とある魔術の絶対値数(スカラオペレート)   作:Ωウエポン

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電撃使い Electro_master.

 正宗は女の子を助けに向かっていた。

 しかし、いきなり殴りかかるのもどうかと思った。

 もしも警備員(アンチスキル)に万が一捕まった時に『向こうから殴りかかって来たので正当防衛です』と言い訳が出来るように先ずは口喧嘩でやろうと考えついた。

 

 

「……おい、あんたら、みっともないぞ!」

 そう言うと不良は、あ? とか言いながら詰め寄ってきた。

 

 

「なんだお前?」

 

 体格のいいリーダー格であろう男がより正宗に近づいてきた。

 

「オゥオゥ一人で来て説教か? ガキはとっとと帰りやがれ!」

 

「はぁ? 恥ずかしくねぇのかよ、だいたい………

 

 ………………

 

 …………

 

 ……

 

 

 口喧嘩をすること三分後。

 

 プチッン……と背後から

 

(? ……なーんか今キレるような音がしたような……)

 

 そう思った次の瞬間からその女の子から蒼い電光が轟き、まばゆい光と共に目の前の不良の『ギャアアアァァ……』という断末魔が聞こえた。

 

 

 数秒後、女の子からの電撃の放出が終わった……。辺りではプスプスという何かしら焦げた音が聞こえる。

 

「ふぅ…………、で? なんで()()()立ってられんのよ」

 

 目の前の女の子は不機嫌そうに言った。

 

 え? と正宗は横を見るとさっきまで口喧嘩していた男も立っていた。そんな男は気持悪い笑みを浮かべると

 

「そんくらいの電撃じゃ俺はくらわねえよ。長いことスキャンは受けてねぇが、レベル3か4はあるだろーよ」

 

 確かに男は無傷だった。

 正宗は電荷のスカラーを操って難を逃れたが、電撃に気がつくのが少し遅かったので少しばかり痛みを感じた。

 しかし痛みの大きさ(方向を持たないためスカラーである)を操って痛くないようにした。

 

 彼は温度や電荷を上げて何も無い空間から炎や電気を出すのは時間がかかるが、下げるのならば一瞬にして無害の値(温度なら0℃に)にすることができる。

 だが温度や電荷を負の値(マイナス)にするのも、上げる時と同じくらい時間がかかった。

 

 

 「少しは口脅しで何とかなると思ってたんだがな。まぁいい、女はあとだ……、先ずはそこのガキ!」

 

 そう言われて男の方を向いた瞬間に、持っていたコンビニ袋が何かによって吹き飛ばされた。

 

 

「俺は磁界を操ることが出来る……。今見せたのが『電磁投射砲(コイルガン)』さ。弾は乾電池、早さは銃弾並だ。まぁ、まだ本気じゃねえけどよ」

 

 正宗はうつむいてぐしゃぐしゃになったコンビニ袋の中身を見ていた……。

 

「どおした? うつむいてよぉ~、あぁそうか、ビビったのか! ギャハハハハー」

 

 

(買ったプリン……楽しみにしてたのにな……)

 

 男の想いとは裏腹にカップに貫通して変わり果てたプリンを見ていた。

 

「全裸になって土下座したら許してやるよ。それとも乾電池(こっち)で体に穴開けられたいか?」

 

 男は乾電池を見せびらかせながら言った。

 

 

「………………、ざけんな」

 

 正宗は小さく呟き。ポケットからあるモノを取り出す。

 

「何だぁ? そのライターは?」

 

 そう、正宗はいつも学生ズボンのポケット持っているガスライターに火を付け、それを男に少しずらして向けた。

 

「ハァ? んなもんでやり合おうってか? 馬鹿じゃねーの? 笑えない冗だ……、っ!!!?」

 

 刹那ガスライターから出ていた蒼い火(ガスバーナー)は一瞬にして長く大きな業火になり、男の横を通り過ぎ、道のアスファルトを轟音と共に破壊していった。

 

