激ウマ…いや、激マズ日和   作:黒鋼

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遅れてすみません。実家からは帰ってきたので今後は大丈夫だと思います。
それと、今回の話でストックが切れたので、投稿は不規則になると思いますが、どうぞよろしくお願いします。


10品目 報告書作成の裏で……変なフラグ発生

【眞城クウヤ新兵 2071/○/□

 ミッション名:悪鬼の尾

 ミッション完了日:2071/○/□

 討伐対象:(開始前)オウガテイル1体→(開始後)オウガテイル1体、オウガテイル堕天種1体、ヴァジュラテイル(火)1体、ヴァジュラテイル(雷)1体

 場所:贖罪の街

 同行者:雨宮リンドウ少尉

 回収素材:鬼牙・鬼面尾・鬼氷牙など、対象アラガミの素材計20点。コアの回収も4体全て完了。その他、低強度チタンなど計8点。

 報酬:3000fc

 所感:初めての戦闘ということもあり、訓練とは違う雰囲気で緊張したが、なんとか動けたと思う。実戦評価については雨宮少尉の報告書でご確認いただきたい。個人的な今後の課題は、今回の様な剣形態中心だけではなく、銃形態における戦闘もふまえつつ新型としての役割を果たすことである。】

 

「……と、こんなもんかな」

 

ミッションが終わった俺は自室に戻ってターミナルでミッションについての報告書を書いていた。以前の世界では一度も書いたことがなかったので、あってるかどうか少々不安だが、まぁ大丈夫だろう。

 

「じゃあ、保存して、メールに添付して、送信、と」

 

保存したテキストデータをメールに添付し、宛先がしっかりツバキさんのアドレスになっていることを確認して、送信ボタンを押す。

この辺りの諸作業は以前の世界とやり方がそんなに変わっていないので助かる。

次に装備の強化に画面を移す。

なんと今回の回収素材の中に低強度チタンが2つもあったのだ。強化に掛かるfcも130程なので、【ナイフ】を【ナイフ改】へと強化することが可能になった。これ以降は【獣剣 陽】だったり【ポイズンピック】に【発熱ナイフ】や【超電磁ナイフ】など強化先が色んな方向へと派生するので序盤はかなり考えて強化を発注しなければいけないけれど、【ナイフ】から【ナイフ改】であれば、純粋に威力が強化できるので何も考えず発注できる。幸い、今強化を発注すれば明日のミッションには間に合うそうなのでその辺りの問題も気にせずに済む。……まぁ、突然アラガミが侵入してきた場合はその限りではないが、そんなこと気にしていては強化など出来る訳がない。なので、強化の画面から発注の部分へと選択を移し、書かれている注意事項をクリアしているのを確認し、何も問題がないので発注のメールを送信。

しばらく画面を見つめて、ちゃんとメールが送られたのを確認すると、

 

「ふへ~、疲れた~」

 

そのまま近くにあるベッドへと倒れ込んだ。倒れ込んだ勢いで、ギィとベッドが軋んだ音をたてるが無視。一々、そんな細かいことに気を払っている余裕なんてないのだ。

 

「あ~、緊張した……」

 

倒れ込んだ体勢から体を反転させ、仰向けに寝転がる。

四肢をだらしなく放り出し、脱力。体の力が抜けていく。

 

「はぁ~、やっぱ訓練と実戦は違うな……」

 

所詮オウガテイル1体と気楽に挑んだら、あのざまである。覚悟ならとっくに出来ていると思った気でいたけれど、百聞は一見にしかずとはまさにあの事だ。気楽に考えていた昔の自分を思いっきりぶん殴ってやりたい。

下手したら、初陣で死亡という新人ゴッドイーターとしては割とよくある結果になっていたのかもしれないのだ。

右腕の切傷は既に完治しているが、あれが一瞬でも遅れていたらと思うとゾッとする。

 

≪まぁ、慣れていこう。

 それしかない≫

 

何はともあれ、こうして生きて帰れたのだ。今はその事を喜ぼう。

と、それでも考えとかなきゃいけないことは今のうちに考えておこう。ゲームのシナリオ、というかミッション内容通りに進まなかったという事実は、決して軽視して良いものであるはずがない。偶然なのかもしれないが、これが2、3度続くようなら認識を改めなければならない。

 

≪……やっぱ、俺が原因なんだろうか?≫

 

少なくとも、ゲーム通りに話が進むのであれば、あんな無茶苦茶な初陣にはならなかったはずである。防衛班なら、居住区内に侵入したアラガミの種類によっては、初陣が大型になる可能性もあるだろうが、仮にも俺は討伐班である。討伐対象が初めから判明しているはずなのだ。

 

≪……まぁ、観測班がしっかりしていないのはゲーム中でも語られてたことだけど……≫

 

