原動力として御送りしています。
2010年 9月21日より執筆開始。
学園都市。
その総人口は230万人弱。そしてその約8割(184万人)は学生。
東京都の未開発だった西部を切り開き、『記憶術』『暗記術』という名目で超能力研究、いわゆる『脳の開発』を行っている都市。開発以外の科学技術も最先端の技術を実験的に実用化・運用しているため、『外』よりも数十年分ぐらい文明が進んでいる。
学園都市の研究者は学生達に能力の開発の為に人為的に脳に『ある種の障害』を起こさせ、通常の人間と違うズレた世界を想像し、掴みとる、『
また能力者は学力・能力から以下の六段階の強度――『Level』に分けられる。
『
開発できなかった者を示す。学生全体の約60%はこれに当てはまる。ほんの少しの例外を除いて……。
『
多くの生徒がこの階級に属し、能力的にもスプーンを曲げる程度の力しかない。
『
『Level1』とはほとんど変わりない能力。同じく日常ではあまり役には立たない。
『
日常では便利だと感じる程度。能力的にはエリート扱いされ始めるレベル。
『
軍隊において戦術的価値を得られる程の力。
『
学園都市でも7人しかいない。一人で軍隊と対等に戦える程の力。
また、『
そしてその
仮にレベルが
基本的に学園都市は表向きには勉強をするための所なので、それに必要のない物品や嗜好品については税をかけても問題なし、という風潮があり、子供の好きそうなモノ(ゲームやマンガなど……)に課税されるのが暗黙の了解になっている。代わりに、寮の家賃や学食などが激安になるので結局プラマイゼロだったりする。
激安の理由は大学や企業の試作品だからである。だが決して試作品が美味しいとは限らないので注意する必要がある。品物の表示には難しい言葉で誤魔化しているが、暗に『腹を下しても当社は一切の責任を負いません』と書いてあるモノもある。
そして本作品はその学園都市にある、とある小高い丘の上に建っている、校舎の創り方、制服の種類、学力など、何から何までスタンダードで平凡過ぎるというのがぴったりの高校に通う1人の学生の物語である。
の、だが……、
あと1ヶ月で夏休みでもあり、まだ明けぬ梅雨のじめじめとした暑さの中、その学生である桐生正宗、現在十五歳は、厳つい顔をより厳つくした先生が目の前居るのにも気付かず……
「…………zzz……」
授業中、気持ちよく寝ていたりする。
――――ぉぃ……き……り……ぅ……
(うーん……何か言ってる……? ……ってか俺は今、何をしてたんだ……っけ?)
――――ぃっま……ね……ぃ……だ……!
(ま、いいか、何か今すごく疲れがのいていくような感じがしてぇ……)
「いいかげん……。よだれたらしやがって……。起きろやボケェ!!」
ドスッと頭上から鈍い音と共に衝撃が駆け巡った。
「ごっ!!!? イッ……つッうゥゥ~……!!」
やっと……頭をおさえながら涙目で正宗は目を覚ます。こんなにも簡単に男子を涙目になるのも、目前の先生が分厚い古典辞書の角で叩いたからで、そんな彼の頭にタンコブの様なモノがあるのはご愛嬌。
「んなっ!! 何すんだこの先公モドキーッ!! 生徒に暴力振りやがって! 組合に帰りやがれ!!」
「なぁにぃ~……キサマぁ、ワシの授業で寝るに飽きたらず、そんな戯れ言を吐くとは、イイ根性だな……」
厳つい顔の先生は顔を引き釣らせ、額に青筋を出して、
ドカッ! ……と居眠り少年に鉄拳制裁を食らわせた。
二度目は垂直落下式、脳天目当てのゲンコツ。正直、叩かれた場所もタンコブの上からなのでこっちの方が痛かったりする。
ちなみに今は古文の授業であり、この古典先生の新井先生は見た目ヤクザ顔、高校時代はボクシング部所属という噂、頬には何故か切り込みのある怖そうな……ではなくマジ怖い先生だというのが周りの生徒からの感想。
………………
…………
……
……HRの前……
「はぁぁぁ~、まだ痛いし、マジ最悪だよ……」
「何言ってんだよ。寝てるし、あんなこと言ったんだから当然だろ?」
机に突っ伏して嘆いている正宗にそう言ってくるのは後ろの席の
「当麻ぁ~、なんで起こしてくれないんだよー。しかもこのお痛い役目って普通ならお前のはずだろ?」
後ろを振り向いて、不満顔でだらしない様な感じで言う。こういうお痛い役目が上条当麻だというのも、そんな彼が『かなりの不幸体質』だからだ。もちろん彼の口癖は『不幸だ……』でもあったりする。
「上条サンでもあの新井の授業はマジメに受けるよ。それに何度も起こそうと背中をつついたんだぜ。寧ろ感謝しろよなー」
だがそのつついた手が右手であったことを正宗は知るよしもないし、上条当麻もまさかそんなことになるなど思いもしなかった。
「そのつど、体をビクッビクッって寝言言いながら反応してな。観てておもしろかったんやけどな~」
「にゃはは~。マサやんこそ新井の授業で寝ていることこそ悪いんだにゃー」
残りの
二人は正宗の事を『マサやん』と呼んでいる。
ちなみに土御門元春とも同じ寮の住人であり、彼共々よく行動するときは一緒な場合が多い。私服はどんな時にも下にアロハシャツを必ず着て、語尾に『にゃー』や『ぜよ』、『ぜい』を付けるが、別に高知県出身ではないらしい。ゲームの上手さは神級で崇めるほど。
