テイルズオブザワールドレディアントマイソロジー3~風の青年と輝きの物語~ 作:カイナ
バンエルティア号の甲板。そこには一つずつなら成年男性が二人くらいいれば持ち上げられそうな大きさのコンテナが数多く積み上げられており、アンジュの指示でそれに倉庫への運び込みを命じられた男性陣の一人――スパーダがコンテナを見上げる。
「で、何か一杯荷物が来てるな。こりゃあ、何だ?」
「ツリガネトンボ草の進化種です。協力してくれた皆さんの手で集められたものなんですよ」
スパーダの言葉にロックスがそう説明、「本来なら探すのに時間がかかりそうな希少種もセキレイの羽の方々が率先して探し出してくれてます」と補足する。
「皆さんで、一つの目標に向かって。この世界を守る為に……」
「へえ、そりゃすげーな」
感慨深そうに呟くロックスにスパーダがにっと笑う。するとその横で聞いていたティトレイも快活に笑って右腕をぐるぐると回した。
「うっし! んじゃあとっとと運び込むとすっか!! ロイド、そっち持ってくれ!」
「おう!」
ティトレイは近くにいたロイドと一緒にコンテナの一つに近づき、互いに向かい合わせになるようにコンテナを持つと「「よいしょっと!」」と合図も兼ねて声を出すと力を込めてコンテナを持ち上げ、軽々船の中に運んでいく。カイルやシングなどの若い青年メンバーが次々と後に続いた。
「カイ、この依頼書を討伐のファイルに入れといてくれる?」
「分かりました」
「えっと、カノンノ。この依頼なんだけど。たしか依頼人が欲しがってる物が倉庫に保管されてたと思うから、この整理が終わった後でロックスに確認してもらえる?」
「はい!」
ホールでアンジュはギルドに届けられた依頼の整理を行っており、カイとカノンノもその手伝いに勤しんでいた。
溜まっていた仕事をてきぱきとこなし、カノンノがロックスに確認して依頼人の欲しがっていた物を倉庫から取り出して郵送の準備を行ったのを最後に仕事は終了した。
「カイ、ちょっといいかしら?」
するとそこにジュディスが声をかけてくる。と彼女はカイの隣に立つカノンノを見て微笑を浮かべた。
「あら、カノンノも一緒だったの? ごめんなさいね? 二人の時間を邪魔しちゃって」
「ふえ!? べ、別にそういうのじゃ、それにアンジュさんだって一緒だし……」
「何か用か?」
ジュディスのイタズラっぽい声での言葉にカノンノが慌て出すが、特に意識していない様子のカイの言葉にぷくぅとほっぺを膨らませてジト目でカイを睨み、アンジュが苦笑する。が、ジュディスは構わずに話し始めた。
「ヴェラトローパの壁画の事、覚えてる?」
「レディアントか?」
ジュディスの確認にカイはすぐに頷く。ヴェラトローパでの調査の中、壁画に描かれたルミナシア創造の歴史、その中に刻まれていたディセンダー専用の輝ける光器――レディアント。それの事をカイはよく覚えている、と頷く。
「あれから、何度かヴェラトローパへ行って、あの壁画の情報を読んで、レディアントがある場所がわかったの。どう? そのレディアントを見に行きたくない?」
「面白そうだな」
ジュディスの提案にカイがこくりと頷く。と、カノンノも目を輝かせた。
「はいはい! 私も行きたい!」
右手を挙げ、ぴょんぴょんと飛び跳ねながら同行を希望するカノンノ。その無邪気な姿にジュディスもふふっと微笑み、カイはアンジュを見る。
「アンジュさん、いいですか?」
「ん~……ま、少しくらいなら大丈夫でしょ。じゃあ三人とも、行ってらっしゃい」
アンジュも快く外出を承諾、行ってらっしゃいと優しく手を振って彼らを見送る姿勢を向ける。
