、ケージの中を見ない……そういう契約でしたね」
クレスは、この依頼を受けて船を出る直前にアンジュから言われた契約内容を確認する。それにトマスは無言で頷いた。
「それじゃあ、頼んだよ。着いたら扉の鍵を外して、そのまま立ち去ってくれ。そうすれば後は勝手に出ていくだろうよゥ、くれぐれも、中は見ないようになァ」
トマスはそう言うと砂漠を後にする。
「あーめんどくさっ……受けといてなんだけど、魔物なんてここで始末してもよさそうじゃん……」
イリアはケージをジト目で見た後、にやっと笑う。
「あたしが何発か撃ち込むから、それで仕事終わりにしない?」
「だ、駄目だよイリア。依頼を受けた以上、指示には従わないと……」
「へいへい。んじゃ、行くとしますか」
イリアが銃を取り出してそう呟くとクレスは慌てた様子でそれを止め、イリアはちぇっと言いたげな表情で銃をしまうとそう呟く。その時カイがふと砂漠の入り口近くにある岩に目をやった。
「……で、いつまで隠れてるんだ?」
「「!?」」
その言葉を聞いたクレスとイリアがそっちを向く。
「えへへ、ばれちゃってたの?」
「「カノンノ!?」」
と、苦笑いしながらカノンノが岩陰から姿を現した。
「ちょっと、なんであんたここにいんのよ!?」
「あ、えっとなんていうか……気になっちゃって……」
イリアの慌てたような声にカノンノは目を泳がせて人差し指同士をつんつんさせながらそう言い、クレスはまったくと呆れたようにため息をつく。
「なら、カノンノも一緒に来るか?」
「いいの!?」
と、カイがそう言いカノンノが目を輝かせる。それにイリアはにししと笑った。
「別にいいわよ~。でも正規メンバーじゃないから報酬はなしね?」
「それと、帰ったらちゃんとアンジュさんに謝るんだよ?」
イリアの言葉に続いてクレスが注意し、カノンノはうんと頷く。
「んじゃ、改めて行きますか……ってちょいレイッ!?」
そう呟いて気だるげな目でケージを見たイリアが突然ぎょっとした声を出す。レイがケージを撫でるように手を当てていた。
「へ、下手に触るんじゃないわよ! 危ないでしょ!?」
「……」
イリアの慌てたような声に、レイは無言でケージから離れる。
「じゃあ、基本僕とカイが交代でケージを運ぼう……カノンノ、ケージの護衛をお願いできるかい?」
「うん、分かった」
「絶対、絶対壊しちゃ駄目だからね! 仕事が増える!」
クレスの指示にカノンノは頷き、イリアが必死で釘を刺しておく。
それから少し砂漠を進んだところで、アリジゴクのような砂の渦の中から巨大なワーム系の魔物――サンドワームが姿を現す。
「うっわ、最悪! 砂漠でこいつだけには会いたくなかったのに……」
「ケージを守るためにも、倒しておいた方が良さそうだ」
イリアがうげっと言いたげな顔で呟き、クレスはそう言って剣を抜く。
「ケージをアイツに放り投げて、それで仕事も終わりでいいじゃん、もう!」
「行くぞ、皆!!」
「聞いとんのかい!」
真面目に依頼を遂行しようとするクレスに対しイリアはケージを囮にして仕事も終わりでいいじゃんと返すがクレスの叫びにツッコミを入れ、カイとレイが刀や剣、銃を構えるのを見て、諦めたように銃を構える。その時サンドワームも咆哮した。
「「ツインバレット!!」」
まずイリアはその場に腰を落とし、レイは走りながら二人は銃を連射し、カイとクレスはアリジゴクに落ちないように注意しながらサンドワームの側面へと回り込む。
「鳳凰天駆!!!」
宙を飛んで炎を纏い鳳凰のごとく急降下突進する奥義――鳳凰天駆がサンドワームに突き刺さり、その逆面からカイが刀を回転させて大地のマナを普段以上に刀に集中する。
「土竜乱閃!!」
刀を地面に突き刺すと同時にサンドワームの周囲から岩の槍が何本も突き出てサンドワームを攻撃する。砂漠という豊富な大地のマナがある地だからこそ出来る土竜閃の発展技だ。鳳凰天駆による体当たりをした後のクレスもその岩の上に乗ってアリジゴクに落ちないよう脱出。サンドワームは怯んだ後一旦体勢を立て直そうと地面に潜ろうとする。
「逃がすかっての!」
