君とEG@Oで   作:まったりにわかP

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あらすじはふざけるくらいが丁度いいって、どっかの誰かが言っていた。

そんなわけで、突っ込んだら負けなアイドルマスター、始まります(大嘘)。


第一話 伝説と現実

 

 日本においてのアイドル。それを聞くとまず名前を思い浮かべるのは日高舞である。

 

 活動期間は三年と短いが、CD一枚リリースされるたびに高層ビルが建ったとも言われる。

彼女をアイドルの次元を遥かに超えた『時代の象徴』だったと評する人間が居るほど、その人気は絶大であった。

 

 もはやこれ以上のアイドルが現れるのか。それさえ人々は考えない。彼女がトップであることは当たり前すぎて、無意識に「彼女以上は存在しない」と結論づけている。

 

 だからこそ。

 十一年前に現れたアイドル。活動期間十年と長く、その人気の絶頂時には日高舞の再来、とまで言わせしめた。彼、喜多美優(きたみ ゆう)――通称ユウ――が公の存在になってから今まで。事実上の引退から一年経っても尚、その熱は冷めることがない。

 

 日高舞は過去のレジェンドである。しかし、ユウは「今まで」を生きた伝説だ。

 

 ただし、ユウは最初から日高舞と同列視されていたわけではない。

 ユウがそうなったのは、その最後のライブの後である。つまり、事実上の引退のあとに初めて人気が大爆発した。

 

 ユウは別段、歌唱力が飛び抜けていたわけでもなければ、容姿に優れていたわけでもなく、思わず息をつくほどのダンスもできない。下手というわけではなかったが、どちらにしてもアイドルとしてはあまりに平凡すぎた。

 

 しかし、武器は確かに持っていた。

 

 ――「笑顔」と「信念」、そして「人生」。

 

 誰でも持てる。誰しもが持っていておかしくない三つ。その三つが、ユウは他とは隔絶していた。故に、他が平凡であろうとも伝説になった。

 

 これらが最大限に披露されたのが、ユウの最後のライブの時である。

 

 

 

 ――僕は二十歳でこの世界から姿を消すことになっている。

 ――これはもう変わらない。変えられない。

 ――そういう約束だったんだ。

 

 このライブの終了時間が、ユウの二十歳の誕生日であった。

 

 ――だから、これは正真正銘、僕の最後のライブだ。

 ――この日の為に、僕は今まで生きてきた。

 ――だからさ、僕は今、すっごく楽しい!

 

 ユウは落ち込んだ様子を見せることなく、人々の希望の標のような笑顔で言った。

 

 ――僕がファンの皆に贈れるのは、歌とダンスと、笑顔だ!

 ――そして、誰かの笑顔を見ることが、僕の幸せだ!

 ――最っ高に素敵で、素晴らしい、笑顔の花畑! 冥土の土産に見せてほしい!

 

 ――だから、僕と一緒に作ろう。最高のラストライブを!

 

 こうして一曲目、新曲「Last Live」の前奏が入り、そして歌い始める。

 

 ――ハイッ! ハイッ! もっと上げていくよ!

 

 ライブ時間は3時間30分。

 終了時刻、午後8時00分。

 

 激動の時間は瞬く間に過ぎ去った。

 会場内はユウを中心に、まるで一つの生物のように声を上げ、光をうねらせ、動き続けた。

 

 それはさながら海のごとし。光の波が観客席を走り抜ける。曲ごとに色が切り替われば、まるで満天の星空を映し出した海面に。青色一面になれば静かな海に。目まぐるしく、美しく変化した。

 

 

 

 ――これが僕たちのラストライブだ。

 ――みんなは満足したかな?

 

 割れんばかりの歓声が会場を震わせた。それにユウは満足したように頷き、白い歯を剥き出しに小僧のような笑顔を浮かべた。

 

 ――僕も大満足だ!

 

 再び歓声。落雷でも起きたような爆音。それを一身に受けても、ユウはただただ嬉しそうに笑みを絶やさない。

 

 ――そろそろ終了時刻のお知らせなわけだけど。

 ――まぁ、うん。何て言えばいいんだろうな。

 

 困ったような笑みを浮かべて、頬をかきながら話を続ける。

 

 ――僕って、特別歌が上手いわけじゃない。ダンスも、ビジュアルだってそうだ。

 ――って、ちょっとちょっと! なんでみんな頷いているんだよ!?

