天才・涅マユリの秘密道具   作:筆先文十郎

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この小説はBLEACHの二次創作です。
本編とは違うところが多々あります。
本編と矛盾するところがあるかと思います。
他にもおかしいところはあると思います。
以上のことを了解した上で読んで下さると助かります。


第一話 物質縮小装置

技術開発局で一人の男が十二番隊隊長・(くろつち)マユリに呼び出されていた。

「涅隊長。お呼びとのことなので参りました」

「ちょーどいい所に来た、クズ」

「あ、いや……俺はクズじゃなくて――」

「何だね!?私が(しゃべ)っているのに口を挟むとは、いい度胸じゃないか?」

「も、申し訳ございません!!」

クズと呼ばれた男は奇怪(きっかい)な顔のドアップを見せられ必死に謝罪の言葉を述べる。

「まあ、いい。私は寛容な男だ。クズが突然私の所を現れた無礼の一つ、水に流そうではないか」

「い、いや……僕、隊長に呼ばれて――」

「なんだネ、クズの分際で!まさか私がクズであるお前を呼んだのを忘れていたとでもいうつもりか!?」

「い、いいい、いいえ!とんでもございません!!この僕が勝手に隊長の部屋に現れただけです!!」

刀を首筋に当てられた男は呼び出されたという事実を飲み込み、先ほど以上に謝罪の言葉を述べる。

「ふう、これだからクズは困る。勝手に事実を()じ曲げ、あろうことか他人のせいにする。それがクズがクズたる所以(ゆえん)なのだろうな」

やれやれと首を横に振るマユリに、男は申し訳なさそうな顔で今にも爆発しそうな怒りを隠す。

「これ以上クズのために私の貴重な時間を()くこともない。これからお前には私の研究に付き合う名誉を与えよう。どうだ嬉しいだろう?」

「はい、もちろんです。涅隊長!」

満面の笑みでそう言うマユリに男は「お前の研究の実験体にされて嬉しいわけがないだろう」という本心を隠して答える。

だったら断ればいいじゃないかと思う人もいるかもしれないが、ここで断ればよりひどい実験と言う名の拷問が待っている。隊長であるマユリの召喚命令を無視すれば文字通り死んだ方がマシの拷問が待っている。

同じ苦しみならより軽い苦しみを。

それが十二番隊に配属された男の処世術(しょせいじゅつ)だった。

「じゃあつい先ほど私が開発したのは、これだ!」

嬉しそうな笑みを浮かべたままマユリが取り出したのは一見どこにでもある懐中電灯だった。

「あ、あの……涅隊長。それは、何なのでしょうか?」

「『何』、だと!?お前はこれを見てもこれが何なのか分からないのかね!?」

「も、申し訳ございません涅隊長!僕はここに来てまだ日が浅いので涅隊長という千年に一度の天才にして最高の科学者の偉業がわからないのであります!!なので詳しく教えて頂いてもよろしいでしょうか!!!」

大きく目を見開き、怒りを露わにするマユリに、男は涙目になりながら額を何度も地面に擦り合わせる。

「そうか、まあ千年はおろか後にも先にも現れない天才の私ではお前のようなクズにかみ砕いて説明してやらなくては理解などできなかったネ。私としたことが思慮が足りなかったヨ」

男の言葉に機嫌をよくしたマユリは「では説明しよう」と懐中電灯を机に置かれた人の頭が入る大きさの箱に向ける。

「これは懐中電灯型の物質縮小装置。この懐中電灯の光を当てると、ほら!」

青い光が箱に当たった瞬間、箱はみるみる内に小さくなり掌ほどの大きさになった。

「このように光を当てた対象物が、どうだ!このように小さくなる。どうだ、すごいだろう!物を小さくするなど凡人どもでは考えつかなかったことだろう?」

「え、これってドラ○もんのス○ールライト――」

男が何かを言おうとしたが、言えなかった。何故ならば目が笑っていない笑みを浮かべながらマユリが刀を抜こうとしていたからだ。

()(むし)れ『疋殺(あしそぎ)――」

「い、いいい、いいえ!凄いです凄いです涅隊長!!物を小さくするなんて僕ら凡人には永久に思いつかない発想を思いつきかつそれを実現してしまうその発想力と実現能力!!涅マユリの前に人はなく、涅マユリの後に人がいる。天才の中の天才とはまさにこのこと!!!」

額を何度も地面にぶつけながら賞賛の言葉を贈る男に、マユリは「そうだろそうだろ」と満足な笑みを浮かべて刀を元に戻す。

「だがまだ生物にはためしてなくてネ。ここはクズで試してみるとしよう。なあに、どうせ生きていてもしょうがない命だ。私の実験に協力して死んだ所で、いやむしろ命を落としても私と言う天才の力になれて光栄だというものだ!」

「は、はい……そうですね」

同じ苦しみならより軽い苦しみを。

その言葉を信条とする男もさすがにこの瞬間は怖かった。今まで何度も目の前のマッドサイエンティストの実験につき合わされ、何度も死にかけ今日まで生きてきた。だがこれまで生きてきたからと言って今回も生きて帰れるとは思えない。

「じゃあ私が十数えたらこの物質縮小装置のスイッチを押す。じゃあ行くぞ」

男はゴクリと喉を鳴らして直立不動の体勢をする。

(逃げるな、逃げるな僕。逃げたら死ぬ、逃げても死ぬ!)

「一から一気に十」

「ギャアアアァァァッッッ!!」

心の準備が整わないまま、男の身体に青い光が当てられる。男の身体はみるみる内に小さくなり。爪の間に入り込めるまでに小さくなる。

「うむ、どうやら実験は成功したようだね。おい、クズどこにいるんだね?」

マユリは地面にいる男を捜す。

はいここですよ。男がそう言うとした瞬間、マユリの足が男のいるスレスレの所に落ち、鞘から抜けてしまった男の斬魄刀がマユリの足に突き刺さる。

「い、痛いヨ!」

マユリは慌てて刺さった箇所を見る。そこは蚊に刺されたように赤くなっていた。

「おのれ、よくもこの私に傷を負わせたな!許さん、許さんぞクズが!!」

マユリの怒りを目の当たりにした男は慌てて机の下に姿を隠す。

「おい、クズ出てこい!今なら超人薬を原液のまま投下し一日放置で水に流してやる!!」

(誰が出るか!そんなことされて!!)

怯えて机の下に隠れ続ける男。男が出ないと分かったマユリは「はぁ~」とため息をつく。

「ここまで譲歩してやって出てこないとは、仕方がないな」

マユリはパチンと指を鳴らす。すると窓という窓、穴という穴が(ふさ)がる。まるで外に空気を逃がさないかのように。

卍解(ばんかい)金色疋殺地蔵(こんじきあしそぎじぞう)!!」

鞘からイモ虫のような身体に赤子のような頭を持つ巨大な生物が現れたかと思うと、口から不気味な紫色の毒ガスを部屋中に撒き散らす。空気を入れ替える穴がない部屋は瞬く間に毒ガスが満たされた。

 

翌日、机の下で男が死んでいるのが確認された。

 

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