しかし、銃弾を放った後イリアは素早く詠唱を行っており、彼女の周囲に水のマナが集中する。
「水に飲まれなさいっ! スプレッド!!」
サンドワームを押し上げるように砂漠に放たれる水流。そこにレイが飛び上がり、空気を蹴るかのように宙を蹴る。その時、毛先が青くグラデーションがかかっている金色の髪がなびき、輝く。
「飛天翔駆!!」
宙を蹴りサンドワームをすれ違い気味に斬り裂く。クレスの鳳凰天駆の炎がないバージョンとでもいう技がサンドワームを斬り倒し、レイはそのままアリジゴクの向こう岸まで跳んだ後に素早く振り返って銃を構える。その銃には光のマナが集まっていた。
「シャイニングレイザー!!」
サンドワームを貫く光弾。その一撃にサンドワームが苦痛に吼え、さらにカイがサンドワーム目掛けて身体を捻り、足に炎のマナを纏わせ足に炎を宿させる。
「鬼炎連脚!!」
炎を宿らせた飛燕連脚。それを見たクレスもふっと微笑んで宙を舞い、身体を捻る。
「こういう感じかな!?」
サンドワーム目掛けて放たれる炎を宿らせた飛燕連脚。カイの技を見様見真似、一発で再現してみせた。
「……カイ、どいて!」
しかしクレスはさらに叫び、カイはトドメの蹴りを放った後もう一発軽く蹴りを入れ、その反動でクレスの正面から外れる。そしてクレスは炎を宿した剣を掲げた。
「鳳凰天翔脚!!!」
炎を宿した飛燕連脚から続けての鳳凰天駆。
「砂漠に炎じゃ暑いでしょ? 冷やして差し上げますわよ~?」
と、イリアが銃を交差させにししと笑ってサンドワームを見る。
「これでトドメ!! アクアレイザー!!!」
イリアから放たれる水流の弾丸がサンドワームを貫き、サンドワームは断末魔の悲鳴を上げた後動かなくなったまま、アリジゴクへと沈んでいった。
「ま、こんなもんね」
「よし。これで、ケージを安全に運べるぞ」
イリアが台詞を決めた後、クレスが安心したように微笑んでそう言う。と、イリアは「う~お~」と声を漏らした。
「……もう一仕事終わった気分になってた……しょっぱなから、ハードな仕事だわ~」
「あはは。ほら頑張ろっ」
落ち込むイリアにカノンノは苦笑しながら彼女を応援、イリアはため息をついて歩きだし、カイがケージを押し始めた。
「あ~、暑いぃ……汗で身体はベタベタするし、口は砂でジャリジャリだしぃ……」
「仕方がないよ。ここは砂漠なんだから」
「っていうか、よくその格好で平気よねえ!? 見てるこっちが暑くなるわぁ」
暑いと文句を言いだしたイリアにクレスがしょうがないよと言うと、イリアはそうツッコミを入れる。まあクレスの服装な鎧姿、確実に熱がこもる事だろう。それにクレスは「平気じゃないけど……」と呟いた後遠い目を見せる。
「……前に、今よりもっと熱い目に遭った事があるからね。少し慣れたかな」
「今より暑い? 何ソレ、どういう地獄?」
クレスの言葉にイリアが死にそうな声を上げる。とクレスはうんっと強く頷いた。
「心頭滅却すれば火もまた涼し! って、その時の連れが砂漠の真ん中でイフリートを召喚――」
「ああああいい! もういいわその話!! 聞いてるだけで暑すぎて死ぬ。死んじゃうっ」
考えるだけで暑くなりそうな話をイリアは文字通り必死の声を上げて遮る。
「うん……確かに、焼け死ぬかと思ったよ」
それにクレスもあの時は辛かった……と言いたそうな目を覗かせた。
「あ~……もう無理っ! 暑すぎるっ!! クレス、どうにかして。ほんっと今すぐ! どうにか! 死んじゃう!!」
「分かった分かった。仕方ないなぁ」
と、ついにイリアは暑すぎると叫び始め、クレスがそれを押さえるように分かった分かったと叫び、仕方ないなぁと続ける。
「へっ? 何かいい案でもあるの!?」
単なる無茶振りに対する案があるらしく言っていたイリア本人が驚きの声を上げると、クレスはこほんと咳払いを見せた。
「……イリアは、そのままそうしてイリアいい」
その時、ピシっ、と空気が凍った音が聞こえたような気がし、さらに砂漠にも関わらず寒い風が吹く。
「…………寒ッ!? やだ、何今の寒、寒~ッ!!」
ダジャレを聞いたイリアは我慢できないように走り出す。
