テイルズオブザワールドレディアントマイソロジー3~風の青年と輝きの物語~   作:カイナ

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第三十三話 砂漠での決闘、風の青年VS創造の勇者

灼熱の太陽が照り付ける広大な砂の大地、カダイフ砂漠。カイは仲間と共にそこにやってきていた。

 

「えーっと、ここにリングスポットがあるんだよね?」

 

同行者の一人であるコハクが尋ねながら、リングスポットに宿る自然の息吹を吹き込む対象であるソーサラーリングを見る。

 

「今回目指すリングスポットは、カダイフ砂漠奥地の赤い水が湧く、“赤のオアシス”という所にある」

 

コハクの確認の言葉に対し説明を行うのはクラトスだ。

 

「だが、赤い水に不吉を感じた当時の者達が赤のオアシスに近づけぬよう壁を作り封じている。目的を果たすためにフィリアから爆弾を借りてきている。一応私が預かるが、くれぐれも取り扱いには注意しろ」

 

クラトスがそう言い、爆弾を専用の頑丈な箱に厳重にしまい込む。と、もう一人の同行者であるコレットが「ねえねえ」と話しかけた。

 

「これから行く赤のオアシスって、どんな所だろ?」

 

「大昔の人が不吉に思ったくらいだから、血の色かもしれないよ」

 

「そっかぁ~。いちごのジャムみたいな水だったらいいのにね。一杯取って、好きなだけアイスやヨーグルトにかけたり出来るから」

 

コレットの言葉にコハクが先ほどのクラトスの発言を思い出しながら言うとコレットはどこかずれたような発言を行う。と、コハクの目が輝いた。

 

「ジャムかぁ。わたしだったら、赤ミソがいいな! 赤くておいしそうなものって、他に何があるかな?」

 

「う~ん……意外と思い付かないね」

 

コハクとコレットがきゃっきゃっと談笑しながら歩き、その前をカイとクラトスが歩く。そしてクラトスの先導で赤のオアシスがある帰らずの荒野を歩いていた時、突然銃声が響いたかと思うとカイの足元に銃弾が着弾。全員が咄嗟に構えを取って銃声のした方を向いた。

 

「外したか」

 

銃声がした岩山の上に誰かが立っている。それは分かるのだが照り付ける太陽を背にしているせいで顔が分からない。

 

「テメエか、レイ」

 

だがカイがいち早く襲撃者の正体を言い当て、岩山の上に立つ襲撃者はフンと鼻を鳴らすと岩山から飛び降りてカイ達と対峙する。その姿はカイの言った通りジルディアのディセンダー――レイだった。

 

「「レイ!!」」

 

「久しいな、ルミナシアのディセンダー。そしてアドリビトム」

 

「何故お前がここにいる?」

 

コハクとコレットが驚いたように声を上げ、レイが冷笑を浮かべながら挨拶を返すとクラトスがそう問う。

 

「全てはラザリス様のお心のままに」

 

レイはクラトスの問いに対してそうとだけ答え、ギロリと眼帯で隠れていない左目でカイ達を睨みつけた。

 

「貴様らの目的は知らん……だが、ラザリス様の邪魔をする者は今ここで斬り捨てる!」

 

そして彼女はそう声を響かせ、紫色に光る刃の両刃片手剣を引き抜く。その時剣から普通の武器とは違うオーラがあふれ出す。

 

「……クラトス、コレットとコハクを連れて先に行ってくれ」

 

「いいのか?」

 

カイもすぐに刀――アトア・マタルアを抜きながらクラトスに呼びかけ、クラトスも剣を構えつつカイに問い返す。

 

「俺達の目的はソーサラーリングの強化だ。それに、もしこの先で何かあった時にコレットとコハクを確実に守れるかと考えたら俺よりクラトスが行った方がいい……勝てなくても、三人が戻ってくるまで時間稼ぎすればいいだけだ」

 

「……承知した」

 

