激ウマ…いや、激マズ日和   作:黒鋼

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遅くなってすみません。ひたすらもう一つの方の修正作業ばっかりやっているとなかなか執筆作業が進まない。
その間にTGSもあり、色々と発表された情報もあり、漫画も発売され、ちょっと考え直さなきゃいけない部分もあります。っていうか、結局2013年発売なのか……いや、なんとなく分かってたことだけどさ……


12品目 普通の新人ってどう動くんだっけ?

 通信機のスイッチをオンに、

 

「あー、テステス。こちら、眞城クウヤ新兵。ヒバリさん、聞こえますか?」

 

『こちら、竹田ヒバリ。感度良好です、クウヤさん。どうかなさいましたか?』

 

「現在、ヴァジュラと遭遇。相対距離は目算で10m程」

 

『ええ!?サ、サクヤさんの指示に従って、す、すぐに逃げてください!!

 こちらからも増援が送れないか至急確認します!!』

 

「了解……どれだけ頑張れるか分かりませんが、現時点を持って規定のミッションは放棄。撤退戦に移ります」

 

『……分かりました。死なないでくださいね……』

 

「努力します。以上、交信終了」

 

 通信機のスイッチをオフに。これで、なんとか増援が来てくれる可能性が出来た。とはいっても、どれだけ急いだって本部からここまでは1時間程度は掛かる。ヘリが残っているならもう少し早いだろうが、俺が乗ってきたヘリで今は打ち止めになっていたはずだから、来るなら車になるだろう……厳しいな。

 通信を終えた俺は、体の斜め後方に構えた神機を握りしめ、更に一歩、ヴァジュラに向かって踏み出す。先ほどの会話でこちらに気づいたのか、グルルと俺とサクヤさんに向かって低い唸り声を上げるヴァジュラ。その双眸から意志を読み取ることは出来そうにない。まぁ、分かったとしてもいかにして俺たちを仕留めるか、という思考だろうからあまり意味がないような気もするが。

 両手で持っていた神機を右手のみで持ち、構えを片手持ちへと変化させる。どれだけ再現できるか分からないが、可能な限り体を前傾姿勢に、意識を神機と一体化させていく。両足に力を籠め、いつでもヴァジュラに向かって飛び掛かれる体勢へと体を変化。

 

「ダメよ、クウヤ、退きなさい!!」

 

 後ろから聞こえるサクヤさんの呼びかけも今の俺には意味がない。

 新人の独断専行、力の差を知らない慢心、恐怖心からの暴走などなど傍から見れば処罰対象とも、新人故のミスと馬鹿にされるだろう行為。それを、敢えて行う。

 色々と疑われることになるだろうけれど、そんなことを気にしていては生き残れない。というか、逃げることが可能ならとっくに逃走を開始してるさ。

 

「サクヤさん。スタングレネードいくつ持ってますか?」

 

「……え?」

 

 自身の指示を無視した新人から返ってきたのは、恐らく予想していなかったであろう問い。それに、一瞬戸惑いながらも、

 

「や、8つだけど……それがどうしたの?」

 

 しっかりとサクヤさんは返事を返してくれる。ありがたい。

 

≪……俺のと合わせて計16か……十分!!≫

 

「……分かりました。活性化したら一気にそれを使って離脱しましょう」

 

「活性化って……」

 

 俺の返事にサクヤさんが絶句する。

 活性化、すなわちアラガミが怒った状態のことであり、基本的にアラガミの素早さや攻撃の威力が上昇する状態のことである。この状態になると全身を硬化させるアラガミもいるが、幸いヴァジュラは上位種のマータやピターほど硬化しないので、そのあたりを今は考えなくていい。そもそも、活性化したら攻撃するつもりはないのだし。

 だが、いずれにせよ今の俺の言葉は本来であれば褒められたものではない。ヴァジュラ自身を強化させるということは、それだけ俺たちが死ぬ可能性が増加するということであり、討伐対象でもない限り、本来であれば避けて然るべき状態なのだ。サクヤさんが絶句するのも当然と言える。

 が、逃げるなら時間が長いに越したことはないのだ。

 

「活性化中はスタンングレネードの効果が上昇するはずです。その上昇した効果中に全速で離脱します」

 

