激ウマ…いや、激マズ日和   作:黒鋼

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学期末だというのに、最近妙に体調が悪いです。
もしや、夏風邪!?


3品目 挨拶回り←重要なのは、やはり食

 

「こんにちは~

 今日からこちらでお世話になることになりました、眞城クウヤです。

 よろしくお願いします!!」

 

コウタと別れた俺はエレベーターを使い、案内図を見て目的の場所にやって来ていた。そして、初めての挨拶ということもあり、しっかりと頭を下げ、にこやかな笑みで自己紹介をする。

 

「はいよ、よろしくね」

 

目の前にいる歴戦の勇士もそんな俺の挨拶に気を良くしたのか、嬉しそうに返事を返してくれる。

 

「それで、あんた、何か食べてくのかい?」

 

「いえ、先程昼は済ませてきたので、また夜にでもお伺いしたいと思います。

今は、今後お世話になるだろうと思っている所に挨拶で回っているところですので」

 

「へぇ、そりゃ感心だね。

 ここは何番目なんだい?」

 

「勿論、一番目です!!」

 

「はは、そりゃあ良い心掛けだよ。

 よぉし、今夜はあんたの就任祝いだ。メディカルチェックが終わったらすぐに来な!!

 良い物を用意して待っといてあげるからね」

 

「本当ですか!?

 ありがとうございます!!」

 

よっしゃーっ!!

これで今日半日また闘えるぞ!!

……いや、闘うっていってもメディカルチェックぐらいしか予定はないんだけどさ……

因みに、今俺がいる場所は食堂で、話している相手は食堂のおばちゃんだったりする。昼を少し回ったばかりだから皆さん仕事に出ているのか、食事を取っている人は少ない。

 

おばちゃんに今日の夕食を楽しみにしていると告げ、食堂を後にする。

うん、やっぱり食事は大事だよ。それもこんな時代なら尚更。

 

食堂を後にした俺は、一先ずエントランスに戻ってきた。

意外とおばちゃんと話しこんでいたためか、先程エントランスを出てから30分程経過している。それでも後1時間半ぐらいあるんだけどな。

 

「さてと、取り合えずいる人にでも挨拶しましょうか」

 

エントランスにいるのは……何故か真ん中に突っ立っているコウタとゲンさんと……お、

 

「リッカさんがいる……」

 

他にもヒバリさんとか、裕福そうな少女とかいるけれど、先に彼女に挨拶をしてしまおう。

BURSTではレンとの事で、準ヒロインみたいな扱いになっていた彼女だ。

頭にゴーグルを着け、整備で汚れてしまった頬を手で拭う様にしている。上半身が灰色のタンクトップだけだが、あまり色っぽさは感じず、むしろ頼もしさが感じられる姿。

神機の整備を親の代からしてくれている少女である。

 

「こんにちは、はじめまして。

 今日からお世話になります。

 新人の眞城クウヤです」

 

近づいて、挨拶。

 

「あ、新型の人だね、はじめまして」

 

うぇい?

なんで俺の顔見ただけで新人って分かるの?ああ、整備班の方にはもう連絡が行ってるってことなのか?

 

「あたしは楠リッカ、よろしくね」

 

「はい、よろしくおねがいします」

 

「ま、神機のことで何か分からないこととか、不具合とかがあったらすぐに聞いたり、言ってね。

 神機の整備は最善を尽くすけど、何があるか分からないんだし」

 

「はい、その時は是非」

 

そういや、この人これでも18歳で、今の俺より3つも上なのだ。

更には高卒で、割とこの世界では高学歴。正直、もっと年下に見えるが……些細な問題なんだろう。

いや、確かにアリサの方がリッカさんより全然年上に見えるけれど…主に胸とか。流石に、防衛班の某女性ゴッドイーターよりはあるけれど。

 

「……今、何か失礼なこと考えなかった?」

 

ギクッ!?

 

「い、いえ。

 別に何も考えてませんよ…?

 じゃ、じゃあお忙しいでしょうし、この辺で……」

 

「……あ、うん。

 また今度食事でもしながら、じっくり神機について教えてあげるね」

 

いそいそと逃げるようにして急いでその場を後にする。

リッカさんは不思議そうな顔をしていたけれど、仕事を思い出したのかすぐにエレベーターの中へ消えていった。

 

「ふぅ、危ない、危ない」

 

アナグラの女性陣に胸の話は禁句、かな……?