カイの冷静な判断を聞いたクラトスは静かに頷き、「だが」とカイに返す。

 

「レイの持つ剣に注意しろ……あれは恐らくエクスカリバー」

 

「……なんだそれ?」

 

「世界に一つと言われる名剣の一つだ……その力は既存の武器と比べ計り知れぬ力を持つと言われている」

 

「……了解。気を付ける」

 

カイとクラトスはそう会話し、カイは刀を右手に順手で構え、左手に短剣を逆手で構える。

 

「なるべく急ぐ。この場は任せたぞ!」

 

そしてクラトスが合図を出し、カイ以外の三人は急ぎその場を走り去った。

 

「作戦会議は終了か?」

 

「待ってくれてありがとよ」

 

律儀にカイとクラトスの話し合いが終わるまで待っていた様子のレイにカイも挑発するような笑みを浮かべて返す。

 

「なに、気にするな……我の目的はルミナシアのディセンダー、貴様一人だからな。奴らには興味もない」

 

そう言い、レイは左手に握った銃をカイに向ける。

 

「ルミナシアのディセンダー。貴様はここで死ね」

 

そして帰らずの荒野に一発の銃声が響き、同時に風が強まり砂が吹きすさぶ。その中、カイが立っていた場所に見える影がばたりと倒れた。

 

「……」

 

だがレイは油断する事なく左手に銃を握ったまま、エクスカリバーを地面に突き刺して背負っていた盾を右手に握り、辺りの気配に気を配る。すると彼女の背後の砂が突如爆発したかのように飛び散り、そこからカイが飛び出すと右手に握る刀でレイに斬りかかる。その時砂嵐が止み、先ほどカイが立っていた場所に砂で埋もれかけている木が倒れているのが見えた。

 

「!」

 

カイが背後から斬りかかるのに対してレイは振り返りながら盾を突き出し、その刃を防ぐ。そしてお返しだというように銃口をカイに向けるがカイは刀が防がれた瞬間すぐさま距離を取っており、銃弾も危なげなくかわしながら刀を鞘に収めて両手を組み印を組む。

 

「影分身の術!」

 

己のマナを具現化し、そっくりな分身を作り出す技――影分身の術。それを使い己を含め三人に増えたカイは散開し正面と左右からレイに突進した。

 

「面倒な」

 

レイはちっと舌打ちを叩いてそう呟くと接近戦のため銃をホルダーにしまい、地面に突き刺していたエクスカリバーを引き抜いて構える。

 

「影走斬!」

 

一番最初に斬りかかるのは正面から突進してきたカイ。彼は一気に加速してすれ違いざまに居合斬りを狙ってくるがレイはそれをエクスカリバーで受け止めて鍔迫り合いの形に持っていく。

 

「もらった! 鬼炎斬!」

 

「!」

 

その後ろから右から回り込んできたカイが刀を掲げて飛びかかり、その刃に炎を纏わせて振り下ろすがレイは左手に握る盾を後ろに突き出して刀を受け止める。

 

「隙あり! 閃走牙!」

 

そこに左から回り込んだカイが肉厚の短刀グラディウスを手に突進、ナイフを突き立てんと迫る。

 

「くっ!」

 

「な!?」

 

だがレイは正面のカイ向けて踏み込んで頭突きを入れ、相手が怯んだ隙にタックルを入れて吹っ飛ばしつつ自らも移動。無理矢理にナイフをかわしつつ倒れ込んだ正面のカイの顔面を力いっぱい踏んづけて追撃する。

 

「まだだ!」

「ふんっ!」

 

そこに背後からかかってきたカイが迫るが、レイは盾をぶん投げて相手を怯ませ、その隙に体勢を立て直す。

 

「……流石だな。三人の同時攻撃くらいならいなすか」

 

カイがグラディウスを手で弄びながら呟く。どうやら彼が本物のカイのようだ。

 

「なら……こいつでどうだ?」

 

再び印を組むカイ。その横にさらに四人のカイが出現し、顔を踏んづけられたダメージで消滅したカイを除いて合計六人となる。

 

