ドラゴンボールR【本編完結】   作:SHV(元MHV)

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とうとうフリーザ軍の襲来。

そしてお待たせしましたレッドリボン軍大活躍の回になります。

これまでちらほらと存在を明かされていたパワードスーツなどの装備が今回は一斉に出てきますので、どうぞお楽しみください。

そして! おかげさまで評価がとうとう2600を超えました! カテゴリー『ドラゴンボール』総合評価順でトップページに躍り出るまで後ちょっと……!
ちなみにトップの丸焼き師匠の【姉サイヤ人】の評価点は16,146pt。サイヤ人編のピッコロがベジータに張り合おうとしてるみたいなもんですので、決して調子には乗っておりません。ていうか乗れません(苦笑)
とはいえこんなところまで来れたのも皆さんのおかげですので。これからも応援感想評価をよろしくお願いしますm(_ _)m


ということで本編をどうぞ!



第27話【波濤】

その報せは襲撃より三日前、レッドリボン軍の警戒衛星によってもたらされた。

 

「そうか、遂に太陽系まで来たか。……やけにゆっくり飛んでいるな」

 

クリムゾンはターレスとラディッツを伴いながら、レーダーに表示されたフリーザ軍らしき宇宙船団を見つめて呟く。全軍とまではいかないが、それなりに数を揃えて進軍してきた辺りそれなり以上に警戒はされているのだろう。

 

「恐らくこちらへプレッシャーをかけるつもりだろう。常識的に考えればフリーザ軍以上の驚異などこの宇宙に存在せんからな。銀河パトロールが少々騒がしいようだが、どうせ何もできんさ。問題はフリーザ軍が警戒衛星を撃墜したことから見て、こちらが向こうの存在に気づいたことを知っているかどうかだな」

 

ラディッツは現状集まった情報から冷静に状況を分析する。銀河パトロールとはクリムゾンも一度連絡を取ってみたが“鋭意対応中”との回答があったのみでまるで頼りにならないことを証明してしまっていた。

 

「銀河パトロールの連中は元より頼りにしていないから気にするな。問題は衛星が捉えた戦闘力約4万から20万前後の連中だろう。ターレス、お前の予想は?」

 

話をふられたターレスは一度黙考し、机と一体化したモニターを指差しながら自分の考えを述べる。

 

「この一人だけいる戦闘力20万のヤツは、噂に聞くコルド大王直属護衛軍のリーダーだろう。あとは恐らく、クウラ機甲戦隊にギニュー特戦隊だな。人数的にも丁度だ」

 

ターレスの予想にラディッツも頷きながら、クリムゾンはさらに検証を重ねていく。やがて船団の大半が先に進行する様子を見せたことから、フリーザ軍はまず最初に数の暴力を用いてくるだろうとの結論に至った。

 

「最低でも戦闘力300以上からなる戦闘員20000人か。フフッ、フリーザめ。ドラゴンボールで太陽に瞬間移動されたのが随分とトラウマになっているようだな」

 

クリムゾンは冷酷に笑う。配下の部下に暴れさせてこちらがドラゴンボールで願いを叶える余裕を無くす算段なのだろうが、そうはいかない。

 

すでにナメック星人達は保護区から避難させ、レッドリボン軍本部に避難させてある。

 

最悪の場合は彼らにポルンガを使用してもらうつもりだが、今回も前回のような手段が効くとは思っていない。そもそも前回フリーザとの戦闘は予定になかったものだ。しかし、今回ははじめからフリーザを迎え撃つつもりでいる。この違いは大きい。

 

「これまでの傾向からして、やつらは一度広い場所に着地してそれから侵攻を開始するだろう。こちらもそれに合わせて大部隊を展開する。自信満々な間抜けどもを徹底的に叩き潰してやる!」

 

クリムゾンの熱がレッドリボン軍司令部に広がっていく。

 

「よし、全軍に通達! これより我らレッドリボン軍は第一級戦闘態勢に入る! 各基地の兵員に最大威力での武装を許可する!」

 

「第一級戦闘態勢開始! 最大武装!」

 

クリムゾンの通達を受けてブラック補佐が復唱する。

 

慌ただしく動き始めるレッドリボン軍。改めてクリムゾンはターレスとラディッツと向かい合い、対フリーザ戦の作戦を確認し始める。

 

「レッドリボン軍がフリーザ軍の相手をするのか。可哀想な奴等だな。すると、問題はギニュー特戦隊やクウラ機甲戦隊などか。どうする、俺たちが相手するのか?」

 

ラディッツは当然と言えば当然の疑問を口にする。

 

「いや、ここはクリリンや天津飯といった第二線の達人を頼るつもりだ。すでに現時点でクリリン、天津飯、ヤムチャには南の都を。ボラとヤジロベーには東の都を。桃白々には西の都を任せている。北の都には人造人間12号を向かわせた。ターレス、お前は遊撃要員だ。中の都で他のフリーザ軍を警戒しつつ、各地で苦戦している場所があればその都度向かって欲しい」

