ドラゴンボールR【本編完結】   作:SHV(元MHV)

53 / 75
hisaoさん、勿忘草さん、誤字報告ありがとうございますm(_ _)m
そしてまた載りましたよ日間ランキング!! 評価、お気に入りありがとうございます。
感想は基本全部返してますので、どうぞ新規の方も是非くださいませ! お待ちしています!

さて、ドラゴンボールファイターズの第3弾PV見たけど、21号悪役かー(やっぱり)。なんかクローン軍団もりもり出てくるみたいだし普通に気になる。でもプレイ環境ないから動画サイトで実況動画見て過ごす予定です。
そしてまだまだ続くよ一回戦! 戦わせたい組み合わせ、早めに脱落して欲しい組み合わせ、色々あるけど二回戦に盛り上がる試合を持っていく為にもまだまだこれからだZE☆


第53話【力闘】

崩壊した武舞台を控えていたレッドリボン軍の兵士達が修繕していく。ピッコロが持っている間に崩壊した部分を速乾特殊コンクリートで固め、バリア装置の破壊された部分を取り替えていく。削れた武舞台の表面もすでに完全に元の姿に戻っていた。

 

その間僅か10分。レッドリボン軍工兵部隊の実力が証明された瞬間でもあった。

 

『さあ~! 武舞台の修繕も終わったところで一回戦第三試合! 色んな意味で注目の親子対決! クリムゾン総帥対21号! 開始(はじ)めいッッ!!』

 

同じくエレベーターで武舞台へと降り立った二人は互いに笑顔を浮かべて向かい合う。まずは21号が猫撫で声でクリムゾンへと問いかけた。

 

「ねえねえ! 私の不戦勝~♪ ってのはど~お?」

 

「……勝負にプライベートは、持ち込むもんじゃないぞ?」

 

「いいもん、お父さん嫌い!」

 

「ぐふぁっ!!」

 

片や白衣を、片や軍服のコートをはためかせながら親子が対峙する。すでに父親(クリムゾン)は精神的に大ダメージを受けていたが気を取り直して構える。

 

「……ま、まあ冗談はさておき。悪いがこの組み合わせだけは俺が仕組ませてもらった。お前が他のヤツに殴られてるところなんぞ、見たらそれだけでぶちギレる自信がある」

 

「お父さん、過保護すぎ。ていうか、私これでも結構強いんだよ?」

 

ニヤリ、と父親によく似た笑顔を浮かべてスカーレットが突っ込む。更にその姿は一瞬で消えてしまった。だが──

 

「甘い」

 

「きゃあ!」

 

──背後から首を刈り取らんばかりの勢いで延髄斬りを仕掛けた21号は、あっさりと光学迷彩を見抜かれクリムゾンにその足を掴まれる。

 

プロトが展開する多重超高感度センサーの前には、例え時空間転移であっても不意打ちなど意味はないからだ。

 

「むぅん!」

 

「あぐっ!?」

 

そのままクリムゾンは勢いよく彼女を武舞台へと叩きつける。21号は負ったダメージを計算しつつ、ひとまず距離を取る選択肢を選ぶ。

 

「サンライトフラッシュ!!」

 

太陽拳と同質の閃光エネルギー波を掌から放ち、21号はどうにか足を放させることに成功する。

 

「けほっ……! 娘を叩きつけるだなんてあんまりじゃない?」

 

「手加減はしている」

 

「馬鹿にしてぇ……!!」

 

むー、と唸った21号はムキになって攻めるが、その打撃も蹴りも全てクリムゾンに見切られてしまっている。事実、クリムゾンはまだ変身すらしていなかった。

 

「スーパーギャリックカノン!!」

 

わずかに距離を取った21号が両手を重ねると、そこから連続で強化されたギャリック砲が発射される。しかし、そもそもエネルギー波をクリムゾンに放つことに意味はない。

 

「プロト」

 

『了解しました』

 

クリムゾンの金色の眼が輝き、展開されたバリアが放たれたギャリック砲を吸収していく。

 