「ちょっ……確かによく言われるからやってみたけど、そんなに?……」
そしてクレスは流石にショックを受けたように沈んだ。
「クレス、魔物だ!」
「!」
カイの声でクレスは我に返り、魔物を見る。四足歩行のコブラ、とでもいえばいいだろうピンクの鱗をした魔物――バジリスクとサボテンのような姿をした魔物――カクトゥスだ。
「「魔神剣!!」」
クレスとレイが地面を這う衝撃波をバジリスクとカクトゥスにそれぞれ放ち、そこにカイが地面を蹴ってバジリスクに突進。
「斬魔滅殺剣!!!」
突進しながら刀で突き、さらに刀を左右に薙いで後ろ回し蹴りも打ち込み、トドメに闇のマナを集中した掌底を放ってバジリスクを吹き飛ばす。
「セッシブバレット!!」
イリアの二丁拳銃から放たれる圧倒的な連射がカクトゥスを蜂の巣にした。
そして、カイがケージを押して砂漠を進んでいく時だった。
「……ァァァ……」
「ちょっとっ!! 今、何か聞こえなかった!? 呻き声みたいなの……」
突然聞こえてきた妙な音にイリアが反応し、声を上げると辺りの警戒をしていたクレスが首を傾げる。
「風のうなりじゃないのか?」
「ウ……ウ……ウゥゥ……」
「ホラ!! ケージよ、ケージの中だって!!」
クレスがそう言った瞬間また唸り声が聞こえ、イリアはケージを指差して叫んだ後、腰の拳銃に手を伸ばす。
「っか~!! やっぱ、ここで何発かブチ込んだ方が安全だって!!」
「落ち着くんだ、イリア!! 魔物が眠り薬が切れ始めているのかもしれない。変に刺激しないようにしないと。とにかく、今は急ごう。オアシスまで、もう少しだ」
「ああ。カノンノ、押すのを手伝ってくれ」
「う、うん!」
慌てているイリアをクレスが落ち着かせ、急ごうと言うとカイはカノンノにケージを運ぶのを手伝ってくれと言い、カノンノも頷くとケージを押していく。見た目こそ細身だが自分の身の丈ほどもある大剣を振り回す力の持ち主、カノンノが手伝うことでケージのスピードも目に見えて上がった。
そして、砂漠の魔物の追跡を振り切り――主にクレスがなるべく魔物がいないルートを選び、どうしてもいる魔物はレイやイリアが銃で威嚇、出来る限り戦闘を少なくした結果だ――ついに彼らはオアシスへと到着する。
「着いた……」
「ふ~……やっとオアシスね」
ふぅと汗を拭うカノンノと、精神的に疲れたと息を吐くイリア。彼女が「さっさと済ませて帰りましょ~」と言うとクレスははいはいと苦笑した。
「えっと、手順は……まず鍵を外して……そのまま開けずに、ここを去ればいいんだったね」
そう言ってクレスはケージの鍵がかかった扉に近づこうとする。と、その時ケージに魔物――バジリスクによく似ているが紋様が描かれたような身体をし、凶暴性が増しているかのような外見だ――サンドファングが四体群がった。
「しまった。魔物に!!」
それを見たクレスが剣を構える。
「ゲェッ!! まさかあんた、アレを追っ払う気!?」
その姿にイリアが声を上げる。
「向こう、こっちに目もくれてないじゃない! もうこのまま逃げりゃいいでしょ!?」
「それでは依頼を完遂したことにはならない!!」
「ああ。依頼は確実に済ませる……」
彼女の言葉にクレスは真剣な目でそう叫び、教育の賜物かカイも刀を構えた。
「な、なんつーどマジメ人間ども……絶対結婚したくないタイプ……」
依頼完遂に命を懸ける男どもにイリアは頬を引きつかせた。
「ひいいい!! なんだ、なんなんだよ!! 何が起こってるんだあああ!?」
「た、助けて、助けてくれェェェ!!!」
その時、ケージの中から悲鳴が聞こえてきた。
「あ、あの中は魔物なんかじゃない!! ヒトが入ってるんだ!!」
「なぬ!?」
「まずはあの魔物を倒す!」
はっとしたクレスの叫びにイリアが声を上げ、カイが叫ぶとイリアもようやく銃を抜いた。
「ったく、しょーがないわね!!」
そして、彼女は目を爛々と輝かせて口元に笑みを浮かべる。
「んじゃ、エンリョなくハデにいかせてもらうわよ!!」
そう叫んで空中目掛けバンバンバンと弾丸を放つ。それを聞いたサンドファング四体はようやくカイ達に気づき、頑丈なケージが邪魔する獲物よりこちらの方が楽だと思ったのかカイ達に威嚇を始めた。