 ――くっそォ、僕のファンは正直者多すぎィ! 泣いちゃうぞこのやろう!

 

 そう言いながらも、ユウは嬉しそうに笑みを浮かべている。

 

 ――ま、茶番はいいとして。

 ――そんな僕に付いて来てくれている。

 ――きっと、みんな僕がどうして頑張っているのか、わかってると思う。

 

 EG@O! と会場の音がひとつとなって、ユウの耳を、胸を打つ。

 

 ――そう。僕の一曲目「EG@O」。笑顔。そのまんまだ。

 ――誰かの笑顔のために、僕は今までずっと頑張ってきた。

 ――そして今日、確信したね。

 

 ――僕のこの気持ちは、決して間違いなんかじゃない!

 ――その証拠が目の前にある!

 ――目の前に、みんなが、その、証拠。だから、さ。

 

 声が霞む。照らされたステージでユウは一度俯き、肩を震わせている。十秒ほど、たっぷりと時間を使って、ユウは……青年は勢いよく、その顔をあげた。

 

 ――ありがとう!

 

 瞳から大粒の雫をこぼしながら、そこには確かに、満面の笑顔が咲いていたのであった。

 

 

 

 その日、客が完全に引ききった後。

そのライブ会場に雷が落ち、火に包まれたという。

 スタッフは運良く外に出ていたため、機材が焼け落ちたものの、人的被害は出なかった。

 

 ――ただひとりを除いて。

 

 それが、アイドル喜多見優である。

 逃げ遅れたユウは、炎に包まれた会場内にひとり残された。

 呼び出した消防が到着し、早急に鎮火をしたが、その時点で彼は上半身にⅢ度熱傷を負っていた。救急によって病院に搬送され、必死の治療が行われたが、その翌日に息を引き取った。

 

 その情報は瞬く間に全世界に広がることとなる。

痛ましい災害に誰もが胸を打たれる中、ユウのファンの中ではある議論がなされていた。

 

 それは、ユウがライブの中で言っていた言葉の意味。

 

 ――僕は二十歳でこの世界から姿を消すことになっている。

 ――最っ高に素敵で、素晴らしい、笑顔の花畑! 冥土の土産に見せてほしい!

 

 この他にも、ユウはライブ中に「今日が節目だ」といった意味合いを数々口にしていた。更に、ユウの所属事務所である346プロとはたった二十歳になるまでの契約だったことが明らかとなる。担当の話によれば、契約期間だけは何が何でも譲らなかったらしい。

 

 このことから、ある仮説が立った。

 

 ――喜多見優は死期を悟っていたのではないか?

 

 ユウの直接的死因は雷による建物の炎上のため、偶然とするのが当然ではある。

 しかし、ライブ中のほのめかすような発言が、あまりにそれらしく聞こえるため、可能性を捨てきれなかった。

 議論の末、聞き間違いではないか、といった結論に至りかけた時。

 

 追悼といった意味合いか。はたまた346プロが事務所最初のアイドルを見てもらいたかったためか。

 

 ――ユウの最後のライブ映像を、ネットに無料公開した。

 炎上した中、記録したメモリーだけは奇跡的に無事だったらしい。

 

 その無料公開されたライブ映像から、聞き間違いという線は完全に消え去り。

 ユウのファンだけでなく、その映像を見た一般のユーザーさえも加わり、ネット上で議論が展開された。

 

 ――「喜多見優は死期を悟っていた。だからこその発言」説。

 ――「喜多見優の発言は、あくまでアイドル人生という枠組みの話」説。

 

 有力な説は上記の二つ。

 それ以外にも、「実は預言者説(宇宙人説verもあり)」、「寿命削られて神様転生した人間説」、「持病持ち説」、などと阿呆なものから実しやかなものまで。

 

 今も尚、この議論の熱は冷めない。

 

 

 

 人気の話に戻るが。

 ラストライブの映像で、ユウは終始笑顔だった。更に、十年という長い活動期間を通じて「誰かの笑顔のため」という真摯な姿勢と、発言の数々、有言実行してきた実績。

 すなわち、最後のライブ映像と積み上げてきたアイドル人生が、ユウの死後の起爆剤となった。数々のソロ曲がそうした噂をもとに意味付をされ、それを踏まえて聞くと胸を打たれる、といった事例は非常に多く。

