ワカメのペルソナ5   作:モンです

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第15話

 

 細く鋭く、息を吐く。

 

 開戦と同時に怪盗服を纏った僕の前で、怪盗団が武器を持ち、構える。

 

「アーチャー! 手を貸して!」

『任せろ、マスター』

 

 岸波の背後に、赤い外套を纏った浅黒い肌の男が現れた。

 アーチャーと呼ばれた銀髪の男は険しい表情を浮かべ、油断無く僕を見下ろしている。

 それは明らかにペルソナではなく、人間であった。

 

 ペルソナとして、サーヴァントを呼べる能力。

 なるほど、それが岸波の特異性か。

 確かに強力だ。

 

 だとしても、僕のやることは変わらない。

 

「奪え」

 

 牢獄が広がる。壁が遠ざかる。

 一瞬で天井が見えなくなる程に、空間が空いていき。

 

 それを埋め尽くす様に黒い巨体が顕現する。

 

「サタナエル」

「……は? で、か……」

 

 怪盗団が呆然と悪魔を見上げた。

 

 反逆の意志の化身。

 神を滅ぼした悪魔の王。

 世界しか救えなかった、自身の持つ中で最強のペルソナ。

 

 出し惜しみはしない。できる相手じゃない。

 油断も慢心もいらない。一撃で潰してやる。

 

「メギドラオン」

 

 怪盗団の中心に光が収束していく。

 呆けていた彼らが動き出す頃には間に合わない。

 

「やっ、べ……!」

「皆、私の後ろに! アーチャー!」

『いきなり出す攻撃じゃないだろう、この規模は!』

 

 先にペルソナを出していた岸波は、庇うように皆の前に出る。津波のように開放されたエネルギー。それにアーチャーは応じた。

 

熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)

 

 右手を前に突き出し、短い詠唱を唱える。アーチャーの手の先に展開された七枚の花弁が、サタナエルの魔法と衝突した。

 

 光と光がせめぎ合う最中。僕はペルソナを目晦ましとして怪盗団の裏に回り込む。

 

 彼らの強みは連携だ。人数を活かし、幅広い属性の攻撃で敵の弱点を突く。攻撃で相手が怯んだ隙をつき、総攻撃を仕掛ける。この流れを非常にスムーズに行える事が恐ろしい。

 だからこそ、体勢を整えられていない今の内に、一人ずつ倒す。

 

 アーチャーの赤く輝く盾は花弁の六枚と引き換えに、岸波達を守り抜いた。僕は時をかわさずに魔術を起動する。

 

「ガンド」

 

 銃の形をした手の指先から赤黒い光を撃つ。長い年月を経て研磨された魔術。弾丸のごとく放たれる呪い。対人を制することに適したその力は、狙い通りに着弾する。

 

「う、ぐ!?」

「双葉!」

 

 双葉が膝をつく。

 

 ガンドは一工程で相手を行動不能にできるルーン魔術。双葉を封じる事で情報支援を絶ち、相手を冷静にさせない。落ち着かせない。

 

 魔術と同時に吶喊する僕に対処を追いつかせない。

 

「後ろから雨宮君が!」

「けど、あのペルソナは無視できねぇよ!」

「ペルソナはアーチャーで何とかするから、皆は蓮をお願い!」

 

 僕とペルソナに挟まれ、浮き足立っている最中、僕は近接戦闘の間合いに入る。

 

 ペルソナチェンジ――ヨシツネ

 

「キャプテン・キッド! ゴッドハンドォ!」

「っ、駄目、竜司っ!」

 

 即座に竜司が仕掛けるも、一手遅い。

 

 黒い巨体が消え、僕の傍に緋色の鎧具足を身につけた長髪の美青年が現れる。太刀と脇差の二刀を手に持つ彼は、自然体で滑らかに構える。

 

 渾身の力で放たれた拳。迫るキッドの一撃を左手で逸らして勢いづかせ、体制を崩した所にヨシツネは刀を振るう。

 

 祐介の刀が差し込まれた。

 

 祐介が間に割り込み、刀と刀を交える。ペルソナを出す暇が無いなら、自らで仲間をカバーする、瞬時の判断。ヨシツネの刀はそのまま振り下ろされ、彼は吹き飛ばされた。

 

 床に打ち付けられる前に、杏が受け止めて事なきを得る。

 

「別のペルソナ!? 白野と同じく、複数のペルソナを持ってるっ!」

「チャージ」

「くっ、ヨハンナ! マハラクカジャ!」

「八艘跳び」

 

 真が防御の補助魔法で対応する。それでも物理最強のペルソナは、それを容易く超えていく。

 

 神速の踏み込みで懐に入り、両の刀を振り抜く。咄嗟に身を固めた怪盗団を、一度で態勢を崩し、二度で武器を弾き。無防備となった身体へと息もつかせぬ五連撃を刻み込んだ。

 

