インフィニットストラトス ~空から降ってきた白銀と少女~   作:鉄血のブリュンヒルデ

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新星少女 Third Episode

あの襲撃から数分が経って、ギンギラ達は瓦礫の処理などをした後に束達の元へと戻った。

 

「スーーーーーちゃーーーん!」

 

「ん?ごはっ?!」

 

コックピットから降りたステラは束からの突然の襲撃、もといジャンピングハグを腹部に食らいそのまま仰向けに倒れた。

 

「凄い!凄いよスーちゃん!」

 

「わ、わかりましたからちょっと退いて下さい!痛いです!」

 

「あ、ごめん」

 

二人が話をしていると、クロエが二人の元へと歩み寄りステラを抱き締めた。

 

「ステラ様、良かった。よくご無事で」

 

目頭に涙を浮かべながら、包み込むように抱かれたステラは赤面した。

 

「え、えっと、クロエさん、出来れば離して貰えると嬉しいです…その、恥ずかしいですし…」

 

「フフッ、ごめんなさい」

 

ステラを離したクロエは、零れそうになっていた涙を拭い冷静でどこか優しさを感じる様な表情に戻った。

 

「………ねぇ、スーちゃん、ギンギラちゃん」

 

 

「束さん?どうしたんですか?」

 

二人の会話に区切りがついた所で、束が緊張したような表情になりながら話し始めた。

 

「さっきのISに付いて無かったのは確認したけど、これから先に戦闘のデータを残すためのカメラとかが付く可能性は凄く高い。そしてその時にギンギラちゃんからISの反応が無かったら、向こうはまた私が新しい兵器を作ったって判断すると思う。だから、ギンギラちゃんをISとのハーフにするってのはどうかな?

 

勿論無理にとは言わないよ。でも、ISの力はスーちゃんとギンギラちゃんがEDN-3rdに帰るときにもきっと役に立つ。それに、今の世界はISの『兵器』としての力を信じきってる。だから、その考えを壊す手伝いをして欲しいの」

 

『私は構いませんよ。恐らくマスターも』

 

「うん、束さんがそう言うならきっとそうだしね」

 

「…ありがとう二人とも。その為にも、少しだけギンギラちゃんの事を教えてくれないかな?」

 

『そうですね。それに、元々そういう約束ですからね』

 

 

『私の様なロボットの事を、『VS』と呼びます。正しくはVital-Suits(バイタルスーツ)と表記されますが、頭文字を取ってVSと呼ばれています。

 

元は入植作業用に開発された作業ポッドだったものが、対AK(エイクリッド)に改良されたものです。

 

次は私の説明です。

 

私は、入植実験候補第二番惑星『EDN-2nd』で開発されました。ウッドベルネクストは開発時の名称です。

 

大気圏内外での運用を目的とし搭載された次世代AIは高度な学習機能があり、戦闘の度に相手を解析して対応する事が出来ます。

 

VSドライバーとの双方向コミュニケーションを目的として、VSでは初の思考し、喋る能力が搭載されています。

 

戦闘のメインは格闘ですが、サポートとして腕部にレーザーシューターがあり、私の後ろに浮かぶ二つのリングは投げて相手への牽制や投擲武器にも使えます。勿論自動で手元に帰ってきます。

そしてそのリングを前に配置して、腕を前に出してEX-T(エクスサーマル)を大砲やキャノン砲をイメージしながら放って、リングの中でエネルギーを変換して撃つT-CN(サーマルキャノン)もあります。

 

燃料は基本的にT-ENG(サーマルエナジー)ですが、他の燃料でも動けます。しかしその場合は燃費が悪くなります。

 

こんな所でしょうか』

 

「ふむふむ、成る程。後はISコアとの適合の高さを調べようか。」

 

そう言うと束は何もない空間から白く光る蒼いラインの入った球体を取り出した。

 

「ギンギラちゃんの戦闘データを解析しながら作った、ギンギラちゃん専用のISコア!多分、これなら適合する筈だよ」

 

「束さん、それどうやって出したんですか?」

 

ステラが驚きながら束の行動を確認しようとした。まぁ何も知らないステラとギンギラが見ると明らかに驚愕物なのは確実だ。

 

「今のはね、ISの拡張領域(バススロット)に保管していたギンギラちゃんのコアを取り出したんだよ。ISの種類や装備によっては要領を殆ど持ってかれてしまうけど、殆どはほぼ無限に物を収納出来るよ!」

 

『成る程、それは便利ですね』

 

「うん!お腹空いた時に直ぐにご飯食べられる!」

 

二人が同じ様な、そしてどこかずれてる様な反応を示してそれに満足したのか、束は楽しそうな顔をしながらクロエに配線の指示を出した。そしてクロエもこんな束を見るのが久しぶりだからか、どこか楽しそうだった。

 

そして、あれこれして既に一時間。

 

「さてと、適合率は問題無いね。それじゃあ次はISスーツのデザインを決めよう!」

 

「ISスーツ?」

 

「はい。ISスーツとはISを効率的に運用するための専用衣装です。

バイタルデータを検出するセンサーと端末が組み込まれており、体を動かす際に筋肉から出る電気信号などを増幅してISに伝達する機能がありますがISの運用に必ずしも必要ではありません。