 ガスライター。もとよりそのガスバーナーの外炎は最大、高くて1800℃もある、普通はアスファルトなど溶かしはしないが、正宗は火の『温度』を高くし、『体積』を変更した。

 

「ひっ、わぁ……ぁぁ…………」

 

 アスファルトはまるで抉り削られた様に高温の炎によって溶かされ破壊され、それを見た男はさっきの威勢もなくなり尻込みしていた。

 

 人が本当に怒った時、逆に冷静になる。そして、食べ物の恨みは怖い。

 

「……どーかしたか? 一々ちびった様な顔して?」

 

「ッ……!」

 

「あーそっかそっかぁ……そうだよね。テメェが全裸で土下座したら許してやる。――それともなにかぁ? あのプリンのように()しゃ()()しゃ()になりてぇのか、ア゛ァ?」

 

 ガスライターを手の内でポンポンと投げ、男が言った事をそのまま返して言った。正宗は自分の顔を見ることはできないが、目は刈り取る、刃物を連想させる。

 

「う……うわぁぁぁぁ!!」

 

 男は駆け出し、逃げようとしていた。しかし、ガッ! 「!!!? どふぅへぇ!」……転けた。

 

 あの女の子が男に向かって足を掛けたのだった。

 

「待ちなさいよ!」

 

「うるせぇよクソガキ! あんな化け物に殺されてたまるかよ!」

 

 怒鳴る女の子にそう言って男は彼女に向かってコイルガンを放った。

 

「! あぶ……ね……」

 

 ちゃんと言えなかったのは決して彼女に当たっていたからではない。コイルガンの弾である乾電池が男と彼女の間で止まっていたからである。

 な……!? と男は倒れたまま驚いていた。

 

「一応言っとくけど、磁界を操れるのはアンタだけじゃない。コイルガン程度なら私だって撃てるし、ほかの電撃使い(エレクトロマスター)だって出来るわよ。それに見る限りあんたの能力はせいぜいレベル2、良くて3……レベル4なんてまだまだ先よ」

 

 そう言いながら彼女は男に近づいていく。

 

「それで……、アンタも電撃使いの端くれなら。――『常盤台の超電磁砲(レールガン)』の名前くらい知っているわよね?」

 

 倒れたままの男を見下し、女の子は冷ややかな目線を送りながら言った。

 

「お、お前……まさか……そんな……」

 そう言って男は口をパクパクさせてより驚いていた。

 

「その、まさかよ。それにあの電撃だって、本気の……、半分の半分も出してないっ!!」

 

 中学生の少女が言い終わると同時にドッッ!! と、例えるなら空気が割れる様な音が響き渡り、男に向かって雷の如く、一撃が降された。

 

 

 ………………

 

 …………

 

 ……

 

 

「……何だよ、十分な攻撃能力あるじゃんか」

 

 とんでもない電撃が終わった後に正宗が言った。

 

(もっとよく考えたらよかった……)

 

「フンッ、私を誰だと思ってんのよ?」

 

 そう言って彼女は腰に手をやって、ヤレヤレといった感じで正宗に言ってくる。

 

 

(なぜ不良に絡まれても抵抗していなかったのか……要するに抵抗できなかったんじゃない……)

 

「この学園都市に7人しかいない、超能力者《レベル5》なのよ?」

 

(余裕ぶっこいて……、足下にも及ばないってことか)

 

 

 はぁ……、と、めんどくさそうに溜め息を吐いて、

 

「最初っからそれを使えばよかったじゃんかー……」

 

「あーんなザコに初めっから使っちゃ可愛そうでしょ? そこんとこは強引に手を掴んできたり、襲って来たりした時には、ああしたと思うけど?」

 

 実際に先ほどの電撃をくらった男は丸焦げになっていて可愛そうなくらいだった。それでも、たぶん使っていただろうな、と思う正宗だった。

 

「あのな~、『超電磁砲だ』って言ってわかったら連中も逃げて行くだろ?」

 

「そりゃまぁ、そうだけど……」

 

 言ったら言ったで、その瞬間からあいつらが引き下がると思う? と彼女は答えた。結局、あの不良はあの様にされてしまうのが運命だったのかもしれない。

 