「倍になれば攻撃が通るとでも?」

 

それに対し、レイは綺麗な顔に冷たい笑みを浮かべ、エクスカリバーを向ける。

 

「ならばかかってこい」

 

「言われずともな!」

 

レイの言葉に返すようにカイが声を上げると共に、カイ達は一斉に何かを投擲。レイの周囲に着弾したそれは一斉に煙を巻き上げて彼女の視界を奪う。

 

「煙玉か……小細工を」

 

毒を混入させている可能性もあるため、毒や麻痺などの治癒作用がある薬――キュアボトルの液体を口に含みつつレイは辺りの気配に意識を集中する。

 

(煙の中走り回る気配……なるほど、どれが本物か分からなくさせる策か)

 

レイは気配を感じつつ、カイの作戦を読む。

 

(愚策だな)

 

そして口元に失笑を浮かべ、煙を破って正面から襲いくるカイを見る。

 

「分からぬのならば――」

 

四方八方からレイに刃を向けるカイとその分身。それを見ながらレイは好戦的な笑みを口元に見せ、同時に彼女を圧倒的なオーラが包む。限界突破(オーバーリミッツ)だ。

 

「――全てを叩き潰すのみ!」

 

右手に握るエクスカリバーを地面にざくりと突き刺す。その時光で形成された円形の魔法陣が彼女を中心として地面に描かれ、その魔法陣から放たれる光の奔流が周囲のカイを一斉に空中へと押し上げる。

 

「秘奥義」

 

引き抜いたエクスカリバーにその光の力が纏われ、レイは跳躍。目の前にいるカイに向けて剣を振り上げる。

 

「龍虎――」

 

剣を振り下ろし、正面のカイを斬りつけながら落下。

 

「――滅牙斬!!!」

 

エクスカリバーが地面に当たると同時に力が解放され、まるで光の竜が天に昇るかのような衝撃が周囲を襲う。その光が止んだ時レイの周辺、先ほどまで光の魔法陣が敷かれていた場所は砂が吹き飛び、クレーターのような形になっていた。

 

「……逃がしたか」

 

「っぶねぇ……」

 

だがそのクレーターのギリギリ外にカイは立っており、同時に彼を纏う圧倒的なオーラが消え去る。彼女が秘奥義を放った瞬間、彼も限界突破(オーバーリミッツ)を行なってギリギリ彼女の攻撃を回避していたのだ。

 

「影分身の術。己のマナを具現化し、分身を作り出す。だがその弱点として己のマナを分身に分け与えるため個々の戦闘力が下がってしまう」

 

「チッ、よくご存じで」

 

「見ていれば分かる」

 

レイの分析にカイは舌打ち交じりで返答。レイもそうとだけ返し、カイは左手で頭を押さえ、ややうつむきながらため息をつく。

 

「押さえ込んでアドリビトムまで引きずっていこうかと思ってたんだが、無理か」

 

目を閉じてそう呟くカイ。すると彼は目を開き、鋭く研ぎ澄ませた。

 

「ここからは全力で叩き潰す」

 

「望むところだ」

 

カイがそう言って身体を右半身を前にするように構えて右手に握る刀を順手で構えると、レイも右手に剣を左手に盾を握り、盾を前方に突き出すように構えながら答える。そしてカイの体勢が前かがみになると、突如彼の足元の砂が爆発したように後ろへと飛び散り、同時に彼の姿がレイの視界から消える。だが彼の姿が消えるのと同時にレイは振り返り、その直後カイの握る刀がレイ目掛けて真正面から振り下ろされる。しかしレイはそれを盾で防いだ。

 

「チッ」

 

舌打ちを叩くカイ。だがレイは剣を振り上げ、力強く振り下ろす。

 

「剛・魔神剣!!」

 

「曼珠沙華!!」

 

