ドラゴンボールR【本編完結】   作:SHV(元MHV)

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前回は怒濤の連続投稿にお付き合いいただきありがとうございました。

今回はややダイジェスト気味なので読みづらいかもです(´・ω・`)
なんでかって? 全員に活躍の場を与えたら各1話使うからです(苦笑)
というかキャラによっては1話じゃすまない( ̄▽ ̄;)
あと今回後半でクリムゾンと悟空達との絡みを通じて自分なりの界王拳や元気玉修得への答えを書いてあります。これは公式ではなく自分が考察した結果ですのであしからず。

そして例のごとくですが、皆さん評価&お気に入り&感想本当にありがとうございます。
今回は凹まないように変な感想には答えませんが、みなさんからの感想は時間がかかっても必ずお返事しますので今後もガンガン感想ください。
お願いしますぅぅ(cv津久井教生)


第17話【烈士】

天界と呼ばれる、地球上で最も高い場所に存在する、ある種異空間でもある場所。

 

べジータ襲来の予定まで残り約一ヶ月と迫るなか、そこへ地球における珠玉の達人らが集まっていた。

 

まずはピッコロ。クリムゾンの義理の息子にして、この中で唯一宇宙の帝王フリーザとの交戦経験を持つナメック星人最強の戦士である。同じ戦士タイプであるネイルと融合し、その後も鍛え続けたことによりその戦闘力は天井知らずに上がり続けている。現状で数少ないフリーザとも戦えるメンバーの一人だろう。スカウターによる測定は高すぎる為推定数値になるが、既に1000万半ばを超えている。

 

続いてはクリリン。彼をはじめとした地球人の達人らの多くはナメック最長老による潜在能力の解放を受け、その才能を大きく開花させた。悟空の親友に恥じぬ鍛練を積んだ彼は地球人最強の称号を得られるほどに己を鍛え上げ、先日行われたトーナメント形式の試合ではルールがあるとはいえ地球人でありながら準優勝まで成し遂げた。その戦闘力は28000。すでに観測時点でのべジータをも超え、けた違いの実力者となっている。

 

天津飯は彼自身の必殺技である気功砲をさらに鍛え上げ、新・気功砲なる技を開発するに至った。その威力はかつての気功砲の比ではなく、一撃の威力だけならクリリンのかめはめ波を上回るほどだ。戦闘力にして25000。彼もまた、宇宙規模での達人となったと言えるだろう。

 

驚くほどの実力を身に付けたのはヤムチャも同じだったが、彼自身はフリーザの話を聞き戦力としての自分にあっさり見切りをつけてしまっていた。しかしそれは戦いから離れるのではなく、他者への援護といった役割を自身に求めたがゆえである。彼は一時的に気を増幅させる疑似界王拳とでも言える技を開発し、瞬間的な速度のみならピッコロに匹敵するほどの速度を得た。さらには気の操作能力をさらに鍛え、繰気弾による遠隔操作の太陽拳を身に付けた。しかもそれだけではなく、効果は本家ほどではないもののナメック星人の回復能力まで学習したというのだから驚きである。彼がいるだけで戦いは一気に有利になるだろう。その戦闘力は二人とは離れたが、戦闘力12000という数値は十分に達人と呼べるものであった。

 

桃白々。年齢にして300歳近い彼は、唯一最長老による潜在能力の解放を受けなかった。しかし仙人としての修行を終えた彼は、悟空が一度披露してみせた元気玉をヒントになんと外気功を修得。これは天地自然の気を己の気と合一して扱う技術であり、理論上桃白々の戦闘力は未知数の力を発揮することが可能となった。測定された戦闘力は3000だが、本気になった状態は測定不能である。

 

ボラ。褐色の巨漢である彼は潜在能力解放によってその超能力を目覚めさせた。元々気を用いずとも対戦車ライフルを防ぐほどの防御力を持つ彼だったが、それは彼の一族が先祖代々受け継いできた超能力だったことが判明。金属質な光沢を帯びた姿へと変わった彼はその能力に気を用いることで耐久力だけならサイヤ人をも上回るほどとなった。戦闘力にして15000。彼もまた、怪物である。

 