カイとカノンノはジュディスに念のためと言われて武器や防具、アイテムをしっかり準備してからバンエルティア号を出ていった。行先はそのレディアントの情報を手に入れたヒトの祖の遺構――ヴェラトローパだ。
「ヒトの祖が、ソウルアルケミーによって生み出した、光纏う者に送りし輝ける光器、レディアント……きっと、この奥で真の主を待ち続けているはず」
「行こう。レディアントに会いに」
ヴェラトローパに足を踏み入れ、ジュディスがそう口にする。カノンノも気合充分に、希望に目を輝かせてジュディスに続いた。
以前ヴェラトローパを調査していた時に入った地下道へと入り、カイ達はヴェラトローパの最奥へと歩む。と彼らの行く手を阻むように白い体毛に覆われた巨人のような獣――ジャバウォックが立ちはだかった。
「前哨戦にはちょうどいいな」
ヴォオオオオオ、と吼えるジャバウォックを見ながらカイは不敵な笑みを浮かべて刀を抜き、カノンノも大剣を構え、ジュディスも槍を構えると宙を舞うように跳び上がる。
「せあっ!!」
人の数倍どころか数十倍はある巨体を誇るジャバウォックの顔面目掛けて跳び上がったジュディスは、その顔面に目掛けて槍を大きく振り下ろし、先手を狙う。
ザン、と顔を斬られたジャバウォックも苦痛に喚いて右腕を振り上げ、ジュディス目掛けて振り下ろそうとする。
「させないよ! エアスラスト!!」
しかしそれを許すまじとカノンノが魔術で援護、ジャバウォックの右腕付近に突然出現した風の刃で相手を牽制し、その隙にジュディスはジャバウォックの顔面を蹴ると華麗に宙を舞いジャバウォックから距離を取る。
「火車落とし!」
そこにカイが地面を蹴って跳び上がり、勢いに乗って回転。炎を纏った刀でジャバウォックの顔面を勢いよく斬りつけた。斬撃のみならず炎の熱が襲い、ジャバウォックが悲鳴を上げて倒れ込む。
「カノンノ!」
「任せて! 氷結は終焉、せめて刹那にて砕けよ!! インブレイスエンド!!!」
カイが指示を送り、カノンノも頷くと詠唱。水のマナがカノンノの周囲に集まり、それが急激に解放されるとジャバウォックの頭上に巨大な氷塊が出現。一気に相手を押し潰した。その氷が砕けた時、ジャバウォックは息絶えていた。
「……行くぞ」
死にゆくものへの黙祷を捧げ、カイ達は最奥へと歩みを進める。さらに軟体の身体に触手を持つ魔物――メデューサローパーや、長いくちばしを生やした二足歩行の魔物――ゲオプシティスが襲い掛かってくるがその全てをなぎ倒しながらカイ達は進んでいく。
地下道から上がり、さらにその先へ。一時的に遺構から出る形になり、青空が広がるそこはかつてニアタと再会した場所。ヴェラトローパの最奥と言っていいそこに黒い何かが、遠目からでも分かる程に凄まじい存在感を示す装備を身に纏って立っていた。
「いたね。あれがきっと輝ける光器、レディアント……でもあの黒いのは何?」
その姿を見たカノンノが呟き、しかし装備を身に纏う黒い何かはなんだろうと不思議そうな顔を見せる。するとジュディスがカイに「前にも言ったでしょう?」と話しかけた。
「レディアントは、ディセンダー以外の手に渡らないよう、ヒトの祖が作った人工精霊がまとっている、って」
彼女は「レディアントを手に入れる為には、その人工精霊と戦って、ディセンダーとしての力を示さなければならないでしょうね」と仮説を述べる。
「……どう? もちろん挑むんでしょう?」
「聞かれるまでもない」
ジュディスの一応念のため、という様子での質問にカイも即答。ジュディスはふふ、と微笑んだ。
