スキル【ゼログラビティ】ってハズレですか?~扱いずらさは並じゃない!?~   作:曇り男

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処女作です。
ショートストーリーではございませんのでご理解ください。


第1話  【ゼログラビティ】

「フック・オリローブ様でしたよね?」

「はい、そうです」

「おめでとうございます!見事スキルが発現されています!」

「え………えっ!!ホ!ホホ…ホントですか!?そ………そのス…スキル名は?」

「【ゼログラビティ】と表示されております。良かったですね。きっとこれからの冒険ライフに役立ちますよ」

 

胸の高鳴りが今まで感じたことのないレベルに到達した。まるでプジ山を一瞬にして登りきったような感覚である。

冒険者になってもう二年、今まで一度もが発現してこなかった俺の憧れ、「スキル」が発現したのだ。俺が冒険者になりたての頃は周りの仲間達が次々に自分だけのスキルを発現させてその後の冒険ライフを一気に進化させていた記憶がまだ残っている。しかし、そんな仲間達も一年ほど経った当りでスキルが二年も発現しない俺をバカにし始めた。

しかしそれももう終わりだ。俺にもスキルが発現したのだから。それにそのスキルの名前が何だっけか?ゼログラビティ?何か横文字使っていかにも「強い!」って感じするぞこれ、いやもっとか、「最強!」くらいか?

二年も我慢したんだ、この長い苦痛を耐え忍んできた分きっと最強のスキルを神様が与えてくださったのだろう。

 

「じゃ、俺はこれで。もう万年G級冒険者なんて言わせません!」

「はい、がんばってくださいね」

 

俺は自分が専属している冒険者ギルド「ユックリ」の女性職員に最大のドヤ顔でそう言った。

と同時に俺はギルドの中心まで足を運んだ。さきほども言った寝返った俺の元(・)仲間達はのんきにダンジョン帰りの上手い酒を交わしている。超下級なモンスターしか討伐できない俺にとっては酒の一杯も超高級品なのだ。なんか見てるとますます腹が立ってくる。

 

「あぁ、もう我慢できねぇ。今までのうっぷんってやつを……こうなったら宣戦布告だ」

 

何を思ったか、自分の腹立たしさに負けて宣戦布告を決心してしまった。いや、どうせ最強スキルなんだ、これくらいしても構わないだろう。

 

そして俺は深く息を吸って口を大きく開かせた。

 

 

準備完了

 

 

「おいお前ら!!!こっち向けこの憎き輩ども!」

 

俺の声に耳を傾け全員がこちらを向く。かと思えば俺の顔を見るなりクスクス笑い始めた。なんてムカつくやつらだろうか。

そして、一番大きなテーブルに座っていたこのギルドで一番大きな体を持つダイボ・コンパレオスが立ち上がり、俺に向って叫んだ。

 

「なんだぁ!?久しぶりに喋ったと思ったら憎き輩だぁ!?それは俺らがお前をバカにしてるのが爆発したんだろーけどな。二年も冒険者やってきてスキルも何もねぇG級冒険者なんて一人もいねぇ~んだよ。そんなやつを見たら自然にバカにされる的となるだろぉ!スキルが発現してから吐きやがれ!弱小公が、ガハハハハハハ」

 

やけにうるさいその声は俺の耳の奥の奥まで届いた。しかし、反抗してくれるとはありがたい。これでこそ宣戦布告し甲斐があるってもんだ。

 

「スキルならもう発現した!名はゼログラビティ!俺はこのスキルで必ずお前ら全員を超える冒険者になってみせる!見てろ、すぐにべそかいて泣くことになる!!」

 

俺がそう終えると、全員が一気に爆笑し始めた。

 

数秒たってそれは止み、今度はダイボが俺をにらみつけてこういってきた。

 

「言ったな?フック。俺達はそれを宣戦布告と受け取るぞ?」

「あぁ、絶対てめぇらを超える」

 

そうドヤって、俺はギルドを後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――翌日

 

俺はさっそく早朝からダンジョンに来ていた。早く自分の力を使いたい、その一心だった。いつもなら気分があまり乗らなかったダンジョンも今日はのりのりで最高の気分である。

そして少し遠くに【ゴブリン】と思われるモンスターが棍棒を持って待ち構えている。

いつもならこの超下級モンスターにもビビっていた俺だが今日は話が違う。

 

ちょうど一年前くらいにやっとの思いで貯めたお金を使って買った【裂剛武(れつごうぶ)】という太刀を構えて俺はゴブリンのほうへ猛ダッシュした。すぐにゴブリンと俺との距離が10mほどになったころ、ゴブリンは俺に気付き慌てて棍棒を構えようとしたが、足だけには自信がある俺の速さに戸惑い追いつけなかったゴブリンに一太刀いれることができた。もちろん力は抜いている。    スキルをまだ試していないからだ。

 

「ごぎゅるるるグワッ!」

「へへっ、わざわざ手を抜いてやったんだぜ。感謝しろよ。ま、でも次はしねぇけどな!」

 

俺は少しゴブリンと間をとる。俺の顔は自然ににんまりと笑う。

 

「よし、もういいか、さっそくだけどやるぜー!スキル発動だ。ゼログラビティ!!!」

「ゴキュ?」

 

 

 

 

「バンッ!!!」

 

 

 

 

スキル発動とほぼ同時に自分の後頭部と背中が強く叩かれた。普通に痛い。頭を後ろに向けるとそこはダンジョンの天井があった。さらに、俺の体は天井にくっついたまま。どうやら浮いているようだ。

 

俺は一度態勢を戻そうと勢いよく体を空中で前に倒すと、今度は地面に顔面から衝突。慌てて手に力を入れて立ち上がろうとするとまた天井にぶちあたった。

 

「ってぇ!なんなんだよこのスキル!」

「ゴギュ?ゴ…ゴギャァァァァ!!」

「え!ちょ、ちょっと待って、や、ちょ、ギャああああああ!」

 

唐突に飛び掛ってきたゴブリンに棍棒で強く頭を殴られ意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

フック・オリローブ《ステータス》

G級冒険者  

力『D』

瞬発力『C』

体力『F』

魔力量『400』

スキル『ゼログラビティ』

 

 

 

 

 




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