「反則でしょソレ!?」

 

「問題ない」

 

今度はクリムゾンが動く。今のエネルギーで腕の肘から先をセル化させ、掌から小さな甲殻状のナニカを数十匹放出する。

 

()け、セルビット!!」

 

緑色の甲殻を備えた手足の無いカミキリムシのようなモノが、慣性の法則を無視するかのごとく複雑な軌道を描いて21号に迫る。

 

「フフッ! 全く、こういう発想は親子なのね!」

 

ニヤリと笑う21号は白衣からカプセルを取りだしそれを投げる。そこから現れた無数の銀色の球体が21号を囲み、セルビットに備えた。

 

「スフィア! 防ぎなさい!」

 

「行動不能にせよ!」

 

クリムゾンと21号の台詞が重なると同時、セルビットから無数の赤いエネルギー波が放たれるが、21号は自らを囲むスフィアと呼んだモノによってそれらを弾いてしまう。

 

クリムゾンは数百はあろうかというテニスボールサイズの銀球を眺め目を細める。

 

「そいつは一体なんだ?」

 

「今説明すると思う?」

 

「それもそうか」

 

両者は再び対峙し、激しいエネルギー波の打ち合いが始まる。

 

スフィアは赤い目に似た部分を露出し、そこからエネルギー波を繰り返し放つ。

 

クリムゾンも負けじとセルビットを操り、エネルギー波を弾き、或いは防いでいく。

 

形は違えど並列思考が可能な両者はそれぞれがビットとスフィアを操ったまま再び接近し、光線と打撃を入り交じらせながら戦う。

 

数ではスフィアが。質では圧倒的にセルビットが優れている。円軌道を中心とするスフィアに対し、セルビットは慣性の法則を無視したかのような直角的な動きを見せる。

 

そのため21号は圧倒的な量がありながら、スフィアのほとんどを防御に回していた。

 

そうした数限りない撃ち合いが続く中、不意にさきほどまでクリムゾンの腕があった場所を光線が掠めクリムゾンの動きが僅かに制限される。

 

それを隙と見た21号がクリムゾンにスフィアを直撃させようと操るが、あわやというところでセルビットの特攻によって防がれる。

 

激しい戦いではあったが、見方によってはそれは親子喧嘩に、遊びに、真剣勝負のいずれにも見えた。どれもが正解であり、どれもが似て非なるものでありながら、そのどれにも終わりは来る。

 

そんな中、クリムゾンはプロトにスフィアを解析させつつ、こういった不器用なコミュニケーションも悪くないと感慨に浸っていた。

 

『解析完了です』

 

「わかった」

 

不意に、それまで慎重に攻撃を仕掛けていたクリムゾンが突如として21号の懐へと潜り込む。21号はクリムゾンが接近した瞬間白衣に隠していた2体のスフィアを突撃させようとして──スフィアが自身の命令を受け付けなくなっていることに気づく。

 

「えっ!?」

 

驚愕に染まる21号の体を、クリムゾンが一本背負いに武舞台へ叩きつける。彼女が無理矢理体勢を整えるよりも早く、クリムゾンはその眼前にセル化した掌を向けていた。

 

「チェックメイトだ」

 

「……みたいね。う゛あ゛ー! 負けたー! ていうかアタシのスフィア乗っ取るとかズルいー!」

 

落下したスフィアを拾うでもなくその場で駄々をこね始める21号。クリムゾンはその手を掴み立ち上がらせると、アナウンサーによる勝利宣言も聞かずに彼女をおんぶしてさっさと退出するのであった。

 

__________________________________

 

 

先程の試合で武舞台の破損は殆どなかった為、即座に次の試合となった。

 

今大会の優勝候補、ブロリーの試合である。対戦相手はターレスであった。

 

ブロリーはエレベーターに入れなかったので自ら武舞台へと上がり、エレベーターでやってきたターレスを面白そうに見つめる。

 