 

多数の企業からさまざまなスーツが発表されており、ISに関わる女性はたいてい自分専用の物を用意しています。

パーソナライズされた専用機では量子変換された状態でISのデータ領域に格納されています。ISを起動させると自動的にスーツも展開されるようになっていますが、エネルギーの消耗が激しいため、緊急時以外はスーツを着用してからISを展開するのが一般的です」

 

「あー!クーちゃんそれ私が言いたかったのに!ちょっと久しぶりの台詞だからって長い台詞を!」

 

メタい事を……

 

「フフッ、すみません束様」

 

束のメタい発言に、クロエはイタズラが成功した様な顔で謝罪した。

 

「まぁそういう事、それで!デザインを決めよう!なるべく可愛いので!」

 

「ギンギラ、アドバンスの隊服のデータある?」

 

『はい、ありますよ』

 

「おぉ、どれどれ?」

 

ギンギラが空中にホログラムで隊服のデザインを表示し、それを少し楽しみに束とクロエが覗きこむとそこに表示されていたのは…

 

「……何これ?」

 

「アドバンスベースの隊服ですけど」

 

「これを着ていつも戦場に?」

 

「はい。あ、ちゃんと下着は着てますよ?」

 

「「………………」」

 

「?」

 

「「これはダメ!」」

 

「え?!」

 

僅かな沈黙の後に大声がラボの中に響いた。

 

「なんで?!動きやすいのに?!」

 

「普通に考えてよスーちゃん!こんな体のラインがくっきり出るような服着たら、見た男子がみんな欲情しちゃうでしょ!」

 

「そうですステラ様!ステラ様の胸はその体に対しては少し大きいんです!そんなの見たら盛った男子に食われますよ!」

 

急に詰め寄られ怒号の勢いでそれぞれ違う事を言われ困惑していたステラに、ふと疑問が浮かんだ。

 

「えっと、欲情って何?」

 

「「えっ……」」

 

「え?」

 

このラボにステラが来てから何度目かの沈黙の後に束とクロエはニヤニヤしながら、ステラの腕を引いて暗い部屋に連れていった。

 

「ちょっと勉強が必要だねぇスーちゃん」

 

「えぇ、ISの勉強のついでにちょっと性の勉強も教えましょうか」

 

「えーとぉ、なんか束さんとクロエさん怖いよ?」

 

「「さぁ、授業を始めよう」」

 

 

 

……そしてその後、一時間経過

 

 

「………………////」

 

頬を赤らめたステラが先程の部屋から出てきた。

 

「子供って、あーやって出来るんだ…結婚したら自然と出来るのかと思ってた……まさか男子のあれと女子のあれが……あ~//」

 

「あー、可愛いなぁもう」

 

「まさかここまで無知だったとは、可愛いですね」

 

はてさて一体ステラが何を聞いたのやら。

 

「さてと、あれ?そういえばスーちゃんって何歳?」

 

「え?12歳ですよ?9月18日生まれの」

 

「えーと、クーちゃん」

 

「はい、束様」

 

「「やらかした……」」

 

二人は年齢確認を怠った事を全力で後悔した。そして、束があることを思い出した。

 

「あ、よく考えたらISって女しか動かせないんだから別に体のラインが出ても問題無くない?」

 

「あっ」

 

またしても確認を怠った事を後悔する二人だったが、気を取り直して次の話を始めた。

 

「んんっ!さてさて、スーちゃんはギンギラちゃんの新機能についてはどう思う?」

 

「え?新機能?」

 

「うん、私が考えているのは

 

まず、ギンギラちゃんに掛かってるリミッターを一時的に解除して、出力を普段の数倍に跳ね上がらせる『リミットブレイク』。

 

二つ目、ギンギラちゃんは全ての能力を均等に設定されてる。強いて言うならスピードがちょっと高いかな。そして、そのエネルギーの割り振りを変えて機体の性能を変化させる『シフト』。

 

三つ目、安定しているT-ENG(サーマルエナジー)の安定地を下げてわざとバランスを崩して一定時間能力が倍加し続ける『バランスブレイク』。ただこれはエネルギーの消費が他の二つに比べて激しいよ。

 

こんな感じだけど、どれがいい?思いきって全部とかやっちゃう?」

 

「そうですね、ギンギラは大丈夫?」

 

『はい、問題ありません』

 

「え?いや、ちょっ」

 

「それじゃあよろしくお願いします!あぁ、新しいギンギラ楽しみだな~♪」

 

目を輝かせながら生まれ変わったギンギラを思い浮かべ、興奮するステラ。冗談半分で言った言葉で今後の方針が決定してしまい、困惑する束。そしてそれを苦笑いしながら眺めるクロエ。おかしな絵面だ。

 

「こうなったら仕方ない!全力でやるよ!クーちゃん、スーちゃん、サポートお願い!」

 

「はい、わかりました」

 

「了解!」

 

 

その夜から、ギンギラの改修作業が開始された。

 

 

 

その時、三人と一機は知るよしも無かった。

この星に邪悪な意志が存在し、宇宙(そら)からもう一つの流星が降ることを。

 

 

 

 

 




これにて序章は終了になります。

本編はまだですが、もう少しお付き合い下さい。
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