「カノンノ、援護頼む!」
「オッケー!」
カイがそう言い、カノンノがオッケーと頷いて詠唱を開始するとカイは地面を蹴ってサンドファングへと突進。カノンノは自分の周りに光のマナを集中させる。
「仇なす者に、聖なる刻印を刻め! フラッシュティア!!」
サンドファングの群れの中心に刻まれる光の刻印、さらにその刻印から放たれる光の波動がサンドファングを襲った。
「閃走牙!」
下から打ち上げるように放たれる波動に耐えきれず浮かび上がったサンドファングの腹目掛けて刀を突き刺す。
「ガァッ!!」
痛みに吼え、だが反撃とばかりにカイの左肩にサンドファングが噛みつく。
「ぐぅっ!!」
こっちも痛みに唸り、だが右腕を回してサンドファングの尻尾を掴んで持ち上げるとそのまま走り出す。
「おりゃあっ!!」
そしてオアシスの泉へと身を投げ、サンドファングはいきなりの水に驚いたように口を開け、カイは左腕が固まったように動かないのを感じ取ると右手に闇のマナを集中、闇のマナを込めた掌底を相手に当てる技――滅掌破が水中でサンドファングへと直撃、しかし相手が死んだかの確認もせずにカイは右手で水をかき、水上へと上がる。
「ぶはっ! げほっげほっ!!」
幸いにして溺れる程の深さはなくカイは水上に上がって二、三度咳き込んだ後オアシスから上がる。が、彼の左腕は血の気がなくまるで石のように固まっていた。バジリスク族の牙にある石化毒によるものだ。
「わ! 卑しき闇よ、退け! リカバー!!」
カイの左腕が石化しているのに気づいたカノンノは、このまま石化毒が全身に回ると全身が石化してしまうと慌てて彼に治癒魔術をかけて石化毒を中和、左腕に血の気が戻り健康的な小麦色の肌へとなった。
「ありがとう」
「うん!」
カイのお礼にカノンノは満面の笑顔で頷き、カイはさっきの戦いの間で落とした刀を拾いに走る。その後ろの泉では気絶したのか死んだのか、サンドファングが力なくぷかぷかと浮かんでいた。
「くっ!」
クレスは剣で相手の牙を防いで押し返し、レイは彼の背中を守るように盾を構え、二体のバジリスクの牙や体重をかけてののしかかりを防ぐ。しかし防戦一方という状況だ。
「お二人さん、凍らないよう気をつけてっ!!」
と、上の方からそんな声が聞こえてくる。イリアがケージを踏み台にして二人の上空へとジャンプしたのだ。
「フリーズバレット!!」
空中で回転し、そのまま弾丸を発射。氷のマナが込められたその弾丸が地面に着弾したその瞬間、氷のマナが解放されてサンドファングを氷柱で威嚇。微量の氷のマナから作られたそれは高温の砂漠の気候も相まってすぐに消えていく。
「ありがとう!」
クレスがイリアにお礼を叫び、鋭く剣を一閃し、真空波で相手を斬る特技――真空破斬でサンドファングを斬り、レイも魔神剣を地面に叩き付け、近距離にさらに広範囲かつ強力な衝撃波を放つ秘技――剛・魔神剣でサンドファングを薙ぎ払う。さらにクレスは剣を構え直し、レイは剣を手放すと盾を右手に持ち替え、左手を腰の後ろにやってそこから銃を引き抜く。
「秋沙雨!!」
「ブレイズバレット!!」
クレスは連続突きで、レイは左右に薙ぎ払うように銃弾を連射し、サンドファングを蜂の巣にする。
これで四体のサンドファングは全て片付き、クレスはケージを見る。
「ケージを開けよう」
「契約は?」
クレスの言葉にイリアがそう返す、と、カイがケージの方に近づきながら刀を抜いた。
「俺達が受けた依頼は“魔物”をカダイフ砂漠に捨ててきてくれ。だ」
「ああ。僕達が受けたのは、“ヒト”を捨てる仕事じゃない」
「よって契約は――」
カイの言葉にクレスが頷き、カイは刀を振り上げる。
「――無効だ」
呟くと同時、刀が鍵を斬り裂き、破壊する。鍵が砂の上に落ちる、どさりという音と共にケージの扉が開く。その中から、二人のヒトがずりずりと、身体を引きずるようにして姿を現した。
「そ、そんな……どうして……」
その姿を見たカノンノが絶句する。二人の身体からは、まるで鉱石が生えているかのような状態で、しかも皮膚なども硬質化をしている。まともな人間の姿ではなかった。しかし、カノンノが絶句したのはそこではない。
