畳み掛けるように書き上げた、ご主人様は思春期完結記念(大嘘)
続きが出ると信じながら似た構成を意識して書いてみましたw
≪レーティングゲーム前≫
「今回のゲームは百貨店がステージなのね……」
今回の、といいつつもリアスが戦うゲームは実質二度目。それも今回は前回のような切り札的存在などはおらず、戦力としては若干の不安しかない。
だが、それを補うだけの修行はつけてきたはずである。
思い返すだけでも、サイドポニーにしたアーシアの『教導官』と名乗った実にいい笑顔が脳裏に浮かぶ。
『先ずは痛みを覚えようか。それから攻撃を避ける動き。大丈夫だよ、人間はそう簡単に壊れないから!』
その言葉と共に何十という魔力スフィアが周囲に浮上して圧縮、一瞬のうちに消し炭にされた。
それから後のことはよく覚えていないが、五体満足でゲームに臨めるのならば、きっと地力が備わるような特訓を得られたのだろうと思うことにしておく。
「……まさか私が戦慄するほどとは……、あれがアーシアちゃんの本領で無いことを祈るばかりですわね……」
「光が……彗星かな……いや、違うよな、星ならもっとバーって輝くもんな……」
約二名ほど、壊れたままなのは見ないようにしておくとして。
「……それに、一応兵士二人を確保できたってイッセーも言っていたしね」
その内訳は聞かされていないが、彼が推し進めるのならば問題ないのだろう。そう信じて、残りの不備なく戦えるメンバーに声をかけた。
「さぁ、始まるわよ!」
「………………」ブツブツ・・・ブツブツ・・・
「が、がんばります……!」
「おー」
あ、これ駄目かもしれない。
実質戦えるものが二人しかいない現状に、リアスの頑張る心はぽっきりと折れていた。
≪木場の場合≫
始まる前はなんだか小声で呟いていた木場だったが、その内側はイメージが渦を巻いていた。
それというのもイッセーに実戦形式で稽古を取ってもらったのが原因であった。
『聖魔剣!』
『脆い』
一言で無敵の肉体にぽっきりと折られる、禁手に至った木場の渾身の切り札。
悪魔であってもそれ以外であっても、二種混合の属性剣ならば普通は簡単に折れたりしないのだが、イッセーの場合は単純に生物としてのポテンシャルが桁違いであったのが重要であった。
最初ゼノヴィアと戦ったときにも言われたが、一剣集中は彼本人の資質にはあって居なかった。それなのに神器はこういう手に進化するのだから、世の中こんなはずじゃなかったことばかりである。
『それなら、ドランゴンスレイヤーを作れば……っ!』
『属性だけで倒せると思うな!ポケモンをやってるんじゃないんだぞ!』
造っては折られ創っては折られ、繰り返すうちに自分でも何を目指せばいいのかわからなくなった。
実際ドラゴンスレイヤーってどういう剣だよ、と悩みながら創造した時点ではまた別種の亜種とも言うべき地点に至っていた木場なのだが、剣の種類を増やすだけでは届かないのも事実。
ついでに言うなら師匠である沖田の剣は元来人の剣術である。規格外すぎる怪物相手では、構えて切る、という悪魔のポテンシャルに至っていながらの剣戟も功を奏せず、抜刀術にも手を出してみようとしたがそもそも自身の剣自体が西洋剣だったことに思い至ってそこで初めて相性の悪さを思い知っていた。
「木場先輩、きます」
「……わかったよ」
ならば、戦いやすい戦い方を選べばよい。
小猫の言葉に備えていたイメージの全てを解放しつつ、木場はダンボールから飛び出て急襲を仕掛けた。
「万剣招来! 刀剣郷(とうけんきょう)!」
全てのイメージの解放は、地面から剣を生やすことに繋がった。
さながら地獄の針山の如く。刀山剣樹がダンボールの正面に立っていた数人の生徒会役員を串刺しにする。彼女らは皆血花を咲かせてリタイアと相成った。
「……それがイッセーさんとの特訓の成果ですか?」
「……駄目だ! これだけじゃイッセーくんには到底勝てないよ! こんな針みたいな剣の群れだけじゃ全部踏みつけられてへし折られるのがオチだ!」
「貴方何と戦ってるんですか」
当然仮想敵はイッセーなのだが、強大すぎて『今の』相手がほぼ見えていない。
台詞も無しに退場した哀れな生徒会の女子らに、小猫は静かに黙祷を捧げた。
≪小猫の場合≫
「全ての箱は僕のモノォ! 地上全てのダンボールに恐怖すればいいんだぁ!」
それにしてもこのギャスパーノリノリである。