それだけ言って、更に一歩ヴァジュラに向けて踏み込む。とっくに相手は臨戦態勢なのだ。これ以上会話を長引かせても命の危険が増すだけだろう。

 

「後の指示と、スタングレネードのタイミングは任せます。

 ……勝手言ってすみませんが、よろしくお願いします!!」

 

 もう一歩踏み込んで、

 

「クウヤ、止めなさい!!」

 

 サクヤさんの制止を耳に捉えながら、一気にヴァジュラに向けて駆け出した。

 

 

 

♦ ♦ ♦ ♦ ♦

 

 

 

 私は、夢でも見ているのだろうか。リンドウやツバキさんからの情報によれば、今回のミッションで私が組んだ相手は実戦2度目の新人だったはず。訓練だけなら人の数倍受けているらしいけれど、訓練はあくまで訓練だ。実戦とは違う。当然、ヴァジュラなどに代表される大型アラガミなど一日二日で出来る様になる訳がない。

 そう、なる訳がないのだ。

 そのはずなのに……

 

「ほら、そっちじゃねえ。こっちに来い!!」

 

 私が同行していた新人――眞城クウヤは、ヴァジュラ相手に一歩も引かない大立回りを演じていた。

 常に相手の背後や側面に張り付き、決して正面に立たずに右手に持った神機を軽快に振るう。振るった刃は致命傷を与えるほどに深い傷を残してはいないが、着実に相手の行動を制限し、あいつの注意を私から自身へと向けている。

 ヴァジュラが振るう右爪をシールドを展開して受け流し、突進や跳びかかりはステップを使い、一気に距離を取って避ける。跳びかかり後に生じる着地の際の隙や、ヴァジュラの爪を掻い潜りながら神機で体を斬りつけていく。どこからどう見たって新人の動きじゃない。

 

≪……リンドウが言っていた『動きが良過ぎる』ってこういう事だったのね≫

 

 つい数時間前に話したリーダーからの言葉を思い出し、人知れず納得。反応速度が速いのか、天武の才か。いずれにせよ、現状において新人がベテラン並の――ひょっとしたらそれ以上の――動きをしてくれるのは非常に心強いことこの上ない。お陰で私もスナイパーとしての役目に徹し易くなっているから、ありがたいことは間違いない。スナイパー使いとしては非常にありがたいけれど、私がその役目に徹することが出来るということは、それだけクウヤがヴァジュラの注意を自身へと惹きつけなければならないということ。ベテランの神機使い――リンドウやソーマなど――ならともかく、彼の様な新人が負うべき役目ではない。むしろ、この場では先輩である私こそがその役目を負うべきなのだ。

 そんな疑念と恐怖を覚えつつもゴッドイーターとしての私は体を動かし続ける。オウガテイル用にセットしてあった氷属性のバレットを取り出し、代わりにヴァジュラの弱点である神属性のバレットをセット。二つセットできるバレットの内のもう一方には回復弾。戦闘中はいつでも回復できるようにセットしてある。

 動き回るヴァジュラへと照準を合わせ、引き金を引く。銃口から飛び出した神属性のレーザーは地を這うようにヴァジュラに迫り、相手の胴体を貫く。が、その程度で怯んでくれるほど相手も甘くはない。爆発系のバレットで体をふき飛ばしたり、レーザーでコアを射抜きでもしない限り大型アラガミは中々止まってくれないのが普通なのだ。小型アラガミならレーザーでも何とかバランスを崩すことは可能だけれど……

 視界の先で自身を貫いたレーザーの飛んできた方向――つまり、私の方に視線を向け、隙を作ったヴァジュラの顔面をクウヤの神機が一閃、斬りつけた。

 

「ギュアアアーー」

 

「ありがとうございます、サクヤさん。

 っと、余所見してんじゃねぇよ、この猫科のアラガミが!!」

 

 ヴァジュラの顔面を斬りつけた勢いそのままに、クウヤの身体がヴァジュラの側面へと消えて行く。遠距離専門の私から見ても分かるほどに見事な足捌き。タツミにでも教わったのかしら……?けど、タツミのあんな足捌き私は見たことがない。まぁ、最近あまり組んで仕事した記憶もないから、その間に習得したんでしょう。