それでも、新人を回すのだからもう少ししっかりして欲しい。

 

≪もし、俺のせいでこんなイレギュラーが発生してるなら、今後も続く可能性があるな……≫

 

流石にないと思うが、こうして起きてしまっている以上無視する訳にもいかない。今日の事から考えると、下手したら、初めての大型アラガミ戦がヴァジュラではなく、プリティヴィ・マータ、或いはディアウス・ピター辺りになるかもしれないのだ。(コンゴウはあくまで中型アラガミである)

……流石に死ねるのでやめて欲しいが。

 

≪もしくは、ウロヴォロスがアマテラスになるとか……≫

 

何その無理ゲー……でもない、のか?

自分で考えておいてあれだが、流石にない……と、思いたい。

 

≪まぁ、今後の状況次第かね≫

 

「よ、っと」

 

一旦思考に区切りをつけ、寝転がっていたベッドから身を起こす。

これ以上考えていたって仕方ないのだ。精々、今後の任務は常に警戒しておくべきだと心得ておくことぐらいしかできないのだから。

身を起こした勢いそのままにベッドから降りて立ち上がり、

 

「何はともあれ、飯だ」

 

冷蔵庫の前まで移動し、考える。

今後のことも大事だが、今は何より夕飯が大事。ヴァジュラテイル(雷)なんていうくそマズイ奴を喰ってしまったのだから、せめて夕飯ぐらいは美味いものが食いたい。

 

≪……匂い対策が万全じゃないから、あまり周囲に匂いが漏れるものは使えない。

 けど、折角久しぶりに以前の世界での料理が食えるんなら自重するのもあれだし……よし、パスタでも茹でるか≫

 

麺を茹でるだけなら、あまり匂いが漏れる様な事はないだろうし、パスタなら冷製でも十分美味い。それに、匂いの少ないレシピも幾らか知っている。

 

「よし、そうと決まれば、調理開始!!」

 

冷蔵庫に付いているモニターに必要な材料の名前を打ち込んで決定ボタンを押す。

材料名を読みとっているのか暫く冷蔵庫から電子音が断続的に鳴る。そのまま、30秒ほど待っただろうか、唐突に電子音が鳴り止み、自動的に冷蔵庫が開かれた。

中を覗きこんでみると、

 

「おお~、すげぇな、こりゃ」

 

確かに俺がモニターに打ち込んだ食材が冷蔵庫内に納まっていた。

しかも、どれも以前の世界の最高級品のレベルだ。正直、俺なんかには勿体ないぐらいの。

 

「……とと、感心してても仕方ない。

 サッサと調理に掛かりますかね」

 

折角の神様からの御好意なのだ。

放っておいて悪くなったりしたら勿体ないし、この食材に悪い。

冷蔵庫から必要な食材を引っ張り出し、キッチンの上に並べる。羽織っていたコートを脱いでハンガーに掛け、代わりにエプロンを装着。着ているシャツの袖を捲りながら鍋などの調理器具を引っ張り出す。

途中で右腕に着いている赤い腕輪が嫌でも視界の中に入ってくる。

 

「やっぱ、邪魔だよな……」

 

ペチペチと腕輪の付いていない方の腕で腕輪を叩いてみたり。せめてもう少し小型化出来ないのだろうか……?腕時計ぐらい小さいと気にならないのだが。

日常生活ではもう慣れたが、料理をしたり、細かい作業をする時にはどうしても邪魔になる。先輩方はよく気にならないものだ。コウタなんて未だに日常生活でも鬱陶しそうにしているというのに。まぁ、2でもまだ大きいままみたいだったから当分無理なのだろうけれど……

 

「はぁ、気にしてても仕方ないか」

 

溜息を吐きながら髪を弄っていると、腕輪が頭部にゴンゴンと当たってくる。

 

「…………よし、飯だ」

 

腕輪の事を無理矢理脳内から消し去り、俺は改めて目の前の食材たちに手を伸ばした。

 

 

 

♦ ♦ ♦ ♦ ♦

 

 

 

「新しい“新型”ですか……?」

 

「そうだ」

 

自身の問い掛けに悠然と頷く目の前の男。

男は、漂わせている空気こそいつもの様におだやかなものだが、これまたいつもの様に端正な顔に付いた眼は深淵から自分を覗きこんでいるかのような鈍い光を放っている。

 

「しかし、よく本部が首を縦に振りましたね」

 

世界でも未だ数えるほどしか成功例のない“新型”を1つの支部が2人も保有するなど、よく本部が許可を出したものだと思う。つい先程自身が同行した件の“新型”の少年は、初陣だというのに、いとも容易くオウガテイル堕天種とヴァジュラテイル(雷)を葬ってみせた。初陣故の緊張や高揚もあったようだが、それらを差し引いてみても新人の動きではなかった。新人は、あんなにタイミングよく隙を突いて動けるはずがないのだから。

