忙しい人のための赤竜亭   作:おーり

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こっちがすっごい捗るんですよ


赤髪姫のウェディング

 え、小猫って人間じゃなかったの?なんでペルソナ使わないのかと思っていたらそういう事情があったらしい。そっかー、あれは人間種しか扱えないからなー。そんなわけでお返しします、と突き返される戦車・塔・月の3枚のカード。俺も使えないんだけど……。しかし残念である。戦車の『アイギス』はともかく、塔の『マジカルアンバー』とか月の『ネコアルク』とか、小猫が使うところを見てみたかったのに。俺が持っていても仕方ないのでそのままアーシアへと譲渡する。――。戦車の『アイギス』が『プリティベル』へと変化した。ちょ、まてよ。……そーいえばペルソナは扱う者次第で変化するとかヨーソロのおっさんが言ってた希ガス。これ以上アーシアを魔改造してどうするつもりよ!?恐ろしいので塔と月の変化は確認して無い。イッタイナニガハジマルンダーとガクブル。そんな会話を楽しみつつリアス先輩の結婚式会場なう。式が始まるのはもう数分後といったところ。どうも引き分けでは婚約解消の足がかりにはならなかったらしい。そして先輩自身どころか会場に居るのはほとんど悪魔だとか。マジかよ。とり放題じゃね?いえ今日はそんなことシマセンヨ?ともかく数々のことに納得した現在。あぁ、天野のいた教会を襲撃したのって先輩らだったのか。そうかー、そのお陰であの女は今俺の家に居るのかー。……小猫、後で話がある。うん、ちょっとした説教だから、安心しろ。

 アーシアのジャベリンズでも死ななかったらしい巻き込まれた御両人が現れる。多分悪魔なりの何かしらの専用医術とかが発展しているのだろう。恙無く式が始まる。この結婚に異議のないものは沈黙によって是とせよ、と言い出す神父。神父?思わず指さすとなんか人間界式のやり方で始めるとか答えられる。それカリ●ストロじゃね?というか悪魔なのに結婚式を執り行うとか神父が居るとか、この時点でなんか違う気がするのは俺だけなのか。小首を捻る、中よりによって新婦が異議を唱える「――私には既に恋人がいます」誰のことよ。

 傍観していたらなんと俺に話が振られる。将来を誓い合ったとか、身体を何度も重ねたとか、言葉の暴力とも呼べるほどの虚偽の乱打に俺が何も応えられなくなるのですけど。ちょ、サーゼクスさんまで援護射撃始めた!?俺に自覚が無いままに間男にされてゆくとか確かに悪魔といわれれば納得の所業だ。ちょっとそこを動くな赤い兄妹。文字通り今から真っ赤に割かせてやるから。「うん。魔王の妹の相手が人間だというのは誰も納得できないだろうね」安心して欲しい、俺自身納得して無いから。「そこでどうだろう、妹の嫁ぎ先を賭けて二人には最後の対峙を見せて欲しいのだけど」そのサーゼクスさんの言葉にらーざーが真っ先に土下座を見せた。

 「お願いします魔王様!そのお方の相手だけは!何卒!何卒ご勘弁願いたく存じますぅぅぅっ!!!」清々しいほどの真っ向からの土下座に唖然とする会場。なんか俺の周囲から人気が減ってゆくのですけど。俺に対する視線が若干見下していたものから畏怖に近しくなってゆくのは気のせいなのか。「しかしだね、彼に納得してもらわなければ妹が結婚なんて認めないと思うよ?」まあ最終決着自体は引き分けだったしな。どちらが上かを決定付けるにはあの結末じゃそうなるのは自明の理だろうけど。というかそもそも俺は二人の結婚に異議など無いのだけど。そう言いたいのに言葉が出ない。こんな会場で小市民の俺が好き勝手言えるわけがなかろうに。「イッセーさん!いやイッセー様!どうか!どうか俺たちの結婚を認めてください!!!」様!?いつの間にからーざーの中での格付けが魔王レベルに引き上げられていたことに驚きを隠せない。様付けとか初めて呼ばれたのだが「ライザー、イッセーは認めてほしかったら勝って見せろと言っているわ」驚いてる隙を突いてそんなことを言い出す先輩。ウェディングドレスキレイっすね、でもお腹の中は真っ黒ですね。赤髪娘のあまりのブラックストマックっぷりに呆れしか湧いてこない。あー………………、とにかく形だけでも見せようか。らーざーに視線を向け「くぁwせdrftgyふじこlp」は?

 目が合った瞬間、膝が小刻みに震え、腕が自分の上半身すら支えられなくなり、土下座に移行する姿勢のままに、床が汗と失禁と涙と鼻水で水浸しになる。その男はそのままの姿で、何も言葉にすることもできないままに、失神していた。――うん。なんだこれ。ちょっと形だけでも遊んで花を持たせようかと思っていたのだけど、それすら形にならないって酷くね?いつかの悪魔小僧……ディオドラだっけ?それよりはずっとタフだと思っていたのだけど。うーん、どうすればいいのだろうか。「………………っ!!! お、恐ろしいほどの覇気だね……、ライザーくんではまるで勝負にならないのは当然か……」……サーゼクスさんまで変なことを言い出した。やめてよー、会場が変な空気になってるじゃんかー。すっごく居た堪れないので思わず逃げ出した俺は悪くない。それも周囲に迷惑をかけないようにゆっくりと歩いて出てゆくしか俺には手段などなかった。………………あれ?なんでリアス先輩まで着いてきてんの?

 

 すげー生のドラゴンとか初めて見た。例のアミューズメント?ドラゴンらしいドラゴンってまだ出会って無いんだよ。というかノヅチとかピュートーンとかはあれドラゴンじゃねえだろ。ともあれ、帰りはこのワイバーンみたいなのに乗って送ってもらえるらしい。それはいいのだがなんで先輩まで便乗しているのかが理解できない。結婚式から新婦誘拐したようにしか見えないって、これ。完全に俺が間男なのですけど、どーしてくれるのさこの人は。そもそもハーレム作って酒池肉林の日々を送っているくせに今更結婚嫌がるとか我が侭にもほどがあると思うのですけどー?人気がなくなったので思わずそんな愚痴も出る「そんなことして無いわよ! わ、私だって初めてくらい好きな人にきちんとしたシチュエーションでしたいわよ」あれ?ビッチなはずの先輩がなんか可愛く見えた。そうか幻覚か。疲れてるんだな俺。精神疲労かな。あんな会場で注目集めてたら小市民ならなるもんなそれくらい。「現実逃避はやめなさい」……はーい。空中を遊覧飛行する中、しおらしくなった先輩はあの夜の真相を語る。やはり処女云々は嘘だったらしい。本当は何もなかったけど、正確なところを誰も掴めてないのを良い事に俺を架空の相手に仕立て上げたとか。それ、俺にすごいダメージ来てるのですけど。というか恥女疑惑もどうやら俺の勝手な妄想であったらしい。え、ってことは両刀使いもデマ?マジかー。クラスの女子に先輩が女子もいけるって答えてしまったことは内緒にしとこう。いや、悪意なんてなかったんですけどね?目を血走らせて詰め寄られるとか小物な俺には恐怖でしかなくて。そんな葛藤が背中の感触で払拭される。こ、これはあの夜の柔らかさ……っ!「イッセー、助けてくれて、ありがとう」……いや、俺なんにもしてないんですけど……?




第三部終わった!(時系列上は第二部)
さーて、また次回からイベントボスを叩き潰すだけの簡単なお仕事がはじまるぞー(棒)

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