ハイスクールD×D 〜運命に抗い続ける男たち〜 作:レッドスノー
オリキャラ二人目を出しました。
「主よ、どうやら彼が殺されたようですが無事に悪魔となりました」
「ええ、見ていたわ。死を引き金に回る第三の歯車。それによって第一と第二も完全に世界に結合したわ」
二人の男女がいる。暗がりな部屋のためかその表情を伺いしることが出来ない。だが女性からは機嫌の良さそうな雰囲気が感じ取れる。
「運命が今動く」
ーーーーー
「ハッハッ、クソッ!なんなんだよ、一体!」
一人の少年、兵藤一誠がナニかから逃れるように懸命に走っていた。その顔には恐怖を浮かべ、かなり長い走ったのだろうか息も切れ切れとなり、いつ足が止まってしまってもおかしくない状態であった。
「主の名を言え、そうすれば見逃してやろう」
「訳わかんねぇこと言ってんじゃねぇ!!大体なんであんた飛んでるんだよ!」
「制空権を取られるのは不満かね」
「いや、なんでそうなる!」
「ふむ、主の名を語れないとはやはりはぐれか。ならばここで始末しても問題はあるまい」
そう言い空を飛ぶ男は腕から光る槍を作り出し、一誠に向かって投げる。
「うわっ!殺す気かあんた!?」
「ちっ、ちょこまかと。逃げ足だけは一人前のようだな」
先ほどから空を飛ぶ男が槍を投げ、それを一誠が避けるという光景が続いている。だが圧倒的有利は男にあるため、時間が経てば経つほど一誠は不利になるだろう。
(畜生ッ!俺はここで死ぬのか!?)
そう考えていた時、赤色の魔法陣が展開される。そこから出てきたのは駒王学園の制服を着た赤髪の美女、リアス・グレモリーだった。普段の彼ならばリアスを見てすぐに鼻の下を伸ばすところだろう。だが今この状況や、リアスの登場の仕方に頭が混乱しているためかリアスと男に交互に視線を向ける。
「そこまでよ、堕ちた哀れな堕天使さん」
「ふむ、リアス・グレモリーが主だったとはな」
平静を保ちつつも、男に対し最大限皮肉を込めて話すリアス。それに対し怒りを込めることもなく冷静に振る舞う堕天使の男。
「眷属の手綱はしっかりと握っておくんだな。でないと、私のような者がうっかり殺してしまうからな」
「ええ、肝に銘じておくわ」
それではな、と堕天使の男が翼を広げ立ち去る。話についていけていない一誠は、なおも呆然と立ち尽くすばかりだ。
「ケガは無いかしら、兵藤一誠君」
「え、ええ。俺は大丈夫です。それより、あいつは何なんですか?それに先輩も一体......」
「そのことについては明日の放課後話をするわ。祐斗を送るから、彼について行ってちょうだい。それじゃあ、おやすみなさい。いい夜を」
一方的に話を切り上げ、来た時と同じように魔法陣に乗って帰って行ったリアス。
「いや、ほんとなんなんだよ」
脳内を混乱が支配する中ポツリと一人呟いた。
ーーーーー
翌日、一誠は昨晩リアスの言っていた遣いの人物である木場祐斗を待っていた。
「兵藤一誠君はいるかい?」
『キャー!木場君よ!』などと黄色い声が上がるはずだったが、悲しいことにアドミラルや皇火が現れたことで彼は超イケメンから普通のイケメンになってしまったのだ。それでもイケメンであることに変わりないため、クラスの女子は木場の顔に見惚れていた。
「ああ、話は聞いてる。案内してくれ」
一誠は木場について行き、旧校舎のオカルト研究部の部室へと足を運ぶ。
「兵藤一誠君を連れてきました」
お菓子を頬張りながら一誠へ会釈をする小猫、朱乃も笑みを浮かべて一誠に手を振る。肝心のリアスがいないことに気づくが、シャワールームから音が聞こえてくるため、恐らくシャワーを浴びているのだろうと考える。
「絶対おかしいだろ、なんで部室にシャワーがあるんだよ」
そのごもっともなツッコミに祐斗は力なく笑うしかなかった。
シャワールームからリアスが出てくる。
「ごめんなさい、お客さんが来るから汗を流しておこうと思って」
そこで一度言葉を切り、部員の全員が一誠へと体を向ける。
「では改めて。ようこそ、オカルト研究部へ。歓迎するわ」
そしてリアス達の背中から一対の黒い翼が生える。それに伴い一誠の体からも同じ物が生えた。
リアスは口を歪めこういった。