第一部隊は巨乳ぞろいだけど、それ以外の方々は普通か小さめ(一人例外がいるが)、という訳の分からない括りになってるからな。

 

「ま、いいや。

 おーい、コウタ。そんなとこで何してんだよ!?」

 

アナグラの女性陣の疑問を打ち切り、エントランス上階部分でうろうろしているコウタに声を掛ける。あいつも、挨拶回りをしてると思ったんだが……

 

「あ、クウヤ!!

 丁度いい所に!!」

 

どうやら違ったらしく、若干涙目になったコウタが縋りつくように寄って来た。

ええい、暑苦しい!!

 

「おう、どうした?

 ツバキさん……じゃない、雨宮教官にさっきの話でも聞かれたのか…?」

 

それだったら俺もすぐに逃げなければ。

どちらかと言えば主犯格?は俺だしな。

 

「うんにゃ、さっきの話は関係ないんだけど……クウヤは俺のメディカルチェックの時間って聞いてるか?」

 

「いや、聞いてないぞ。

 大体、俺のメディカルチェックの時間言ったら、すぐどっかに行ったしあの人」

 

「ううー、だよな~」

 

俺が頼りにならないと分かり、ガックリと大きく肩を落とすコウタ。配属初日でいきなり大問題に出くわしたコウタは、近くにあるソファに座り込み、どうしたものかと頭を抱えている。

 

「別に、直接聞けば良いんじゃないか…?」

 

ミスかもしれないし。

そう言って、行動するよう促すが、

 

「いや、聞いた気はするんだよ。

 けど思い出せないんだよなー

だから余計に、何か言われるんじゃないかと思うと怖くて……」

 

「あー……」

 

ドンマイ。

確かに、それだったら聞くに聞けないな。俺でも無理だわ。

 

「じゃあ、他の人に聞いてみるのはどうだ…?」

 

「他の人?」

 

「ああ。

 例えば……そう」

 

受付にいる女の人とか。

「はじめまして。

 今日からお世話になります、眞城クウヤと、」

 

「藤木コウタです」

 

「「よろしくお願いします」」

 

しょぼくれるコウタを引き摺りながら、階段を降り、受付にいるヒバリさんの所に向かう。ゲームだとツバキさんが近くにいたが、幸いにも今はいらっしゃらない。

 

「はい、こちらこそよろしくお願いします。

 私は、オペレーターの竹田ヒバリです。

 ミッションの受付とかは私がやっていますので、よろしくお願いしますね」

 

受付嬢お得意の接客スマイルでにこやかに返事を返してくれるヒバリさん。

……成程、この笑顔にタツミさんは惚れたのか………分かんねぇ。

 

「すいません、早速で悪いんですけど、こいつのメディカルチェックの時間って分かりますかね?」

 

「イテッ!?

……お願いします」

 

コウタの肩をポン、と軽い気持ちで叩きながら二人揃ってヒバリさんに頭を下げる。やたらとコウタが痛がっているのが不思議だが……そんなに強く叩いた訳じゃないんだけどな。適合したから身体能力も上がってんのかな?けど、それならコウタも同じはずだし……

 

「え、と…しょ、少々お待ち下さい」

 

まさか新人二人がいきなり頭を下げてくるとは思っていなかったのだろう。まぁ、普通誰も想像できるわけないか。

戸惑いながらも、悩む俺とコウタを目の前に、手元のモニターを弄って調べてくれるヒバリさん。

うう、良い人だ。

暫くして、

 

「えっと、藤木さんのメディカルチェックは一五三○からですね。

 眞城さんの30分後です」

 

調べ終わり、時間が判明したのか、これまた眩しい程のスマイルで教えてくれる。

………やっぱり分からんぞ…!?

いや、可愛いとは思うけど、あそこまでスルーされてもこの笑顔が欲しいかと聞かれると、俺はノーだな。

 

「あ、ありがとうございます!!

 よ、良かった……初日からあの教官に叱られずに済んで……良かった!!」

 

時間が分かったコウタは心底安心したようで、受付にへたり込んでしまった。

 

「あ、あの…?」

 

受付にもたれかかっているコウタに戸惑うヒバリさん。そりゃそうか。いきなり新人がこんな態度を初見の相手に取るんだから戸惑って当然だ。

 

「大丈夫ですから、気にしないでください。

 ちょっと色々あったもんで……ほら、コウタ。時間も分かったんならしっかり立てよ」

 

じゃないと、後で某第二班の隊長に殺されるぞ…!?