 強烈な斬撃を受けた彼らは膝をつく。

 これで動きが止まる。

 特に双葉はまともに動けないだろう(T E C H N I C A L)

 

 攻め手を緩めるな。足を止めるな。常に先を取らねば彼らの連携を、絆を、崩せない。

 

「させっかぁ!!」

 

 モルガナの怒声と共に、ペルソナであるゾロが僕に向かってきた。負傷を物ともしない姿に、さすがだなと、言葉にはせず称賛する。

 

 距離を縮めながら、ペルソナを入れ替える。

 

「大盤振る舞いだ、ゾロ! マハガルダイン!」

 

 主の前に立つゾロは手に溜めた風の渦を刃に纏わせ、レイピアを振った。放たれた斬撃は風を纏い、暴風となって迫り来る。

 

 僕はそれを避けることなく受けた。

 風を裂いて、前へ出る(B L O C K)

 

「無傷!? 読まれ、」

「真理の雷」

 

 隻眼の紫肌の男性が槍を地面についた直後、モルガナに雷撃が刻まれた。意識を無くし、力無く倒れるのを確認する。

 さらに前へ(1MORE)

 

 目的は、岸波。

 既にサーヴァントを入れ替えた彼女の隣には、狐の尻尾を持つ妖艶な女性―――キャスターが、吟ずる様に詠唱を読み上げている。それは許さない。

 

 宝具を止めるために、ホルスターから取り出した銃を向ける。

 

「ここは通さないよ」

 

 庇う様に立ち塞がった春を見て、目を細めた。

 この先に行かせないという強い意志。足を引きずりながらも、時間を稼ごうとする彼女が眩しくて。それでも、止まるわけにはいかない。

 

 目を背けるように仮面を引き剥がす(ペルソナチェンジ)

 

「ワンショットキル」

 

 春が僕を指差す。ミラディの狙い澄ました一撃が、長髪の牙を持った魔物の急所に突き刺さり。

 銃撃反射により同じ軌跡を辿って跳ね返される。

 

 虚を突かれた上での強烈な一撃に、ミラディと春がぐらりと揺れる。それでも倒れない、それでも譲らない。意地でも踏み留まる。

 

 抗う春の震える足に向けて、僕は銃の引き金を引いた。

 

 春が目を閉じる。

 

『豊葦原瑞穂国八尋の輪をかけ、ひゃっ!?』

「……え?」

 

 弾丸は春の足の間を通り抜け、床を跳ねてキャスターの鏡を弾き飛ばす。

 詠唱が止まったのを確認し、呆然とする春の意識を刈り取った。

 

 崩れ落ちる彼女を横たえて、ペルソナチェンジ。

 

 新たに現れたペルソナは、金髪の可憐な少女だ。

 幼く笑う少女――アリスを見て、キャスターが後退る。

 

『こ、れは……なんと底知れぬ呪力っ! ご主人様、これは如何に才色兼備なタマモちゃんでもちょーっと本気で対処しないとまずいっていうかぁ……』

『あのねー。死んでくれる?』

『このガキんちょ、ノータイムで全体即死撃ってきました!? セイバーさんかアーチャーさんなら倒されてますよ! ああもう、皆さんの回復が追い付きません! 宝具が通っていれば……!』

『はやくしんでよ』

『ぐぬぬ……コイツ、絶対泣かす……!』

 

 アリスに対処できるのはキャスターしかいないらしい。これならば、しばらく岸波のサーヴァントを封じられる。

 

 怪盗ステッキを構えた僕は、間隙を縫う様に岸波へ迫る。脱力からの重力を利用した吶喊。地面からの反発を全て推進力に変え、空気を裂く様な疾走。動きのロスを極限まで無くした一突き。

 

 岸波は冷静に対応する。

 

 腰からパリングダガーを抜いて、突きを下から上へ擦り上げる。肩を狙った一撃を逸らすも、衝撃は流し切れない。体勢を崩しながらも後ろへ飛んで、間合いを切る。

 その瞬時の判断に舌を巻きつつも、追撃のガンドを放つ。

 

 空間ごと燃やし尽くすような炎が視界を遮った。

 

「忘れてもらっちゃ、困るっての!」

 

 ダメージから立ち直った杏のアギダインが、ガンドを消し飛ばす。岸波の援護と同時に目くらましを行い、鞭で絡め取ろうと振るわれる。

 

 その動きを見切って(サードアイ)、掴み取った。

 

「はっ?」

「杏!」

 

 魔術で強化された腕力で、思い切り鞭を引く。弾かれたように此方へ飛ばされる杏を、バイク型のペルソナ―――ヨハンナに乗った真が掻っ攫う。

 カバーは完璧、だけど。

 

 鞭を手放し、離れる彼女達に向けて銃弾を二発。

 バイクのタイヤを打ち抜いた。

 