 

もし、あんな少年の様な神機使いが新たに補充されるというのであれば、それは一兵卒として素直に喜ばしい事ではある。

 

が、どうにもきな臭い。

 

いつも通りのだらしない表情を顔に張り付けつつも、目の前の男の言葉を待つ。

 

「なに、“エイジス計画”のためだ。

 人類の希望たる“エイジス”を守るため、とむしろ快くあちらは賛同してくれたよ」

 

「そうですか……」

 

「何か、問題でもあるかね?」

 

「ああ、いえ、この分だと俺も“デート”の回数を増やしても問題ないかと思いましてね」

 

やや気だるい調子で返してみる。が、この男相手に自身程度の演技がどこまで通じているか分からない。むしろ、全て見透かされている様な気さえするのだ。

 

「ふむ……確かに、彼女が新たに加わってくれるのであれば、君の仕事も少しは減るだろうね。そんな時は喜んで“デート”の相手を紹介させてもらうとするよ」

 

「彼女?

新しい“新型”は女性ですか」

 

「ああ。その辺りの資料は詳しい日程が決まってから提示しよう」

 

「……了解」

 

別に女性だからといってどうこう言うつもりはない。自身の姉だって女性だが、現役時代は並ぶものがないと称されるほどの遠距離型のゴッドイーターだったのだから。そんな姉がいるからこそ、実は女性のゴッドイーターという存在が若干怖かったりするのだが今は関係ない、はずだ。

……一抹の不安を覚えてしまうのは何故だろうか。

 

「それでは本題に入ろうか。

 君から見た新人の“新型”、眞城クウヤの評価を聞かせてもらおう」

 

手を机の上で組み直し、肘を机に付け、自身の顔の前で手を組む目の前の男。雰囲気や視線は変わらないのだが、心なしか重圧が増したような気がした。

 

「報告書は読んだが、初陣にしてオウガテイル堕天種とヴァジュラテイル(雷)を討伐。それも、観測班の提示していた結果とは違った状況だったのだろう?

ならば、新人としては十二分過ぎる程に好物件だと思うがね」

 

卓上にある報告書にチラリと視線を向ける。そこには確かに自分が提出した内容の報告書と、もう一枚、眞城が書いたであろう報告書が置かれていた。

それなら、細かい点は省いても問題なさそうだ。

 

「……“新型”という点は比較対象がいないので省かせてもらいますが……何と言うか……率直に言って、あいつは動きが良過ぎますね」

 

ガシガシと自身の後頭部を右手で掻きながら、報告を始める。

 

「……ほう、と言うと?」

 

が、目の前の男は自身のだらしない態度など歯牙にもかけず、話の続きを促してくる。あまり表情を変化させない男としては、珍しくどこか興味深げな様子だった。

 

「俺にはまるで相手の攻撃パターンを知っているように見えましたが」

 

別に、その事自体は問題じゃない。訓練用のダミーとして使っているのはオウガテイルを模したものであるし、眞城の場合はそれらのダミー10体を相手取る訓練をしていたのだから、ある程度の攻撃パターンは知っているだろう。

 

「……訓練の成果かね?」

 

「恐らくは」

 

そう口にしながらも、ゴッドイーターとしての自分は違うと否定する。

確かに、攻撃パターンは分かっていたのだが、それ以上に攻撃する場所とタイミングが的確すぎるのが問題だ。パターンを知っていたからといって新人の体がそれに合わせて動くわけではない。どうしても迷いが生じて、一拍遅れるのが常だ。

が、眞城はその迷いが殆ど見られなかった。回転を避けたと思ったら、その後の敵が硬直した瞬間に即座に攻撃を仕掛けた。ベテランならともかく、新人の動きではない。

 

「それならば大したものだ。

 この場合、彼を褒めるべきか、指導した君の姉上を褒めるべきか……どちらだと思うね?」

 

「眞城を褒めてやってください。

 姉上は貴方から褒められても薄気味悪がるだけでしょうから」

 

「はは、違いない」

 

どことなく満足そうな笑い声を上げた目の前の男を見ながらも、

 

≪……それよりも、問題なのは……≫

 

戦場で動いていた新人の姿を思い出す。

 

≪あいつのあり方は、新人というよりは……≫

 

むしろ、ベテランのような……否、ベテランというよりはむしろ、第3者が眞城の体を操っているようにも……

 

「……さて、期待の新人が使えると分かったところで……リンドウくん」

 

「……また、ですか。

 今月に入ってもう5度目ですよ」

 