「それじゃ、行きましょう」
ジュディスの言葉を合図に彼らは一斉にレディアントを纏う人工精霊へと近づく。すると人工精霊もカイに気づいたように彼を真っ直ぐに見た。カイもまた相手を真っ直ぐに見返す。
赤色を基調に黄色が縁取るような形になっている頭巾や東洋風の衣装、真っ直ぐに伸びた刀は標準的な刀のような長さだが根元からもう一本の刃が短く伸びているのが特徴的だろう。その姿は今のカイが職業としている忍者というイメージだ。
――光……光 マトイシ モノ……世界樹 ノ マナ ノ 輝キ……世界樹 ノ 夢 タル ソノ御姿……
人工精霊――仮にレディアント忍者と呼称しよう――から聞こえてくるのは男性とも女性とも、若いとも老いているとも分からない不思議な声。
――ワタシ ハ ソノ光 ヲ 待チイタリ……
すると、突然声の調子が変わる。いや、変わるというよりも先ほど男性とも女性とも分からないと表現したその声が明確に男性と女性のものに変化、そしてそれが二重に聞こえてきたのだ。
「「「!!!」」」
カイ、カノンノ、ジュディスが驚きに目を見開く。突如レディアント忍者の身体がぶれたかと思うと、その隣にもう一体全く同じレディアント忍者が出現したのだ。違う部分と言えば、先ほどまで見ていたレディアント忍者がどことなく男性的だとすれば突然現れた方はどこか女性的な雰囲気を感じるくらいである。
――アナタ ノ 影 ニ ナル為ニ……ツインソウル デ 顕現 シマス
「ツインソウル……」
レディアント忍者の言葉を受けたジュディスがすぐにレディアント忍者から情報を読み、得心したように口を開く。
「レディアントは、男性的なソウル、女性的なソウルで構成された人工精霊のようよ……その為、男性、女性の二つの面を持っているの」
ジュディスはそう前置きをし、「それら二つの面を分離して、二体になって現れる」と続ける。
「と、いうことは……」
「そう、カイはその二体と戦う事になるわね……」
カノンノの言葉にジュディスがそう答えると、カイは冷や汗を流しながら構えを取る。ディセンダー専用の武器を守る人工精霊、実力は未知数だが少なくとも一蹴出来るほど弱くなどないだろう。それが二体というのは相当の試練になる、と彼は直感した。
「……」
「カノンノ!?」
しかしその隣にカノンノが立ち、大剣を構える。それにカイも驚いたように声を上げた。
「に、二対一なんてさせられないよ! 私も一緒に戦う!」
ふん、と気合を入れるカノンノ。男性型レディアントも女性型レディアントも気にしていない様子で、カイとカノンノ双方を敵と認識したように構えを取る。
ジュディスは戦う気はないのか、もしもこの戦いに反応した魔物が来てこの試練の邪魔をしないようにこの間の入り口までひとっとびしてそっちの警戒に回っていた。
――苦無閃
「苦無閃!」
男性レディアントが苦無をどこからともなく取り出して投げつけると同時、カイも懐から苦無を取り出して投げつけ、空中で撃ち落とす。
――刹月華
「っ!?」
が、そこに女性レディアントが刀を手に距離を詰め、斬りかかる。男性レディアントの投げた苦無に気を取られていたカイはその速さに対応できなかった。
「させないよ!」
しかしカノンノがそこに割って入り、大剣で相手の刀を防ぐ。
「カイ、こっちは任せて!」
「任せた!」
そしてカイとカノンノはそれぞれ自分と同性のレディアントを相手する事に決め、各々の相手へとかかっていった。
「影走斬!!」
