凍てつく華は可憐に消える   作:乃依

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新連載一本目!
これからよろしくお願いします!


第1話

突然だが━━━

「氷」という物質を知っているだろうか。

街ゆく人に聞けば誰しもが「知っている」と答えるだろう。

しかし、この世界とは違う世界では普通の氷とは違うものもあるのだ。

 

 

西暦3500年。

地球上の人口約20億人。

21世紀頃に蔓延したある伝染病により、人類の数は大幅に減少していた。

しかし、このままでは自らの首を締めることになる事が判明していた政府では…

約50億人以上の人々を「見殺し」に、或いは、「実験道具」として扱った。

そして行われていた実験で変異し、死亡した。その人数5人。

たった5人だと思うかもしれないが、まず「変異」する事自体が極めて稀であった。

そしてその事実を政府は隠蔽し、残り20億人の人類を存続させる事を優先した。

そこからは、人口が急増する事もなく、地球上の資源の有効活用法も判明していたため、平穏な日々が続いた。

そして死亡した5名の人物は忘れ去られた。人々の記憶からも完全に。

 

 

 

 

 

西暦3500年。最大手の企業「フロスト社」。

この会社の売りは「溶けない氷」。その名を「凍花」。

幾ら熱しようとも、炎の中に放り込んだとしても、決して溶けずに冷気を発し続ける。

想像通り、需要は極端に高かった。

しかし需要に対して、供給は1割を少し超える程度で、裕福な家や、大きな会社の所に納品される場合が多かった。

フロスト社の社長、東西連火。彼の技術が低いのでも、人員が少ないのでも無い。

「作れない」のである。

なぜなら…

 

「…今日の「産卵」は終わったのか?」

「はい。本日も規定量が採取出来ました。」

「ふむ…もう少し欲しいものだが…仕方あるまい。」

「あまり「冷やしすぎる」と本体が稼働しなくなってしまいます。」

「そうだな…」

東西は少し考える素振りを見せてから…

「今日はデスクワークも少ない。少しは我が「製氷機」の様子でも見に行こうじゃないか。」

「畏まりました。」

そう言うと東西は、愛用の黒いコートを手に取り、地下室への階段へと繋がる扉に手を掛ける。

「ソウカ。お前も着いてこい。」

「畏まりました。」

ソウカと呼ばれた女性も後ろから付き添い、2人は地下室への階段を降りる。

 

 

まず目に入るのは巨大な「光」。

青白く、幻想的である。

しかし…それを発しているのは1人の少女。

「やはり美しいな…「氷華」よ。」

この少女こそ、東西が「製氷機」と呼んでいた物の正体である。

焦げ茶の髪を肩まで伸ばしており、肌の色は白い。

人形のようであり、人形では無い。

「21世紀の奴らは何を考えていたのだろうな。このような素晴らしいものを完成させずに放置しておくなど…」

「ごもっともです。」

東西は満足そうに「氷華」を見つめる。

「ふむ…今日も調子が良さそうで何より」

その瞬間。

「やぁああぁっと見つけたぁ…!」

「!?」

東西の後ろから、ソウカでも、他の部下でも無い者の声が投げかけられる。

「何や」

何奴、と言おうとしたソウカが吹っ飛ぶ。

「…!?ソウカ!!」

 

 

馬鹿な…!ソウカは護身術の達人だぞ!なぜあんな簡単に吹っ飛ばせる…!

焦ってはいかん…まずは状況整理と相手の観察だ。

心を落ち着け、東西は相手の様子を伺う。

…女?

ソウカを吹っ飛ばした者の正体は女だった。

全身青で彩られた洋服。紺色のスカート。フリルであしらわれており、人形の服のようで、非常に可愛らしい。

そして被っている黒い大きな帽子には紫色のリボンが括られている。

どう見ても戦闘する為の服では無い。

蒼色の眼。「氷華と同じような」焦げ茶の髪。

そして左手に握られている少女の服とは対象的な赤い玉。

赤い玉が何か気になるが、そんな事よりも重要なのは「どうやってここに入ってきたか。」

「お前…何者だ?目的は。」

「貴方達にそれを答える義務は無いね。」

「…東西様…!お下がりくださ」

再びソウカの体が吹っ飛ぶ。

「あーあー。貴女じゃ敵わないって分かってるでしょうに…なんでそんな無駄な事するのかな?」

「…もう一度聞こう。お前は何者だ?目的は?」

「ん〜…部下を吹っ飛ばされて不安になってる社長さんのために答えてあげてもいいよ。」

「恩に着る。ならまずはここから出ない」

「『耐えられたら』ね!」

「は?」

少女に空気が集まっていく。比喩ではない。本当に吸い込まれているのが体感できるのだ。

「『爆炎核』」

少女が発したその一言。

左手の深い赤色の玉が一瞬にして炎の様な橙色の玉に変化する。

次に起こるのは巨大なドーム状の爆発。

「なっ…!!」

東西は自らの死を悟った。

しかし。視界の端で…「凍花」が生成された。

瞬間。

ドーム状の炎は消え去っていた。

「あららー。相殺されちゃったかー。」

「な、なんだ…!?何が起きている!!」

「あー?うっさいな〜」

少女が目の前に居たと感じた瞬間強烈な眠気に襲われ、意識が遠のいた。

 

 

「眠れや眠れ」

と囁かれ、あっという間に東西は眠りに落ちてしまった。

「と、東西様…!」

「およ?まだ生きてたんだね〜えらいえらい♪」

「きっ、さま…」

「頑張ったんだからご褒美あげないとね!」

「は…?」

こいつは何を言っているんだ。

「私は…1000年前に作られた「超越者」が1人、「核炎」のクリア。以後…があるのかは分からないけど、よろしくね。」

本能的な恐怖を感じた。

こいつとは戦ってはいけない。

関わってはいけない。

自分とは別の領域にいる人間なのだと。

「ん?どしたの?」

声が出ない。

自分が恐怖していることにやっとここで気づいた。

「?まぁいっか。んじゃ。「氷華」は貰ってくよ〜」

「っ…な!?」

こいつは何を…!?

「別に貴女たちに渡してたとしても何も利益無いじゃん。氷華を傷つけるだけ。本当の能力を引き出してあげてもない。そんなの可哀想でしょう?」

「そ、そのような事を東西様が…!!」

「ん〜?寝てる人に何を求めるの?私を止めること?氷華を守ること?それとも何か別のこと?でもね?今は貴女じゃ何も出来ないし、東西って奴も何も出来ない。諦めなさい。」

 

そう言うと少女は天井を壊して外に出ていってしまった。

氷華を連れて。




くっそ長くてごめんなさい。
おそらく次回もこれぐらいになります…
書きたいことが多すぎます…
しかしオリ物は書いてて楽しいですね!
ストーリーは全部考えているのであとは表現力…!
シリアス多めなのでご了承ください。
ではまた次回の更新で。
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