ドラゴンボールR【本編完結】   作:SHV(元MHV)

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hisaoさん、誤字報告ありがとうございます。

コミケが盛り上がってますが、実は自分行ったことないんですよね。
コスプレ見てみたいけど、接写してるの見たらドン引きしそう( ̄▽ ̄;)
個人的にはザンギエフのコスプレしてる人が豪鬼コスプレしてたの見たい。髪型ザンギエフだったけど(笑)


第59話【舞踊】

ゼノとコルドによる戦いはゼノの圧勝に終わった。

 

とはいえカッチン鋼の優位性を示したコルド大王へのクリムゾンの評価は高く、コルドへはクリムゾン直々にレッドリボン勲章を与えられた。

 

これに対してのコルドの喜びようは実に暑苦しく、感激を示そうと抱きついてきた彼にクリムゾンは押し倒されかけたほどだった。

 

というのも、実はこの機会にコルド自身が集めたカッチン鋼をクリムゾンに提供しており、それが認められたからでもある。クリムゾンはこの加工が極めて困難な金属の利用法を模索することになる。

 

またゼノは控え室で、静かにマイと過ごしていた。

 

そうして時間が平和に過ぎていく中、次なる試合が始まろうとしている。

 

エレベーターが壊れてしまったので自力で登場することになった二人は、無言で睨み合う。

 

『さあ! 続いての試合は紅一点である18号選手対桃白々選手です! その美しさの中にあるトゲは、果たして最強の殺し屋をも刺し穿つのでしょうか!? それでは、開始(はじ)めいッッ!!』

 

試合開始と共に、18号は即座に自身を包み込む球状のバリアを展開する。そして、その判断は決して間違ってはいなかった。

 

「ぐっ!」

 

「ほう、防いだか。クリリンにでも入れ知恵されたか?」

 

桃白々が構えてから、18号に無数のどどん波が直撃するまで。18号は彼の動きを一切見抜くことが出来なかった。

 

18号の脳裏に、クリリンの言葉が思い出される。

 

(“溜めなしでいきなりフルパワーの攻撃が来る”って、聞いてはいたけどこんなに早いのかい……!)

 

18号はすでに後手に回っていることを自覚していたが、かといってこのまま見ていても事態は進展しない。

 

「だったら!」

 

18号はバリアを展開したまま桃白々へと突っ込む。相手が急所を攻撃して一撃で試合を決めるというならば、防御しながら体当たりすれば或いは突破口となるやもしれない。

 

そう考えた18号だったが、桃白々の攻撃は予想外に過ぎた。

 

──パキン──

 

「嘘だろっ!?」

 

いともあっさりとバリアを貫いた桃白々の手刀が迫り、18号はかろうじてそれを回避する。

 

(クリリンとのトレーニングがなければ危なかった……! なんだってんだいこのジジイは!!)

 

18号は上空へと逃げ、掌を下に向けたまま無数のエネルギー弾を発射する。

 

“勝てる部分で勝負する”というクリリンの言葉を思いだし、体力勝負に持ち込むことを考えた18号。クリリンからの教えが確実に18号を助けていることに、彼女はなんとも言えない気分になる。

 

「考え事とは余裕だな」

 

「あぐっ!」

 

爆煙を生み出し続けるエネルギー弾の雨から抜け出す様子など微塵もなかった。にも拘らず、桃白々は既に彼女の後ろにいた。

 

蹴りによって武舞台へと叩きつけられる18号。

 

「まだだぁっ!!」

 

再び展開したバリアを、今度は自身の意思で砕き全方位へと無数の欠片が放たれる。

 

バリアブレイク。彼女の切り札であり、クリリンとの戦いで身に付けた彼女唯一のオリジナル技である。

 

「ほう、少しは楽しめたか」

 

僅かに切れた袖を見て、桃白々が愉快げに顔を歪める。

 

しかしすぐに表情を戻して一瞬で18号に接近すると、その額にトンと指を置いた。

 

「……カハッ!」

 

18号の全身を内側から殴られたような衝撃が走る。まるで舞うように、よろけフラフラと回転した彼女は、そのまま意識を失った。

 

『圧倒ぉぉぉ的ッッ!! 桃白々選手の勝利です!!』

 

気絶した18号を急いで助けに来たクリリンに任せ、去り際にクリリンの肩を叩くと桃白々は控え室へと戻っていった。

 

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次の試合を見る為にひとりの老人がクリムゾンと共に特別観客室にいた。近頃体調が本格的に悪化してきたドクターゲロである。

 

「病院を抜け出してきよって、大丈夫なのかドクターゲロ」

 

「貴様のようなワーカーホリックのアホタレに心配されとうないわ。なに、息子の晴れ舞台を見もせんで何が親かね」

 

現役を引退したドクターゲロの体調は、この一年で急激に悪化した。ガンを患ったことによる幾度かの手術は体重を激減させ、その(おもて)は土気色となってしまっている。今となってはどう死ぬかを考えるだけの老人は、自身の去った後に想いを馳せながら枯れ木のような手を重ねて息子を見守っていた。

