凍てつく華は可憐に消える   作:乃依

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第2話です。
週一って言ってましたが我慢出来ないのです。
では本編でございます。


第2話

第二話 共鳴

核炎が去った次の日。東西は内閣府の門前に居た。

事件の後、ソウカから情報を聞いた東西は、無駄だと思いつつも被害届を出した。しかしその行動が幸を呼び、内閣総理大臣から「内閣府へ来るように」との伝達があったのだ。

「…「超越者」ね……一体何者なんだか。」

東西はそう呟くと、建物の中に入っていった。

 

通された部屋は、非常に煌びやかで豪華な部屋だった。

床は金糸で縁取られた赤い絨毯。

壁も同じく金と赤で彩られており、無数にある棚には、素人目で見ても高級品だと分かる物が並べられていた。

「…こんな金がどこにあるのかねぇ…」

自分の会社とはやはり格が違う事を痛感し、東西は少なからず劣等感を抱いた。

「総理がお見えになります。」

恐らく総理の秘書であろう女性からの一言で一気に緊張する。

居住まいを正した所で、奥にある扉が開き、1人の初老の男が入ってきた。

日本国158代目内閣総理大臣。山河養老。

少し細身だが引き締まった体をしており、眼光は初老とは思えない程鋭かった。

剣術の達人という噂を聞いたことがあるが、なるほど。これなら納得出来る。

杖を手に持っているが、あくまで手を置く程度のようで、背筋は伸びていて、非常に姿勢が良い。

「東西連火…殿でしたかな。お会い出来て光栄です。内閣総理大臣の山河養老と申します。」

「存じ上げております。フロスト社代表取締役、東西連火と申します。」

「まぁ、どうです。まずはお茶でも。」

と言い席を勧めてきたので

「失礼します。」

と断りを入れてから席に座る。

そして良い香りのお茶が運ばれて来たが、それには見向きもせず

「総理、「超越者」とは一体何者なのでしょうか。」

「…知っているのですね。ではそこから…」

「超越者」。通称「茶髪」。

全員が茶髪である事から命名されたようだ。

(この時代には茶髪DNAを持った人間はほぼおらず、ごく稀に先祖返りで茶髪の子供が産まれる程度だった。)

1500年前に行われた「生物実験」で造られた存在。異能を持ち、その能力は自然現象では解明出来ない。

「そして…現在「2名」確認されております。」

「2名…」

「…どちらも貴方はご存知でしょう。まず1人は「核炎」今回の襲撃で貴方の元へ出現した個体です。」

今思い返してみると、やはり普通の人間では無いような気がしてきた。

「そしてもう1人…貴方がよく知っている「氷華」。あれも「超越者」です。」

「なっ…!」

動揺を隠せない。しかし、超越者と言われるとあの「凍花」も納得出来る。

「あなた方があの氷を販売し始めた辺りからこちら側では予測していたのです。「核炎」がいつか貴方の会社に襲撃することを。」

「…なるほど…それでこんなに連絡が早かった訳ですね。」

「そういう事です。そしてここからは個人的な興味なのですが…あれはどうやって作っていたのですか?」

…いくら国内最大手の会社の社長とは言え相手は内閣総理大臣。答えない訳にはいかない。

「「凍花」のことですね。あれは氷華が生み出しているのです。それを採取していただけですよ。もっとも…「核炎」に奪われた今ではもう出来ませんが…」

苦笑混じりに答える。

「そしてそれが「核炎」の技の発動直後に生成され、運良く助かった…と。幸運でしたな…」

そこまで把握済みだったとは。流石はこの国のトップと言った所か。

「なるほど。ありがとうございます。ではこれからの政府としての活動方針を」

と山河が口を開いた瞬間。

「総理!緊急事態です!」

その続きは勢いよく開けられた扉によってかき消されてしまった。

 

 

草木が生い茂る森林。

その中を1人の少女が歩いていた。

少女の左手に持っている赤い玉が発光し、夜道を照らしていた。

「歩くのめんどくさいから飛んでもよかったんだけど…燃えたら面倒だしね〜」

そう呟くと同時に一つの山小屋に到着した。

そしてドアを開けると同時に一声。

「ただいま!」

そして返ってくる声は

「…おかえりなさい…」

非常に暗い声だった。

 

「体調は良くなった?氷華ちゃん。」

「…おかげさまで…だいぶ楽になりました…」

「そう。ならよかった…」

と、核炎は胸を撫で下ろした。

「じゃあ、貴女の今の状況を説明するね。」

「……お願いします…」

「まず、貴女は私と同じ、「超越者」になりました〜!おめでとー!」

と言い手を叩く。

しかし一方は

「…そうなんですね…」

と落胆したような声。

しかし関係ないとでも言うように明るい声で

「でね?超越者にも種類があるの。まずは一つ目。髪が茶髪になります。まぁこれはどうでもいいよ。」

「そして二つ目。「オーバーコア」ってのが自分の体のどこかに作られます。私の場合はこれ。」

そういいつつ、左手握りしめていた玉を見せてくる。

「氷華ちゃんのは体の中にあるみたいだね。場所的に心臓かな?これは能力の発動に深く関わって来るから覚えておいてね。あと…今後の貴女の最大の弱点にもなる。攻撃されたら1発でアウトだと思ってね。」

「っ…は、はい…」

「でも体の中にあるからある程度は安心かな?」

「そ、そうなんですか…」

「私よりかはね。」

と苦笑しながら言う。

「そして三つ目!これが1番の違いだね。「超越化」が出来るようになります。」

えへん。

「あはは…すごいですね…」

と自慢げそうに「どやっ。」としている核炎に相槌を返す。

「でねでね!これにも3種類あるの!

