原作主人公のあいつがどんだけ化け物なのか書きまする(´・ω・`)
あとは桃白々の活躍を主にお楽しみください。
おかげさまで気づけばUAがネイルさんの戦闘力を超えていました。
いつも皆さんからの評価&お気に入り&感動に励まされています。
変な人もたまにいますが、こちらの心にダメージが及びそうならさくっとブロックしますので生暖かく見守ってください(´・ω・`)
トーナメント二回戦第一試合、桃白々対孫悟空。
熟練した仙人の技と、サイヤ人の血を引く天然の怪物。好対照なふたりの戦いは見るものに展開を予想させなかった。
「……おっちゃんつえぇな。戦うのは初めてだけど、オラわくわくすっぞ」
「見ただけでわしの強さを見抜いたか。見た目通りの馬鹿ではないらしい」
互いに一言言葉を交わし、弾けるように動いた。
正面から攻撃するように見せかけた悟空は残像拳を利用して桃白々へと後ろからかかと落としを仕掛ける。
しかし桃白々はそれを見ることもなく回避。避けた動きからそのまま後ろ回し蹴りへと繋げるも、悟空はそれを両腕をクロスして防ぐ。
「ぐぎっ……!」
刹那、体ごと大きく弾き飛ばされる悟空。
その予想外の威力に悟空は目の前の人物が感じた通りの“気”で戦っていないのだと実感する。
「それが“外気功”っちゅうやつか。オラ、今の攻撃は防御するのを前提にしたんだけど、まだ腕が痺れてっぞ……!」
「そんな程度で済めばよいがな……どどん波っ!」
振り向いた桃白々は両手を痺れさせる悟空へ向かってノーモーションでのどどん波をお見舞いする。
悟空は先程と同じように腕をあげてそれを逸らそうと試みるが──気づけば腕が思うように動かなくなっていた。
「ぐあっ!」
どうやら今のは打撃の性質を持ったどどん波であったらしく、悟空は無防備にアゴを打たれてもんどりうって倒れてしまう。どうにか背中をつかないよう無理矢理体勢を整えるが、ダメージは決して軽いものではなかった。
あまりに意外な展開にゲストの天下一武道会アナウンサーは立ち上がる。
「い、今のはいったい?」
「……恐らく桃白々が身に付けたという“外気功”。それの作用が関係しているのだろう」
アナウンサーの困惑に、ブラック補佐に変わって解説席に来ていたクリムゾンがその疑問に答える。
「その通りだ。わしの身に付けた外気功は一度当たった程度では離れん。相手の気を乱し、その動きを著しく劣化させる。さあ、孫悟空とやら。お前の実力はこの程度なのか?」
どこか挑発するように片手を腰にやり、もう片方の手で上向きに手招きをする桃白々。
そしてそれに対する悟空の回答は、笑顔だった。
「すげえな。オラ、これ以上強くなるには目一杯込められる力を増やせばいいって思ってたけど、それだけじゃなかったんだな……だったら!」
悟空は言うなり自身の気を高め、全身から白い炎のようなオーラが溢れるまでになる。
それだけならば驚くことではなかったが、その後に起きた現象を見てさしもの桃白々も目を丸くする。
「はああああぁぁぁっっ!!!」
気を高める悟空。しかし起きた現象はそれだけではない。腕にまとわりつく桃白々の外気功が、高まる悟空の気に同調して悟空自身に吸収されていっているのだ。
「なんと……!!」
隙だらけの姿を晒す悟空だったが、桃白々は目の前で起きた現象に感動してしまい動けずにいた。
「……ふう。おっし、これでもう平気だ。桃白々のおっちゃん! 今の技もっとやってきていいぞ!」
「ふん、天才め。いいだろう! 我が武の極み、とくと受けてみせるがいい!」
低い体勢となり鉤状にした手を前に、もう片方の手は後方で天を掴むような亀仙流の構えを取った悟空。
対する桃白々は──奇しくもそれと同じような体勢を取る。
「おっちゃんも亀仙流だったんか?」
「……いいや、だがわしも武天老師も師は武泰斗様であるがゆえに、源流は同じよ。ゆくぞ悟空!!」
互いに突っ込む悟空と桃白々。
無数の乱打をさばき的確な攻撃を加える桃白々と、生来の反射神経によりそれを捌き圧倒的なセンスによってカウンターを加えんとする悟空。