 

≪というか、猫科って……まぁ、見た目は虎よね……≫

 

 照準を修正しつつ、アイテムポーチ内のスタングレネードの位置を確認。すぐに取り出せるように準備しておく。

 

≪活性化、ね。確かに活性化中は視聴覚が敏感にでもなってるのか普段より良く効くけど……そんなこと、新人が知ってるはずないのに≫

 

 仮に講義で教えていたとしても、新人のクウヤにはまだ大型アラガミ戦の講義は行われていないはずだ。

 ……こうして考えてみると色々疑問が浮かんでくるが、今はそこまで気にしている暇はない。が、考え事が多少はできると言うことに気付き驚く。ここにいるのは自分たち2人とヴァジュラのみ。決して気を抜ける余裕など無いはずだ。現に、

 

「オオオォォォーーーーンッ!!」

 

「っ、マズイ。クウヤ下がりなさい!!」

 

 自身の周りに張り付き続けるクウヤを鬱陶しく思いでもしたのか、マントに雷を纏わせ、一際高くヴァジュラが咆哮を上げる。間違いない。自身の周囲一帯に強力な電撃を撒き散らす放電攻撃だ。巻き込まれれば一撃で命を持っていかれる危険がある。

 

「了解!!」

 

 私の指示に力強く返事を返したクウヤはステップを使い、一足飛びでヴァジュラの攻撃範囲外へと離脱。速いというより力強い。速いのは確かにそうだ。私に返事を返すのとほぼ同時に動き出していたのだから。リンドウの言っていた思いっきりの良さというのがこの辺りなのかしら?

 だけど、私が気になったのは意志の切り替えの速さ以上に、身体能力の高さ。ヴァジュラの放電の範囲外から一息で離脱できる程の身体能力の持主など、私はソーマぐらいしか知らない。

 そうこうしているうちに放電が止み、その瞬間を狙ってクウヤは再度ヴァジュラに肉薄した。

 ……ほんと、どうなってるのかしらね。この子は。

 

 

 

♦ ♦ ♦ ♦ ♦

 

 

 

≪っぶね~≫

 

 サクヤさんが教えてくれなかったら危うく放電の餌食になるところだった。相手の身体がでか過ぎる所為でどうにも全体の様子が掴みきれない。ゲーム内では余程狭い場所で肉薄でもしない限り当然のようにアラガミの全体像は見えたものだが、現実になるとそうもいかない。ゲームのOPを思い出してもらえれば分かると思うが、ヴァジュラは非常にでかい。それでも全体像は少し離れれば分かるものだが、自分が肉薄しているのだからどうしたって相手の身体の一部しか見えなくなるのだ。さっきからその所為で何度か死にそうになってるが、幸い今の所攻撃が直撃したことはない。所々余波などでかすり傷とかができてはいるけれど。

 ……ヴァジュラがこれだけでかいのならウロヴォロスはどれだけでかいというのだ……

 

≪そう長くはもたないな、こりゃ……≫

 

 今の所はサクヤさんの支援もあり何とかなっているが、この後の事を考えると長丁場は無理だろう。戦闘を開始した直後にはまるで感じなかった疲労感が体には重くのしかかり、限界まで引き上げた身体能力のせいで体の節々が悲鳴を上げ始めている。

 

≪まだか……!!≫

 

 限界が近い。

 

 それが分かっていても、現状では体から力を緩めることなど到底できるわけがない。

 マントを立たせ、その先から集束された雷撃が俺に向かって撃ち出されるのを、ステップで勢い良く前進することでかわす。撃ち出された雷球は俺の頭上スレスレを通り過ぎ、後方の地面へと着弾。背後で地面が弾け飛ぶ音を聴きながら、更に踏み込み神機をヴァジュラの顔に振り下ろす。

 

「ギュアアァァァーーーーーッ!!」

 

 縦に奔った一筋の剣閃に大きく仰け反るヴァジュラ。仰け反ったことによりヴァジュラの体前方が大きく跳ね上がる。その隙を狙って胴体の下へと潜り込み、両足に力を籠めヴァジュラの腹部目掛けて勢いよく神機を突き立てる。

 

「ガァァーーーーッ!!」

 