「それよりあんた、さっきの青い炎……どうやって出したのよ?」

 

 なぜ女の子は『発火能力者?』と聞かなかったのか? それをいうと、普通の発火能力者が出す炎は赤色であるのに対して蒼色だった。これは空気調節の能力が必要である。だから不思議に思って聞いたのだ。

 

「ただ単に火を大きくしただけだよ」

 

 そう、空気調節とかは必要ない。ただ大きくすること、『体積』を変更するだけだった。

 

「そんなこと……」

 

 女の子は信じられない様子だった。学園都市は広くても蒼炎を出す能力者は居ないはずだと。仮にも鉄を溶かす程の蒼い炎を使うとなると……

 

 

「何はともあれ解決したんだから、俺は帰るよ」

 

そう言って彼女の前を通り過ぎて寮に帰ろうとする。

 

「ちょっと! 待ちなさ……こら!! 勝手に行くな! 私の話はまだ終わってない!!」

 

 叫び声をあげながら正宗が行く方向に彼女は立ち塞がってきた。

 

「あんたさっきは口喧嘩の時に私の事を『子供』だの『餓鬼』だの『中身はまだ小学生で幼稚』だの『まだキスもしたことないのに』だの。あげくのはてには……、『()()()』だと……よくも言ってくれたわねっ!!」

 

目の前で彼女は頭からバチッバチッと一発一発が痛そうな電気が漏れていた。そしてそれを今にも撃ってきそうな感じだった。

 

「え……、お若いのに、けっこう気にしてたりする?」

 

「……いっぺん爆発してみる? 手伝うわよ?」

 

「いや、それはその……まだ未来はあるし、ごめ……? ッ!!!?」

 

正宗は女の子の後ろの何かを見た瞬間に走り始めた。

 

「ちょっ! 何逃げてんのよ!!」

「ば、バカ! 後ろ見ろ!」

「? ……ひゃあぁ!!」

 

 2人が見たのは……、

 

 

『ビ~~! ビ~~! 自動販売機 8816、不具合ヲ確認、器物損害ノ疑イガアリマス。器物損害ノ疑イガアリマス』

 何台もの警備ロボットがこちらへ向かっていたからだ。

 どうやら先ほどの幾度となく女の子から放たれた電撃のせいで自動販売機がこわれたみたいだった。

 

 ………………

 

 …………

 

 ……

 

 

「ゼェ……、ゼェ……」

 

 とりあえず正宗は寮とは反対方向の道を走って川の土手まで逃げてきた。

 だから今は息を切らして休憩している。

 え? 能力使えば楽に逃げられたのではないか、と? ……それは正宗自身が忘れていただけである。急いでいる時に頭で演算などそうそう出来ない。

 

 そしてもう一つ

 

「あぁ――――――!!!!」

 

 何故か彼女も着いて来ていた。というよりも、今の声を発声させるまで気が付かなかったのだが……。

 

「ど、どした?」

 

「……コンビニ袋が……、雑誌が……ないーっ!!」

 

そう、あの時のコンビニで正宗より先にかの週間雑誌を取っていったのは彼女であった。

 

「どうしてくれんのよっー!! 楽しみにしてたのに!!」

 

「何で俺のせいなんだよ! すぐ追い払わなかったお前がイケないんだろ!」

 

「――っ!! うるさいうるさいうるさい! 私のことをあんな風に呼んでくる時点で、一番あんたがムカつくのよ!!!!」

 

 そう言ってバチンッと電撃の槍を放って来たが、正宗は電荷の値を0に変えて、自分に届く前に消した。

 その後も立て続けに女の子は放って来たが、全部消した。

 

「何で当たんないのよ! っていうか何で消えるのよ!」

 

「消さないと俺が死ぬ、当たったら俺が死ぬってーの!」

 

 ぐぬぬぬぬぬ、と唸って対峙する二人。

 

「……あんた、能力は?」

 

