ドラゴンボールR【本編完結】   作:SHV(元MHV)

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タイトル変更しました。

ということで怒濤の時間差連続更新はこれで終了。

次回は未定~

活動報告にてダックの生涯を番外編としてあげました。よかったら見てください。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=162291&uid=35351




第16話【復讐】

ピッコロとフリーザの戦いに割って入ったネイルだったが、彼我の実力差はあまりに大きかった。

 

一撃。たったの一撃でネイルは胸を貫かれ、ピッコロに重なるようにして倒れこむ。

 

「雑魚どもめがこの俺を煩わせやがって!! ……なんだこの天候は? ナメック星に夜はないはず……なんだあれは!」

 

ふたりの最強のナメック星人を倒したフリーザは急激に暗くなった空を見てまず困惑し、続いて視界の端に見えた人型の巨竜ポルンガを発見する。

 

「ナメック星人どもめ、ドラゴンボールでこのフリーザを倒すつもりか! そうはいかんぞ!!」

 

飛び立つフリーザはポルンガの元へと向かう。己の野望である“不老不死”を叶えるために。

 

フリーザがいなくなった後、ピッコロは口の中の仙豆を飲み込み怪我を回復させた。

 

そして自分を庇うように倒れるネイルに気がつく。

 

「ぐっ……! ネイル!? しっかりしろ……!」

 

胸を貫かれ死にかけたネイルを抱き起こし、ピッコロは回復能力を持つナメック星人の元へと向かおうとする。

 

「わ、わたしはもう、ダメだ。心臓にある“核”をやられてしまった、ようだ」

 

口から血を吐くネイル。場所に個人差はあれど、ナメック星人には“核”と呼ばれる命の源がある。これが傷つかない限りどんな負傷からでも再生できるのが、ナメック星人の特殊能力なのだ。

 

しかしそれの大半をフリーザによって抉られたネイルの命の灯は、今まさに尽きようとしていた。

 

「ピ、ピッコロ……! 私と、同化しろ……! 融合、するのだ」

 

「同化だと……!? それはどういうことだ!」

 

ネイルは息も絶え絶えな様子でピッコロに出来る最後の贈り物を提案する。

 

「あ、安心しろ。悪いものじゃない、お前の眠っている力を、お、俺が引き出してやる……ぐうっ! は、早くしろ、時間がない……!」

 

「……わかった。どうすればいい」

 

「私の胸に、手をおけ。……そうだ。それでいい。さらばだ、ピッコロ!」

 

「ぐおおおっ!?」

 

瞬間、光と共にピッコロの中に膨大なエネルギーが流れ込んだ。

 

それはネイルの記憶を伴い、ピッコロの中に彼の戦闘経験までもが流れ込む。

 

自身を生んだ最長老への敬意。仲間であるナメック星人らを想う心。

 

それら全てとネイルの力が合わさり、ピッコロはその内に眠っていた力を引き出される。

 

「これが……俺か」

 

ピッコロはかつて最長老によって潜在能力を引き出されたときのように自身の両掌を開いて確認する。

 

ほんの数秒そうして自身の気を確認すると、ピッコロはフリーザの元へと飛び去ろうとし、神龍の力で地球へと瞬間移動した。

 

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出でよ神龍、そして願いを叶えたまえ(タッカラプトポッポルンガ プピリットパロ)!!」

 

ポルンガを呼び出す為の呪文を唱えたダックは、こちらへ近づくフリーザの気配を感じていた。

 

スカウターなど無くてもはっきりとわかる圧倒的な存在感。一族を殺し、故郷の星を奪った憎い強敵。

 

しかしそれも今日までだと想うと、ダックはいくらでもフリーザに平身低頭することができた。

 

「……ダック、他の連中はどうした」

 

「はっ、残念ながら先程フリーザ様の元へ向かったナメック星人の抵抗に合い、ザーボン様をはじめほぼ全員がやられてしまいました。私が生き残ったのは運がよかったのでしょう。あのナメック星人が去った後、他のナメック星人は皆殺しにしてあります」

 

もちろん嘘である。フリーザへの策を万全のものとするために、全員がピッコロが乗ってきた大型宇宙船に隠れていた。

 