「あ、あなたは以前依頼に来たジョアンさん……ですか?……」
「は、はいぃ……」
二人の内一人の姿を見たカノンノが信じられないとばかりの様子で尋ねると男性――ジョアンは力のない声で呟くように肯定する。
「何故、そんな姿に……」
「そ、それが……私達にも分からないのです……」
クレスの問いかけにジョアンが弱々しく返す。
「あの、赤い煙に触れてから、病は治って村で過ごしていたんですが……なぜかは分かりませんが、村の中にいることが酷く居心地悪く感じるようになって……村……だけじゃなく、この世に生きていること自体に……自分で、自分の存在が分からなくなって……自分が、今まで知っている自分でない気がして……そうして、次に意識がハッキリした時には檻の中でした」
「撃っちゃわなくてよかった……」
何発か銃弾撃ち込んで早く仕事を終わらせようと主張していたイリアが、中にいるのが人だったと知って危なかったとばかりにぼそりと呟く。
「私は、この異形の姿になって暴れていたらしいのです。彼、ミゲルもです。私よりも前に赤い煙に触れ、病気が治った後同じように肉体が変化し始めたんです」
「もう、村には置いておけないと……でも、確かに……俺の身体はもうヒトとは違うようだ……ヒトの中じゃ、生きていけないんだろうよ……ああ、これから俺はどうすりゃいい。ここに残って死ぬのを待つしかねえのか……」
ジョアンが説明を終えるとそれを引き継ぐようにもう一人の男性――ミゲルが呟く。
「……」
「カイ?」
と、カイが無言で彼らの前に立つ。カノンノが首を傾げて声をかけようとした時、彼の両手が突然輝かしい光を放ち始めた。そして彼が両手を二人の方に向けた後、両手を広げると二人の姿がカイの両手から放たれている光と同じ輝きの光に包み込まれ、カノンノ達は眩しい光に思わず目を閉じる。
「……」
そして光が消え、彼らはゆっくりと目を開く。
「ゲェッ!!??」
イリアが声を上げた。さっきまで鉱石が生えていたり硬質化していたジョアンとミゲルの姿が元のヒトの姿に戻っていたのだ。
「……元の姿に!!」
「元に……戻った……」
ジョアンとミゲルは驚いたように呟き、そう思うとジョアンはカイを見てその目から涙を零した。
「ああ、あなたには助けられてばかりです!!」
「あ、ありがとうございます! ありがとうございます!!」
ジョアンとミゲルは泣きながらカイにお礼を言う。
「カイ……君がやったのか?」
「……」
「黙ってたら分かんないでしょ!」
クレスの言葉にカイは無言を貫き、イリアが腰に両手を当てて叫ぶ。が、直後呆れたように額に手を当てた。
「ってかさ、アンタの力かどうかも怪しいもんだし……」
イリアがそう呟いていると、泣いてお礼を言っていたミゲルがはっとした顔を見せた。
「でも、このまま村には帰れねえぞ。帰っても、みんなにまたあの姿になると思われちまう」
「それじゃあ、僕達の船へ来てください。ここに留まるのは危険ですから」
「そうね。誰かいい知恵出してくれるだろうし。船に戻りましょ」
「そうだね。そうしよう」
突きつけられた現実に対しクレスとイリアがそう言い、カノンノも賛成する。そして彼らはオアシスを後にする。
「……」
最後尾を歩くレイは、無言のまま、ただただ黙って彼らの後をついて行った。
「お疲れ様、カイ。肉体的にも精神的にも、なかなかハードな仕事だったね。さてと……ハロルドさん」
アンジュがカイに対して労を労い――クレスとイリアはジョアンとミゲルを医務室に連れていき、カノンノは黙って依頼について行ったことについてアンジュから説教を頼まれたウィルからのお説教タイム。レイは船に戻った瞬間無言のまま甲板に座り込んでしまった――ホールに来てもらったハロルドを見る。
「赤い煙を浴びたコクヨウ玉虫、そしてジョアンさん達に起きた変化。この二つから、赤い煙が“生物変化の原因”であると確定した、と言ってもいいのかしら?」
「そうね。ただ、人を治癒したり生物変化を起こしたりする過程については分からないけど」