「悪魔としてね」
ーーーーー
「これで今日の分の契約は終わりか。悪魔とはいえこの前まで人間だった俺にとってこの時間は辛いぜ」
深夜、人間達が寝静まる間に彼ら悪魔は活動を始める。だが悪魔になりたての一誠にとっては深夜の時間帯は少しばかりキツイようだ。
『悪魔というのは夜の象徴のようなものだ。相棒もじき慣れる』
左手に赤い籠手が装着され、そこから低い声が聞こえる。
その籠手の正体は、赤龍帝の籠手と呼ばれ数多ある神器のうちでも最上位の存在である神滅具の一種である。10秒毎に自分の力を倍加させる能力があり、そしてその力を極めれば神すらも殺せるほどの強大な力を持っている。
「分かってるよ、ドライグ」
その神滅具に宿っているのが二天龍の赤龍帝ドライグ。大戦時に二天龍の片割れ、白龍皇アルビオンと共に三大勢力を壊滅寸前まで追い詰めたドラゴンだ。
「さて、それじゃあ帰るか」
赤龍帝兵藤一誠は順調に悪魔街道を駆け上っている。
ーーーーー
翌日の放課後、一誠は一人のシスターと出会う。彼女の名前はアーシア・アルジェント、駒王町の教会に派遣されたシスターだ。英語の通じない日本で道に迷っていたところを一誠が手助けをし、教会まで道案内をしていた。
「部長、今日の放課後にシスターに会いました。なんでもあそこの教会に派遣されたそうです」
今日あったことを一誠は部長に報告する。その言葉を聞き部長は不信感を抱いた。
「おかしいわね、あそこはもう使われていないはずだけれど」
調べる必要があるわね、と口をこぼす。それと、と言葉を続け一誠に忠告する。
「私たち三大勢力の情勢はドライグから聞いてるわね?」
「一通りは聞いてます」
「だったら分かるはずよイッセー。ただでさえ悪魔と天使、堕天使の間でのイザコザは絶えないわ。それに彼らの扱う光は私たち悪魔にとっても天敵。分かったらもう二度と教会に近づいてはダメよ」
「すいません、部長」
いつになく真剣なリアスの姿に一誠は自分のしたことの重大さを理解する。間もなくして朱乃が一枚の紙を手にし、部員全員に聞こえるよう報告をする。
「大公から廃工場にてはぐれ悪魔一体を確認との連絡が。至急討伐に向かえとの事です」
その言葉に一誠を除く全員が表情を切り替える。
「分かったわ。イッセー、この機会に悪魔の駒の特性を説明するから私たちの戦いを見ておきなさい」
「はい!」
「......血の匂い」
小猫はこの廃工場に香る血の匂いをいち早く嗅ぎ取っていた。
奥に佇む一つの影。一誠たちはその影の持ち主が、今回の討伐対象であるはぐれ悪魔バイサーだと考える。
「はぐれ悪魔バイサー、あなたの悪業もここまでよ。祐斗!」
「はい!」
木場は目にも止まらぬ速さでバイサーの元へ駆ける。そして片腕を切り落とすつもりで斬りかかった。だが祐斗はここで一つの違和感を感じた。
(おかしい、あまりにも反応がなさすぎる。無意識のうちにこちらを認識することすらしていないなんて)
違和感を感じたものの、それを好機と捉え片腕を切り裂いた。バイサーの片腕からおびただしい程の血が噴射される。だが絶叫がこだますることなく、それどころかバイサーはそれをきっかけに前のめりに倒れこむ。
「部長、おそらくバイサーは既に誰かの手で」
「そうだ、俺が殺した。俺の寝ぐらを占拠しようとしていたから、制裁をな」
慌てて皆が振り返る。そこには怪物がいた。右腕が刃のような形状をしており、背中からはちぐはぐに翼が生え、下半身にはケンタウロスのように馬の足が生えていた。
「はぐれ悪魔クァート」
リアスは顔に忌々しげな表情を貼り付け、その名を口にした。そして同様の表情がその存在を知る者たちにも浮かぶ。
だが、相手が何者か分からない一誠には皆が恐れる理由を見つけれなかった。
「あ、あの!あいつは何者なんですか?」
「Sランクはぐれ悪魔クァート。ヤツは制裁と称し、次々に自分へ不利益を与えた存在を殺していった大罪人よ」
その言葉に一誠は恐怖を覚えた。彼は悪魔になってまだ日も浅く、実戦経験など皆無に等しいためそれは当然の反応だろう。
「その赤い髪。お前、グレモリーの娘か」
「そうだと言ったら、どうするのかしら?」