 怒りをぶつけるという目的もあったが、彼女にとって一番知りたいのはそこだった。もし発火能力者だったら自分の電撃を打ち消すのは居ても強度《レベル》は『4』クラスだが、相手は炎も出さずに防いでいるのだから。

 

「……さあ?」

 だが手を左右、上向きに広げて正宗ははぶらかす。

 

「いいから教えなさいよ! 私だけ知られているのは不公平よ!」

 

「……、やーだね。教えなーい」

 

 そうやって、ぶぅぶぅ言ってくる目の前の女の子に正宗は舌を出して『あっかんべ~』をすると、ピキッと女の子の額には青筋が、

 

「へぇー、そういう態度を取るんだ……」

 

 そう言って彼女はポケットの中からコインを取り出し、「言わないのなら……」ピンッと右手の指で上に飛ばしたかと思うと。

 

 正宗の横を爆音と共に物凄い光線の様なものが通り過ぎて行った。

 

「…………………、」

 

 

 正直に言って正宗はびびっていた。気が付くと背中は冷や汗でダラダラになっている。ちょっとだけ後悔も……。

 

「フン、正真正銘、これが“超電磁砲”よ。コイルガンなんて安物じゃないから。次に当てられたくなかったら素直に教えなさい」

 

「う……、それでもやっぱヤダ!」

 

「っ! 何でなのよ!!」

 

「ん~……っと、正直、俺の『勘』……」

 

 何と無くだが、教えたら駄目だと野性的勘が言っていた。昔からだが、正宗の勘は意外とよく当たることが多かった。宝くじとかの幸運とかは当たらないが、それでも便利だった。今回もこの勘のおかげで少しの間だけ何事もなく過ごせるようになるのだった。

 

「そう……。じゃ、仕方ないわね」

 

 女の子は自身のスカートのポケットから、またコインを取り出してきた。

 

「待て待て、ちょっと待て!」

 

「いいじゃないのよ別に、あの時の炎を出せば? ……、まあこの至近距離じゃ私のレールガンの方が速いし、止められないと思うけどっ!」

 

 そして彼女はまたピンッとコインを手から真上に飛ばして、本気で射ってくるみたいだ。

 

(なぁぁ、クソッ。こんなのに関わっていたらますますややこしくなる……。早く帰って飯食いたいのにぃー。…………ここは、アレ使うか……)

 

 コインが重力によって戻ってきて彼女の指がそれを弾こうとしたが、正宗がほんのわずかな差で演算を終了した。直後、彼女はコインに指を。しかし……

 

(おー、久々に使うけどやっぱり凄いな……これ……)

 

 正宗の周りが超スローモーションで映っていた。音速の3倍で放たれるはずのレールガンも見る限りでは、カタツムリより遅いスピードに見える。

 だが決して周りが遅くなったのではない。

 

 正宗の能力使用可能範囲は10メートル、その内部にあ自分自身の時間のスカラーをより大きくして、周りが遅く見えるようになっただけである。

 範囲は10メートルとなっているが、内部にあった物質、運動などに付加または変更した後に、能力使用可能範囲の枠から出ても10秒間は能力は付加されたままである。

 

 ただこの能力を10秒間使った場合、その後、すごい目眩に襲われる。頭脳をフルで活用するので貧血のような症状に見回れるのだった。

 

 能力が故のリスクも当然あった。

 

(っと、こうしちゃ居られねぇ。足の蹴る力の大きさを変更して……)

 

 そして思いっきりダッシュで逃げた。まずは土手を降り、自分の住む寮の方向へ。

 

 ………………

 

 …………

 

 ……

 

 そして10秒たった後……

 

 

(やば……、目眩が……)

 

 能力を使って走っていたのだが、目眩が始まったので頭というより目を抑えて止まっていると……

 

「な……な、何でそんな所にいんのよーっ!!!! 戻ってこいやー!!」

 

 ちょっと遠くから声がして、振り向くとやはりその女の子が追いかけ始めてくるところだった。

 

「うわ……、まだ追っかけて来るつもりなのかよ」

 

 そう言ってフラフラになりながらもかろうじて走る事ができた。

 