「嘘っ!?」

「キャァァァアアア!?」

 

 バランスを崩し、杏と真はバイクから投げ出される。地面を転がる二人にガンドを撃ち込み、意識を喪失させた。

 人数は減らせたが、時間を稼がれたな。

 

 視線を岸波に戻そうとして。

 

「キャプテン・キッドォ! マハタルカジャ!」

 

 竜司が力を底上げしながら、祐介と共に距離を詰めてくる。迎撃せんとする僕のガンドを時にすり抜けて、時にスキルで消しながら迫る。

 

 岸波に注意を向けさせないつもりだろう。キャスターに岸波が加わればアリスを倒せる。そうすれば全員を回復して立て直せる。時間は、あまり無いか。

 

 眼前に迫り来る彼らに対し、ステッキを向ける。

 

 竜司と祐介は同時に仕掛けてきた。小さく体を動かすと、竜司の拳は空を切り、祐介の刀は僕の眼前を掠める。間髪入れずステッキを薙ぐが、彼らは互いを蹴り合って飛び退いた。

 

 入れ替わる様に二体のペルソナが前に出る。

 自身の攻撃は陽動、その後が本命か。良い連携だと思わず笑みが溢れる。

 

「蹴散らせ、ゴエモン! ――ブレイブザッパー」

「ぶっこめ、キッド! ――電光石火」

 

 ゴエモンが放つ渾身の一撃に合わせて、キッドが疾風の如く駆け抜ける。

 自らの身を削るのも厭わない、最大火力と最高速度。空間を圧し殺すような重厚な連撃。

 吹き荒れる斬撃と打撃の嵐に、僕は躊躇なく身を躍らせた。 

 

 右に一歩。左の頬に、拳が掠める。

 前に二歩。頭を下げて、蹴りを躱す。

 横に一薙ぎ。太刀筋を読みきり、斬撃を流して。

 

 前に三歩で、掻い潜る―――!

 

「なっ――」

 

 祐介の鳩尾に拳を突き立てる。

 崩れ落ちる祐介を残して、弾かれるように竜司へと跳びながら中段蹴り。

 

「く、そっ……」

 

 ロッドで受け止められると同時、反対の足で上段の前蹴り。顎を揺らして意識を奪った。

 着地して、悠々と岸波に目を向ける。

 

 激しい戦闘音が響く。

 猛攻のやりとりの末、アリスが此方に吹き飛ばされて来るのを、僕は受け止めた。

 

『よっしゃあ! どうじゃワレィ! 私とご主人様にかかればお茶の子さいさいですよ、ってあれ? ぜ、全滅してるぅー!? み、皆さんの回復を……』

「させると思う?」

『ですよねー』

 

 銃をチラつかせて回復を牽制。

 キャスターは冷や汗をかきながら、ひきつった笑みを浮かべる。

 

『ごめんね、お兄ちゃん』

「いや。良く持たせてくれた。ありがとう」

 

 アリスを労って、ペルソナを変える。

 仮面を引き剥がし、顕現せしは最強のペルソナ。

 

「っ、……皆」

 

 岸波はサタナエルの姿に目を細め、仲間を見て唇を噛み締める。

 仲間は倒れ、僕は無傷。状況は詰みに近い。

 

 それでも岸波は、理不尽に抗う。困難に立ち向かう。逆境でもなにくそと這い上がる。

 

 それでこそ、だ。

 感慨に耽る僕の前で、岸波はサーヴァントを喚び出す。

 

「アーチャー」

『なるほど、絶体絶命か。いつも通りだな、マスター』

「……へぇ」

 

 キャスターが()()()()アーチャーが現れる。

 

 複数のサーヴァントを同時に扱えるのか。

 今まで三味線を引いていた? 何らかの条件か、デメリットがあるから使っていなかった?

 

 もしくは。

 今、この瞬間に。出来るようになった(覚醒した)か。

 

「セイバー」

『やっと余の出番か。待ちくたびれたぞ?』

 

 さらに現れたのは赤い舞台衣装に身を包んだ少女。

 セイバーは優雅に真紅の剣を抜く。

 

 仮に、この短い間にサーヴァントを同時運用できるようになったとしたら、悠長にしてはいられないか。

 

「……私達はボロボロで、相手は私達よりも、ずっとずっと強くて。それでも――諦めるわけには、いかないんだ!」

『うむ! より強い願いが生き残るのではない。より美しい願いが生き残るのだ。なればこそ、ただ強いだけのあやつではなく。愛しい者を救済し、愛を贈らんとするそなたに、勝利の女神は微笑むのだ!』

 

 力強く地を踏みしめて、吠える岸波に。

 サタナエルと共に、銃口を向ける。

 

「なら、これに耐えてみなよ」

 