ヤジロベー。彼は潜在能力解放によって三日間寝込んだ。それは体調を崩したのではなく、彼自身に眠る恐るべきパワーが目覚めるための準備期間だった。目を覚ました彼を見て、誰もが驚いた。具体的には痩せた。それもすさまじく。サイヤ人並みに燃費の悪い体質だった彼だが、痩せてからは食欲が激減。周囲が心配するほどだったが、桃白々が見た限りでは天地自然の気を吸収しているので腹が減りにくいのだろうとのことであった。刀を使うのは変わらないが、この刀だけは以前と同じものであるにも関わらず恐ろしい切れ味を誇る。測定された戦闘力は10000であるが、彼も本気を出したことがない。

 

地球出身の者だけでこれである。

 

計測された戦闘力を見てクリムゾンが完全にべジータとの戦いを事後として考えてたのも無理はなかろう。

 

「苦労が実ってひと安心か?」

 

「まさか。俺が倒すべき()はまだ遥か彼方だ。皆の苦労は報われるべきだが、これは始まりに過ぎんよ」

 

笑顔でありながらどこか苦しげに語るクリムゾンを、ラディッツは訝しむ。

 

現状ここに集まったメンバーがその気になれば宇宙を征服することだって可能だろうからだ。

 

大半が納得しないだろうが、“フリーザ軍の残党を征伐する”とでも理由をつけてフリーザが治める土地の軍を撃破してしまえば後から星々を征服することは簡単なのだから。

 

その後の情報統制とてこの男ならば片手間だろうにとラディッツは思う。

 

ラディッツとてそれを本気で考えているわけではない。とはいえ一軍の長とも言える男が、野心ひとつ持たないのを不思議がっていたのだ。

 

そんな風にクリムゾンに対して奇妙な心配をするラディッツだったが、彼もまた才能を完全に開花させていた。悟空帰還前には戦闘力13000を叩き出していた彼だが、ナメック星から帰還したピッコロに負けダックの末路を知った彼は再び精神と時の部屋にこもった。それも今度は外の時間で一日もの間。実に一年あの部屋に入っていたことになる。その後はレッドリボン軍がカプセルコーポレーションの協力を得て開発した100倍の重力室へと入り再会した悟空を誘って鍛え続けた。

 

さらに、彼は遂に切り札を得た。ドクターゲロが開発した金の輪『金箍児(きんこじ)』を頭にはめることで大猿化を制御。全身の一部を大猿化のときのような体毛が覆う半獣人とでもいうような形態へと変身することが可能となった。この新しい形態への変身はラディッツも予想外だったが、けた違いの強さを発揮できるその姿をラディッツは気に入り、今はどれだけこの形態が維持できるかの修行に専念している。ただし、変身には月に設置したレッドリボン軍の集束ブルーツ波を浴びる必要がある。そして今では戦闘力は推定140万を超え、変身によってその数値は約十倍に至る。

 

そんな風にしてクリムゾンとラディッツが増強された戦力でフリーザを迎え撃つべきか、積極的に攻勢に出るべきか議論を重ねているところに悟空がやってきた。

 

「なあなあクリムゾンのあんちゃん! またトーナメントやろうぜ! オラあれ楽しくって仕方がなかったぞ!」

 

「……カカロット。お前あれの後始末がどれだけ大変だったか知らないだろう」

 

ラディッツは再会した弟であるカカロットが無邪気にクリムゾンへ言い寄るのを見て頭を抱える。

 

苦笑いするクリムゾンと感情を共有できるのは、彼自身がその後始末に携わっていたからだ。

 

件のトーナメントとは、つい先週行われた『地球最大トーナメント』と呼ばれるものである。レッドリボン軍所有の人工島で大々的に行われたこの大会だったが、数々の耐久実験にも耐えてきた島はトーナメント最後の試合において消滅した。もう一度言おう、消滅した。

 

最後の戦いはクリリン対悟空対ピッコロと、かつて行われた第23回天下一武道会を彷彿とさせる内容をさらに盛り上げるものだったが、その内容もまた凄まじかった。

 

十倍の界王拳を使う悟空、本気になったピッコロ、さらにトリックスターとして縦横無尽に立ち回るクリリンによる戦い。それはいくら気を扱うと言っても、クリムゾンには肉眼で視界にとらえることすらできなかった。