 

 後天的な付加価値によって、喜多見優というアイドルは一大ブームを築き上げていた。

 

 例えとしては、ゴッホの絵が死後に認められた、という話と少し似ているか。

 それを現代版に変化させれば、このようなものではないだろうか。

 

 実力的には、到底及ぶものではない。しかし、その後天的付加価値が、喜多見優を日高舞のレベルにまで押し上げていた。

 これこそが、現在の喜多見優ブームのバックストーリーである。

 

 

 

 ◆

 

 

 

「さて。君は随分と人気者だな。アイドルというよりは、まるで芸術家だ」

 

 冷たい美貌。整っている顔立ちとは裏腹に、切れ長の目を持つ妙齢の女性……美城常務は、目の前の包帯人間に呆れた眼差しを送る。

 

 彼女の目の前にいる包帯人間。なんと上半身全体に包帯を巻き、肌をまったく露出させない徹底ぶり。ミイラと形容してもいい。背丈は決して高くなく、女性にしては高身長な彼女よりも低い。それだけでも異様なのだが、取り立てて不可思議な点がある。

 それは、包帯の顔の部分に瞳を描いている点である。その姿は包帯を巻いた一つ目小僧。ただし、描かれている瞳は何故だか笑っているように見える。

 

 簡単に言えば、まぁ。

 ――不審者である。

 

『アイドルです。アイドル。

 貴女がプロデュースした、可愛いアイドルですよ』

 

 ミイラはどこからともなく取り出した立札を美城常務に見せつける。彼女は何事もなかったようにそれを見て、自嘲するように鼻を鳴らした。

 

「私は、もう君のプロデューサーではない。それに、君も既にアイドルではない」

 

 部屋の中に梅雨入りしたような湿った空気が漂う。肩に重くのしかかるように。

 

『あ、可愛いって

 否定しないんですね。』

 

 からかうように、おどけた雰囲気で立札をかざした。体をこんにゃくのように揺らすところは、傍から見て非常に苛立たしい。

 

「……当然だ。手塩をかけて育て上げたのだからな」

 

 しかし、彼女は至って真面目な顔で、そう答えた。ボケ殺しとはまさにこのことである。思わぬ反撃に、ミイラは後頭部を摩って『いやぁ……』と新しい立札を掲げた。足元やミイラの手を見てみると、先ほどの立札は影も形もない。

 

「さて、君の次の仕事について話そう」

 

『あ、もしかして。

 実は照れていたりします?』

 

 不自然な切り返しに、ここぞとばかりに立札を掲げる。

 

「……今回、君にはこの娘を担当してもらう」

 

 しかし、その対応も慣れたものとばかりに、美城常務はミイラに資料を手渡した。

 

 ミイラは見逃さない。美城常務の頬が薄く染まっていたところを。

 

『神谷奈緒、ですか。

 うーん、僕とは違って、可愛い子ですねぇ』

 

 右手で資料を見ながら、左手で立札を掲げるという器用なことをしてのけるミイラ。しかし、それでも美城常務は驚かない。日常茶飯事だからだ。

 

『ところで。

 さっき顔が赤くなってましたよね?』

 

「……そのことは忘れろ」

 

 美城常務はミイラからの視線を切るように振り返り、ブラインドの隙間から外を見た。タイミング良くというべきか、件のアイドルがちょうど到着したようだった。

 

「仕事だ。期待しているぞ」

 

 背後に向けて声を掛ける。基本、ミイラは声を発しない。無言のコミュニケーションを行う。奇跡の復活から今日まで、ずっとそうしてきた。

 

 彼女がミイラの方に振り返ると、既にそこに姿はなかったが。

 

『期待していてください。

 彼女のポテンシャル、引き出してみせます』

 

 ミイラのいた場所には、簡素な立札が立っているのであった。

 

 

 

 




やばい、にわかがバレる(汗)

私のアイマスの知識はデレステとミリシタと、ピクシブ+ニコニコ大百科先輩です。
つまり、つるっぱげのにわか。

16日のニコニコでやるアイマスシリーズ一挙放送は必ず見る所存。
……その前に課題終わらせなきゃ(・ω・`)

つまり、今出来上がっている三話は投稿するが、それ以降は16日より後である。
というか、更新とか期待しないように。

※ミリシタのガチャにSSRは未実装(体感)。
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