地面を蹴って一気に加速、すれ違いざまに渾身の斬撃を叩き込む秘技――影走斬を男性レディアントは手に持っていた刀で防ぎ、そのまま受け流して無傷でやり過ごす。しかしそのまま男性レディアントは振り向きながら左手を曲げる。その手にはいつの間にか苦無が握られていた。
――苦無閃
投げられた苦無が空気を裂いて一直線にカイ目掛けて突き進む。背中を向けていたカイは振り向いて苦無が向かってくるのを確認すると咄嗟に伏せて攻撃を回避。
――火車落とし
しかし伏せたカイの頭上に突如男性レディアントが出現、炎を纏った刀を構えて高速で回転しながらカイ目掛けて空中から襲い掛かった。
「くっ!」
カイは前に飛んで空中からの強襲を回避、体勢を立て直しながら相手の方を向き刀を構え直す。しかし男性レディアントも油断なく構えを取っており、やはり一筋縄ではいかないとカイは気を引き締め直した。
「やああぁぁぁっ!!」
一方カノンノは女性レディアント目掛けて大剣オータムリリィを振るい、振り下ろしたそれを女性レディアントは身軽な動きで回避。外したオータムリリィは床目掛けて振り下ろされ、岩片を辺りにまき散らした。大剣そのものによる攻撃以外にも爆砕斬による追撃を彼女はもくろんでいたのだ。
――土竜閃
しかし女性レディアントは身軽な動きでそれをかわしつつ、地面に刀を突きたてる。と同時にカノンノ目掛けて数本の岩槍が突き出、彼女を串刺しにせんと迫ってきた。
「えいっ!」
咄嗟にオータムリリィを横に振り回し、迫ってくる岩槍を破壊する。
――影走斬
「わっ!?」
しかしそこに間髪入れずに女性レディアントは突進、至近距離から渾身の一撃を叩き込む。咄嗟にオータムリリィを盾にする事が間に合ったが、少しでも遅れていたら直撃をくらっていたとカノンノは冷や汗を流す。
((――強い))
少なくとも一対一では勝ち目がない。それほどに強い敵だとカイとカノンノは同時に直感した。
――刹月華
――鬼炎斬
男性レディアントが刀の斬り払いと回し蹴りのコンビネーションを、女性レディアントが炎を纏った刀での十字斬りを繰り出し、カイとカノンノはその攻撃を防ぎつつ後ろに下がる。相手が防戦一方になったと判断したレディアント二体はさらに追撃を選択、二人はそれを刀と大剣で防ぎながら数歩ずつ後ろに下がる。
と、二人の背中に同時に何かがとんっと当たり、そこにレディアント二体が刀を左から右へと横薙ぎに斬りつけた。
「「せえ――」」
それをカイとカノンノは己の武器で相手の刀を防ぎながら、横薙ぎの勢いを利用して左へ、正確には円を描くように左後ろへと動きつつ反時計回りに回転。
「「――のっ!!!」」
――!?
――!?
そして背中合わせになっていたカイとカノンノは回転して位置を入れ替えながら刀と大剣を振り下ろす。その斬撃がレディアント二体に直撃し、二体がたまらず後退するが二人は追撃を行わずに顔を見合わせた。
「カノンノ! 五秒稼いでくれ!」
「了解!」
この一瞬の指示の間に二体は既に体勢を立て直し、かかってきている。
機動力を武器とする二体にどちらかといえばスピードよりもパワーを重視したカノンノは相性が悪い。たった五秒でも、一体相手で分が悪い敵を二体も相手し、なおかつカイを守るのは至難の技である。
「やあっ!」
まず向かってくる、カイ目掛けて刀を振り下ろしてきた女性レディアントを、何かの術を使おうとしているのか印を組んでいるカイが少しでも姿勢を低くしたギリギリ上をカノンノがオータムリリィを横薙ぎに振るい牽制。その圧力で女性レディアントの動きを一瞬止める。
「てあっ!!」
続けて自分目掛けて突進してきた男性レディアントに片足を上げてカウンターキックを叩き込む。
――飯綱落とし