 

クリムゾンはそのときのことを思いだし、未だ残る後始末に胃と頭を押さえるのだった。

 

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『地球最大トーナメント』と名付けられたその戦い。

 

組手を繰り返しているとはいえ、本格的な戦いの場がない戦士らにその舞台を用意してやろうというクリムゾンの計らいにより開催された。

 

この大会は、スパイロボを応用した無数のカメラロボによってあらゆる角度から撮影がなされ、さらにレッドリボン軍のスーパーコンピューターで処理された映像が視聴者に届けられる豪華仕様だった。

 

これによって常人には理解できない速度の達人の戦いも視聴者によりわかりやすい形で提供できるのである。

 

場所は特設された直径約三百メートルの武舞台に似た円形闘技場で行われ、ルールは“相手を殺すような攻撃は反則”、“背中を床につけたら負け”、“場外なし”といったシンプルな内容である。

 

なおこの大会は有料で一般人も見ることができ、宣伝の影響もあったがチャンネル登録者数は地球人口の50パーセントにも及んだ。衛星兵器をいくつも作ったりと、最近なにかと金を使いすぎたレッドリボン軍の金策でもある。経営者でもあるクリムゾンには苦肉の策だった。

 

一回戦第1試合は桃白々対天津飯。かつての同門同士の戦いとなったが、仙人としての力を十全に振るう桃白々を前に天津飯の攻撃はまるで当たらず、最後には背後に立たれ首筋を掴まれたことによって天津飯が降参した。

 

一回戦第2試合は謎の覆面キャプテンレッド対悟空。解説のブラック補佐から「何やってんだアンタ」と突っ込まれながらも、彼のみ許可された重火器と各種マシンを用いて悟空に対抗。やりたいことをやらせない試合展開は見るものを驚かせ、正確無比な射撃技術は悟空に界王拳を使わせるほどに追い詰めた。結果は弾切れによって謎の覆面キャプテンレッドの降参に終わったが、悟空は「避けたつもりで何発当たったかわかんねえ。もしオラにも効くような銃があったらと思うとどうなってたかな……。またやろうぜあんちゃん!」とコメントしている。またこれに関して大会主催者のクリムゾン総帥はノーコメントを貫いている。

 

一回戦第3試合。これは少々異質な試合となった。組み上げが終わり完成した人造人間12号対人造人間8号という新旧人造人間同士での戦いである。8号はこのたび自分以上の護衛役がすでにいることからレッドリボン軍を抜け、世界中を見て回りたいとの要望をクリムゾンに伝えていた。クリムゾンはこれを了承し、最後なのだからと大会への参加を誘ったのだ。元々試作段階とはいえエネルギー炉のパワーを利用した理想的なエナジーアーツの使い手である8号は12号と互角の勝負を展開。しかし合体・分離を可能とする12号の多彩な攻撃手段にじり貧となり、やがて敗北した。

 

次なる一回戦第4試合はクリリン対ボラ。豆鉄砲対重戦車とはブラック補佐の意見ではあったが、試合展開はその実力をクリリンが十全に見せつけた内容となった。まともに打ってもびくともしないボラをクリリンは巧みに崩し、“床に背中をついたら負け”というルールを十全に利用してボラの体勢を崩し勝利した。

 

続く一回戦第5試合はヤムチャ対ヤジロベー。この戦いではカメラロボに搭載されたハイスピードカメラが大いに活躍した。それほどに超高速の試合だったのだ。試合開始直後から瞬速でぶつかり合う二人の戦いは残像すらまともに残らないほどの戦いとなり、最後には決着の理由が当人ら以外にわからないものとなってしまった。結果はヤムチャの降参によりヤジロベーの勝利である。

 

最後の一回戦第6試合。まさかのピッコロ対ラディッツの組み合わせであったが、結果は闘技場を半壊させるほどの激戦となった。“魔猿化”と名付けたラディッツの変身はピッコロの最大戦闘力に匹敵し、激しい乱打戦の様相となった。まるで雷が鳴り続けるかのような戦いはやがてエネルギーを使い果たしたラディッツのTKOによって勝利が決したが、ピッコロは「次に戦えばわからない」とラディッツの健闘を大きく称えるコメントを残している。

