凍てつく華は可憐に消える   作:乃依

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5月分デス(やらなければいけないことがいっぱいのため繰り上げて投稿させていただきます)
乃依です。

あ、補足なのですが。
この間上げたキャラ説明の容姿部分。あくまでも設定ですしキャラも成長しますので変動する可能性があります。
ご了承の方よろしくお願いします(という保険を掛けておきます)

深く考えれば考えるほどおかしい部分が目立つので気楽にお読みくださいね!!


第11話

「ようやく我が先祖の失態を私の代で拭う事が出来る」

山河は報告書を読み上げながらそう呟いた。

 

 

「あ〜…だりぃ……」

屍のように地べたに這いつくばっているのは核炎。

『裏』を使った反動で先程まで痛みに苛まれていた。

「ほんとこれは慣れないわー…あーだる…」

「逃がした癖に口だけは回るのぉ。」

「うっ…」

今回は逃がしてしまった滅創自身にも失態があると思っているのか、あまり強くは追求されない。毒は吐かれるが。

「足りないなぁ…なにもかも…」

「治ったら組手でもするか?」

殲撃がそう問いかけるが、核炎は頭を振って

「やーよ。そんな何にもならないもの。どうせなら本気の戦いがしたいわ。」

「そうですか。」

ため息を吐きながらそう返す。

根っからの戦闘狂だな、と改めて感じた。

「ん。収まったかしら。」

核炎が立ち上がり、肩を回す。

「しかしあれね。なんか色々汚れたし、久々に水浴びでもしたいわー。」

 

 

「天癒…大丈夫?」

「大丈夫よ。これぐらいすぐ癒せるわ。」

逃げた直後は気が動転していて天癒の様子まで気に留められる余裕は無かった。

だが、いざ正気に戻った時に驚愕した。

 

天癒の左肘から下の腕が無い。

本人は『掠った程度』と言っていたが明らかにそんな程度では無い。

その上、

「でも再生できてないじゃない…やっぱり何か」

「何も無いわ。大丈夫よ、風弓。」

頭を撫でられながらそう言われてしまっては何も言い返せなかった。

何か胸騒ぎがする。

 

 

ちょっと川を探して水浴びしてくる、と核炎が飛び立ったのはつい半時ほど前。

周囲に核炎の気配が無くなった事を確認した後、殲撃は問い掛けた。

「なぁ、滅創。あいつヤケに痛みが引くのが早くなかったか?」

「確かにな。儂もまだ1、2回しか見ておらんがあれは明らかに早すぎるだろう。」

「ただの裏でも無さそうだったよな。サンライトなんちゃらとか。」

「…儂とてあやつの技全てを把握しているわけでも無いわ。」

 

 

「ふー。やっぱり1日1回は水浴びしたいわね。」

核炎は滴る水滴を蒸発させながら呟いた。

「ん。まだ傷跡残ってる。」

そこに手を当て、数秒経ってから離す。

そこにあった古傷はいつの間にか無くなっていた。

「私だって女だもの。傷物は嫌よね〜」

上機嫌な核炎は手っ取り早く身支度を整えると、川岸から飛び立った。

「あの人にも会いたいし、ね。」

 

 

「…総理、それほど重要なお話なのでしょうか。あまりにも急速すぎる動きは返って混乱を…」

「よい。多少の事は後で片付けられる。今はそれよりも重大な事を相談したいと思って呼んだのだ。理解してくれ。」

「はっ…」

内閣総理大臣、山河養老。

普段は冷静沈着で腹の底を決して見せない人物が「焦っている」

それだけで異常事態と言えるのだが…

「良いか。ここで見聞きしたことは一切他言無用。信頼しているぞ。海堂。」

「はっ!」

最敬礼を山河に向け、海堂は身を引き締めた。

「よろしい。まずは私の先祖の話をしよう。」

 

 

まだ西暦が2000を刻む頃の話。

人々は否定することしか知らず、人の揚げ足を取ることで自らの地位を確立させようとしていた時代。

その時代には御三家と呼ばれる3つの家があった。

山河家。

海堂家。

東西家。

この3つの家はそれぞれ適した仕事を極め、そしてさらに追求を怠らない勤勉な家系だった。

しかし世界に表立つ事は無かった。

その理由は、その研究が非人道的だったこと。

そして暗黙の内に法律で守護されている存在だったからである。

 