そこに真正面から無理ならと女性レディアントが上空から縦回転斬りで強襲を仕掛けてくるが、それをカノンノはジャンプしながら斬り上げ、続けて斬り下げでの追撃を決める特技――虎牙破斬の斬り上げで防ぐ。
「見よう見まね――」
カノンノの背後からカイ目掛けて斬りかかる男性レディアントをカノンノは見据えながら足を構える。
「――崩襲脚!」
そして斬り下げの代わりというように捻りを加えた蹴り下ろしで男性レディアントを蹴り飛ばした。
「忍法――」
そこで五秒が経過。カイの印も組み終わる。
「――影分身!」
己の中のマナを具現し、三体の分身を作り出す。本体と合わせて合計四体となったカイは二体ずつに分散して二体のレディアントに相対した。
「カイ、お願いね!」
「任せろ!」
カノンノは大剣を自分の横に立てかけ、右手を挙げる。それと共に周囲のマナがカノンノの周りに集まっていき、彼女の口からは不可思議な呪文が紡がれ始める。前衛はカイとその分身が担う、となればカノンノは魔術での援護を行うのは当然のコンビネーションだ。
カイの本体と分身Aが男性レディアントに、残る分身Bと分身Cが女性レディアントに攻撃開始。その間にカノンノは詠唱を開始した。
――鬼炎連脚
女性レディアントの右足に炎が宿り、その足による回し蹴りから続けてこちらも炎を纏った左足による後ろ回し蹴りに繋げ、さらに宙を待っての右足跳び回し蹴りからの左足後ろ跳び回し蹴りへと繋げる。
それを分身Bは左腕一本で受けつつ右手に闇のマナを集中。最後の左足後ろ跳び回し蹴りまで左腕一本で耐えきった。レディアントの得意技は自分も得意とする技、ならばこの四連続蹴りが終わった瞬間隙を見せるという癖もまた同じはず。そう言わんばかりに彼は四連続の蹴りを耐えた瞬間右手を突き出した。
「滅掌破!」
――!
放たれる掌底と同時に解放された闇のマナの爆発。その一撃を胸部にくらってしまった女性レディアントは僅かに怯みつつも刀を構え直し、逆に今度は爆発の反動で一瞬動きが止まった分身B目掛けて斬りつけようと刀を振り上げる。
「幻魔――」
――!
しかし分身Bの背後から飛び出た分身Cが素早くかつ鋭い一閃を、すれ違いざまに女性レディアントへと見舞う。
「――烈残影!!!」
――!!
さらに背後からの闇の爆発、滅掌破と同等の一撃に今度こそ女性レディアントの動きが止まるのであった。
「土竜閃!」
分身Dが地面に刀を突き刺し、地のマナを注ぐ。それが岩の槍となり地面から突き出て男性レディアントを襲い、男性レディアントがジャンプで岩の槍を回避するが、それよりさらに頭上をカイが取っていた。
「飯綱落とし!」
――!!
空中で高速回転しそのまま勢いをつけて斬り下ろす飯綱落としが男性レディアントに直撃し、相手を怯ませる。さらに畳みかけるように、土竜閃で男性レディアントを空中へと誘い込んだ後の分身Dがその土竜閃で作った岩槍を利用して壁ジャンプし、勢いよく男性レディアントへの距離を詰めながら両手いっぱいの苦無を指で挟むように持つ。その苦無には炎のマナが注がれていた。
「曼珠沙華!!」
――!!
投擲と同時に苦無を炎が包み込み、男性レディアントに苦無の刺突以外に熱による追加ダメージを与える。
――!?
しかし攻撃はまだ終わらない。曼珠沙華は苦無と炎に意識を持っていかせるための囮、さらなる本命は飯綱落としを決めた後先に着地していたカイが、落ちてきた男性レディアントの足を掴むこと。
「おらあっ!!!」
そしてそこから繋げるジャイアントスイングからのぶん投げだった。
――!?
――!?