もう一人の方、青髪ピアスは身長180センチの長身、そして自称『関西人』。とある理由でパン屋に下宿している。クラスの学級委員(男)を勤めているが、無類の女の子好きで、好みの種類も豊富、下宿している理由とも関係しているらしい。同じ寮住まいではないが、やはり彼ともよく共に行動していたりする。
「古典はどーも思考が停止するみたいでさ、昼過ぎというハンデもあってよ~……。つーか今さらだけど、なんであんな野郎なんだよ。古典の先生とかだったら普通は女の人だろ? まあ、望むならば若くてニーソ履いてたら俺はもうずっと起きていられるな」
「出たなニーソフェチ」
「別にそこは否定せん! ニーソこそが女の人をより美しく見せるんだ! そう言わば最強の――」と言いかけた時に机を ドンッ と叩く音が隣から響き、
「待つんだにゃぁーっ! 最強と言えばメイド服にロリキャラぜよ! このステータスはニーソよりは絶対に上だにゃー!!」
「んだと土御門! ニーソなめんなよコラ!」
「ロリには何も敵わない! 今宵は言わせてもらうぜいニーソ狂!」
「上等だい! このすっとこどっこいのロリータシスコンめぇー!!」
そんなこんなんで二人はギャアギャア喚き、
「おいおい、何を言ってるんだよお前ら……。あんまりうるさくしてるとまた吹寄さんに怒られるぞ」
高校に入ってからはこの4人が馬鹿をやっていると言った方が早いだろう。その中では唯一ストッパーの役を引き受けているのが上条当麻で、とても頼もしい存在になりつつあった。
「――だけれども男の威信にかけて言わせてもらう。最強は寮の管理人さん風、気配りのできる年上で大人な女性だーっ!!!!」
頼もしい存在になりつつ……火に油を注いで来た。
「はあー? 何を言うかと思えば、ようするに当麻は熟した女性が好きだと言うのかよ」
「ナニぃー!? カミやんは、カミやんは熟女好きだったのかにゃー!?」
正宗の言葉で土御門は勘違いした。だが当麻は見渡すと土御門だけではない。クラス全員がこっちを向いていた。
「ちょっと待て、それは絶対ちがう……」
「ええやんカミや~ん、否定せんでもー。僕『も』熟女『も』大好きやでーっ!」
正宗の言った言葉により、皆の勘違いから当麻=熟女好きの方程式がクラス全体に広がり、成り立とうとしていた。
「だから違う!! 管理人さんは絶対に二十代希望だからな!!」
「『熟女』の
「って聞けよーっ!! 変態にニーソ狂いにロリコン野郎!! クラスの皆さんも何勘違いし……え?
こういった感じの会話が彼らの日常だった。今回も上条当麻は不幸というのだろう。弄られて変なレッテルを貼られるハメになるだろう。
そんな好みの討論から上条当麻が熟女好きの話題で、その本人が弁解していて、他の男子も自分の好みをやんや、やんやと言い騒ぐ真っ最中、ガラッと教室の横引きドアが開いた。
「はーい、じゃあ
小萌先生が教室に入って来てそう言われると4人は音速の如くサッと席に戻る。いくらなんでも『コロンブスの卵』は嫌だった。
『コロンブスの卵』とは、
そして、
学園都市の七不思議に指定されるほどの身長135センチ、外見12歳の幼女体型。下手したら園児服にしか見えないピンクの服と、ピンクの髪が特徴の人物。
そしてHRが終わり4人で『帰り何処行くか~?』『ゲーセン行きて~』『腹へったー』と話ていた時。
「あ! 上条ちゃん、今日までの宿題が提出できてないのですー」
「え……、いや、あれは今朝方、遅刻しない様に必死で走っていたところ、カバンが何故か開いて、水溜まりに落として……」
「はいはい~。嘘八百の問答無用ですー。提出が出来ないのなら放課後補習ですよーっ」
当麻は今朝本当に宿題を水溜まりに落としたのだが……キッパリと小萌先生に居残り宣告され、
「はぁ、不幸だぁ……」
お決まりの文句で肩を落とす。これから完全下校時刻まで残されることだろう。
「ええやんええやん、小萌センセーとマンツーマンで補習なんやで。あ、でも羨ましい反面ムカつくかもしれへん」
「にっひひ~。当麻ドンマイ。すぐ終わるって。無事に帰ってこいよ」
「にゃー、カミやんの分も遊んどいてやるぜい」
がっくりしている当麻の肩を各々がポンポンと叩いて慰めた。
「あ! それと桐生ちゃん」と、小萌先生がまた何か気が付いた様で正宗を呼び止める。
「新井先生がー、愛のお説教があるとか言っていたのでこの後職員室まで来てくださいですー」
笑顔で小萌先生に言われたが、まったくもって嬉しくない通達であった。言われた本人は漠然と突っ立っていて、周りでは土御門元春と青髪ピアスが必死で笑いを堪えている。
「もっとドンマイ正宗! いやー上条さんにとってはいつも通りの不幸なんですがねー、どうしたもの」
「うるせーやい!」と、ムカついたので、適当に急所を狙って一発。
「ぐほっぁ――――!?!!」
その後、職員室に行くと見せかけて正宗はダッシュで廊下、くつ箱を駆け抜け、校門を抜けようとしたのだが……
何故か校門の前には新井先生が仁王立ちしていて、首根っこを掴まれ連れ戻されたのだった。そしてたっぷりと説教をくらい、古典の復習プリントをやらされた。
今日の不幸が、当麻が右手でつついた時からはじまったのは言うまでもない。
これからよろしくおねがいします。
後書きには、小説内の専門用語の説明をできる限り書いていきます。書かれていないものは後々のストーリーに関係してたりするので、わざと書いていなかったりします。