「その尻尾は……まさかお前もサイヤ人か!? 生き残りが俺と親父以外にいたとはなぁ。……んん? なんだかお前の顔を見ていると無性にぶん殴りたくなるぞ! はっはっは! 盛り上がってきたなあ!!」

 

勝手に興奮するブロリーとは裏腹に、対峙するターレスはそのけた違いのエネルギーを感じてドン引きである。この大会に備えて折角超サイヤ人2にまで変身できるようになったというのに、目の前の化け物(ブロリー)相手にはそれでも不十分としか思えない。

 

「でも、やるっきゃねえ!!」

 

開始(はじ)めえッッ!!』

 

「ふん!」

 

「ぶべらっ!?」

 

剛腕一閃。ブロリーの振り抜かれた巨拳によってターレスは弾き飛ばされる。

 

どうにか地面を転がり体勢を整えたものの、ダメージは大きく目の前の景色が揺れている。

 

「がはっ……! あらかじめ変身してなかったら一撃でやられてた……!! クッソォ、なんだってこんなくじ運悪いんだよ!!」

 

試合開始前に超サイヤ人2へと変身を済ませておいたターレスだが、ブロリーの一撃を受けて既に戦闘不能寸前だった。

 

しかし相手はターレスが回復する時間など待ってはくれない。数キロは飛ばされたターレスだが、見ればすでに土煙をあげて迫り来るブロリーの姿が見えてきていた。

 

「はっはっはっはっは! はっはっはっはっは!!」

 

笑いながら赤いマントを靡かせ走ってくるブロリー。見た目はギャグだが、対峙しているターレスからすればたまったものではない。

 

「キルドライバー!!」

 

手加減なし、文字通り全力でのリング光線でブロリーを迎撃するターレス。クリリンの気円斬に代表される斬撃効果を持つ気功波であったが、ブロリーのマントがひとりでに動いて拳を保護すると、驚くことにブロリーはキルドライバーを素手で砕いて破壊してしまう。

 

「うっそだろぉ……!?」

 

驚愕するターレスだが、固まっている暇はない。距離を取りつつもブロリーに連続で気功波を浴びせ、少しでもダメージが与えられるように時折そこに貫通効果を持った気功波を放つ。が、恐るべきことにブロリーのマントはダメージを与えられそうな攻撃のみ弾き飛ばし、それ以外はブロリーの強靭な肉体に弾かせてしまう。

 

そうして眼前に迫ったブロリーを前にして、思わずターレスは呟く。

 

「……少しは手加減しやがれ」

 

「手加減てなんだぁ?」

 

ブロリーの言葉にターレスは呆れつつ、それでも降参することなく最後まで抵抗して倒れた。ブロリーはターレスのタフさに大層喜び、後にまたやりたいとコメントした。

 

もちろんそれに対してのターレスのコメントは

 

「二度とゴメンだ……」

 

である。

 

__________________________________

 

 

ブロリーとの戦いでターレスが少々精神的にダメージを負いながらも仲間のいる特別観客室に向かった頃、武舞台では一回戦第五試合が行われようとしていた。

 

「毎回フォローばかりじゃ、俺も詰まらんからな。とはいえ少しは骨のある相手と戦いたいものだ」

 

マントとターバンを装着したまま、ピッコロは目の前の怪物を見上げる。

 

「うまそうなナメクジだなぁ!」

 

ヤコンは舌舐めずりしながらピッコロを見下ろす。ヤコンは宇宙でも珍しいエナジーアーツに頼らず強靭な肉体のみで高い戦闘力を有する種族だが、彼の秘密はそれだけではない。それは()()という、この種族特有の偏食にある。

 

暗黒惑星と呼ばれる光の一切ない世界で育ったヤコンの種族は、生まれてからひたすらに光を求める。そして僅かな明かりでも見つければ、そのエネルギーを吸収し自分のものとしてしまうのだ。その肉体強度を仮に戦闘力として計算するのであれば、その数値は4000万を超える。掛け値なしに銀河の驚異と呼べるほどの存在であった。

 

……ただしそれは平均的な銀河の話であって、宇宙の特異点とも言える地球ではまた話が違ってくるのだが。

 