山河家は人体実験。

海堂家は軍事実験。

東西家は科学実験。

この御三家は互いに相容れることは無く、表面上の付き合いはあっても、それは不干渉を貫くためのものでしか無かった。

しかし、西暦2004年。

山河家の後継者である1人の男がある事を思いついた。

『この世界を守る者を作ろう』と。

まだ思春期を超えた辺りの青年が抱く儚い夢。

そしてそのクラスメイトであり、親友であった、海堂家と東西家の子息。

表面上はまるで他人のように接しているが、人目をはばからって3人は交流を続けていた。

『僕が家を継いだら、君たち2人と協力して世界を守れるぐらい強い武器を作りたいんだ。』

『いいじゃないか。ならば僕は我が家の武器の研究成果を君たちに打ち明けよう。』

『じゃあ私は今までで見つけた科学実験の結果を全て見せるよ。』

 

そうして協力した、御三家。

山河(じんたい)海堂(ぶき)東西(かがく)

この3つの極地を集結し作られたのが

1つの玉。

 

『やった。これで世界を守ることが出来る。小さい頃からの夢が叶ったんだ。』

『おめでとう。』

『やったな。』

3人は決して悪意など抱いてはいなかった。

しかし、情報はどこからかいつのまにか漏れているものである。

 

『無くなってしまった。』

『まさかお前が盗んでいいとこ取りをしようとしたんじゃないだろうな。』

『そんな訳無いだろう。』

『怪しいぞ。』

 

3人は良くも悪くも幼かった。

そしていつしか交流を断ち、互いの抗争に夢中になるあまり、戦いの発端である研究成果を忘れてしまっていた。

 

「…そしてな、愚かにもそれを盗んだ犯人は恐ろしいことをしでかしよった。」

山河は目頭を抑えながらこう言った。

 

 

人間の心臓に埋め込んだ、と。

 

 

それは得体の知れない異形と化し、異能を司り、全てを消し去った後、山に消えていったという。

そして、その時から200年。

山奥で謎の集落が見つかった。

山河の先々代の総理大臣は即座に悟った。

『あれが異形の者達の集落』だと。

だから国家の全てを動員し、一瞬で消し去った。

その事を伝えられた御三家は驚愕し、一斉に姿を現したかと思えば、僅か数ヶ月で国の中枢と上層部を支配するに至った。

 

「現在も極秘裏に犯人を追っているが…なんせ1000年以上前の事だ。犯人が生きているかも分からぬ…」

独り言のように呟いた。

 

「あの、山河総理。」

「なんだ。」

海堂は一途の希望を掛けて問いかける。

「超越者共の集落があるという事を先程仰られましたが…今はどうなっているのでしょうか?」

「今はただの森だ。焼き討ちされてもう数百年経っている。」

「では、その焼き討ち…というか、殲滅を行った部隊は?その者達が残した情報や手掛かりがあれば、何か対策出来るかも」

「海堂。お前は本気で言っているのか?」

「え?」

「…私とて怪物では無い。死地に向かう人間が居るのにも関わらず情報を小出しにし、無闇に死人を増やすような真似はしない。」

「…申し訳ありません。」

「よい。さて、お前の質問への返答だが、全員死んだ、と返しておこう。」

「相討ち、ということで宜しいでしょうか。」

少し俯いて考えてから、

「…残っている文献によると『最後の1名が自害するのを見届けた後、山を下っていると唐突に巨大な赤黒い華が咲いた』となっている。」

「…華?」

「華、だそうだ。山を覆うほど巨大な華━━薔薇だったそうだ。その後隊員達からの通信は一切無い。」

「薔薇…」

黒い薔薇の花言葉と言えば、

「『憎悪』…ですか。奴らの残した言葉は。」

「そう考えて良いだろうな。少なくとも好意的に取られている筈は無い。」

それはそうだろう、と海堂は心の中で呟いた。

「…これが、私が今朝見つけた文献の全てだ。本当は東西社長も呼びたかったんだがね。彼は少々忙しいようだ。」

「彼は何を?」

「核炎を見つけたそうだ。これから戦闘が始まるだろう。」

 

 

「たっだいま〜」

「おう。おかえり。」

「いや〜久しぶりの水浴びはいいね!スッキリしたわ!」

「そうかそうか。じゃあ行くとするかい。」

「おー!!」

 




久々に人間サイド書き殴りましたね。
あ、東西さんと海堂さんと山河さんって誰ぞ?
って方はバックナンバー読んでみてください!(宣伝)
山河さんはまた登場させたかったので目標が叶って満足ですです。
次の投稿は早ければゴールデンウィーク。通常通りなら6月です。

ではでは〜
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