 しかし、かなり距離が開いていたので正宗は能力を使わずに楽に逃げることができた。

 そのあとはもう一度コンビニに行って夕食ならぬ、夜食を買って、彼女に出くわす事も無く寮に帰った。

 

 ………………

 

 …………

 

 ……

 

 

 

 ……side 御坂美琴……

 

 

 超電磁砲撃(レールガン)の異名を持つ学園都市でも7人しかいないLEVEL.5の第3位――御坂美琴は、とある男子学生に逃げられたあと、時間を確認すると寮の門限を過ぎていることがわかった。

 

 そして寮の近くまで行き、ルームメイトで『空間移動能力者(テレポーター)』の白井黒子に迎えに来てもらってそのままお互いにテレポートして自分の部屋に帰ったのであった。

 

「お姉様、本を立ち読みに行くのにどれだけ時間がかかっているのですの!?」

 

 御坂美琴の趣味は立ち読みであった。

 本来ならば寮の目の前のコンビニに行くのであるが、今日発売だった週間少年雑誌の新刊がなかったのである。

 仕方なく他のコンビニに行くと、(正宗と一応、始めて会ったことになる)コンビニで最後の一冊だったため買うことにしたのだが……読まずして、無くしてしまったのだった。

 だがそんなことよりも……

 

(アイツは『発火能力者(パイロキネシスト)』? いや、それだけじゃ私の電撃をあれほどまで防ぐことなんて……)

 

「まったく、寮管を誤魔化すのも大変ですのに………」

 

(レールガンを射った後、そこにアイツは居なかったし、気付いたらあんなに遠くに移動していた。……黒子と同じテレポーター? でも、だとしたらあの炎は……? まさか、『多重能力者(デュアルスキル)』? ……そんな訳ないっか)

 

 そう、多重能力者など居るわけがないのだ。それは科学的根拠と研究で一個人だと脳への負担が大きすぎるため実現不可能と証明されていたのだった。

 

「って、聞いていますの? お姉様?」

「わ!」

 いきなり美琴の目の前にズイっと黒子が顔を近づけて言ってきた。

 

「寮管を誤魔化すのも大変なのですから、少しは反省して下さいですの」

 

「ごめんごめん、次からは気をつけるからさー」

「まったく、いつもそう言って……」

 まだまだ黒子はブツブツ小言を言ってくるのだった。

 

 

「ねぇ黒子」

 

「何ですのお姉様?」

「自分と同じ系統の能力者って把握してる?」

 

「ええ一応は……、学園都市内でテレポーターの数はあまりいませんの。大体は把握していますわ」

 

 この学園都市の学生はいくら180万人居ると言っても『空間移動能力者』などの類いは50人にも満たない人数しかいなかった。

 

「じゃあ、テレポーターの中に……『発火能力』がある、とかいう人はいたりする?」

 

「――有り得ませんわ、空間移動の演算はかなり高度で大変ですのに……。しかも能力を2つ持った時点で多重能力者。存在することなどありませんわ」

 

「……そうよね、あり得ないよね」

「何かお有りになりましたの?」

「いやー、なんでもないなんでもない」

 

「? そうですの。ではお姉さま、先にお風呂に入って下さいまし」

「え! あんたまだ入ってなかったの!?」

 

 時刻は22:23分だった。

 

「えぇ……(例え何時になりましょうが……黒子はお姉さまの残り汁を……ウヘヘヘ)」

 

 そんな黒子の口からはじゅるりとヨダレが垂れていた。

 

「ん? 何か言った?」

「い、いえ! 何でもありませんの! ただの独り言ですの!」

「? 変なの~。じゃあ先にお風呂入らせて貰うわね」

 

 

 こうして6月のとある長い1日が終わった。

 

 

 

 




『コイルガン』
・電気回路はコイル状(ばね状)の回路の中に筒を通し電磁石の力を利用して打射ち出す。弾丸に電流は流れず、威力と速度はレールガンより格段に劣るが、動作音を小さくすることが可能で、個人の殺害、暗殺系に優れているといえる。
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