闇の爆発と投げ技、過程は違えど空中に飛ばされた二体のレディアントが空中で激突。
「氷結は終焉、せめて刹那にて砕けよ!! インブレイスエンド!!!」
そこを見計らったようにカノンノの詠唱が完了。巨大な氷塊が空中に現れて落下し、二体のレディアントを押し潰す。
「決める」
カイは呟き、同時に全ての影分身を消滅させてそのマナを己の中に取り込む形で取り戻す。そして彼の中に眠るマナの全てを解放、己の中のリミッターを外す
「この印を用い、我が刃に言霊の呪を宿す」
片手で十字を切り、刀に指を触れさせると刀に不可思議な光が宿る。敵のドクメントを直接ダメージを刷り込む呪いが刀に宿り、同時にカイは地面を蹴って動けなくなっている二体のレディアントに斬りかかった。
「
すれ違いざまの一閃と共に彼の口から言葉が紡がれ、斬撃と同時に二体のレディアントを捕らえるように不可思議な円陣が出現する。
「
一の太刀の直後、振り返りながら再び一閃。その斬撃が二体のレディアントの人工的な肉体だけでなくその本体といえる人工ドクメントをも斬ると共に円陣を増やして呪縛を強める。
「
その場で高く舞い上がり、重力に従って落下しながら三度の太刀を入れ、さらに踏み込みながらの斬撃を重ねる。高速の二太刀と共に呪縛の強度を上げ、二体のレディアントを束縛を強める。
さらに「
「
言霊の呪刀の最後は真正面からの振り下ろし。しかし既に呪いの呪縛に囚われた二体のレディアントにそれをかわす手立てはなく、斬撃が叩き込まれる。これにて九つの言霊から成る呪いが完成。その瞬間、カイの姿が消える。
「封魔――」
また次の瞬間、カイは二体のレディアントの上空に現れていた。二体のレディアントは九つの呪いの円により、その動きを封じられている。
「――九印剣!!!」
そして回転しつつ力を込めた斬撃が呪いの円ごと二体のレディアントを斬り裂いた。
「や……やった?」
カノンノが剣を握りしめながらそう呟く。カイも刀を鞘に収めてしかし柄に手はやったまま、倒れている力なく倒れている二体のレディアントを眺める。見張りをしていたジュディスも戦闘が終了したのを確認したのか歩き寄ったその時、二体のレディアントは光の粒子となって消滅していった。
「レディアントが消えた……ディセンダーとして認めてもらえなかったの?」
「そんな……ま、まさか私が一緒に戦ったせいで……」
ジュディスの呟きにカノンノが不安気に呟く。が、その時二体のレディアントがさっきまでいた場所に光が集まった。
「なんだ?」
「何か、感じるわ。これは……言葉?……」
カイとジュディスの言葉が重なる。たしかに不思議な言葉、男性とも女性とも、若いとも老いているとも分からない不思議な声がまるで直接頭に響くかのように聞こえてきたのだ。
――光……光 マトイシ モノ……世界樹 ノ マナ ノ 輝キ……世界樹 ノ 夢 タル ソノ御姿……
「最初のレディアントの声に似ている……」
――我ガ主 ディセンダー……コレヨリ アナタ ノ 影 ニ ナリマショウ……
その不思議な声が終わると同時、彼らの目の前に集まっていた光がカイを包み込む。
そして光が消滅した時、彼の姿は赤色を基調に黄色が縁取るような形になっている頭巾や東洋風の衣装を纏うものに変化していた。腰に挿していた刀も、根元から短い刃が伸びた独特の形の真っ直ぐな刀に変化している。その姿は先程の男性レディアントの装備と全く同じだった。
「その姿……カイ、レディアントに認められたんだね! おめでとう!」
「ありがと」
カイの装備を見たカノンノが一番にお祝いし、嬉しさを表すためにぴょんぴょんと飛び跳ねる。カイもカノンノにお礼を返しながら彼女の頭にぽんと手を当てて頭を撫でていた。
「さて、それじゃあ帰りましょうか。皆に報告しないとね」
