忙しい人のための赤竜亭   作:おーり

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出来ちゃったの・・・
というわけで投稿

無意味に真面目くせェ・・・
おめぇーの意見とか必要ねえからぁ!


「その可愛いお口を開いて、言って御覧なさい……?」

 

 冥界へと渡航して一週間ほどたった頃のある日、わたくしたちはパーティへと出席していました。

 新人悪魔、というよりはレーティングゲームに出場できる上流階級内での新人悪魔ですわね。それらの若手悪魔(ルーキー)のお披露目というかお目見えというか、まあそんな感じの会合です。

 なのですけど、正直リアスの下僕集めって難航してるのよね……。

 今年に入ってから下僕として転生させた悪魔といえばゼノヴィアぐらいなもので、ギャーくんもお外に出てこれるようにはなったものの悪魔の駒自体は彼(……彼女でしたわね……)の中には残ってないという診断結果が出てしまったわけですし。それでも出場を許されたのは魔王の妹だから、という理由でしょうね。リアスは気に食わなかったご様子でしたけれど。

 兵藤君を下僕に、とはもう考えて無いようですし……。というかあれは完全に恋する乙女状態でしたわ。爵位も持ってない無名の体外的には人間なのですけれど、魔王様とかと同レベルのトップ陣ぐらいには名を通達されている超VIPでもありますし、リアスの想いさえ通じれば実る恋かもしれませんわね。そう考えるとちょっとわくわくしてしまうのは仕方の無いことですわ。

 でもそういう相手だからこそ自分より下には絶対にできないから、やっぱりリアスの戦力(駒)は足りないまま……。将来的には面白そゲフンゲフン応援できるのですけれど、今日この日に限って言うとお披露目としては数合わせとしてしか見られないのが少々手痛いかしら。

 あ、ちなみにアーシアはレーティングゲームには参加不可だそうです。

 

「なんでなのでしょうか?」

「アーシア……、貴女、前回やったことを思い出しなさい……」

 

 疲れた顔でリアスは肩を落としました。

 維持していたシールドを崩壊させるほどの威力を醸し出した一撃を放出できる彼女は、“歩く決戦兵器”みたいな扱いを一部から受けているとかいう噂です。その証拠に、会場中からアーシアを見る目が、なんとなく恐ろしいモノを遠巻きにされているように見えるのですから。

 

「それはそうと、なんで俺までここにいるんでしょうか」

「ご、ごめんなさい。でも貴方は貴方で結構有名だから、つれてこないわけにはいかなかったのよ。対外的には人間のままなのだけれど……」

「ぅぐ、いや、まあ、わかりましたから、その上目遣いやめてください……」

 

 ついでにもじもじとした仕草も加わってますから今の朱乃的にはポイント高いですわね!

 兵藤君に対する積極性が乙女フィルターによって大幅削減されている現状が、彼にとっては一番効果的のようですわ。それをほぼ無意識で再現できるなんて……、リアス、恐ろしい娘……っ!

 

「あ、兵藤!」

 

「おお、匙くん。そういえば悪魔だっけ」

 

「えっ」

 

 ……まさか種族から覚えられて無いとは思っていなかったのか、匙君が兵藤君の台詞に硬直しました。

 彼って、何処か抜けているのですわよね……。

 

「リアス、先に来ていたのね。それと赤竜帝のキミも」

 

「あら、ソーナ」

「あ、どーも会長。こんちわ」

 

「はい、こんにちは。匙、きちんと挨拶したかしら?」

「……はっ、あ、ど、ども、グレモリー先輩。……それと兵藤も」

 

「おう」

「こんにちは。

 ――ソーナ?匙くんどうかしたのかしら?」

「気にしないで。ちょっと気が張っているだけだから」

 

「ま、まけねぇからな!」

「なにが」

 

 ……ひょっとしてライバル視でもしているのかしら……?

 でも兵藤君って今日の趣旨上紹介もできない完全なゲスト枠なのですけども……。

 

「あら?そうなると紹介すべきはゼノヴィアくらいですわね」

「ん?副部長、何の話だ?」

 

 わたくしの独り言に反応したのか、パーティの料理をお皿いっぱいに盛ってきたゼノヴィアが口に物を詰めたまま振り向きました。

 いいから貴女は食べてなさい。

 

 

     ☆   ★   ☆   ★   ☆

 

 

 アガレス、グラシャラボラス、バアル、とグレモリーにシトリー。一通り集まったところで色々一悶着あったわけですけれど、結果だけ言うならグラシャラボラス家は選出する若手を完全に間違えましたわね……。早々に兵藤君にちょっかいをかけるとか……。

  “王”であるリアスやソーナ様を初めとした若手陣の主張や目的を発表してもらうはずだったのに、それ以前に眷属揃って緊急搬送されるとか……。

 ま、まあ命があるだけモノダネですわよね。何でもアスタロト家は選出するはずだった若手が行方不明になっていて今回の会合に新たに代表を立てるのが間に合わなかったらしいですし、それに比べれば……。

 

 ですけれど、やはりソーナ様に対する風当たりは若干強かったですわね……。

 彼女の目標は『レーティングゲームの学校を作ること』。

 上流階級の嗜みでもあるこのゲームを悪魔社会全体に普及させようという思想は評価できるのかもしれませんけれども、魔王様に連なる上級悪魔の方々には好印象には繋がらなかったみたいですわね。笑われたことで匙君なんか食いかかっていきましたし……。

 ……そういえば、兵藤君は大人しかったですわね……?彼は何も思わなかったのかしら……?