 

そうして大会の一回戦が終了し、一度半壊した闘技場をある程度修繕する間、選手らには食事の時間が設けられた。

 

「それにしても兄ちゃん前よりずいぶん強くなったんだってな。オラが知ってるのは最初から強い兄ちゃんだから、オラが界王様のところへ修行に行ってる間にクリムゾンのあんちゃんに捕まったって聞いておでれぇたぞ」

 

「それは言うな……。だがあの強さとて、俺ひとりで成し遂げたものではない。レッドリボン軍の協力があって初めて為せる姿だ。とはいえ、消耗が激しすぎるのが悩みどころだがな」

 

忙しなく食べ続ける悟空とテキパキと食事を進めるラディッツ。対照的なふたりだが、その食事の消費量はどちらも変わらぬサイヤ人クオリティである。

 

クリムゾンはそんな二人を見ながらふと疑問に思ったことを悟空に尋ねる。

 

「なあ悟空くん。気になっていたんだが、君が扱う界王拳という技。あれを他の面々に教えることはできないだろうか? 聞いた限りでは相当な気の操作レベルが必要なようだが、ここにいる面々は宇宙全体を探しても屈指の“気”の使い手だと思っているんだが……」

 

クリムゾンのその問いに悟空はなんとも言えない表情になると、口に含んだ一皿分のパスタをもぐもぐと飲み込む。

 

「んぐっ、いやそりゃオラもみんなが強くなってくれるのはうれしいんだけどよ。界王拳は界王様から譲られたっちゅうか、渡された技なんだよ。だからこの技を渡しちまうとオラもせっかくの切り札を渡しちまうことになるんで、それはちょっとなあ」

 

困ったように頭をかく悟空にクリムゾンはそれならば仕方がないと納得する。

 

「では元気玉というのはどうだ? 桃白々などはあれをヒントに新しい技を身に付けたようだが」

 

「それも難しいなぁ。いやたぶんクリリンとかなら十分扱えるとオラも思うんだけど、オラ感覚で身に付けちまったからなんて教えていいかわかんねえんだ。それでもいいならやってみっかクリリン?」

 

話を振られたクリリンは一応聞いていたのだろう、お茶を飲み干し周囲からの視線に応えるような形で口を開く。

 

「そうだなあ、時間がとれればやってみようかな。でも悟空、お前ヒトに教えるのとかできんのかよ」

 

「……俺はあまりオススメしないな。少しの間悟空と修行したが、こいつはサイヤ人としてもかなり感覚肌の人間だ。お前みたいに理論立てて戦うようなヤツに教えるのは相当苦労するぞ」

 

クリリンの質問に割り込む形でラディッツが答え、自覚があるのか悟空は苦笑いして誤魔化す。

 

「ふむ。とはいえそれなら悟空くんから指導を受けつつ、修得した後に理論立てればいいだろう。クリリンくん、時間ができたら是非やってみてくれ。修行する場所は天界でいいのか? 必要な環境があるならこっちで可能な限り用意するが」

 

「そうだな~、できるだけたくさんの気を感じ取れた方がいいと思うけど、最初のうちはあんまり多くても掴みきれねえからな。天界は悪くねえと思うぞ。なあに、修行すれば地球全部から気をもらうことだってできっかんな!」

 

「……それを感覚でできるのはお前だけだ」

 

呆れたようにピッコロがまとめたところで食事の時間が終わりを告げた。

 

二回戦が始まる。

 

 




突然のトーナメント展開に作者も驚いております(´・ω・`)
しかもまさかの回想したまま次回へGO!
どうしてこうなった!

まあ理由としてはせっかく強くなったんだしお披露目パートが欲しいよなー。このまま次の展開に突入だと見せ場なしに退場する人いそうだし……よし! トーナメントだ! 的な思考プロセスは一応あったんですけどね(´・ω・`)

あ、謎の覆面キャプテンレッド対悟空は気が向いたら書きます(笑)

なお勘違い防止の為書いておきますが、当然この新・気孔砲はセル戦時ほどの威力はありませんのであしからず(´・ω・`)
あくまで技として同質というだけです。


金箍児が金箍児である理由を誰か言及してくれないかなー|д゚)チラッ

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