これも皆さんからの感想、お気に入り登録、評価のおかげです。自分の作品に評価をしていただいた方々本当にありがとうございます。
前回感想でトーナメントの現状を把握されていない方がいたので、現状を掲載! 自分把握用をコピペしただけですがね!(笑)
1
べジータ 対 ブロリー
2
クリリン 対 ビルス
3
悟空 対 悟飯
4
ゼノ 対 ヴォミット
あっ(察し)ってなった方正解(´・ω・`)
これ、本当に偶然なんですよね。めっちゃ適当に配置しましたし。でもこうなったのはもはや運命かなにかなのかな、と。何気に70話も書いてたこともそうですけど、この連載初めて一番ビックリしてます。
では本編をどうぞ。
ビルスは控え室で黙考しながら、不意に傍らで控えたウィスへと話しかける。
「なあウィス。誰だったか~……いたよな? 地球出身で異魔人とかいうのと戦ったヤツ」
「2300年前に活躍したオリブーさんですね。たしか、あの世の達人をやられているはずですよ」
「……ふ~ん。なあ、それって次に戦うクリリンってヤツよりは弱いよな」
「そうですねえ。素の実力ならともかく、あの極限界王拳という技を使われたらひとたまりもないですね」
「なるほど」
ウィスの解説に短く答え、ビルスは再び黙考し始める。
ウィスは、彼が今もイメージトレーニングしているのを感じ取っている。時折ビクビクと体のあちこちが動いているのはそれだけリアルにダメージなども感じ取っているからだろう。
一方で、クリリンもまた最終調整に入っていた。
すでに残りの試合に参加する者ではこの場に四人しか残っていない。
そんな中クリリンは静かに目を閉じて瞑想し、気を整えている。その様子を18号と17号が見つめていた。
「……なあ18号。あのハゲたおっさんのどこがいいんだ?」
「はあ? なに勘違いしてんのさ。別に私はあんなタコ野郎のことなんかこれっぽっちも気にしちゃいないよ。あとあれは剃ってるんだ。ハゲじゃない」
「へいへい(さっきの試合で夢中になりすぎて手すり千切ったくせに……)」
18号が見ている理由は“することがないから”という理由だったが、その横顔を見れば18号自身自分の感情をどうしていいか分かりかねている部分がありそうだった。
それから10分ほどが過ぎただろうか。
瞑想を終えたクリリンが目を開くと、18号がつかつかと近づいていく。
「……あんた、あの化け物に勝てる気でいるのかい」
彼女はクリムゾンから破壊神ビルスのことを聞いていた。聞かずにはいられなかった。そして聞いてしまって後悔した。
曰く、宇宙における裁定者。曰く、善悪を超越した調停者。そして12個あるという宇宙にそれぞれ存在する破壊神のなかでも、特に優れた実力を持つ存在。
そんな相手と目の前のチビが戦う。18号は言い知れぬ不安と戦いながら、自分を前にする度だらしない顔をするクリリンが理解できなかった。
「勝てる勝てないじゃないんだ。俺も武道家だから、できることなら優勝したいって思ってる。けど、たぶん今回は無理かな。だったら、次の戦いで俺のやれる技を全部見せる! 幸い、18号が見ててくれたおかげで準備はきっちり出来たしね」
へへへ、と笑うクリリン。18号は自分の気持ちも知らず能天気に笑うクリリンに腹立ち、無言でその頬をつねる。
「ひ、ひだいでふ、じゅうはひごうはん……!」
なぜつねられたか理解できず、クリリンはすぐに放してもらったとはいえ18号に触れられた事実を思い照れる。
「……はあ、あんたってヤツは。ねえ、あんたアタシのこと好きなの?」
「うええっ!?」
クリリンの心臓を停止させかねないほどの威力をもった爆弾が突然投げ込まれる。17号は姉がどうするつもりか気になりその様子をやや笑いながら見守っていた。
「そそそそそんんんなななな……!!」
壊れた玩具のようにどもるクリリン。18号は真剣な眼差しで彼を見つめる。
その眼を見つめたクリリンは、顔を真っ赤にしながら震えを無理矢理治まらせる。
「……好きです。一目見た時から」
その言葉に、同じくらい顔を赤くする18号。
17号のニヤニヤが止まらない。