 かつて神を穿ったその力。

 世界しか奪えなかった銃弾。

 僕の持つ、最大の切り札。

 

 その身に刻め。

 

 

 

『大罪の徹甲弾』

 

 

 

 引き金を引いた。

 

 轟音が大地を揺らし、衝撃が空間を削り取る。

 世界そのものが悲鳴を上げているような錯覚を覚えるほどの、破壊の権化。

 放たれた弾丸は空気を貫き、光の軌跡を描いて標的へ向かう。

 

 岸波は息を大きく吸って、大地を踏みしめた。

 

「――さぁ、乗り切るよ!」

『あげていくぞ、奏者よ! 皇帝特権!』

『トレース・オン――熾天覆う七つの円環』

『私の主戦力をお見せしましょう。呪層界・怨天祝奉からのォ、呪層・黒天洞!』

 

 岸波の前に、幾つもの術式が重なり、組み合わさって。

 彼女の心の様な、何人も打ち砕けぬ壁となる。

 

「『『『おおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉおお!!!!!』』』」

 

 途方も無い力に後ろに足が下がる。

 身を守る盾に亀裂が走る。

 それでも。

 

 それでも―――砕けない。

 

「……嘘だろ」

 

 爆発と共に、白い煙に飲まれる。

 轟々と鳴り響く中、視界が晴れて。

 

 激しく息を切らしながらも、岸波はそこに立っていた。

 

「これを、止めるかよ」

 

 サーヴァント達も疲労困憊な様子だが、目立った傷はない。

 あの威力を宝具無しで凌ぎ切るか。

 

 やっぱりお前は凄いな、白野。

 

「いくよ――反撃開始だ!」

『うむ、ここからは余の独壇場である!』

 

 力強く、走り出す彼女達に。

 再び銃を向ける。

 

 それじゃあ、二発目といこうか。

 

「再装填、完了。ファイア」

『大罪の徹甲弾』

 

「―――は?」

 

 銃声が鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 音が、死んでいる。

 僕はコートに付いた粉塵を払い、緩やかに歩みを進めた。

 

 岸波も、竜司達も、ペルソナも、サーヴァントも。

 誰一人として動くものはいない。

 命に別状はないけどね。

 

 それにしても驚いた。

 岸波は僕の切り札を無傷で凌ぎ切るし。竜司達も、ペルソナが覚醒してないと思えない強さだった。

 まともに連携されていたら、もっと手こずっただろう。

 

 ほう、と安堵の溜息をつく。

 彼女の率いる怪盗団ならば、この先もきっと乗り越えられる。

 そう信じられる強さ……いや、絆だった。

 

 先のセイバーの言葉を借りるなら。

 強いだけの僕ではなく、美しい絆を持った岸波ならば、きっと全てを救えるはずだ。

 

 得るものが無い戦いだと思ってたけど。

 怪盗団の未来に確信を持てたのは、良かったかな。

 

 心配してくれてありがとう。

 僕の為に泣いてくれてありがとう。

 その気持ちだけで、悪人にはもったいない位だ。

 

 僕には、願う資格すらないのかもしれないけど。

 この世界では幸せになってくれよ、怪盗団。

 ……それじゃあな。

 

 僕は岸波の傍らに落ちている、スマートフォンに手を伸ばした。

 

 

 

『ライダー』

『あいよ!』

 

 

 

 背後からの銃声に飛び退いた。

 

 銃弾を避けて、後ろを振り返る。

 

 銃を向けているのは、顔に大きな傷を持つ、赤いコートを着た美女。その隣には、僕に似た紫髪の少年が佇んでいる。

 

 見覚えのある顔に、目を細めた。

 

「間桐シンジ。……どういうつもり?」

『ハッ、分からないのかい? 僕はアイツ側につくってコトだよ』

 

 シンジは両手を広げ、嘲笑う。

 

 パレスの認知存在まで味方につけたのか。どんな求心力だよ。これは流石に予想外だ。

 しかも、太陽を落とした女――ライダーまでいる。

 

 フランシス・ドレイク。

 あらゆる不可能を不可能のまま可能に変えてしまう、なんて訳の分からないスキルを持った女海賊。

 

 ジャイアント・キリングを当然のように行う。

 一筋縄では行かない、厄介が過ぎる。

 

 警戒する僕を、シンジは見下す。

 

『ま、それよりも。僕だけを気にしてていいのかい? アイツらは蛇なんかより遥かにしつこいぜ?』

「……いや、まさか」

 

 否定の言葉が出かけた時。

 

 

 

『これぞ、九重……天照らす―――』

 

 

 

 あってはならない、声がした。

 振り向くが、遅い。

 

『―――水天日光天照、八野鎮石ィ!』

 

 苦しい胸を抑え、肺を絞り切るように叫んだキャスターの、手にある鏡から。

 

 虹色の雫が滴り落ちた。

 

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