「……アンジュさん、あの二人はこれからどうなるんですか?」
アンジュの問いかけにハロルドがそう言うと、カイがジョアンとミゲルを心配するように尋ねる。
「あの二人の今後についてね。それは任せておいて」
それにアンジュはふふっと笑った。
「まあ、医務室へ行って、彼らと話をしてみないとね。一緒にいらっしゃい」
そう言って彼女は医務室へと歩きだし、カイもその後を追う。
「あっ、今お二人を診終わったところです」
医務室に入ると、彼らを診察していたアニーがアンジュにそう言う。
「二人とも、異常はない?」
「はい、普通の人間と特に変わった点はありません」
アニーから診断結果に異状はないと聞き、アンジュは「よかった」と言って微笑む。
「ジョアンさん、ミゲルさん、確かに今は故郷へ帰るのは難しいかもしれません。ですが、私が所属していた教会なら受け入れてくれます。あなた方さえよろしければ、そこで働いてはいただけないでしょうか?」
「いいんですか?」
「そりゃ、願ってもない事で」
アンジュの言葉にジョアンとミゲルが地獄に仏だとばかりに顔を輝かせる。
「嬉しい! ちょうど男性の働き手が欲しいと言われていたから。それじゃ、教会への紹介状を書いて、その街までお送りいたしますね」
「ああ、なんでもするよ。ありがとう。本当に、ありがとう!」
アンジュの言葉にジョアンは嬉しそうに言い、何度もアンジュに頭を下げる。
そして二人はアンジュから教会への紹介状をもらい、その街まで送られると何度も頭を下げた後、船を後にした。
「ジョアンさん達には、教会で働きながらオルタ・ビレッジの建築を進めてもらいましょう。さあ、こっちの方も忙しくなりそうね」
「それにしても、悲しい事件でしたね」
アンジュの元気な声に対し、ミントは声を落とす。
「魔物化したとはいえ、同じ村の民を捨てるなんて……」
「他に方法がなかったのでしょう」
ミントの言葉にフィリアも浮かない声で呟く。
「村人全員に被害が出る可能性があるならば、村長さんもああするしかなかったのかもしれません」
「そう……ですね……殺さず、オアシスに追放するのは、せめてもの処置だったのでしょう……でも、悲しい話です。人が人を捨てるなんて……」
「そう。だから、もう二度と赤い煙が人に接触しないようにしないとね。生物を変化させる原理は分からないけれど、原因はあの赤い煙だという事が分かったんだし」
彼女らがそう言った後、アンジュが赤い煙が生物変化現象の原因だという結論を話す。その後、ミントが口を開いた。
「赤い煙の出現は、短期間なのですよね。次はどこに現れるのでしょうか?」
「しかも、最近は星晶採掘地跡以外でも現れるという“噂”もあります。あくまで、噂の様ですが……」
「また、護衛の依頼が来るはずだし、その情報から、次にどこに行けばいいかが分かるかも。今は、それを待ちましょう」
アンジュ、ミント、フィリアはそう話し合い、その場は解散という事になった。
ふう。これでハーメルン連載小説、P4、ToLOVEる、RM3三作三日連続更新完了!!……いやまあ、だからなんだと言うわけではないんですが。こんな無茶な連載はまた連休がこない限り、来ても特に急いでやらなきゃいけない事もない&ネタが浮かばない限りしないと思います。
さて後書きの本題に入って今回は砂漠でのクエスト……今回はイレギュラーですがカイ、レイ、クレス、イリア、カノンノの五人でクエストを進めさせてもらいました。いや~今回話を進めるにはどうしてもカイとレイが必要で、まあ普通なら前衛繋がりのクレスをどけてカノンノを入れればいいだけの話なんですけどどうしても「イリアは、そのままそうしてイリアいい」をやらせたくって……結局こうなりました。
さて次回はどうしようか……ま、それでは。ご指摘ご質問ご感想があればお気軽にどうぞ。質問は些細な事でも僕に答えられるものであれば答えます……もちろん、ネタバレになるものは秘密にさせていただきますが。あと、たまに深く考えず決めたものとかまだ決めかねているものもあったりするので、そういうものも答えられないかもしれませんのであらかじめご了承ください。