少し精神面で色々ありまして…
今回も同じぐらいの量は書けたかと思います。
では、本編です。
「…ダメです。反応ありません。おそらく…」
彼の言いたいことはわかる。
しかし言葉にしないのはそれほどショックなのか現実を認めたくないのか…
どちらにせよ状況は最悪だった。
即席とはいえ、自衛隊、および警察機関が総力を上げて精鋭、及び腕の立つ人々を集め、最高クラス殺傷能力を持つ武器、耐火性に優れた防具を与え、送り込んだ。
しかし結果は全滅。
海堂は心に抱えている恐怖を表には出さず、部下を退室させる。
そして数分後。
先ほど退室したハズの部下がもう一度入室してきた。そして開口一番、
「生存者が居ました。」
「なんだと!?」
「現在、こちらに帰還しています。報告は彼女からお聞きになった方がよろしいかと。」
「なるほど…それでいい。至急帰還させよ。」
「はっ。」
歯切れの良い返事を聞き、海堂は静かに頷いた。
唯一の生存者が人類の救いとなる事を望んで。
「…対「核炎」特別調査部隊、一般兵。名をサティラと言います。」
見たことのない女だった。
長身、長い黒髪という出で立ちで、装飾品や化粧などは一切していない。
落ち着いた雰囲気を醸し出していた。
「ほう?一般兵…ということは。」
「はい。元はただの一般市民です。今回の事件の調査のため、招集されました。」
なるほど…ならば自分が見たことがない、というのも納得出来るかもしれない。
「では、早速だが」
「報告ですね。私の知り得る、考えうる全ての情報を報告したいと思います。」
頭は回るようだ。
ただ筋力、体力だけが高い脳筋よりかは遥かにマシと言えよう。
「では…」
日が暮れて数時間後。
海堂は笑っていた。
「ははは…そうか。そうか!貴重な報告をありがとう。」
「いえ、これは国民として、招集された兵士としての義務ですので。」
「はっはっは!謙遜するとはな!あの化け物と戦い、生きて帰ってきただけでも異常だと言うのに。もっと誇って良いのだぞ?」
「…自慢は私には合いません。私は自らが望むことをしているだけですので。失礼します。」
「ああ。ご苦労だったな。」
「ありがとうございます。」
そう返すと、彼女は静かに部屋を出ていった。
「くくく…!」
海堂は笑った。
自ら、いや、人類の勝利を確信して。
そして、彼女も。
「…私の想像以上のことが起きそう…やっぱり人間って面白いわ。」
先程まで漆黒だった彼女の髪は、緑が混じった茶色に変わっていた。
「━━━━んで、わらひは氷華を颯爽と救ったのでしたぁ!!すごいでひょ〜?ねぇ〜!」
「…核炎、もうその話5回め」
「何か言ったぁ〜?」
「…ナニモナイデス。」
砂浜にて、殲撃が(どこからか)仕入れてきた酒とつまみを片手に宴会が開始されていた。
そして核炎は
「ねぇ〜きいへる〜?」
完全に出来上がっていた。
「…変わらんのぉ…」
「ははは…そうだな…出来れば変わってて欲しかったが…」
「ね〜!」
「はいはい、聞いてますよ…」
「んでね〜?」
「…………」
「氷華がぁ〜」
またか
「…………疲れた…」
一人砂浜で黄昏ているのは殲撃。
先ほど眠りについた核炎にずっと絡まれていた人その1である。
「…お疲れのようじゃな。」
「助けてくれよ!!」
「嫌じゃ。」
「この薄情者…!」
そして隣に今座ったのは滅創。絡まれそうになった人その1である。
ちなみに、絡まれそうになり、最終的に絡まれたのは氷華である。合掌。
「あ〜…ほんと。500年前と変わりゃしねぇ…」
「そうじゃな…」
浜辺は2人の声と、波の音しか聞こえなかった。
「えへへ…ひょーか…」
「つ、つかれた…」
なにこのひと。こんな人とは思わなかった。
おさけ?とかいうものを飲み始めてから今までの核炎さんのイメージはどんどん違うものに…
今までは頼りになる人だと思ってたのに…いや、今でもそうだろうけど。