フッ、と笑みを浮かべクァートは姿勢を低くする。
「制裁を与えるに十分だ!」
先ほどの祐斗を上回る速度でリアスの元へ駆け、刃を叩きつける。咄嗟にリアスは一度後方へ跳び、クァートととの距離をとる。
「朱乃は遠距離から魔法を!祐斗は刃を対処し、その間に小猫は攻撃を与えなさい!」
「「「はい!」」」
朱乃は翼を広げ上空へ飛び、クァートに向けて雷を叩き込み撹乱する。祐斗は二本の剣を持ち、クァートと剣戟を行う。そして小猫はクァートの唯一の攻撃手段と思える刃が、祐斗の方に使われている間に懐に入り込み、その拳を叩き込み吹き飛ばす。
その一連の流れに一誠は驚きを隠せなかった。
「す、すげぇ。一体どこにあんな力が」
「祐斗の駒は騎士。その特性は圧倒的スピードよ。小猫の駒は戦車。攻撃力、防御力が共に破格に上昇されるわ。そして朱乃の駒は女王。騎士の力、戦車の力、そして魔法が強力になる僧侶の力を得るのよ」
その説明の間に戦況が変わった。先ほどまでリアスの眷属が優勢だったが、クァートが両腕を刃に変えたことで祐斗が手数で上回ることが出来なくなり、意識が小猫の方にも向けられるようになってしまった。そして、クァート自身に魔法耐性があるのか朱乃の魔法もダメージは与えるものの、微々たるものとなっていた。その結果、小猫の攻撃は通らず、小猫、祐斗の二人に確実にダメージが入る。
リアスの眷属は明らかに劣勢となっていた。
「部長、これってまずいんじゃ!」
「イッセー、『譲渡』の力は使える?」
「すいません、まだ神器に身体が対応していないから使えないみたいです」
「そう。どうすればいいのかしら」
苦虫を噛み潰したような表情を浮かべるリアス。
(私が戦いに加わればこの状況は変わるかもしれない。でもそれだとイッセーを守る手段が無くなってしまう)
打開策が浮かばないまま戦況は悪化の一途を辿る。次第に祐斗と小猫の傷も目立ち始め、朱乃は魔法の行使からの疲弊か息も絶え絶えだった。
「Sランクの俺にここまでやれたことは褒めてやる。だがお前たちでは俺を倒せん。剣の男、まずはお前から制裁を与える」
「祐斗!!」
リアスの悲痛な叫びと同時に鮮血が宙を舞う。
「ぐぅ、くそ!誰だ!誰がやった!?」
その鮮血はクァートの左の肩から流れており、左腕はクァートの足元に落ちていた。
突然の意識外からの攻撃にクァートは冷静さを無くし、初めて精神を乱す。
そしてクァートを含む全員がその攻撃を目で捉えることが出来なかった。
「私よ、醜い悪魔さん」
青髪を靡かせ、身の丈ほどある一本の日本刀を手に廃工場の入り口付近に立っていた。その姿を見て一誠は驚きの声を上げる。
「さ、西園寺さん!?なんでこんなとこに、それにその刀は?」
「イッセー、彼女と知り合いなの?」
「は、はい。この前うちのクラスに来た転校生の西園寺楓さんです」
「えーっと、君は確かひょー、ひょー、ひょう?」
「兵藤一誠だよ!一週間も経つのにまだ覚えてないのか!?」
「そうそう、兵藤兵藤。ん、兵藤?まあいいや」
この場に似つかわしくないやり取りに、殺伐とした空気が若干和らぐが、クァートの怒りは頂点に達し激昂する。
「何もんだテメェ!俺の邪魔をするヤツは全員制裁を与えてやる!!」
「少し強いだけの人間よ。それにあなたは既に死んでいるわ」
楓の言葉に皆が疑問符を浮かべ、クァートは彼女をバカにしたかのような目を向ける。
「何を言ってるんだ、俺はまだ死んじゃい......な.....ぃ」
その言葉を最後に、クァートの全身が細切れの肉塊となりぼとりと音を立てて崩れ落ちた。そのバイオレンスな光景に一様に顔色を悪くし、一誠に至っては隅に吐いていた。
「2分か、まあ悪くないわね。それじゃ皆さん、また明日」
「ちょ、待っ」
どこへ行ったのか、楓は忽然と姿を消していた。
「明日、話を聞く必要がありそうね」
クァートの肉塊はリアスの消滅の力で消しとばし、リアスの眷属はその場を後にした。
第3話でした。これからは皇火の出番は少し減り、楓の出番が増えるかと思いますが、一応皇火が主人公です。
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