剣が地面を叩き、衝撃波を発生。だがカイは宙を舞うように飛んで衝撃波をかわし、逆に炎のマナを込めた苦無を投げつける。それをレイは盾で防ぎながら、重力に従って落下するカイ目掛けて突進。

 

「甘いな」

 

だがカイは影分身の術で分身を生み出し、さらに印を組む。

 

「影幻術・鳥」

 

彼が呟くと同時に影分身は黒い大きな鳥の姿に変化。レイ目掛けて突進する。

 

「なっ!?」

 

レイは足を止めて影鳥のかぎ爪による攻撃を盾で防ぐ。だがその間にカイは着地して体勢を立て直し、同時に影分身は霧散。そのマナがカイの元へと戻っていく。そして間髪入れずにカイは右手に逆手で刀を握り、砂を蹴ってレイに斬りかかった。その時刀に炎が宿る。

 

「火車落とし!」

 

「つっ!」

 

回転し、遠心力によって威力を高めた炎を宿す斬撃を盾で防ぐレイだが、カイはそれくらいは読んでいたのか防がれると同時に短剣を抜き、防御の隙間から突き刺そうと迫る。

 

「くっ!」

 

レイも咄嗟に身を翻して短剣をかわし、盾を押し込んでカイを怯ませる。カイは盾に押されて、レイはその隙に体勢を立て直すために一旦バックステップを踏み、距離を取る。そしてカイは右手の刀を逆手で、左手の短剣を順手で握り、レイは左手の盾を前に突き出しつつ右手のエクスカリバーを構え直す。そして再び砂の爆発と共にカイの姿が消え、そう思うとレイの目の前へと現れる。

 

「はぁっ!」

 

「ふっ!」

 

カイが左手の短剣を突き出し、レイはそれを盾で防ぐ。直後カイは右腕を振り上げ、刀の切っ先を盾の後ろのレイに向けて振り下ろした。

 

「くっ!」

 

直後レイは剣をカイの手首目掛けて振るい、彼の手を斬り飛ばそうとする。しかしその刃は彼の手首に巻かれているリストバンドにガギンという固い音と共に阻まれた。

 

「なっ!?」

 

「危ない危ない。リストバンドに鉄製の暗器を仕込んどいて助かった」

 

レイが驚愕に固まった瞬間、カイはそう呟きながらすぐに刀を手放して懐に潜り込む。

 

「しまっ!」

 

レイも動き出すがもう遅く、カイは素手に闇のマナを集中。

 

「滅掌破!」

 

「ぐふっ!?」

 

素手をレイの腹に押し当て、闇のマナを解放。装備している鎧越しに衝撃が伝わり、レイは盾から手を離して吹き飛ばされる。が、げほげほと咳き込みながらも彼女は銃を抜き、短剣を右手に持ち替えて突進してくるカイに向けて乱射。彼の足を止める事に成功した。

 

「「……」」

 

カイとレイは睨み合い、カイはさっきの攻防の間に投げ捨てた刀を拾いながらレイの盾に砂を蹴りかけて盾を砂に埋め、レイはその間に銃の弾をリロードする。

 

「ヒートバレット!」

 

先手を打つのはレイ。前方に振り払うように銃弾を連射してカイを狙うが、カイはその銃弾を見切って全てかわし、二刀を手にレイへと斬りかかる。

 

「甘い!」

 

だがレイは右手の刀の斬撃をエクスカリバーで受け、すぐさま銃口を近づいているカイへと向け、同時にカイも短剣をレイの顔目掛けて突き出す。

 

「「っ!」」

 

カイの突き出した短剣が顔を横に逸らしてかわしたレイの頬にかすり傷をつけ、レイの放った銃弾が顔を横に逸らしてかわしたカイの髪にかすって髪の先端を削り取る。

 

「やってくれるな!」

 

「こっちの台詞だ!」

 

レイとカイは互いに吼え、同時に二人は再び限界突破(オーバーリミッツ)を行う。その時に発生した衝撃波に互いが吹き飛ばされ、再びやや距離が開く。

 

