シェリー:早見沙織
ユノ:水瀬いのり
セレナ:岡村明美
トラッシュ:梶裕貴
マリエ:小林ゆう
妄想キャスティングなんで、読者の皆様の思う声優さんがいればその方でお楽しみください。
今回で最終回ですので、よければ評価のほどよろしくお願いします。
【挿絵表示】
Ω 終わりなき旅
「ーーーハイ♡ これにて語られぬ物語、古の
開いていた本をパタリと閉じ、千年伯爵は語りを終えた。
スポットライトの下、千年伯爵は手のひらの上で本を持ち上げると、炎を生じさせて灰も残らぬほどに燃やし尽くす。手袋をポンポンと叩くと、腕に引っ掛けていた傘を持ち直して佇む。
「彼女がこの先、どのような物語を紡いでいくのか♡ それは、吾輩にもわからないのデス♡ 数えきれぬ異形の屍を積み上げた先にて己もその一つとなるのか、それとも道半ばにして朽ち果てるのか……それは、誰にもわからないのデス♡」
シルクハットをクイっと下げ、丸いメガネをギラリと光らせる伯爵はにんまりと笑い、自分の配下である観客ですらない誰かに語りかけた。
見えない誰かに語りかけるその姿は恐ろしく、誰一人として声をあげるものはいなかった。そう、AKUMAでさえも。
「……おや、続きが見たいと♡? 仕方がありませんネ♡ ではもう少しだけ、ページをめくるとしましょうかーーー」
◆ ◇ ◆
「…………もう、行ってしまうのですね」
人気のない通りにある一軒の建物の中で、一人の女性が少年に語りかけた。
背の高い、美しい修道女が開いた窓の前に佇んでいる少年の方を憂いを帯びた目で見つめる。
少年との再会は全くの偶然だった。路地裏で苦しんでいた少年を買い出しに出ていた女性が見つけ、内心であわてながら拠点に迎え入れたのだ。大量に冷や汗をかき、尋常ではない様子で左腕を抑えてうずくまっている姿に、初めは言葉を失ったほどだ。
「……はい。もうあまり……時間がないもので……」
以前よりもずいぶんマシになったように見えるが、相変わらず少年の顔色は悪い。荒い呼吸を繰り返し、血の気の失った顔で女性に無理やり作ったような微笑みを見せる。
その姿に、修道女はため息をこぼす。彼は何も変わってはいない、いつだって自分よりも他の誰かのために心を砕き、自ら茨の道に足を踏み入れては傷ついていく。どんなにひどい目に会おうとも、どんなに死に近くなろうとも、決してその歩みを止めはしないのだ。
それは彼女にとって、とても辛い生き方に思えた。誓いによって生かされているようでありながら、誓いによって道を縛られているような、痛々しい生き方だと。
ーーーまるで、呪い。
父との誓いと言う名の、残酷な呪い……。
「呆れました。良くそこまで耐えられるものですね。師も仲間も、何一つ持たずに抗い続ける道を選ぶなんて……たった一人で、戦うなんて」
「でも……あなたは助けてくれました」
にっこりと辛そうなのに笑って見せて、青年は修道女に言う。
呆れたように見ていても、こうして手を貸してくれた。それが青年にとって何よりの救いで、何よりもありがたい心遣いだった。
一方の修道女は、青年の笑顔に心苦しそうに表情を歪めた。青年にとっては救いでも、修道女にとってはこんなことしかできなくて申し訳ないという気持ちでいっぱいなのだ。
「……私は、あの時から何も変わっていません。本当なら、あなたに合わせる顔なんてないんです」
守るべきものも失い、贖罪と称して戦いに逃げ、失うことを恐れて逃げ続けている彼女にとって、青年の笑顔は眩しすぎた。こうして語り合うだけでも修道女の心は傷を負い、痛みに悲鳴をあげていた。
だが青年は、それすらも引きつった微笑みを以って否定した。
「変わらないほうがいいものもあるんです。あなたはあの時と同じ、優しいあなたのままでいてくれた。それでいいんです」