百貨店中にダンボールを鏤めて何処から出てくるかわからない奇襲を仕掛けたリアス陣営。そして箱の亜空間内部で邂逅した二人の兵士。一方の使用駒が一つであるというのは納得したが、もう一方は単純につれてきただけらしかった。イッセーの言うことは聞いているので、こちらを襲ったりはしないと思うが。
そしてその一方である森沢さんに囮になってもらい、その隙に小猫がダンボールを数多く設置してゆく。ダンボールで侵食されてゆく戦場に、今頃生き残った生徒会役員は恐怖を覚えているはずであろう。
その間にもう一方の戦力が“外”へ出て、おもちゃで遊んでいるらしかった。おもちゃの名は匙というらしいが。
「配置終わり。いつでもいけます」
「よし、ギャスパー!ケルベロスちゃんを連れ戻せる?」
「はい!すぐに……あ」
「げふぅっ!?」
戦場で逃げ惑っていた森沢さんと匙、そしてケルベロスも一緒にダンボールへと落ちてきた。
押しつぶされて意識が朦朧としているらしき匙に止めを刺すべく、小猫が密かににじり寄る。
「うう、こ、ここ何処だ?」
「ようこそ、地獄へ」
「――へっ?」
「以心伝心・請仍棒」
杵の形をした武器が小猫から振るわれる。
その有無を言わさぬ攻撃にも驚いたが、何より匙の目を引いたのは潰される瞬間に目撃した小猫の姿であっただろう。
「――な、なんで、バニーさん……?」
ぷぎゅぅ、と轢き潰される断末魔は、小猫の格好を端的にしかし的確に表した言葉であった。
「――仕様です」
少し恥ずかしげに、ほほを染めながらも小猫は応えた。えっちいのは禁止です、と。
ちなみに使ったこの武器、小猫の合体の際に抜け出た不純物とか言うものを業魔殿で形成しなおしてもらった代物である。合体と合わせて代金は¥2万5000.イッセーの財布にクリティカルであったのは言うまでも無い。
≪やめて!ソーナの出番はもうゼロよ!≫
「至上類を見ないほどの酷い試合だったな、というかフェンリルを用意した時点で勝てるものがどっちになるかは一目瞭然だったか」
「一緒に巻き込まれていた森沢さんという青年は無事なのでしょうか?」
「まさか最終的に王一人を取り囲んでフルボッコとなるとは思いもしませんでしたねー」
「……さすがにこの試合でシトリーのお嬢さんに評価をつけるのは酷な気がしてきたよ」
「……そー言ってくれると嬉しいかなー、なーんて……」
「というか、レーティングゲームのルール自体をしっかりと教えなおす必要性が浮上してきて無いかね?」
「……兵藤もいないのになんであんな結果になったのだろうな」
「兵藤って赤竜帝だっけ? あーゆう連中以上ってことか。俺っちもちょいと興味わいてきたぜぃ」
「止めとけ、死ぬぞ」
「マジで……?」
「はー、悪魔の世界も中々大変なのですねー」
「呑気だな妹。で、お前はどっちにつく?」
「そりゃあ私も魔女っ娘のはしくれですから、やっぱり悪魔さんですよ!」
「そうか、やはり俺は英雄の末裔だからな、天使側につくと思う。戦争にはならないという話だが、敵対したときには容赦できんかもしれんな。――この筋肉は手加減を知らない」
「――それ、格好つけられてませんから」
「いっやー笑った笑った、あれは無理だ、特にあのバニー! あれ神器使ってないよな!」
「……で、したね」
「こりゃあカテレアが負けるのも道理だ。くくく、奴は真魔王派の中でも一番の小物、とかやってる場合じゃねえよあいつらも」
「何処の四天王ごっこですか。そんなことはさすがにやってないと思いますけど」
「じゃあなんで一緒に動かないのかね?手分けした時点で詰んでるとか思い至らないんだろうかにゃー」
「それでは我々も手を拱いている暇も無いのでは――、あっ? 何処に行くんですか? ねぇちょっと!?」
「ははは、こんな魔界にいられるか!俺は逃げる!」
「ええええっ!? あっ、本当に逃げた!? 貴方が今いなくなったらどれもこれも計画が空中分解してしまうのですけどーーーっ!?」
「――はっ!」
「どうしましたかイッセーさん?」
「どでかいフラグがたった今消し飛んだ気がする……!」
「――はい?」
片方はルール違反でもう片方は全滅という結果に、無効試合となったレーティングゲームを見ながら、イッセーは謎の予感に苛まれていたという。
誰が誰かは各自察してw
二人づつで分けたから(一部除く)
文章に違和感あったら遠慮なく言ってくれ
これも二時間弱でやったからさー
とりあえずこれで五巻目?終了!
ついでにこのシリーズも終わっていい気がしてきた!
禍の団構成されて無いから原作准えねえんだよ!