「……ふん、ならばいい。ドラゴンボールも私の為に用意しておいたようだしな。さあ、ドラゴンボールよ! 私を不老不死に「〝フリーザを一番近くの太陽まで瞬間移動させてくれ!!〟」なんだと!」

 

ダックの言葉が言いきられると、ポルンガはどこかニヤリと笑ってフリーザを見つめる。

 

『たやすいことだ……!』

 

「おのれダック何を願った!!」

 

「うぐっ!」

 

フリーザは転移する瞬間、デスビームでダックの胸を貫く。

 

ダックは気づいていなかったが、すでにナメック星人らは全員が地球へと転送されていた。

 

岩にもたれかかりながら彼は血を流し続ける胸を見下ろし、ニヤリと笑う。

 

「……ケチな人生だったな。まるで延々と糞の上を歩くような……なあラディッツ。お前は弟に会えたかい? 俺は、これから会いに行くよ……」

 

最後に取っておいた葉巻に火をつけ、一口それを吸い込むと、ダックは力なく項垂れ事切れた。

 

ひとりの男の、復讐が終わりを告げた。

 

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「ぎゃああああああああああああああああああッッッ~~~~~!!!!!」

 

空気のない真空中。否、太陽の表面から迸るプロミネンスがフリーザを焼いていく。

 

フリーザは咄嗟に本来の姿である最終形態、本人にとっては通常形態へと戻り全身を焼く太陽の熱から自身を守ろうとエナジーを高めていく。

 

しかしいくら高めようと体に侵入した超高熱はいかんともしがたく、フリーザは全身を灼熱に染めながら太陽を離れようともがく。

 

しかし、フリーザの戦闘力をもってしても太陽からの脱出は簡単にはいかない。

 

ナメック星を照らす太陽は地球よりも大きく、その重力は百倍近い。通常形態のフリーザであればなんら問題ない高重力であったが、絶体絶命のこの場においてはそれがフリーザの脱出を困難にしていた。

 

「ぐあああああああああああッッ~~~~~~~!!!」

 

焼かれながらもフリーザはそれ以上に激しく憤怒していた。

 

己を策略に嵌めたダックに、こんなことになるまで追い詰めたナメック星人に。

 

それらすべてはまるで別々の思惑の結果であったが、受けたフリーザからすれば始めから自分を狙って計画された企みにしか思えなかった。

 

やがて……時間にして一時間後。

 

フリーザは驚くべきことに太陽からの脱出を果たしていた。

 

右腕と尻尾を半ばまで失い、左目を白濁とさせながら。

 

そしてナメック星に戻ってきたフリーザが見たのは、自爆したピッコロの宇宙船に巻き込まれてバラバラになった自身の宇宙船だった。

 

メディカルポッドにも入れず、フリーザは絶叫する。

 

必ずや自分を追い詰めた相手へと復讐すると。

 

宇宙の帝王の怒りは、尽きることを知らなかった。

 

 

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「ぐっ……!」

 

「馬鹿野郎! なぜ俺の命令を無視した!!」

 

地球に帰ったピッコロは、義理の父親であるクリムゾンから手痛い歓迎を受けていた。

 

甘んじてそれを受けたピッコロは、続いて自分の胸にもたれかかってきたクリムゾンを優しく受け止める。

 

「……お前が死んだらすべて終わるんだぞ。今後はそれをよくわきまえろ」

 

わずかばかりに目元を赤くしたクリムゾンは踵を返すと、今回の事後処理の為に司令室へと戻っていった。

 

普段見せない態度ばかりのクリムゾンに少々驚きを隠せなかったピッコロは、ふと近くまで来ていたバイオレットに頭を撫でられる。

 

「総帥はあれで素直じゃありませんから、あなたが死にかけているときは気が気じゃありませんでした。でも、そう思ったのは彼だけじゃないんですよ」

 

「……すまなかった」

 

「私は“母さん”と呼んでくれないんですか? ……いえ、この場合総帥が“親父”なのですから私は“お袋”でしょうか」

 

「勘弁してくれ……」

 

ピッコロはクリムゾンの機転によって取り戻した日常の実感を堪能する。

 

しかしフリーザを倒すことは結局叶わなかった。

 

ピッコロは内心の不安を隠せず、ひとまず困惑するナメック星人らに状況を説明するためにそちらへ向かうのだった。

 