「はあああぁぁぁぁっ!!」

「うおおおぉぉぉぉっ!!」

 

パンパンッと銃弾を撃って牽制しつつレイが突進し、それに怯むことなく銃弾をかわしながらカイも突進する。その時カイの刀に炎が走る。

 

「鬼炎斬!」

 

「剛・魔神剣!!」

 

炎を纏って横に振るう刀と勢いよく振り下ろされた剣がぶつかり合い、衝撃で周囲の砂が飛び散る。その直後レイは銃をカイに向けるが、カイも左手の短剣でその銃を弾き、放たれた銃弾がカイの頬を掠って砂に着弾する。

 

「はっ!」

 

銃を弾いた後にカイは短剣をレイの足元に投擲、レイも素早く動いて短剣をかわすが、直後砂地に地のマナが集中する。

 

「朧土乱!!」

 

「くっ!?」

 

次々と突き出る岩の槍にレイはたまらずバックステップを踏む。だが連続攻撃をギリギリで回避したためか体勢を崩している。

 

「これで決める!」

 

その機を狙い、カイが刀を握り直して突進。その時刀に光が宿る、その正体は呪力。刀を敵の肉体のみならずドクメントを直接傷つける必殺の刃へと変貌させる力だ。

 

「封魔九印剣!!」

 

レイ目掛けて放たれる呪毒宿す刃。高速で迫るそれをレイはじっと見つめる。

 

「はぁっ!」

 

そしてエクスカリバーの一閃で刀を逸らす。それにカイは目を見開くが、すぐに二の太刀を放った。

 

「させんっ!」

 

だがレイはそれも防ぎ、さらにカイは刀を手元に戻した直後レイの首を狙って突き出すがそれをも弾く。カイの剣劇に完全に対応していた。

 

「まだ、剣術ならば我の方が上だな」

 

「チッ」

 

レイの言葉にカイは舌打ちを叩くが、そこで彼はレイの左手に握る銃に魔法陣が展開されている事に気づいた。

 

「いつ、我の秘奥義が剣のものだけだと言った?」

 

「しまっ!?」

 

レイの不敵な笑みでの言葉にカイが声を上げるが、その時にはレイは銃口をカイに向けていた。その時、魔法陣が光を放つ。

 

(クロス)バスター!!!」

 

「ぐああああぁぁぁぁぁっ!!!」

 

魔法陣が敷かれた銃口から光の波動が放たれ、それに呑み込まれたカイの悲鳴が響き渡る。

 

「く……」

 

光の波動が止んだ時カイは傷だらけになって倒れており、レイはそれを見降ろしながらニヤリと笑って彼へと近づく。

 

「死ね、ルミナシアのディセンダー」

 

そう言い、レイはエクスカリバーを振り上げる。

 

「エンジェルフェザー!!」

 

「っ!?」

 

その時突如彼女に光輪が襲い掛かり、レイは咄嗟に飛び退いてその攻撃をかわす。

 

「魔神剣・双牙!!」

 

更に追撃するように二発の地を這う衝撃波がレイを呑み込まんと迫り、その二つをかわすためにさらにバックステップを踏む。

 

「カイ! しっかりして!」

 

その隙にコハクがカイへと駆け寄り、治癒術を使ってカイの治療を始める。

 

「どうやら間に合ったようだな」

 

「レイ、一緒にアドリビトムに帰ろ?」

 

そしてクラトスがレイの前に立ちふさがった。その横にコレットも立ってレイの説得を開始する。

 

「我は既に貴様らと袂を別った身……ラザリス様を裏切るわけにはいかん」

 

だがレイはコレットの説得を一刀両断する。

 

「今我がすべき事、それはルミナシアのディセンダーの抹殺だ」

 

「ならば、まず私達を倒してみるのだな」

 

レイの言葉に対し、クラトスが剣を突きつけながら威風堂々とレイに言い放つ。その横でコレットとコハクは悲しそうな目を向けつつも、カイがやられるのならば黙ってはいられないのか構えは崩していなかった。

