天才・涅マユリの秘密道具   作:筆先文十郎

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この小説はBLEACHの二次創作です。
本編とは違うところが多々あります。
本編と矛盾するところがあるかと思います。
他にもおかしいところはあると思います。
以上のことを了解した上で読んで下さると助かります。

見えざる帝国との戦いが終わった10年後のif要素のある物語です。


新章第三十二話 尸魂界一運が悪い男が運がよくなる薬を飲むとどうなるのか

 人には人生に一度、とんでもないついてない日があるという。

 もし満場一致で世界一不幸だと言われる男がその日を迎えた場合、果たしてどうなるのだろうか。

 この物語は誰がどう見ても不幸な(本人はそう思っていない)男、葛原(くずはら)粕人(かすと)に密着した物語である。

 

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 技術開発局。涅マユリの部屋。

「クズ。目を(つむ)って口を大きく開けろ」

「は?いきなり何を――」

「開けないなら疋殺(あしそぎ)地蔵(じぞう)でお前の身体を突き刺して――」

「は、はい!……アーン……ングッ!?……ゴクン」

 言われた通り目を閉じて口を大きく開ける粕人の何かが放り込まれる。驚いた粕人はそれが何なのか確認する前に放り込まれたものを飲みこんでしまった。

「あ、あの……涅隊長。一体何を――」

「クズ。現世で行われている宝くじに行ってきてくれ」

 そう言われ万札を帯になった万札を渡される粕人。

「え?」

 何でですか、そう尋ねる前に

「さっさと行かんか!このクズが!!」

「は、はい!!」

 マユリの怒号に粕人は転がるように部屋を後にした。

「ふふふ」

「局長、葛原が『急いで宝くじ買いに行かないと!!』と言いながらどこかに行ってましたが……何かあったんですか?」

 粕人と入れ替わるように入ってきたのはマユリの右腕であり腹心である副局長、阿近(あこん)だった。

「あぁ阿近か。実はクズに月のツキフシギナコトグサという食べると不思議なことが起こる希少な草を抽出して作った薬を食べさせたのだ。ちなみにこの薬は普段ついていない者ほど運がいいことが起こる。つまり」

「宝くじなど当選するというわけですか?」

 ニヤリと笑う阿近に

「その通りだヨ」

 とマユリも同じように笑った。

 

 葛原粕人が今絶好の運気を持っている。

 

 その噂を聞きつけた局員達は次々と粕人に「宝くじを買ってきてほしい」と多額のお金を手渡した。

 その異常事態に違和感を覚えつつも粕人は了承した。

 

 

 

 1時間後。空座(からくら)(ちょう)住宅街の十字路。

「ふう、ついた」

 現世に着いた粕人は大きく背伸びをした後に屈伸をする。

「ん?」

 屈伸をした粕人は足元にキラリと光るものを拾った。

「あ、これ昭和64年の硬貨だ」

 突然だが運が世界で一番と言っていいほど超絶悪い人間が人生で一度起こるか起こらないか幸運に出会った場合どうなるだろうか。今まで運が悪かったのだからその見返りに運のいいことが引き続き起こるのだろうか。それともこれで運を使い果たしたのだろうか。例え不運と強運を逆転する現象が起きていても。

 結果は。

 

 ブオオオォォォォォォォンンンッッッッッッ!!×4

「え?……ええええええぇぇぇぇぇぇっっっ!!??」

 

 粕人は四方から同時に聞こえる轟音に我が目を疑った。何故ならば四方から住宅街を走っているとは思えないほどの速度でこちらに十字路の中心に立つ粕人に向かっていたのだから。

 数秒後。粕人が両手足で突っ込む車を抑え込むという行動によって四台の車が衝突する事態は避けられたものの四方から押し潰された粕人は両手足の骨にヒビが入る事態となった。

 その後預かったお金で宝くじを買った粕人だったが一等はおろか当たりくじ一枚もない最悪の結果だった。

 

 

 

 その後涅マユリを始め多くの局員が一ヶ月以上も極貧生活を送る状況になったのは言うまでもない。

 

 




設問。尸魂界一運が悪い男が運がよくなる薬を飲むとどうなるのか?

答え。焼け石に水である。

わかりにくいですが元ネタはドラえもんのツキの月です。

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