唐突に思考が回想から現実へと引き戻される。お決まりの冷めきった視線を自身の身に向けられているとあれば、良い心地はしない。

 

「ああ、急で悪いが次のデートの相手だ」

 

報告書の隙間を縫い、目の前の男――シックザール支部長から自身に向けて卓上を1つのデータが保存されたディスクが滑って来る。見慣れた光景と言えばそれまでだ。

ただ、

 

「では、期待しているよ」

 

「…………了解」

 

今度の相手はかなりのじゃじゃ馬のようで、気が滅入る。ディスクの表面には、“接触禁忌”の文字が躍っていたのだから。

 

 

 

♦ ♦ ♦ ♦ ♦

 

 

 

リンドウさんとミッションを行った日の翌日。朝食も食い終わり、コウタと一緒にサカキ博士に呼び出されアラガミ講座を受けさせられた。知っている事ばかりだったけれど、何か聞き漏らしがあってはまずいし、それなりに真面目に受け、それも終わり、俺がエントランスに顔を出すと、

 

「お、クウヤ」

 

即座に俺に気がついたリンドウさんが声を掛けてきた。

 

「はい?

 何かありました?」

 

「次のミッション受注しといたから、準備が出来たらヒバリのところで受けてくれや。」

 

「了解しました。

 同行者は誰ですか?」

 

「橘サクヤっていう旧型の遠距離神機使いさ。

 階級は曹長で、衛生兵、お前もこの間会っただろ?あいつだよ」

 

「あ~、黒髪のボブカットの……」

 

「そうそう、そいつさ。サクヤの奴が先に出撃してるから、お前は準備が出来次第向かってくれ。場所は【嘆きの平原】。この間の市街地みたいな建物の遮蔽物がほとんどない場所だからな、気を付けてやれよ。

 ……それと、まぁ、あまり心配はしてないんだが、サクヤは俺の腐れ縁でな……気の良い奴だから、あまり怖がらずに接してやってくれ。」

 

「はい」

 

あんな、美人のお姉さんとお近づきになれるというのに、何を怖がる必要があるというのか!?

……いや、リンドウさんっていう相手がいるから手を出すつもりは毛頭無いけれど。俺は、あの素晴らしい横乳を近くで見れるだけで十分さ!!

 

「ミッションの詳しい事についてはヒバリにでも聞いてくれ」

 

ええと、サクヤさんと最初に行くミッションは確か……ああ、『破壊の繭』か。幸い、討伐対象のコクーンメイデンなら堕天種が出てこようとも何とかなるだろうから幾らか気楽である。

攻撃の威力や状態異常の数値は上がるけれど、基本的な動作に大きな違いはないんだし。

 

「了か「サクヤさんよりも、ヒバリちゃんの方がよっぽど可愛いって!!」……いたんですか、タツミさん……」

 

リンドウさんとの会話を遮ったのは誰かと思い振り向けば、そこには赤いジャケットを着たゴッドイーターの姿が見える。まぁ、防壁が破られたという報告は聞いていないし、警報も出てないからここにいても別に問題ないのだろうが……

 

「んじゃ、クウヤは準備が出来次第、出撃してくれや」

 

「分かりました」

 

そう、俺が返事を返すと、リンドウさんは軽く頷き、そのまま階段を昇って出撃ゲートの向こうへと消えていった。あっちもあっちでやっぱり大変なんだろうな~

そんなリンドウさんの背中を見送りつつ、視線は受付の方へと移っていく。

 

「ところでさ、ヒバリちゃん今日暇?

 時間空いてたら俺とデートしようぜ、デート!!」

 

「あ、カノンさん、ツバキさんから呼び出し掛かってますよ」

 

「ふええぇぇ~~、またですか~~?

 うう、やっぱりタツミさんごと爆砕しちゃったのはまずかったかな~」

 

「いえいえ、タツミさんの件ではなく、どうしてブレンダンさんの神機にあんな傷があったか聞きたいそうです。

 リッカさんと、サカキ博士もお待ちですよ」

 

「はううぅーーーーーっ!!」

 

タツミさんを無視しつつも、さり気なくタツミさんが酷い目にあってるところは認めてるし……タツミさんも諦めた方が良いと思うんだけどな~~

そんなこんなで、俺は自分の準備が完了するまで、【アナグラ】名物になりつつあるタツミさんのピエロっぷりを見ることとなったのでした。

 

「なぁ、ヒバリちゃん、俺今度の任務が終わったら君に言いたいことがあるんだ……」

 

「ちょ、コウタじゃないのに、こんなところで死亡フラグなんて建てないでください!!」

 




バスターが着々と増えてますが、一方で金の消費も凄いことに……報酬と武器の強化金額が釣り合わないのはいつものことだけれど、連続するとヤバいっす。
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