 

「……チッ」

 

人数による形勢の不利を考えたか、レイはエクスカリバーを地面に叩きつけその衝撃波で砂を舞い上がらせると己の身を隠す。そして舞い上がった砂が全て消えた時、レイの姿は消え去っていた。

 

「……行ったようだな。だが念のため私が警戒を行う。コレット、カイを頼むぞ。コハクはコレットとカイの護衛に回れ」

 

「うん!」

「分かりました!」

 

クラトスはレイの気配が消えたことを確認しつつもまだ警戒は緩めずに二人に指示、コレットは頷くとカイに肩を貸し、コハクも二人につく。そのまま四人は砂漠を後にしていった。

 

 

 

 

 

「お疲れ様。これでまたリングの効果が上がったね。キール君、新しい効果がどんなものかわかるかな?」

 

バンエルティア号に戻って報告を行った時、まずアンジュは砂漠から帰ってきた四人を労わり、次にソーサラーリングをコハクから預かったキールに対してソーサラーリングに宿った効果を尋ねる。それに対しキールはソーサラーリングを確認して、アンジュの方を向いた。

 

「そうだな、今のリングの能力は……魔物に向かって撃つと、わずかな間だが相手の動きを止める事が出来るはずだ。あとは……火の力が強まっているな。雪の塊くらいは溶かす事が出来るかもしれないぞ」

 

キールの報告を聞き、アンジュは「そういった環境の所では活躍しそうね」と結論を出す。

 

「それにしても、まさか砂漠にレイがいたなんて……という事は、ラザリスも砂漠に?……」

 

「確証はないがな」

 

アンジュはかつての仲間であり、今はジルディアのディセンダーとしてアドリビトムと敵対する立場にあるレイの事を考え、彼女の主であるラザリスも今は同じ砂漠にいるのだろうかと考える。それについてクラトスが冷静に述べると、アンジュもこくりと頷いた。

 

「とりあえず、カダイフ砂漠については注意しておくべきかしらね。まあ、それはおいおい考えるとして」

 

そう呟いた後、アンジュはにこっと微笑んだ。

 

「それじゃ、今回もご苦労様。また仕事を受けに来てちょうだい……ああ、カイはちゃんと診察を受けるようにね?」

 

「分かってますよ」

 

アンジュの言葉にカイは苦笑交じりに答え、それから各自解散、カイは医務室の方に歩いて行った。

 

 

 

 

 

一方、カダイフ砂漠。

 

「へぇ、ディセンダー達が砂漠にねぇ」

 

「はい。目的は分かりませんでしたが……」

 

レイから報告を受けたラザリスの言葉にレイは目的が分からなかった事も報告、申し訳なさそうに頭を下げる。だがラザリスは「別にいいさ」と答えた。

 

「今、ボクがするべきなのは彼らにとって住みやすい世界へとルミナシアを変える事。今はここだけしか変えれていないけど、いずれはルミナシアの全てをボクの住人の理想郷に変えてやる。ふふ、ふふふふふ……」

 

そう言い、ラザリスはふふふふふと笑い始めた。




《後書き》
こんにちは、今回も前回から約二か月ぶりです。
今回はソーサラーリングクエストですが、大半カイVSレイになってました。レイの原作秘奥義を二つとも出せて満足です。ちなみにレイの原作秘奥義は剣士とガンマン(武器が剣と銃だから)の二つをそれぞれ持ってますが、カイは原作秘奥義は忍者オンリーです。別に短剣持ってるから盗賊とか、体術できるから格闘家とかはありません。忍者オンリーです。
さて次回はどうするか。一応次ストーリーどうするかは決めてはいるんですけど、息抜きの日常編みたいなそういうのを入れようかと迷っています。まあ、そこはまた後で考えるとしましょう。
では今回はこの辺で。ご指摘ご意見ご感想はお気軽にどうぞ。それでは。
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