ゆえに、勝負は一瞬でついた。

 

開始(はじ)めいッッ!!』

 

アナウンサーの声と同時にヤコンが襲いかかる。ピッコロを切り裂かんと、入場以降は収納していた爪を露にし迫る。その鋭い爪は先端に行けば行くほど極薄にして強靭であり、切れ味でいえば気円斬に匹敵する性質を備えている。無防備に受ければピッコロとて重傷は避けられない。

 

「はっ!!」

 

咆哮が轟いた。大音量と共に気を衝撃波として放ったピッコロを前に、ヤコンは思わず尻餅をつく。

 

重量感たっぷりの音が響き、ヤコンはすぐに立ち上がろうと腕をつく。

 

──が、どうにも力が入らない。奇妙な感覚だった。ヤコンは思わず自身の体を確かめるが、どこにも異常がない。にも関わらず、彼の体はまともに動こうとはしなかった。

 

「な、なんだ!? どどどどうなってるんだ!?」

 

遂にはヤコンの体が激しく震えだす。全身が隅々まで震えるも、ヤコンの意識は()()の正体にまだ気づかない、気づけない。震えが止まらないことに困惑するヤコンにとってその原因はあまりに唐突であり、ヤコンの脳はとうに処理する限界を越えていたのだ。

 

しかしその原因を、唐突にヤコンは理解することになる。

 

()()()()()()

 

倒れたことで身長差は逆転していた。ヤコンは目の前に立つ巨人が、自分など羽虫同然に殺せることを突然悟った。

 

その上で彼は聞いているのだ。()()()()()()と。

 

「ま、まいった……! 頼む、こ、ころさないで……えぎゃぁ!」

 

しかしヤコンの決意とは裏腹に、この勝負に水を差す人物がいた。バビディである。

 

「どいつもこいつも役に立たない……!! どうせだったらそいつを巻き込んで死んじゃえよ!!」

 

どうにか室内を越えて魔術を発動したバビディ。その効果は単純にして明白。

 

自爆である。

 

「ぐぎょっ!?」

 

「なに!」

 

突然目の前で奇声をあげたヤコンを訝しんだピッコロだが、不意を突かれる形で抱きつかれる。ピッコロはその持ち前の優しさから、敵とはいえヤコンを殺すのを躊躇ってしまっていた。

 

すぐに大爆発が起こり、余波を防ぐために武舞台をドーム状のバリアが覆う。クリムゾンの厳しい目が、バビディを睨んだ。

 

──ふいに、風が吹いた。武舞台の上を渦巻く風は、あっという間に爆煙を消失させるとそこからほんの僅かに傷ついたピッコロが現れる。その目はクリムゾンと同じく、バビディへと向けられていた。

 

『勝者ッッ! ピッコロ選手!!』

 

ピッコロにとってその勝利は、とてもではないが満足のいかないものとなってしまった。

 

 




クリムゾンの親馬鹿炸裂。なお、ターレスの組み合わせは純粋にくじ運が悪かっただけな模様(´・ω・`)

ブロリー対ターレスはまあ順当な結果となりました。なおこのブロリー、超サイヤ人2相手でも余裕で倒せます。ほんっとどうしよ(無責任)。
前回感想返しで察した方もいるかと思われますが、次にブロリーと戦うのは我らが総帥クリムゾンさんです。魔王対銀河皇帝のバトル考えてると、今からわくわくすっぞ!(白目)

なお、ブロリーが子供の頃から抱える負の感情がわりとスッキリした模様。

そしてピッコロとヤコンの対決。クリムゾンが睨んだのは演技半分、義理の息子殺そうとしたことに対する怒り半分です。
それでは次回予告でござい。
__________________________________


かつて悪だった男。
その心に燃えるのは、正義か、はたまた悔恨か。
絶体絶命の危機に、無垢なる鼓舞の声が、彼の魂を呼び覚ます。
次回【英雄】。ヒーローってのは、無敵なのさ。






▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告