 そんな疑問を浮かべていると、上級悪魔の方々のうちの一人がとんでもない地雷を踏み抜いてきました。

 

「さて、そういえば今日この場に相応しくないものたちが来ているようだが、キミたちも一応はこちらの事情に関わるものなのであろう? キミたちは誰なのか、まずは自己紹介でもしていただけないかな?」

 

 ちょっ。

 サーゼクス様!そのひととめて!?

 

「はぁ、どーも兵藤です」

「アルジェントです」

 

 当たり障りの無い気の無い返事を返す二人。

 当然ながら若干上の方の席から、見下したような目を向けている初老の上級悪魔。

 ……正直、今にも何か起こりそうで気が気ではありませんわ……。

 

「ふむ。二人とも人間か。グレモリー殿の、ご友人かなにかかな?」

 

 この人はリアスの結婚式に出席してないのかしら……?

 周囲の方も止めようとしないってことは、なんかもう見放されてるのかもしれませんわね……。

 

「部活仲間、みたいなものです……?」

 

「何故疑問系……。まあいい、学園関係者ならば、シトリー殿の意見にも対応できるのではないかな」

 

「どう対応しろと。んー、でも正直なところ若干反対かなぁ」

 

「ほぅ? 聞かせてもらってもかまわないかな?」

 

「夢は夢として語ってもいいんですけれどね、俺としては学校という形を作るのが少しいただけないかなって。そういう形で教育の場を用意すると、どうしたって個人間で軋轢生まれますし。だから個人的には私塾程度の規模で収めておいたほうがいいんじゃないかと」

「……兵藤君は私の夢には反対ですか……?」

 

 あれっ。なんだか変に真面目な話に?

 ソーナ様まで話に加わってきましたわ……。

 

「規模を縮小すべきかな、ってだけの超個人的な意見ですよ。ほら、学校ってどうしたってイジメとか生まれるものですからね」

「なるほど……。参考になりました、意外とモノを見てるんですね」

「あはは、まあそういう問題に関わっている身なので……」

 

 遠い目をして虚空を見つめる兵藤君の姿がそこにありました。

 ……いじめられている張本人とか、そういうオチですの?

 

「そういう話ではない!」

 

 空気扱いされていた初老の方が叫びました。

 正直このまま話を終えてしまいたかったのですけれど。

 

「人間、口を慎んだらどうだ? ここは上流悪魔の会合だぞ? シトリー殿のような意見など肯定されてはあってはならないのだからな」

 

「でもそれってそっちの都合じゃね?」

 

 今にも俯きかけたソーナ様が表情を変える前に兵藤君がツッコミを入れました。

 まさか食って掛かられるとは思ってもなかったのか、初老の方が顔を真っ赤にしています。それ以外の方は……、おそらくリアスの結婚式に参列したかグラシャラボラス家の顛末を知っている方々なのでしょうね。あーあ、って感じの表情を浮かべて養豚場から出荷される豚を見るような目で彼のことを見ていますわ……。

 

「意見を言えって言ったんだから言っただけなのに怒られるとかわけわかめ。激おこって感じー」

 

 日本語をしゃべりなさい、貴方も。

 挑発にしか聞こえなかったのでしょうね。初老の方が激昂して怒鳴り散らします。

 

「ええい! 人間風情が馬鹿にしおって! その場を動くなよ! 今から格の違いというものを思い知らせてや――!」

「――ふぅん」

 

 次の瞬間には、座っている彼のすぐ正面へと立っている兵藤君の姿が、遠目に確認できました。

 

「な――」

 

 そして、空いた椅子にはらりと落ちる一枚のカード。

 兵藤君が手をかざした瞬間の出来事で、彼は何かを言う暇すら与えられずに消えていました。

 

「で。何か?」

「「「「「「いいえ、なにも」」」」」」

「そですか」

 

 にっこり、と笑ってそばにいらっしゃる上級悪魔の方々に視線を向けましたけど、そのやり取りだけで事は終了しました。

 兵藤君は椅子に落ちている一枚のカードを拾い上げて、すぐにこちらへと戻ってきたのでした。

 ……正直、そのカードって反則ですわよね。

 

「でもこれってレベルに差が無いと効果は上手く発揮されないんすけど?」

「だから、貴方のレベルとやらに匹敵するのなんて魔王様くらいでしょう?」

 

 どちらにしろ対処できる悪魔なんてこの場にいません。

 