現時点での悟空の推定戦闘力は150万を超えている。
打ち合う度に闘技場が壊れ、砕けていく。戦闘力の差を考えれば悟空が手加減をしているとは思えない激しい戦いのなかで、それと互角に戦う桃白々へ天津飯は熱い憧憬を感じずにはいられなかった。
「こんな……! 人はこれほどの高みに至れるものなのか……!」
天津飯はかつてのように悟空に勝てることはないだろうと、どこかで諦めていた。
しかし、だとするなら目の前で起きている戦いはなんだというのか。一回戦で油断から負けたと断じていた自分を殴り飛ばしてやりたい気持ちを抑えながら、天津飯は瞬きもせずにふたりの戦いに見入っていた。
「「かめはめ波っ!」」
桃白々と悟空。桃白々がかめはめ波を使うのが意外だったのかクリリンが驚くが、その隣に控える亀仙人はありし日を振り返り笑みをこぼす。
闘技場の中心でぶつかり合ったかめはめ波は互いが相殺するように打ち消し合い、衝撃波を伴って霧散する。
「でりゃあっ!」
「さああっ!」
五分と経過していない戦いではあった。が、見る者によっては数時間に及ぶかのように感じる高密度の激戦が繰り広げられる。しかし、そんな戦いにも決着のときが迫ってきた。
「だあっ!」
「ぬおっ!?」
悟空の格闘への嗅覚が。圧倒的な戦闘へのセンスが。徐々に桃白々の技術を盗みつつあった。
元々見よう見まねでかめはめ波を修得した、サイヤ人として抜群のセンスを持つのが悟空である。
しかし彼自身にあるのはそれのみで、豊富な気と生命力を生まれつき持つサイヤ人としては落第点の存在であった。
だが優れた“師ら”が、それを変えた。
孫悟飯に育まれた基礎が。武天老師の教えが。神によって鍛えられた肉体が。界王によって引き出された潜在能力が。
長い年月によって培われたそれらは、下級戦士のサイヤ人というカテゴリーであった
「ぐはっ……!」
そしてついに、悟空の一撃を顎に受けた桃白々はその背を地面に付けた。
揺れる視界のなか、桃白々は思う。かつての己であれば、誰かに敗北するなど到底許容できないことだったと。
「すっげえなあ、桃白々のおっちゃん! またやろうぜ!」
しかし、笑顔で倒れた自分に手を差し出してくる悟空の顔を見ると、怒りも悔しさも浮かんでこない。甘くなったと断じるべきだろうかと、桃白々は考える。否、これもいいだろうと微かに笑いを溢した桃白々は、その手を掴み立ち上がるのだった。
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トーナメント二回戦第2試合。
クリリン対人造人間12号。
三メートルを超える巨大なロボットである人造人間12号は、パワーレベルと呼ばれる気の総量においてピッコロに匹敵する容量を持つ。
しかし、実際にはそれほどのパワーを活かすことができないのが現実である。
これは現状でエナジーアーツを利用する際にエネルギーを循環させている仕組み、仮にエナジーサーキットとでも呼ぶべき部分が完全に理論化できていないことが大きい。
戦士らに協力してもらいデータを集めているが、理論上戦闘力1億を凌駕するパワーレベルの永久エネルギー炉を用いても、実際の出力はせいぜい10万といったところである。12号はそれを補うために連結式永久エネルギー炉を利用しているが、それとて50万少々にしかならない。
とはいえ、それと対峙するクリリンにとっては十分以上に驚異なのは変わらないのだろうが。
「……なあクリムゾンさん! やっぱり気円斬使っちゃダメっすか!?」
クリリンは目の前にそびえ立つ三メートルを超える巨体のロボットを見て冷や汗を流す。
先程のボラとの時もそうだが、パッと見で自分が勝てそうには到底見えないからだ。
なので一縷の希望を願って屋内の解説席にいるクリムゾンに嘆願したのだが、それに対してクリムゾンは実に爽やかな笑顔で答えた。
