天才・涅マユリの秘密道具   作:筆先文十郎

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この小説はBLEACHの二次創作です。
本編とは違うところが多々あります。
本編と矛盾するところがあるかと思います。
他にもおかしいところはあると思います。
以上のことを了解した上で読んで下さると助かります。

見えざる帝国との戦いが終わった10年後のif要素のある物語です。


番外編阿近さんはラブレターをもらったようです

 3月31日

 

「さて次は この資料を 書庫に収めて資料を整理して」

 中学生と見間違えるほど小柄な男、葛原(くずはら)粕人(かすと)が部屋に入れるのと入れ替わる形で 阿近が部屋に入ってきた。

「さて、読んでみるか」

 阿近(あこん)はおもむろに自分宛に送られた一通の手紙を広げていた。

『阿近副隊長へ

 初めてお会いした時から好きでした。

 私があなたを見たときは雛森副隊長のお見舞いをした時でした。雛森副隊長を真剣に対応するあなたの姿を見て 私は一目で心を奪われてしまいました。

 私のような女ではご迷惑かもしれませんがこの思いを止められずこのような手紙を出してしまいました。

 明日午後5時にときめきの木の下でお待ちしております。

 五番隊 KK』

「たちの悪いいたずらだな」、「ふざけてやがる」、「男の純情を(もてあそ)びよって」

 手紙の内容を覗き見した技術開発局局員が次々につぶやく。

「なぜ誰も本物のラブレターだと思わないのでしょうか」

「縁がないから本当だと思わないんじゃないの」

 男たちの姿を見ながら 数少ない女性局員がつぶやく。

 女性局員を尻目に男たちの怒りのボルテージは上がっていく。

「よし 男の純情を弄ぶ やつを返り討ちするぞ!!」

「「「応ッ!!」」」

 

 

 

 翌日

 ときめきの木の下で待つ阿近、近くには茂みから様子を見る技術開発局員達がいた。

「もしこれが本物ならどうするんです?」

 ふと思ったことを様子を見る技術開発局の中で一番若い体格がよく長身の男、兵間(ひょうま)義昭(よしあき)が尋ねる。

「どうするって?」

 

 ぶっ殺すに決まってるだろ。常識的に考えて!

 

 凶悪な笑みを見せる鵯州(ひよす)たちの表情に兵間は固まった。

「誰か来たぞ」

 全員が足音の方へ振り向く。

「探しましたよ阿近さん、隊長からこちらにいると伺って……」

 息を切らしながら現れたのは十二番隊第二十席葛原(K)粕人(K)だった。

「そうか、お前だったのか。ラブレターを出したKKは……」

 阿近の顔がみるみるうちに豹変していく。

「え、あの阿近副隊長?」

 何のことだか分からず恐る恐るラブレターのことを聞こうとする粕人。

「男の純情をもてあますこのどうしようもないクズを血祭りにあげるぞ!!」

「「「応ッ!!」」」

 号令とともに茂みから怒りの形相で飛び出す技術局員達。

「う、うわああああああぁぁぁぁぁぁっっっ!?」

 過去に技術開発局局員の返り討ちにした粕人ではあったが、何の準備もしていないのでは多勢に無勢。

 襲いかかる技術開発局局員に粕人は背を向けて逃げ出した。

 

 

 

 翌日 五番隊隊舎

「雛森副隊長、やっぱり……私って魅力のない女なんですね」

  五番隊副隊長、雛森(ひなもり)(もも)の前で、 艶やかな黒髪の女性隊士が泣いていた。

 吉祥寺花梨(きっしょうじかりん)

 中流貴族である吉祥寺家の娘で、阿近にラブレター送った張本人(KK)である。 中学生と見間違うような幼児体型といかにもお嬢様然とした大人びた美貌のアンバランスさが魅力的だ。それは同性である雛森ですら『私が男性だったら告白していたかも』と思うほどだった。

 目の前で思わず抱き締めてあげたくなる部下を副隊長は慰める。

「吉祥寺さんを阿近副隊長が魅力的だと思っていないわけないよ。きっと部下のいたずらと勘違いしただけだよ」

「そんなバカなことあるわけないじゃないですか」

「ま、まあ、その……元気出して。吉祥寺さん」

 目の前でしくしく泣く少女を雛森は必死に慰めるのであった。




本作は4月1日に投稿しようとしたのですが、 力尽きて今になって完成できた作品です。
遅くなって申し訳ありません。

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