自分の膝の上で寝ている女性が、とても自分を救った、いや、攫ったの方が正しいのか。
まぁ何はともあれ、
「…寝よう。」
核炎の頭を膝からゆっくり下ろし、自分も横になって目をつぶると、すぐに眠りに落ちてしまった。
「さて、急な招集に応じてくれたこと。心より感謝する。」
大きな会議室に集まった人員、総勢50人余りに、まずは礼を述べる。
そして本題へ。
「「超越者」…いや、「核炎」について、有力な情報が手に入った。」
会議室がどよめきに包まれる。
それはそうだろう。しかし一刻を争う緊急事態なのだ。騒いでいる時間は無い。
「静まれ。」
この一言を境に、段々と声が静まっていく。
そして完全に静まったと判断し、
「「水」だ。」
「「「…は?」」」
声が重なる。
意味が理解できないだろう。
「もう一度言う。「水」だ。」
「な、何を言っているんだ!水なんかであの爆発を止められるわけが」
「それについては私が説明しましょう。」
またもやどよめきが起こる。
急に海堂の横から見たこともない女が現れたからだろう。
「私は対「核炎」特別調査部隊、一般兵のサティラと申します。この度、唯一帰還した兵士として、海堂上官には私の知り得た情報の全てを公開しました。その一つがこれです。」
「し、信じられるか!他にも居た者達は」
「…全員死亡しました。とても信じられません。どう考えてみても、私より圧倒的に戦闘力では勝っている方々ばかりでした。」
「…ならなぜお前は生きている。」
静かな問いに対し、サティラは
「先ほど、上官が仰ったように、「水」です。」
「どういう事だ。」
「それについて、少し私の考えた仮説があります。上官、説明しても?」
「構わん。この者達の命を救うかもしれんのだ。知っていて困ることはないだろう。」
「では。まず私が生き延びることが出来た訳について。私は発見当時、腰から水筒を下げていました。もちろん中には水が入っています。それが、核炎の起こした爆発と相殺出来たのです。」
「…は?そんな訳ないだろう!」
「では、なぜ私が生きているのでしょうか。あの時は、全員食事を済ませた後のため、戦闘のために水や食料は誰も持っていませんでした。」
「ぐっ…」
反論は出来ないようだ。
「…つまり、核炎から身を守る術は本当に水であると?」
「その可能性が高いと私は考えています。そしてもう一つ。」
「…なんだ?」
少し溜めを作り、
「核炎の起こす爆発。あれは全く「熱く」ありませんでした。熱を感じなかったのです。」
「…ほう?つまり、炎では無いと。」
「おそらく。」
炎では無いのなら耐熱など無意味であろう。
熱を発しない物に炎の対策をしても無意味という訳だ。
「ではなんなのだ?それについても何か仮説が?」
「いえ、それについては私に考えられることはありませんでした。しかし、水が有効、というだけでもかなり有力ではないでしょうか。」
「…確かに。」
会議室で拍手が巻き起こった。
「ありがとうございます。しかし、核炎から身を守れたとしても、核炎を倒せると判明したわけではありません。なので」
会場に大量の疑問符が作成される。
「水を彼女にぶっかけては…と。」
海堂以外の全員がポカンと口を開けた。
「なっ、なな何を」
「決してふざけている訳ではありません。本当に有効であれば、かなりの有効打になると思ったからです。」
「…なるほど。しかし、核炎に直接対峙するとなるとかなりの危険性が伴う。そんな危険な任務に志願するものなど…」
「私が行きましょう。今すぐ出れば、明朝には帰還できます。」
「な」
「失礼します。」
そう短く言い残し、唯一の生存者は会議室を出ていった。
というわけで、新キャラ、サティラさんの登場です。
彼女の立ち位置はこれから明らかになるのでここでは余り言いません。
では、また次回。