「「はい」」
その光景を見てふふっと穏やかに笑ったジュディスが帰ろうと言い、カイとカノンノを連れてその場を後にして行った。
「ご苦労様、そしておめでとう。レディアントを無事手に入れられて良かったね」
バンエルティア号に戻り、ホールで報告を聞いたアンジュがまずは労いの言葉とカイに対する祝辞を述べる。
「でも、あなたもこれで満足せずに、レディアントにふさわしい主として精進していかなくてはね」
「分かってます」
慢心しないよう釘は刺しており、しかしカイもそれは分かっているのかこくりと頷いて返す。
「ところでアンジュさん、次の採取はどうなってるんですか?」
「ああ、それについての資料はもうすぐ出来るそうよ。あとちょっと、待っててね」
「次はどんなものを?」
カノンノの質問にアンジュがそう答え、カイが首を傾げてそう問いかける。
「たしか……水の上をスイスイすべる花だったかしら?」
「ええ。ウィルさんは何となくだけど予想がついてるみたい。とても珍しいんですって」
実際にその情報を読んだジュディスがその記憶を思い出しながら言うとアンジュが肯定、博物学者のウィルには心当たりがあるらしく、とても珍しいものだと話していたと言う。
「ふーん、想像もつかないね?」
しかしカノンノには野に咲く花が水の上をすべる姿は想像出来ないらしく、首を傾げていた。
「まあ、それは資料が完成してからね。あなた達は休んでその時に備えてちょうだい。それじゃ、今回もご苦労様」
アンジュは実際に採取に向かうだろうメンバーに今は休養して英気を養うよう指示。にこっと微笑んで再び彼らの労をねぎらう言葉を投げかけてこの場を締めるのであった。
《後書き》
半年以上投稿出来ず申し訳ありませんでした。マジでこれ読者残ってるんだろうか?このサイトテイルズ関係はあまり多いとは言えないし……。
一応申し上げておきますと、自分は黙って連載投げ出すことはしません。そういうことがあった場合は作品の後書きなり活動報告なりで「連載停止します」と一言宣言した上で連載停止いたします。
まあぶっちゃけ最近テイルズ全然プレイしてない(そもそも対応機器とか最新ゲーム機持ってない)から熱意が冷めていたことは認めます。ですが本作は自分が小説投稿始めたサイトでのマイソロメンバーの今となっては唯一の晴れ舞台なので絶対に見限りません!責任持って彼らの冒険を終わらせます!
そもそも大雑把なプロットはオリジナル展開含めて完成してるから、これで連載止めるとか馬鹿馬鹿しいです!
さて今回はレディアント戦。正直面倒なので前哨戦であるレディアントウォーリアとの戦いはすっ飛ばして最初からレディアント入手のためのツインソウルとのバトルです。
そしてここからカイの装備は下位レディアントに基本固定されます。いやー長かった、今まで装備画像を確認して武器の形状がどうだからどういう風に、防具はこんな感じで~って考えてたけどやっとそれから解放される。少なくとも一つに固定されればイメージも楽だ。
ああ、でも短剣だけは追加武装として普通に使いますのでご了承ください。そこもレイにエクスカリバー渡したみたいにユニーク武器テキトーに押し付けちまおうかな……。
で、次回からは再びストーリーに戻ります。
ああ、雑談ですが。最近「テイルズオブザレイズ」を始めました。なんか既に新章?とかが出ている今新しく始めるには遅いにも程がありますが、もしも読者様の中にレイズをやってる方がいたらよろしくお願いいたします。
ちなみにレイズの設定を持ってくる予定はありません。流石にパンクします。最新作はゼスティリアのキャラをちょろっと持ってくるので精一杯です。
では今回はこの辺で。ご指摘ご意見ご感想はお気軽にどうぞ。それでは。