逆行したTSヒカルは頑張ります   作:アキラ天狗

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6.ヒカルと佐為の人生

火曜日。

ついに研究会に行く日になった。

棋院までは平八が送っていく。

 

「(やっとこの日がきたな!)」

『はい♪力をせぇぶ、力をせぇぶ…』

 

前日にヒカルと色々打ち合わせをし、研究会へ向かう。

案内された先では森下・冴木・都築がいた。

「(わっ、冴木さん若い!まだ9歳か!)」

『森下師匠(せんせい)の皺も少ないですよ』

「(ホントだ!笑ってしまう…)」

そんな笑っているヒカルを見て白川はこの子は大物になる、と考えていた。

 

 

「じゃあヒカル君、ご挨拶してもらえるかな?」

「はーい。進藤ヒカルです。4歳です。好きな食べ物はラーメン!よろしくお願いします!」

無邪気な笑顔で自己紹介をする。

「(ふふふ、ちゃんと4歳児に見えるだろ)」

『…そうですね(14歳の時とかわらない…)』

佐為は言葉を飲み込んだ。

 

「ヒカル君か。俺は森下だ。白川君から聞いている。さっそく打とうか」

『はい!対局対局♪』

「(佐為~、手加減して打てよ~)森下せんせー、お願いします!」

 

森下との一局が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キミは本当にテレビと新聞で碁を覚えたのかい?」

3子を置いての指導碁の途中、森下はヒカルに尋ねる。

「うん。テレビでやってて、すごく面白そうで、オレもやりたくてずっと頭の中でやってたんだ。でも一人じゃつまんないからじーちゃんとこないだ初めて打ったんだ。そしたらじーちゃん碁盤買ってくれて、おうちで今打ってるんだー!」

その言葉に白川以外が驚愕する。

つい最近まで碁石に触ったこともない幼児が、ここまで打てる事実に。

「どうでしょう森下師匠(せんせい)。聞くところによると、先週水曜日に初めて対局し、まともな対局は今日で3回目だそうです」

「3回目!?キミ天才だ!毎週ウチで勉強しなさい!」

「いいの!?やったー!!」

『やったー!!』

研究会に毎週参加が決定した事で小躍りして喜ぶ佐為。

それを見てヒカルも喜ぶ。

 

「(まだオレが4歳だから突然強くは打てないけど、どんどん打とうぜ!佐為!)」

『はい♪また碁がこんなに打てる。なんと嬉しい事か…』

「(佐為…)」

 

前回は自分ばかり優先して佐為に打たせず、そして消してしまった。

そんな後悔がヒカルに圧し掛かる。

「(佐為。オマエは本因坊だ。本因坊佐為。目指すぞ!)」

『ヒカル』

 

『(―――ヒカルはこんなに私の事を考えてくれている。だけど私は?ヒカルに何をしてあげれる?)』

 

ヒカルの人生を奪ってしまった。

佐為は考えてしまう。

ヒカルにすべてを託して自分は成仏したのではないのか。

だけどその後のヒカルはどうなったのか。

その事を佐為は詳しく聞いていなかった。

 

 

 

『(ヒカル。私はヒカルのために打ちます。ヒカルの笑顔が絶えない様に)』

 

 

 

佐為は決意する。

ヒカルが望むなら。

ヒカルのためだけに。

佐為にとってヒカルは自分の全てなのだから。

 

もう二度と、ヒカルを悲しませたくない。

 

 

 

帰りは白川に送ってもらい、今回の研究会は終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ヒカル、私はヒカルに何をしてあげれますか?』

そんな唐突な質問にヒカルは頭の上にクエスチョンマークがついている。

『私はヒカルの人生をもらっています。でも私はあげれるものがない。私はヒカルに何かしてあげたい!』

前回は我侭ばかり言ってヒカルを困らせていた。

そして今回は自分に全て打たせてくれる。

そんなヒカルにお礼がしたい。

「なんだ、そんな事か。オレだって佐為の人生もらってんだからおあいこじゃん!」

『ヒカルは生きています!死んだ人間が…ヒカルの人生を狂わせてしまう…』

「まだそんな事考えてたのか?大丈夫、他のヤツに見えなくても佐為は生きてるよ」

そう言うと佐為に抱きつく。

「佐為あったかい。冬は湯たんぽだな」

『ヒカル…』

「まーだ困った顔してら。わかった!じゃあ絶対オレの前から消えない事!………オレの願いはそれだけだ」

泣きそうな笑顔で佐為を見るヒカル。

 

佐為は知らない。

前回、ヒカルが佐為に会いたくて大泣きした事を。

秀策縁の地を巡った事は聞いていたが、大泣きして佐為を求めた事は知らなかった。

 

『わかりました。ずっと一緒です。神が許す限り、ヒカルと一緒にいます』

「神さまだってオレが死ぬまで許可するさ!だってオレ達、また会えたんだ!二度と会わせる気がないなら、過去になんてこねーよ!」

『そうですね!はい!ヒカルのぷろぽおず、受け取りました!』

「…は?プ…プロポーズ!!?なんでそんな言葉知って…!てかそんな意味で言ったんじゃねぇよ!」

『顔を真っ赤にしちゃって…ヒカル可愛い!!』

「佐為のばかー!もうっ、打つぞ!」

その場をごまかすために碁盤を広げる。

 

 

『(ありがとうヒカル。ヒカルの人生、いただきます)』

 

 

 

 

佐為は吹っ切れる。

この身はないけれど、ヒカルのために。

 

 

 

ヒカルは自分と佐為のセリフに困惑していた。

プロポーズのつもりはなかった。

だが傍から見たら完全にプロポーズである。

赤面はまだ治まらない。

(確かに一生そばにいてほしいけど、男同士でそんな事…ってオレ女じゃん!)

 

混乱したまま打った碁はとても酷いものとなった。

 

 

 

『からかってすみません…』

「いや、オレが考え事してたのが悪い…」

 

「『………』」

 

 

気まずいまま一日が終わった。

 

 







ヒカルのプロポーズです。
赤面モノのいちゃいちゃぶりです。

明日から違う部署での仕事が始まるので、更新が遅くなると思います…。
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