とは、今はまだ知らないはずなので言わないが、どちらにせよ、新人が取って良い態度ではない。

 

「あ、ああ…」

 

気を持ちなおしたのかノロノロと置き上がるコウタ。

 

「それじゃあ、これで失礼します」

 

「ありがとうございました」

 

「え、ええ」

 

不安そうに俺たちを見送るヒバリさん。

そりゃまぁ、第一印象は良くはないから仕方ないが……

 

「ま、時間も分かったし、良かっただろ。

 取り合えず心配事は消えたんだしな」

 

「そ、そうだよな。

 うん、時間は分かったんだから、後は遅れないようにすれば……」

 

「じゃ、俺は行くからまた後でな~」

 

「おう、ありがとな!!」

 

取り合えず一段落したので、コウタと別れ再び挨拶回りに。

近場にあったので、よろず屋さんや、迷子になっていると思われる裕福そうな少女――エリナちゃん(かの上田氏の妹である)――それに、歴戦の古兵である百田ゲンさんなど、一通りの人物に挨拶して回った。

よろず屋さんは今後のこともあるから商品チェックも兼ねて結構な時間話し込んだし、ゲンさんには戦場での心構えを教わることが出来た。

 

前者は流石に序盤ということもあってか、品揃えはまだまだ初期段階のままだったけど……

 

≪まぁ、新人がいきなり後半の制御ユニットとか買えても逆に危険だろうしな……≫

 

というか、そんな高額の商品をいきなり買える訳がない。

今の俺の所持金は500fc程なのだから。無印の値段設定だったら幾らでもfcは溜まるが流石にそんなことはないだろう。

あとは……ミッションに関係ない品もいくつかあるな。

まぁ、個人の趣味――主に現第一部隊リーダー――の為の酒とか煙草とか……お、携帯音楽プレイヤーも何故かある。

そういや、ゲームで後半は素材集めついでに高額報酬のミッションをクリアしてればfcは知らぬ間に溜まっていってたから良かったけど、こっちではあんな鬼畜ミッションってどうなってるんだろうな…?

リアルで難易度10までの『ピルグリム』やら『帝王の骨』、更には『貴人の食卓』辺りはあってもおかしくない――BURSTで大分楽になった――が、チャレンジミッションとか、DLCミッションの、『鬼退治』とか、『ゴッドイーター』もしくは『ゴッドイーターバースト』、『百鬼夜行』、『ピルグリム2』なんてやらなきゃいけなくなったら軽く死ねる気がする。ゲームでは割と楽だった…?けど、実際に異常進化したハンニバル二体とかやりたくない。

ミスってAエリアに行ったらコクーンメイデンが復活するし……

 

閑話休題

 

ゲンさんから聞いた戦場での心構えは、流石正規軍出身の人物だけあり、ある意味ツバキさんよりも余程軍人らしいものだった。

それが若者には若干煙たいのだろう。普段からそんな反応を若者にされているせいか、熱心に話を聞く俺に対して、

 

『お前は、変わったやつだな……まぁ、期待しとるぞ、新入り!!』

 

ゲンさんは、逆に反応に困ったようだった。それでも、戸惑いながらも笑って励ましてくれる辺り良い人だ。

 

さて、そんな風にあいさつ回りをしながら時間を潰していると、メディカルチェックまで後20分程となった。

 

≪そろそろ行くか。

 博士の研究室だから、ラボラトリ、だよな…?≫

 

エレベーターに乗ってラボラトリの階のボタンを押す。

 

……ゴウン

 

重低音が鳴り、エレベーターが作動して動いていく。

ああ、そういや新人区画にシュンがいるはずだが……

 

≪ま、いいや。

 ガキだし≫

 

とても18歳とは思えない言動や行動をしているロングブレード使いの第三部隊所属神機使い――小川シュン。

BURSTではリンドウさんが最終的に新型?になったため、唯一の純粋な旧型ロングブレード使いである。が、それだけなので、結果として殆どゲームでは使われないキャラだったりする。

……一応、カレルと揃ってヴェノム要因ではあるが……

 

≪実際、ロングならリンドウさんとか、アリサとかいるからな……

 タツミさんとか、ブレンダンさんなら無印の頃から割かし使ってたけど≫

 

第三部隊だと、他にはカレルとかジーナさんがいるが……

うん、結構性格に色々抱えてる人が集まる部隊なのかもしれんな。ジーナさんは普段は良い人だけど……それ言ったら、件の誤射姫もそうか。

 