 

「用意がいいこったな。にしても俺が二線級か。ガッカリするやら安心していいやら……」

 

ターレスは嘆息しながらもフリーザと相対しなくていいことに露骨にホッとした表情になる。彼にとってフリーザとは未だ恐怖の象徴なのだ。

 

「なに、ヤバくなったらお前を頼るさ。だがとなればクリムゾン。俺とカカロット、そしてピッコロはフリーザ一族とそれぞれ戦えばいいのか?」

 

ラディッツは一年以上の修行で今述べた自分を含める三人がかつてのフリーザ以上の実力者となったことを知っている。なので単純な割り当てを考えたのが、クリムゾンはそれを否定した。

 

「それなんだがな。コルド大王は俺が引き受けようと考えている」

 

「正気かキサマ!? 相手はフリーザ以上の化け物だぞ!」

 

ラディッツは思わず激昂しクリムゾンの肩を掴む。こうして軽く掴んだだけで何もできない男があの化け物と戦うなどと、信じられないといった表情でラディッツはクリムゾンを責める。

 

「……パワーアップしたフリーザの実力が読めん。その為には下手に最大戦力を分散させず、まとめて叩きつける必要があると俺は考えている。ふふ、それにさすがの俺も直接戦闘はしないさ。戦うのは人造人間達だ。二ヶ月ほど前、15号までが完成した。半機械式だが、少なくとも13号の動作チェック及び精神汚染、その他諸々問題はないことが判明している。ヤツならやれるさ」

 

「だがそれならキサマが出張る必要はないだろう!」

 

「あるんだよ。俺が出張ることこそが13号に戦ってもらう条件だからな」

 

「どういうことだ……?」

 

「以前のヤツの名前はグレイ少佐といって、俺の部下だった男でな。俺はアイツと約束したのさ。戦場で再起不能に陥ったアイツが蘇ったら、その最初の戦いは俺の前でという約束をな」

 

ラディッツはクリムゾンの表情から彼が引かないことを察すると渋々手を離す。少なくとも人造人間三体がいるならば護衛としては限りなく有能であろうと。

 

「……ちっ! キサマというやつは……!!」

 

「怒るな怒るな。何、大した役目は俺にないさ。コルド大王自身、戦闘力は高いが前線を離れてすでに百年単位で経過している。油断をつけばすぐに倒せるだろうさ」

 

柄にもなく気休めを言うクリムゾンにラディッツは不安が募るが、それでも彼を信じることにした。

 

目の前の男が勝つというならば、絶対に敗けはないのだから。

 

__________________________________

 

 

宇宙から大型の宇宙船がいくつも降下してくるのを見て、レッドリボン軍を率いるブルー将軍は笑みを浮かべる。

 

「来たわよ、総員実装!」

 

ブルー将軍の号令に従い、待機していた3000人のレッドリボン軍兵士が一斉にパワードスーツのフェイスパーツを閉める。

 

ブルー将軍もクリムゾンから譲られ青一色に色を新調したパワードスーツRR-04を着装し、スーツを介して収集される情報を取捨選択していく。

 

「砲戦部隊は敵が高度200メートル以下になった時点で一斉射撃なさい。陸戦部隊、落ちてきたお客様を丁重にお出迎えなさい。航空部隊は総帥に余計な手間をかけさせないよう、おこぼれをお掃除よ。今回も前線に出てくるあのバカに、負担をかけちゃさせちゃダメだからね!」

 

『『『了解!』』』

 

それぞれの大隊長からの返事を黙って聞くブルー将軍。

 

そしていよいよフリーザ軍の宇宙船団の姿が見えてきた。

 

ブルー将軍は発射のタイミングを大隊長に任せて悠然と構える。自分以上にタイミングにはシビアな男だからだ。

 

そして、目標の高度が200メートルを割った瞬間、砲火が炸裂した。

 

「残弾気にするな! 撃ちまくれぇっ!」

 

炸裂するビームカノンの轟音を横にしながら、虎顔の獣人であるイエロー()()は吠える。クリムゾンに拾ってもらった恩義を果たさんと、その顔に負けない迫力を周囲に見せつけながら部下へと檄を飛ばす。

 

フリーザ軍の宇宙船を迎撃しているのはR40 155mm自走カノン砲。パワードスーツと同じくドクターゲロ開発のエナジーシステムを組み込み、高出力のビームカノンを発射する大口径砲である。

 

次々と直撃を受けて撃墜されていくフリーザ軍の宇宙船。しかし、撃墜されながらも生き残ったフリーザ軍がわらわらと雲霞の如く現れる。

 

そんな中イエロー将軍もまた特注サイズの黄色いパワードスーツを着込みながら、自身のパワードスーツと連動した大型エネルギーカノンを発射する。

 

腰だめに構えたエネルギーキャノンが数秒のチャージ時間を置いて次々とフリーザ軍の兵士を撃ち落としていく様は爽快と言えた。

 