彼の無事を知ったレッドリボン軍の兵士にもみくちゃにされながら。

 

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所変わってここは界王星。

 

一連の事態を全て見ていた界王は、眉間に皺を寄せて“人の執念”とでもいうものに畏敬の念を抱いていた。

 

「……だが、フリーザは生き残ってしまった。いずれ回復し次第地球を狙うじゃろう。そうなったとき“あの男”はどうするつもりなのか。クリムゾン。ただの地球人としてはまさに規格外の男じゃな」

 

界王は宇宙を見守る立場として地球人のみを応援することはできないが、それでも出来ることならフリーザのような凶悪無比な存在が一方的に宇宙を支配するような様相は望んでいなかった。

 

「界王様、さっきから何唸ってんだ? うんこガマンしてんのか?」

 

「違わいっ! まったくあのナメック星人が奮闘しておるかと思えば何を言っておるんじゃお前は」

 

「ナメック星人? 界王様、ピッコロに何かあったのか!?」

 

「げ、言っちゃった。ぬおお~、ゆ、揺らすな、悟空~!」

 

「教えてくれよ界王様! 何があったんだよ!」

 

悟空に揺すられながら、界王は自身も一度あのクリムゾンという男と話してみるべきかと考える。

 

いずれ地球へ降り立つであろう帝王へ備える為にも、自分の知ることを教えることは有用であろうと。

 

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一連の騒動から三ヶ月後。

 

修行を終えた悟空は、帰ってくるなり格段のパワーアップを遂げた面々を見て驚いていた。

 

「ひゃ~、オラが界王様のところで目一杯修行してた間にみんな随分鍛えたんだな! 特にピッコロ、ちょっと今のオラじゃまだ勝てそうにねえな」

 

界王拳、元気玉といった必殺技を習得した悟空であったが、今現在自分を見つめるピッコロから感じる圧倒的なパワーを前に、自分の想像もつかない出来事が彼を強くしたのだと感じとる。

 

「孫、さっさと追い付け。少々強くなりすぎてな。組手もままならん」

 

ニヒルに笑うピッコロだったが、確かに彼の言うとおり地球に存在する戦士らにおいてピッコロの戦闘力は規格外と化していた。

 

事実彼が来るまで最強格だったラディッツは一撃で破れている。

 

またネイルの記憶を受け継いだピッコロからダックの言葉を聞いたこともあって、せっかく彼が帰ってきたというのにラディッツは入れ違いで精神と時の部屋へと入っていた。

 

「そういやオラの生き別れた兄ちゃんがいるってクリムゾンのあんちゃんから聞いてたんだけどよ。どこにいるんだ?」

 

「あ~、ラディッツさんはお前と入れ違いで精神と時の部屋に入っちゃったんだよ。“このままでは弟と友人に示しがつかん”とか言ってさ」

 

「いい!? あのしんどい部屋に兄ちゃん入ってるのか!? ……なあピッコロ、そのフリーザってヤツはそんなにやべえのか?」

 

クリリンの説明に自身もかつて入ったことのある過酷な異次元空間を思いだし、兄がよほど自分を追い詰めているのだと悟空は唯一フリーザと戦ったことのあるピッコロへと質問する。

 

「……正直、ヤバいなんてもんじゃない。後から親父に確認したが、フリーザは全力の1パーセント程度しか出してなかったらしい。逆に言えば、そのときの隙をつけば今の俺でも倒せる可能性はあるらしいが……」

 

ピッコロは自分が考え付く限りの手段がフリーザにダメージらしきダメージをまともに与えていなかったことを思いだし俯く。

 

「親父がヤツの宇宙船は破壊した。だが、万が一生きていた場合にこの星へやってくる可能性は高い。ここにもドラゴンボールがあることをフリーザは知っているだろうからな」

 

「……やべえな。オラこんなときだってのにワクワクしてきたぞ……!」

 

どこまでも戦うことを純粋に楽しむ悟空。

 

しかしその頼もしいほどの楽観的な様子に、達人らは希望を見いだす。

 

べジータ襲来まで、残り三ヶ月。

 




はー、疲れた。一日で3話仕上げるのはいろんな意味で疲れますわ。いやうちはの火影で三万文字とか書いてたときあったから文字数的には大したあれじゃないんですけどね。


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