「ダメだな。あの技は当たれば確実に死ぬ技だ。それに、君の隠している実力がそんなものではないことを私は知っているからね。一応参考までに言っておこう。その人造人間12号の戦闘力は53万だ。これはフリーザの第一形態の戦闘力とほぼ同じ数値でもある。さあ、君の本気を見せてくれ!」
「……ちぇ、あんまり人に見せたくなかったんだけどな~」
構えるクリリンに人造人間12号が待機状態を解き戦闘態勢へと入る。
お気づきかもしれないが、この地球最大トーナメントに試合開始の合図はない。戦いはお互いが闘技場に上がった時点で始まっているのだ。
「はっ!」
12号が突進してくるのに合わせて、クリリンは両手を広げて気合いを込める。
すると、何も見えなかったにも関わらず人造人間12号の片足は大きく弾かれバランスを失う。三メートルの巨体が、闘技場に凄まじい音を立てて倒れこんだ。
そんな状況に目を白黒させるアナウンサーに、クリムゾンは今の技を解説する。
「今のは気を不可視の状態で発射したんだ。悟空くんは気合い砲と呼んでいるな。気そのものの不可視のエネルギーとしての性質が発揮できる分威力は低い。それなりの威力にしようと思えば消耗も大きいだろう。事前に気を溜めるか、足止めでもできなければ到底仕掛けるのは難しいだろう。びくびくしているようで、彼は案外策士だよ」
クリムゾンが解説する間にもクリリンの攻勢は続く。
「だあああっー!」
倒れた人造人間12号に向かい、クリリンが上空へ気功波を放つ。
ややゆっくりとしたエネルギーは、12号が立ち上がろうとするのに合わせて都合五つの気功波に分裂。首、両肘、両膝を殆ど同時に襲う。
──しかし爆煙が晴れたそこには、無傷の12号の姿があった。
「うげ!? びくともしないっ!」
「甘いぞクリリンくん。ロボットの関節が弱いなどというのは漫画のなかだけだ。そういったポイントには対エナジーコーティングを施してあるから通常の気功波が通じると思わないことだな。そうだな、
」
自信満々に言い放つクリムゾン。後ろに控えるバイオレットがそんな夫を微笑ましく見つめている。
「だったら……これで!」
続いてクリリンは気円斬と同じく円形の気功波を形成する。気円斬は反則だと言われていただけにアナウンサーが注意しようとするが、それをクリムゾンが止めた。
「気円縛!」
見た目は気円斬そのものである気孔波が12号に直撃する。
しかしやはりダメージはなく、12号はクリリンに向かって三体に分裂して襲いかかろうとするが──分離ができないことに気づき慌てたように全身を見下ろす。
「クリリンめ、
「ど、どういうことでしょう?」
再び困惑するアナウンサーが、動けない人造人間12号の様子を見て叫ぶクリムゾンに質問する。
その答えは、クリムゾンの護衛として横に控えていたラディッツからもたらされた。
「さっきのあの拡散エネルギー波とでもいう技で、クリリンはすでに布石を打っていたんだろう。関節だけに放たれたと思わしき気を12号の分離機構に染み込むように浸透させ、続けて放たれた気円縛とかいう技で内と外から完全拘束したんだ。随分と器用な真似をする。生きた相手には気づかれるから効かないだろうが……見ろ、もうじき完全に動けなくなる」
するとまるで錆び付いたかのように動きを鈍らせていた12号は、やがて完全に動かなくなってしまった。
「本当はここから魔封波で封印しちゃうんすけどね。とりあえず、この試合は俺の勝ちってことで」
言いつつクリリンは舞空術で浮かび上がると、固まった12号の胸元をつんと指でつついて背中から倒れさせる。
二回戦第2試合。クリリン勝利の瞬間であった。
戦闘力のインフレで麻痺した常識をぶち壊す……(´・ω・`)!
ということで桃白々&クリリン大活躍の回でした。どちらもえげつなく理不尽な奥の手をいくつか持っているということです。
ちなみに桃白々もクリリンも技術としては本気ですが、全力という意味では本気でやってないです。特に桃白々。
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