「はっはっは! 銀河に名高いフリーザ軍もこの程度か! ……む! 了解しました! 貴様ら撤収するぞ!」

 

砲戦部隊はブルー将軍の指示に従い、陸戦部隊と入れ替わるようにして下がっていく。

 

そこへようやく陸上へ降りた残り六割ほどのフリーザ軍。その一部が整然と並ぶ陸戦部隊へ走って向かっていく。

 

「引き付け構えいっ! ……撃てっ!!」

 

眼前まで迫ったフリーザ軍が、三段に構えたレッドリボン軍陸戦部隊によって薙ぎ倒される。

 

RSG-99。今回の作戦に陸戦部隊が選んだ装備は一種のショットガンであるが、当然単なる炸薬式の銃ではない。

 

レッドリボン軍が開発した新型火薬を用いたこの銃は、パワードスーツによる肉体強化があって初めて扱えるほどの反動がある。今回使ったのは再生能力がある敵がいる可能性も考慮し、確実に急所を潰せるようワンバック弾を用いている。

 

そして結果は見ての通り。銃撃が止んだ後、迫ってきたフリーザ軍の兵士に動いている者はいなかった。

 

「ふふん……! ホワイト将軍をあのとき見切った甲斐があったというものだぜ」

 

銀色に光るパワードスーツの下で不敵に笑うのはシルバー大佐。大隊のひとつを率いる彼は、クリムゾンによるクーデターの際かつてホワイト将軍の派閥にいた。しかし時流を見切れないホワイト将軍を見切った彼は将軍を裏切り、クリムゾンの傘下に降った経緯を持つ。

 

その経歴ゆえに部下をはじめとした軍内での立場は実に微妙なものだったが、今回の大隊長への抜擢から自分にも運が向いてきたとシルバー大佐は考える。それが損耗率の高い陸戦部隊であってもだ。

 

「攻守逆転だ! 俺に続けぇ!」

 

自らも勇猛に両手に突撃銃を構えて突撃するシルバー大佐。もちろんこの突撃銃もレッドリボン軍謹製の逸品であり、パワードスーツを前提とした威力を持つ。

 

シルバー大佐は忠誠以上に保身を優先する男であったが、その心理はこの場において有効に働いていた。

 

さらに場面が移り、宇宙船から逃げ出したフリーザ軍の内他の地域へ向かおうとした兵士が無造作に撃ち落とされる。

 

それを為したのは、エクステンドブースターを装備したパワードスーツを身に纏うレッドリボン軍の兵士達である。

 

『航空部隊へ次ぐ。機動力を活かし、敵を逃すな。総員散開!』

 

そして今回、ただひとり離れた場所から大隊の指揮をする女傑がいた。

 

何を隠そう、クリムゾン総帥の妻バイオレット元大佐である。

 

今回レッドリボン軍が出動するとの話を聞いて、航空部隊の指揮を名乗り出たのが彼女だった。

 

元々パイロットだった彼女は航空部隊を率いていた前歴もあり、今回の作戦にも乗り気だったが当然クリムゾンには反対された。

 

しかし総帥との激しい夜の作戦会議の結果、根負けしたクリムゾンに“無線越しでの大隊指揮を認める”との言質を取って今回の作戦に望んでいた。

 

今回航空部隊に使用されているRR-03の拡張モデルであるRR-03FYは、現行のあらゆる航空機を置き去りにする空戦性能と機動力を持つ。

 

その戦闘力は機動力が加わったことにより2500まで上昇しており、航空部隊の立場を一段階引き上げるまでに至った。

 

しかし反面ピーキーすぎるパワードスーツの操作性は難易度を増しており、長時間の飛行が出来ないことがネックとなっている。バイオレットは、それを二個中隊ごとに絶え間なく投入と撤退を繰り返させることによって補っていた。

 

次々と倒れていくフリーザ軍。

 

こうした光景は兵士らをモニターする無人機によって避難した人々へと配信され、レッドリボン軍の活躍が世界中の人間へと刻まれた。

 

結果的に、満を持して送り込まれたフリーザ軍の兵士らは何もできず全滅することとなる。

 

 




ちなみに各基地には予備人員が当然ながら控えており、他にも達人らが控える都市にはその動きを援護するための兵員が割かれていますので、間抜けにも全軍を一ヶ所に配置したフリーザ軍のようなことにはなっていません。
あと一個大隊の人数がわからない人にざっとした基準を。
大隊=1000人。
中隊=100人。
小隊=10人。
これは現実世界に当てはめるとかなり適当な数字になりますが、そこはまあドラゴンボール世界なので許してけれ(´・ω・`)

あとちょっとした疑問なんですが、皆さん声優の若本紀夫ってどう思ってます? 個人的にはすごい素敵な声の持ち主なのに存在がギャグみたいに扱われて困ってるんですが。いやあれはあれで本人ノリノリでやってるんですけどね?(笑)
んー、なんかこの質問は世代によって回答がわかれそうだなー( ̄▽ ̄;)

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