「はは、リアス、話に聞いてはいたが凄まじいな、キミの眷属は」

「……サイラオーグ、彼は私の眷属では無いわよ」

「しかしいずれそうなるのではないか? 俺は彼とも戦ってみたい」

「止めなさい。死ぬわよ」

「……確定事項なのか?」

 

 真顔で頷くリアスに、サイラオーグ=バアル様はゴクリ、と生唾を飲み込んだのでした。

 

 

     ☆   ★   ☆   ★   ☆

 

 

 新しい合体材料ゲトー。おっさんではあるけどそこそこレベルのありそうなレアモノを確保できて万々歳な俺である。一緒にいらっしゃった偉そうなお歴々の方々からは文句はなかったみたいなので後でバインダーに保存しておこう。ブック!とかいって簡単に出せれるようになりたいなー。

 若手悪魔同士の会合の後は眷属とかの下僕悪魔の紹介に移ったらしき方々を尻目に出された料理を貪る俺とゼノヴィアとアーシアそして小猫。俺とアーシアはともかく二人はそっちの話に混ざるべきじゃね?――。いや、いいよ、おなか減ってるんだね、うん……。若干の涙目で衝撃を受けたかのような表情の二人を見てしまうとナニモイエナイ。そういえばゼノヴィアは日頃食うものに困っているとか言ってたわ。やっぱりうちで保護してやるべきか……?でもアーシアとの仲が微妙にしか見えないんだよなー。

 若手陣で集まっているところへと引っ張り出(ドナドナ)されてゆくゼノヴィアを眺めつつ陣営を見やる。サイラオーグ=バアル、リアス先輩の従兄らしい。シーグヴァイラ=アガレス、風紀委員タイプってところか。支取会長とリアス先輩は知っているので割愛。以上である。サイラオーグさんを除けば見事に女子会にしかみえない。なんか絡んできたからへし折ったヤンキーがいれば違ったのだろうか。正直あーゆうやつが上流階級かと問われると悪魔も人と変わらねぇなとしか感想が沸かない。でも同レベルの立場の男子が自分しかいないというのにうろたえずに、どっしりと構えているサイラオーグさんマジイケメン。戦場で仁王立ちして『着いてこれるか?』とか問われれば正直惚れそうである。ポッ。

 サイラオーグさんのセナポはさておき、支取会長とリアス先輩が大体一週間後に対戦するらしい。しかしリアス先輩は手駒が足りないのではなかろうか。アーシアが手を貸すのも禁止されているし、どうしたものか。……俺?嫌だよ。せっかく友達になれそうな匙くんをボコるとかどういう鬼畜だよ。むしろ俺にそう誘いかける方が鬼畜だよ。でも手駒が足りないのはどうしようもない事実。どこからか調達できれば問題ないのだろうけど……。

 そんな会話をしているとゼノヴィアが思い出したかのように電話をかけていた。ケータイ、持ってたんだな……。ちなみに俺のケータイに彼女の番号は入ってない。というか正直二桁逝ってない。ぼ、ボッチじゃねーし!友達は選別しているだけだし!やめろその哀れみの目!?そんなやりとりを小猫としているとサラリーマンのお兄さんが現れた。「やあゼノヴィアちゃん!僕に何か御用かい!?」誰だおめぇ。

 お兄さんの名前は森沢さんというらしい。小猫とゼノヴィアの悪魔稼業のお得意さんだとか。どんな願い事も対価を支払いきれないとかっていう稀有な資質の持ち主で、正直偉く手に余っていたとかいう話だ。「そんな彼だけど、悪魔にしてあげれば大体の願いなら解決するんじゃないかと思ってね」「却下よ」「「何故!?」」驚愕の表情で台詞がはもるゼノヴィアと森沢さん。ですよねー、としか言いようがないわな。

 資質は最低で転生のために必要な駒は兵士が一つ、特別な武器を所持しているわけでもなければ特殊な能力で戦力として扱えるわけではない。そんな配下に加えても毒にも薬にもならない雑魚を悪魔として転生させることに、リアス先輩にははっきり言って得がないのである。そんな説明を先輩が滔々と優しく噛み砕いて説明したところ、理解力だけは上々な森沢さんはしょんぼりとしょげ返っていた。「役に立たない……転生させても意味が無い……」「すまない森沢さん……私の力が及ばなかったばかりに、また貴方の願いを叶えてあげられなかった……」「はは……、いいよ、ゼノヴィアちゃん……、僕には、ファンタジーの主人公になれるだけの資格がなかったってことさ……」そんなシリアス風味な会話を交わす二人。かける言葉も見つからず、すごすごと立ち去ってゆくその背中には哀愁漂う侘しさしか見出せない。惚れる要素なんて皆無であったとさ。「……それよりも、此処、冥界なのですけど……」どうやって此処まで来たのでしょうね。と姫島先輩が訝しげに呟いていたのが印象的であった。




~セナポ
 一番の使い手は赤い弓兵
 漢なら背中で語れ!そして魅せてみろ!

~イジメ問題
 イッセーの対人運は正直異常。原作を含めて
 良い友人に恵まれているように見えないのは、類は友を呼ぶということなのだろうか・・・
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