変わらないことを憂う修道女とは別に、変わってしまいそうな青年は苦しんでいた。夜を越えるごとに薄れていく“自分”を保とうと踠き苦しんで、恐怖し、みっともなく無様な姿をさらしていた。
それ故に、自分がまだ自分でいられるうちに、変わってしまう前の自分を知ってくれている人に会えたことは救いだった。
「だから、もう僕は行きます。……あなたのことを忘れないうちに、僕が僕であるうちに」
「……ならば、つゆ払いはお任せを」
窓の外を見つめる青年の肩を優しく叩き、同じ方向を見やる。
夜の闇の中に見えるのは、人の皮を被った
「……あなたはただ、まっすぐにお行きなさい。振り返ることなどないよう、ただまっすぐに」
苦痛が続き、冷や汗を流す青年は笑みを浮かべると、声を出すのも億劫なのか、それとも自分の不安を悟られたくないのかただ頷くだけで返す。
修道女は唇をきつく噛むと、自身の腰に両手を下げ、金色の光を凝縮させ始めた。
一瞬のうちに光は物質へと変換され、一本の大きなベルトへと変貌を遂げた。
光を身に纏った修道女は青年とともに窓辺から飛び降り、AKUMAたちの目の前へと音もなく降り立つ。そして、二人の聖職者は眩しい光をその身から放ち始めた。
ーーーあなたがその道を行くというのなら。
ーーー私は、ずっとあなたを待っています。
それがどんなに過酷な修羅の道であろうと。
私はここで、この世界で、あなたが帰ってくるのを待ち続けます。
「イノセンス、発動」
胸に宿る宝玉を輝かせ、修道女は自らの体に働きかけて力を目覚めさせる。
眩い黄金の光が四肢を包み、何者をも通さぬ絶対の鎧を形作っていく。豊かに実った女性の体を覆いながら、全くいやらしさを感じさせない洗練されたデザインの、修道女を模した外装。
その美しさは、まさに聖女。怪しく暗い夜に輝く、太陽の光を凝縮したような輝きを放つ清らかな乙女。
「ーーー変身」
彼女がその拳を向ける理由は、ただ一つ。
自らの大切なものを守るため、ただそれだけだ。
ーーーあなたを、愛しているから。
平成仮面ライダー×ジャンプオールスターズ作品五作目、無事に完結です。
アギトのクロスはどれと組ませるか大いに悩んだのですが、ディケイドで出てきた壁紙から連想してD.Gray–manに決まりました。天使とか神とか関わってくる世界観がぴったりだったのです。
D.Gray–man自体は完結していないので、設定に食い違いとか出たりしないかかなり慎重に練りました。結局ほとんど妄想設定になってしまいましたが。
それでは最後に、最後までお付き合いいただきありがとうございました。
さて、ヒロインの解説に参ります。
今回は原作の過去編をイメージして書いたので、登場キャラクターはやや少なめです。この一件の後、アレンはインドで師匠に殴られて教団に行くことになります。その前に非常に不憫な目にあったことにしてます。
シェリーについてですが、生まれた時から宿っていたイノセンスを気味悪がられ、マリエのいる研究所に売られました。要するにモルモットです。
そして非人道的な実験を受ける間にアンノウンの襲撃、ユノと一緒に舞台となる街へと逃げ延びました。無表情の毒舌キャラになったのはこの頃からです。当時は可愛げのない子供という評価でしたが、本人は(周囲から見れば)全く気にせず、黙々とお金稼ぎに励んでいました。
この後のことですが、記述の通り教会には行かず、旅先で出会うAKUMAを退治したり、自分を餌にしてアンノウンを釣ったりします。同時進行で、新たに自分の守りたいものを探したりもしています。
どちらかといえばトゥルーエンドに近い結末ですが、D.Gray–manの中身を考えたら妥当な気がするんですが私だけでしょうか?
長々と語りましたが、また拙作に目を通していただきありがとうございました。次回作を楽しみにしていただけると幸いです。では。