一つ目は「創造系」。武器とか物を作ることが出来るのね。便利な能力らしいよ〜」

なるほど。確かに便利そうではある。

「そして二つ目。「干渉系」。「創造系」の超越者の人の作った物で闘うの。その他にも、人間の心や精神に直接干渉する能力の人もここに入るよ。でもこの能力の人は少ないかな。」

相手にすると厄介そうだ…

「んで最後。「発生系」。私たちだね!炎とか、氷とか自然現象を自分で起こす事が出来るの!それも普通の火とか氷じゃなくて、氷華ちゃんの「凍花」とか強化されてるのが多いよ!」

なるほど。これがオーソドックスな形のようだ。

「そしてこれに深く関わるのが「オーバーコア」。このコアに「詠唱語」って言う三つの言葉で形成される単語を言うと、能力が使えるの。これは自分で決められるから、好きにしてね〜」

だそうだ。

「そ、そうなんですね……色々あって覚えられそうにないです……」

「そう?なら忘れたら私に聞いて!いつでも答えるからね!」

「ありがとうございます…」

「んじゃ、ご飯にしよっか!」

と言い、核炎は右手に下げていた袋を下ろし、あさり始める

いくら超常的な能力を持っていてもこの時だけは普通の女の子なのだ。

 

 

 

 

 

「……何があった。」

山河は鋭い目つきと低い声で入室してきた男に問いかける。

「「茶髪」です!大阪府の山奥で「茶髪」と見られる男2人が確認されました!」

「なっ…2人だと!?」

核炎のような超越者が2人…

核炎の可能性も無くは無いが…1日で大阪に行ったとは考えにくい。公共交通機関は茶髪で目立つだろうし、何かあれば連絡は必ず入る。

しかし確認のため、問う。ある種の現実逃避だったのかもしれない。

「「核炎」か?」

「違うようです。服装は片方が青い和服。もう片方は黒いスーツとの報告が無線で入っております。」

…最悪の自体だ。核炎と氷華以外の超越者が2人も現れた。

「現場に居た者達に話を聞きたい。今すぐここに呼べ。」

と言うと男は目を伏せた。

「総理…非常に申し上げにくいのですが…今回の発見者は大阪府警の精鋭65名です。」

「それがどうかしたか。」

一抹の不安を感じながらも問う。

「……全員の死亡が確認されました。」

「なっ…!?」

最悪所では無かった。今から恐らくもっと出現するであろう超越者に対抗する策の一つがいきなり潰れてしまった。

「警察の精鋭部隊で何とかなるのでは無いか。」という山河の淡い期待は消え去った。

「…総理。もう一つご報告が。」

「…なんだ。」

内心は聞きたく無かったが、仕事であるため仕方ない。

「死亡したのは65名。その全員の死因が全て違っているのです。」

「…どういう事だ?」

「ある1人は頭を潰され、またある1人は首を掻き切られ、さらに1人は銃弾を撃ち込まれたような跡が…あると報告が上がっています。」

意味不明だ。

超越者の出現だけでも脅威なのに、精鋭部隊一つの全滅、更には多種多様な方法での殺害方法。

対応しようがない。

「……その者達は武器は持っていたのか?それとも大荷物だったとか。」

先程から何かを考えていたようだった東西が唐突に問いかけてきた。

「どうなんだ。」

「いえ、手荷物は無かったようです。仕込み刀ぐらいならあったかも知れませんが…」

となると何かの能力を持っているのか、それとも現地にあったものを使用したのか…

前者の方が可能性が高いが…

「…なるほど。では私も同行させて頂きたい。」

「「は?」」

何を言っているんだこいつは。

「い、今なんと…?」

「同行させて頂きたい、と言いましたが…」

「な、なぜ…」

「理由としては…そうですね。氷華が奪われた事により、うちの業務は全てストップ。そしてこちらにも多少腕の立つ人員がいます。戦力増強には申し分ないかと。」

なんとも有難い言葉だ。

「…なるほど。有難いですが…貴方の命の保証は出来ませんよ?」

「構いません。」

「では、その方々も部隊に編入させていただきます。よろしいですか?総理。」

「構わん。」

「ありがとうございます。総理。では早速。」

そう言うと、男と東西は席を立ち、部屋を出ていった。

 

 

1人残された山河は何事か呟くと、そのまま部屋を出ていった。




今回もくっそ長くて申し訳ないです…
ばっちり説明パートですね。はい。
あ、総理の名前は山河(さんが)養老(ようろう)ですよ!
やまかわさんでは無いです!
ではまた次回!
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