「じゃ、じゃあ! あんたがアイツにもし勝てたらデートしてやるよ! ただし、もし負けても絶対に死ぬんじゃないよ!!」
死んでほしくない。ただその一言を伝える為に随分余計なことを言ってしまった気がするが、もはや後には引けない。彼女もまた、実際かなりテンパっていた。
「わかった。絶対に勝つ」
静かにそう言い放ったクリリン。18号は真剣なその眼差しに見とれてしまう。
17号は“俺も彼女欲しいな”とか思っていた。
……やがて全員がその場からいなくなった後、無言で光学迷彩を解いた16号ことヴォミットが膝をつく。
「す、すごい緊張した……! 思わず途中から隠れてしまったが、果たしてあれでよかったのだろうか……!?」
他人の告白を目の前にした純朴なる青年は、その後しばらく悶えていたそうな。
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武舞台に上がったビルスは、同じタイミングで上がってきたクリリンを見て即座に違和感に気づく。
クリリンは、開始前からすでに極限界王拳を発動していた。
その目に宿った決意に、ビルスはこれまでと覚悟の量が違うことを悟る。
『この世に神がいるならば、ここに立つのは破壊の神! 宇宙の調停者“破壊神”ビルス選手対、地球代表クリリン選手! 勝つのは神か!? はたまた人か!? 運命の勝負、
構えを取るビルスに対し、クリリンは眼を閉じ未だ集中している。
だがその全身から発せられる圧力に、ビルスは自ら攻める選択肢を選ばなかった。
そして、その選択は正解だった。
──キュンッ──
風切り音が聞こえた瞬間、ビルスは腹に熱を感じたと同時に吹っ飛んでいた。
吹き飛びながら胃の内容物を全て吐き出すビルス。
ダメージを負いながら、今受けた攻撃を冷静に分析する。
「オエッ……! ゴフッ! ……あー、クソ。食べたスイーツ全部吐いちゃったじゃないか。なんだい、今のは?」
受けた熱は治まらない。だがダメージと痛みを無視してビルスは分析と会話を続ける。
戦いで必要なのは技や力もそうだが、如何に自分のペースに相手を置くかという意味での図太さや駆け引き、すなわち心も必要になってくる。そういった意味では、ビルスは戦いの巧者としてこの大会においてもトップクラスの実力を持つと言えるだろう。
だがそれは会話が通じる相手ならばの話。今のクリリンに、そんな余裕はなかった。
(痛いイタイいたい……!! 殴っただけで腕と拳が砕けた。正直もう右のパンチは打てない……だけど!!)
想いが通じた。なんだかんだと言いながら、自分の言葉を聞き届けてくれた。
素直じゃない彼女。そんな彼女が好きだから。
「……今だけ、限界を越えろ……!! 界ぃぃ王ぉぉ拳!!!!!」
クリリンの全身が赤く、紅く、朱く輝く。
赤い雷光を迸らせて、独特な風切り音を後に残して彼は飛ぶ。
「ぐぅぅ……!!」
──ゴカッ!──
一撃目と同じとはいかず、ビルスは経験と勘によって見切れない攻撃を防ぐ。だが、防いだにも拘わらずビルスの右腕からは鈍い骨が砕ける音が響く。
「がああああああっ!!」
クリリンが吠える。叫ぶ。血反吐を吐きながら、体に無理をさせながらビルスに殴りかかる。
クリリンとビルスの実力差は、その実極限界王拳を発動したところで単純に百倍以上の差がある。時間をかければその差も埋まるだろうが、油断と慢心を捨てたビルスを相手に時間稼ぎができると期待するのは無謀であろう。
クリリンが優位になれるのは気のコントロール程度。その上小細工を使ったところで、相手はそれすらねじ伏せるだけの実力を持つ。
──ならば、己の限界を超えるまで──
クリリンが選択したのは、
極限界王拳は全身に纏った気の鎧に界王拳をかける技。しかし理論上はその上が存在した。
それこそが界王拳の重ねがけ。極限界王拳を使ったまま、自らの肉体にも界王拳を仕掛ける二重の界王拳。
理論上は可能だった。瞑想によるイメージトレーニングでも成功はした。だがそれで戦えば、自分の体がどうなっていくかなど想像に難くない。
「ずあああああ!!」