「まぁ、いずれ会う機会はあるだろ」

 

別に今急いで会わなくても良いや。あまり惹かれるものもないので、新人区画のボタンは押さず、そのままラボラトリへ。

 

……ゴゥン

 

再び重低音が響き、エレベーターが停止し、扉が開く。

と、

 

「あ……はじめまして……」

 

そこには度々話題になる某有名ゴッドイーターの姿が。

見たことない人間の顔に、やや戸惑い気味。

 

どんな遺伝子を持ってすればそうなるのか――ピンク色の髪。その髪を編み込んでカチューシャの様な形にしたショートカット。

どことなく森を彷彿とさせる緑のワンピースに、黒のレギンスと白に茶色のベルトを付けたブーツ。

右腕にはゴッドイーターの証である赤い腕輪がある。

 

うん、間違いない、台場カノン嬢だ。

 

無印の頃から圧倒的な誤射率を誇り、BURSTでもそれはあまり変わらず。(…まぁ、多少マシになったが)戦闘時との性格のギャップが一番激しい女性でもある。一回、見てみたいけど……それには同じミッションに行かないといけないわけで…

 

あー、うん、止めとこう。

 

ブラストでふっ飛ばされてるうちにヴァジュラの突進喰らったら、ほぼ間違いなく即死になる気がする。機会があれば行くぐらいの気持ちでいりゃいいや。

確か、そんなミッション有ったはずだ。報酬fcが548(誤射)という部分で爆笑したのを覚えてるし。

一応こんな見た目でも19歳で、ゴッドイーターになってからまだ1年ちょい。

無印からBURSTに移行する際、第三部隊の女性スナイパーが減ったのに対し、こちらの方は増やされたという疑惑がある。新人気分が抜けていないからか、未だにアナグラの中で迷子になるらしいし、基本全員に(日常生活では)敬語で話すとのこと。

母と妹がいるらしい。

 

……因みに、衛生兵(同じ職種にサクヤさんがいる)

 

「は、はじめまして」

 

そんなことを思い出しながら、戸惑いつつ挨拶を返すと、

 

「ああっ、新人の方ですよね!

 2人新しい方が来るって言ってたっけ……」

 

伝達事項で回っていたのだろう、思い出した様子でカノンさんは顔を明るくした。

 

「あ、はい。

 今日からお世話になります、新人の眞城クウヤです。

 よろしくお願いします」

 

頭を下げつつ、本日何度目かの自己紹介をする。

割と慣れてきたかんじがするが……そりゃそうか。

 

「はい。

私は、防衛班第二部隊所属の台場カノンと言います。

こちらこそよろしくお願いします」

 

頭を下げる俺に対して自身も深々と頭を下げながら自己紹介をしてくれるカノンさん。……先輩にも年上にも見えないのに、さん付けで呼んでしまうのはやはりゲームを知っているからだろうか…?

すごいよなー、あの二重人格。

 

「新人さんで、ここにいるってことは……今からメディカルチェックですね!」

 

「はい、そうです。

 一五○○までに榊博士の部屋に行くよう、雨宮教官に言われまして……」

 

「それなら、この廊下の突き当たりがサカキ博士のラボですよ」

 

そう言って、エレベーターの正面から一直線に伸びる廊下を指さすカノンさん。

一応、ゲームと違って他にも通路や部屋はあるが、まぁ今は関係ない。居住区画だったら他の部隊の人たちの部屋もあるから関係あるかもしれないが、ラボラトリだったら実験用の部屋とかだろうし……あ、病室もあったな、そういや。

 

「ありがとうございます。

 今後、ミッションで同行させてもらう機会があったら、その時はよろしくお願いします」

 

「はい!

 新人研修、頑張ってくださいね!」

 

にこやかに手を振り、俺を廊下の奥へと送り出してくれるカノンさん。

……その笑顔が怖い。いや、今は大丈夫だと思うけどさ……

 

取り合えず、俺も笑いながら手を振り返し、廊下を奥へと進んでいく。ふと振り返ってみると、なんとカノンさんはまだ手を振っていた。

……ほんと、どうして“あれ”が“ああ”なるのさ…!?

再び手を振り返しながら、俺は非常に居心地の悪い気分になるのだった。

 




今のところ、ヒロインはアリサの予定。
リッカさんとか、色々迷ってはいるんですけどね……
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