「喰らえ!!」

 

 ヴァジュラの悲鳴が頭上から降り注ぎ鼓膜を揺さぶる。顔を顰めながらも突き立てた神機を捕喰形態へと変化させ、ヴァジュラの体に喰らいつかせる。黒い顎はヴァジュラの体を思う存分噛み砕き、咀嚼し、飲み込んでいく。その様はヴァジュラという食材を十二分に味わっているようにも見て取れる。

 だが、ヴァジュラの胴体の下にいた俺にはその時周りの様子が分からない。だから、そんなに味わせているほどの余裕などないのだ。

 ある程度ヴァジュラを喰らったことを確認すると同時にヴァジュラに突き立てていた神機を引き抜き、全速力でヴァジュラの下から逃げ出す。だが、

 

「ギャオオーーン!!」

 

「くそっ!!」

 

 俺がヴァジュラの下から抜け出すのと同時にヴァジュラは後方に大きく飛び上がる。その飛び上がった巨躯に付いたマントの先には収束された雷球。しかもそれが4つも。

 

≪バックステップ雷球って難易度4からだったろうが……!!≫

 

 必死にその雷球の範囲外から逃げようとした瞬間、

 

「ぐぬっ!!」

 

 口の中に広がる獣臭い生肉の味。腐りかけの肉から生じる独特の風味にも似た生臭さ。それに濃い酸味まで付け加わり、口の中にはこの世のものとは思えない生臭さの地獄が顕現していた。

 そして、口の中に地獄が現れると同時に体に漲る充足感。これまでのオウガテイルやヴァジュラテイルの時に感じた力強さとは別次元の力強さが体中に行き渡る。戦場を駆ける足にも一層力が籠められ、体の節々に感じていた軋みも一瞬で消え去る。

 

≪くそ、よりによって今かよ!!≫

 

 だが、そんな違和感を覚えるということは、一瞬だが大きな隙を作るということ。その一瞬があればヴァジュラには十分。

 

「グルァァーーーーーーーーーーーーーッ!!」

 

 立ち止まった俺の背中に上空から撃ち出された4つの雷球が連続して飛来する。

 

「ぐっ」

 

 未だに口の中に残る生臭さはそのままに、慌てて振り向きシールドを展開。そのまま後ろに跳び下がろうとして、

 

 ガガガガッ!!

 

 それより速くヴァジュラの放った雷球が連続してシールドに着弾する。

 

「ギッ!?」

 

 眼前で連続して爆発する雷球と爆発に生じてこちらに流れてくる電流に意識が飛びそうになるのを必死に堪える。だが、雷球の余波は凄まじく、シールドを展開したまま爆発に巻き込まれ、後方――サクヤさんのいる方――へと弾き飛ばされてしまう。地面が弾け、プスプスと何かが焦げ付く音が耳につく。

 飛ばされながらもなんとか体勢を整え、足から地面に着地。飛ばされた勢いを殺し切れず数メートルほど地面に足を引き摺った後を残し、ようやく停止。

 

「っ、はぁっ!!」

 

 大きく息を吐き出し、展開していたシールドを元の位置に収納。そのまま神機を構え直す。

 まだ体の所々に痺れが残っているし、意識が飛びそうだけれど、幸いにも四肢は動く。左腕の感覚が少し悪いが、まだどうにかなるはずだ。それでも神機を支えていた両腕を中心に所々肉の焼けた臭いが鼻を衝く。この程度の火傷ならまだどうにかなる……と思う。幸い、腕は動くし力も籠められる。力を籠めれば痛みが増すが、我慢する。

 焼けた臭いに顔を顰めつつ、自身の体の反応を適当なところで判断してヴァジュラの方を見直すと、

 

「オオオオォォォォーーーーーーーーンッ!!」

 

 ……口に雷と思わしき紫電を漂わせながら一際大きく吠えておられました。

 ……この状況で活性化って……マジですか!?

 




それにしても、Vitaを買うべきか否か結構悩みます。あれだけ綺麗な映像を見せられると、どうしてもそっちでプレイしたくなるのは当然でしょう。
けど、まだ高いんだよな……発売のころに安くなってて、金銭的に余裕があれば買ってみるか。
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