すでに両拳が砕けた。左の肘は捻れ、右の腕は反動に耐えきれず千切れ落ちた。流れる血は滴る前に界王拳の熱量で蒸発していく。
クリリンによる己の五体を犠牲にした攻撃を受けただけあり、ビルスもまた満身創痍だった。全身に夥しい裂傷を帯び、骨もあちこちが折れている。今はどうにか防いでいるが、それも限界に近い。
もちろんビルスも身勝手の極意は使っていた。だがこの技には致命的な欠点がある。それは、あくまで回避できる攻撃は自身の身体能力に因るということだ。
避けることすらできない超速の攻撃など、いかに事前回避を可能とする身勝手の極意とはいえそこには防御という選択肢しか生まれない。そして防御を選べば、ビルスの体はその分ダメージを負っていく。
──だが、限界もまた近づいていた。
「……っ! ぁっ……はっ、ぐぅっ……!!」
もはや言葉にすらならない苦悶の声がクリリンの喉から絞られる。
既に両足も壊れ、クリリンの四肢は崩壊した。それでも彼は諦める様子すら見せず、ビルスを見据えて僅かに乱れた気を整える。
ビルスは敬意を抱いていた。たかが人間が、破壊神を追い詰めている。その事実に。
「……君はすごいな。だが僕は破壊神だ。負けるわけにはいかない。だから、悪いけど君を“破壊”するよ」
そう言ってビルスは掌を広げて構える。その瞬間クリムゾンは試合を止めようとして、クリリンがほんの僅かに微笑んだのを感じ自らを止める。
「もうやめろっ! クリリン!」
しかし、そんなことは18号に関係なかった。理解できなかった。“勝てばデートしてやる”など、発破をかける以上の意味はなかった。そんなことをせずとも、デートなんていくらでもしてやるからと。18号は涙を流しながら試合を止めようとする。
「……」
言葉を出せないクリリンが、不意に彼女へ振り向いて微笑んだ。
──瞬間、彼は気を纏いビルスへと突っ込む。
ビルスとてただ防いでいたわけではない。次の行動は攻防一体のモノ。右手を犠牲に動きを止め、確実にクリリンへ“破壊の力”を流し込む。
(君のような存在を止めるために僕はいる。悪いが、フルパワーで破壊させてもらうよ!!)
静かな決意と共にビルスは身勝手の極意を展開。ここに来て身勝手の極意を完全にものにしたビルスの全身を銀色のオーラが包み、彼の存在感が厚みを増す。
慣性の法則を無視した不規則な動きでクリリンが迫る。彼の最後の捨て身の技は文字通りの体当たり。舞空術を応用しての頭突きである。
ビルスの体が勝手に反応し、クリリンの肩口を右手が押さえへし折れる。
「取った!!」
残る左手でクリリンの頭に手を置こうとして──確実に捕まえたはずのクリリンの姿がまるで蜃気楼のようにぶれて消えていく。
「残像……だと……!!」
クリリンが身に纏うのは気の鎧である。それを使った状態での残像拳は、奇しくも質量のある残像となり、ビルスの右手を折り身勝手の極意をも欺いた。
「ごっ……はっ……!!」
背後に回り込んだクリリンの頭突きがビルスに直撃し、彼の体が武舞台を削りながら吹き飛んでいく。
背骨から肋にかけて内臓を含めた諸々が完全に砕けたビルスが、血を吐きながら武舞台の下へ落下していく。そしてクリリンは──静かに、呼吸を止めた。
次回予告(嘘)
やめて! 限界を超えた界王拳の重ねがけで、これ以上肉体を酷使したらクリリンの体が砕け散っちゃう!
お願い、死なないでクリリン! あんたが今ここで倒れたら、18号との
ビルスはもう倒れてる。立ち上がれば、破壊神に勝てるんだから!
次回【クリリン死す】。デュエルスタンバイ! cv若本規夫
まあ上を見ていただければわかると思いますが、普通に生きてます。死んでません(笑)
まあ見た目はぐっちゃぐちゃですけどね。詳細は次回に書きますがこれ総帥いなかったら死んでたぜ? っていう(苦笑)
ということで今度は本当の予告編。
次回予告
小さな体を初めて抱いた日を、父は今も鮮烈に覚えている。
大きな背中を見つめた日々が、息子に今も強烈に焼き付いている。
次回【親子】。子は親を見て育ち、親は子を持って初めて大人になる。