 

「……フフ、セルとの戦いでは出番が取られたが、ヤツの実力は折り紙付きよ。誰が相手であろうと、絶対に倒せん。それがヤツよ」

 

「……“フィールドジェネレイティングアーマー”か。あの宝石から随分とんでもないモノを作ったものだ」

 

フィールドジェネレイティングアーマー。それこそが、人造人間16号の肉体に搭載された最終兵器の名である。

 

「はっはっは、そう褒めるな。ガーリックJr.から提供された宝石“眠り姫”。あの宝石に5000年もの間溜め込まれた魔力は、あの宝石を爆発的なエネルギー増幅器に変えよったのよ。それこそ、1700万ゼノのブルーツ波で太陽を破壊する光線を産み出すほどにな。そしてその“眠り姫”を組み込んだ三重連永久反応炉の出力は理論上無限に跳ね上がる。これによって出力される絶対防御障壁(フィールドジェネレイティングアーマー)は無敵無類の強さを誇る。お主とて、下手を打てば敗北しかねんぞ?」

 

機械(マシン)戦において、ことクリムゾン以上に相性がいい戦士は地球上に存在しない。クリムゾンの半身であるプロトが最も得意とするのはハッキングであり、これによってクリムゾンは相手が機械であるならどれだけの戦闘力を持っていてもあっさり無力化することが可能なのだ。その上彼の肉体は機械でありながら生命体である生機融合体。プロトの持つ能力を十全に引き出し、また()()()()()()()()()()()()()()()クリムゾンであるからこその強みであった。

 

「フフ……プロトのハッキングどころか、あらゆる攻撃を無力化するというヴォミットの(ちから)。お前をして“絶対に倒せない”とまで言わしめたそれを、じっくり見せてもらうとするか」

 

クリムゾンは笑いながら、自身の次の戦いまでに仕込みが終わることを計算する。現状、彼の狙いは目論見通りに進行していた。

 

「……細工は流々、後は仕上げを御覧じろといったところだな……」

 

小声で呟かれたその言葉はドクターゲロに届いていたが、彼はそれに答えるでもなく静かに武舞台が映し出されたモニターを見つめていた。

 

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巨漢同士の戦いというのは、それだけで興奮を禁じ得ない。

 

単純(シンプル)な力と力のぶつかり合い。それこそが、この戦いで激突する人造人間16号ことヴォミットと、悪の超ナメック星人であるスラッグに求められた要素である。

 

ヴォミットは静かに相手を観察する。理性なき白く濁った目。口の端からは涎がこぼれ、荒い息は見ているだけで相手が興奮していることを教えてくる。

 

パワーレーダーで計測した限り今でもその戦闘力はコルド大王を上回るほどだが、全パワーを引き出せば最低でも変身後のクリムゾン級のパワーまで上がるだろう。

 

超えねばならぬ相手を想定できる、願ってもない機会。ヴォミットは人知れず、覚悟も新たに身構える。

 

『さあ~~~~~~ッッ! これが終われば長かった一回戦も残すところ後一試合!! 思う存分ぶつかってください!! ヴォミット選手対スラッグ選手!! 開始(はじ)めいッッ!!』

 

アナウンサーの掛け声を開始の合図として暗示させられていたのか、真っ先にスラッグが叫びながら突っ込む。

 

「ガアアアアア!!」

 

口から涎を溢れさせヴォミットに襲いかかる迫力は凄まじく、先ほどよりも爆発的にパワーを増幅させて迫るスラッグに、画面を見守る21号に緊張が走る。

 

しかし、彼女が抱いた緊張はまさしく杞憂だった。

 

ヴォミットは()()でスラッグの頭を掴まえ突進を押さえ込むと、そのまま持ち上げて強烈に武舞台へと叩きつける。

 

「だぁっ!」

 

顔面どころか肩口までめり込むスラッグ。ヴォミットは間髪入れずもう片方の腕で拳を握り、さらに武舞台へとスラッグをめり込ませる。

 

「ゴアアア!!」

 

それでも痛みを感じないかのように──実質感じていないだろうスラッグは無理矢理に拘束から脱出し一度距離を取る。

 

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」

 

スラッグが胸の前で構えた両掌から、強烈なエネルギー弾が発射される。かつてクリムゾンが放った激烈光弾に匹敵する威力のそれが、無防備に佇むヴォミットへと命中する。

 

爆煙、爆炎、爆光。武舞台の3分の1が消滅するほどの激しいエネルギーに、会場で戦いを見守っている観客からも悲鳴が上がる。

 

しかし、21号は胸元で白衣を握りしめながらもヴォミットが敗北したなどとは思っていなかった。

 

なぜならば、同じく会場を見つめるクリムゾンとドクターゲロがまるで問題ないと微笑みながら武舞台を見つめていたからである。

 

そして彼女自身の高精度パワーレーダーも、ヴォミットのエネルギーが減るどころか増しているのを感じていた。

 

「ハアアアアアッッ!!」

 

爆煙が、晴れる。撃ち続けられているスラッグのエネルギー光弾だが、もはやヴォミットはそれを問題にすらしていない。

 

さながらその姿は、まるで初登場したスーパー戦隊のロボットが如く。光弾を弾き、あるいは吸収して歩むその姿にはどこか気品さえ感じられた。

 

そんな16号を包む、淡く輝く赤いフォースフィールド。これこそが、ドクターゲロ最強最後の兵器。

 

その名も“フィールドジェネレイティングアーマー”である。無敵の(バリア)とまで称されたこの兵器は、エネルギーを彼の表面へ対流させ無敵の防御壁を形成するのだ。

 

その性能は凄まじく、あらゆる攻撃を防ぐだけでなく、電波、磁場、重力、赤外線その他を任意で遮断する。彼はこれによって太陽の表面を優雅に散歩することすら可能であるし、その気になればブラックホールからでさえ脱出してみせるだろう。そして更にこのエネルギーは、相手からの攻撃をある程度吸収し自分に取り込むことさえも可能なのである。

 

そう、かつて()()()()()()()()と言ったのは例えでもなんでもない。難攻不落の要塞にして最強の人造人間。それが彼、人造人間16号(ヴォミット)であるのだ。

 

「ヌガアアアア!!」

 

スラッグが腕を数十倍に伸ばし、さながら大蛇が拘束するように巻き付きヴォミットを拘束する。全身に巻き付いた両腕が万力のように彼の体を締め付けるが、それでもヴォミットは全身を淡く輝かせながら歩くことを止めようとはしない。

 

──ブヂィ──

 

そして無造作に、まるで紙でも千切るかのようにヴォミットはスラッグの腕を引きちぎった。

 

それでも悲鳴さえあげないスラッグは、今度は全身をハイパーメタリック軍曹以上に巨大化させヴォミットを踏み潰そうとする。しかしヴォミットは迫り来る巨大な足を前にして両腕の肘から先を脇で抱えるようにして()()と、スラッグの全身を捉えて叫んだ。

 

「ヘルズフラッシュ!」

 

彼の肘の付け根から放たれた赤き光線はスラッグの全身を捉える。巨人となったスラッグはどうにか耐えようと堪えるが、彼を捉えた光線の勢いは止まるどころかどんどんと威力を上げていく。

 

「オアアア……!! アアギ……!! ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!」

 

スラッグは最後に口から小さな卵を吐き出すと、その全身を文字通り跡形もなく吹き飛ばされて消滅した。

 

『ヴォミット選手の勝利です!!』

 

アナウンサーの勝利宣言が響く中、クリムゾンは瞬間移動でたった今放たれた卵を追い姿を消していた。

 

そしてバビディは、手駒が殆どいなくなったにも拘らずその小さな口に邪悪な笑みを湛えていた。

 

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『泣いても笑ってもこれにて一回戦最終試合! 謎の戦士ミラ選手対人造人間14号改選手!!』

 

試合が始まってすぐ、ミラが起こした現象を見た一同は驚愕する。

 

パワーで言うならばセルジュニアと同等の出力を持つ人造人間14号改。それと同程度だったはずのミラのパワーが一気に跳ね上がったからだ。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「なあ悟空、アレって……」

 

 

そこからの展開は一方的だった。パワーアップ改造が施されたとはいえ、所詮は単純な戦闘AIに過ぎない14号改はあっという間にバラバラに解体され沈黙した。

 

アナウンサーによる勝利者宣言にも揺るがず、暗黒魔界にて造られた人造人間ミラは静かにクリムゾンを見つめ、次いで自らを見守る主人であるトワへと視線を移す。

 

彼が一体如何なる想いを秘めてこの銀河最強決定戦に参加しているのか。

 

クリムゾンは、愉悦に口許を歪めながら事態の推移を見守るのだった。

 




いやぁ、年末ですよ。どうにか間に合った( ̄▽ ̄;)
そしてとりあえず予定通りに一回戦を今年で終了。
来年からは二回戦に入りますが、そうは簡単に進みません。勇次郎的なイベントやりまっせい。

それでは改めて今年一年お付き合いいただいた数々の読者様。
ドラゴンボールC、うちはの火影、俺のハーレムアカデミアとエロ小説を書いていた自分がこれほどまでに評価していただいたことは素直に感謝の極みです。
大会が終わったらエピローグを挟んで一度お話を区切ろうとは思っていますが、暇を見て超のお話やらヤムチャの外伝やらやっていきたいと思います。
それでは皆さん、よいお年を。

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銀河皇帝という地位は伊達だが、レッドリボン軍総帥は伊達ではない。
魔王と皇帝がぶつかり合うとき、幽世(かくりよ)で起きた異変が天地を揺るがす。
次回【邪念】。いつから私が全力だと勘違いしていた?

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