技術開発局
マユリに呼び出された
「「「「いやいやいや!! 無理です!! 無理です!! 絶対無理です!!!!」」」」
と一言一句
彼らが十二番隊及び技術開発局で絶対的権力を持つマユリに断固として「無理!」だと主張する理由。それは突然マユリが隊長を除く&瞬歩使用不可の『明日行われる護廷十三隊対抗リレーに出場し優勝しろ』と言ってきたからだ。
ちなみに護廷十三隊対抗リレーは各隊の能力向上を目的として試験的に今年発案され、それは一ヶ月前の隊首会議で決められていた。しかし彼ら四人が知ったのは今この時だった。また選出された各隊の隊員達は明日の大会に向けて特訓をしていたが、この一ヶ月の技術開発局は例年まれに見る多忙を極め、外部から今大会があると知ることは勿論のこと特訓する時間もなかった。
マユリが突然何かを言い渡すのは日常茶飯事で、「何でそんな大事なことを早くに言ってくれてないのですか!?」と追及すればマユリに逆ギレされることを知っている局員達はその事には触れずに異議を唱える。
「護廷十三隊には脚力自慢の隠密機動も
「それに身体能力だけならば戦闘バカ=体力バカの十一番隊も忘れてはいけません!!」
「そもそも十二番隊は身体能力よりも知力重視です!!」
「勝てそうなのはその任務の重要性を理解していない者から『お荷物』と
「「「「どうか考えを改めてください!!」」」」
四人の必死の猛抗議にマユリも「それもそうだネ」と考えを改める。
「じゃあ一位にならなくても三位以内には入れるように特訓するヨ」
いや、三位も無理ですよ!!
そう言いたかった四人だが、狂気の笑みを浮かべるマユリを見て異を唱えるほど彼らに勇気はなかった。
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数分後。五人は大会が行われる場所と同じくらいの広さのある空き地にいた。
走る順番は壺府リン、鵯洲、阿近、粕人の順に決められた。
「……あ、あの……涅隊長。僕がアンカーでいいんですか?」
そう尋ねる粕人に対しマユリは「私に考えがある。何か異論でもあるのかネ?」と粕人を睨み付ける。
「……い、いえ。異論など……」
粕人は体を震わせながら返答する。
(何か嫌な予感がする…… だがここは隊長を信じよう…… 言葉通り何か考えがあるはずだ! ……たぶん)
四人が所定の位置につくと、マユリが空に向けて放ったピストルの音で訓練は始まった。
(おおっ、凄いな!)
アンカーから様子を見ている粕人は、命の危機が迫っているかのような三人の猛烈な走りに感嘆の声を漏らす。
(いくら技術開発局といっても護廷十三隊。身体能力が極めて劣ってるわけでもないよね)
「葛原!!」
第三走者の阿近から、最もスピードが乗った最高のタイミングで粕人はバトンを受け取る。粕人にバトンを渡した阿近は、全力疾走によって地面に崩れていく体から残された力を振り絞って叫んだ。
「く、葛原……急いでゴールするんだ!!」
「……阿近さん。何でそんなに急いでゴールしろと言っているんだろう?」
背後で悲痛な叫びを上げる阿近に首をかしげる粕人だが、その理由をすぐに理解することになる。
シュー
「何の音だ、これ?」
渡されたバトンを見て、粕人は凍りついた。
「だ、だ、だ……ダイナマイトォォォォォォッッッ!!??」
そこには導火線に火がついたダイナマイトがあった。導火線がダイナマイト本体にたどり着くのはもって数秒しかない長さだった。
(やばい爆発する!!)
粕人はダイナマイトを放り投げようとする。しかしダイナマイトは磁石のように手からくっついて離れない。
『そのダイナマイトはゴールするまで手放すことはできないヨ』
ダイナマイトから聞こえたマユリの声に粕人は「何でこんなことを!?」という疑問や「何を考えているんですか!?」という声を抑えて走り出した。マユリが答える前にダイナマイトが爆発の目に見えていたからだ。
「うわああああああぁぁぁぁぁぁッッッ!!!!」
粕人は走った。体中のエネルギーを走る力に変えて全力で走った。
ダイナマイトが爆発する前にゴールにたどり着く。それだけを考えて。
極限まで高められた身体能力と集中力によって粕人は驚異の速さでゴール手前まで到達する。
(やっとゴールだ! これでこのダイナマイトを手放せる!!)
粕人が一安心した次の瞬間
ドカァァァァァァンッッッ!!!!
ただでさえ短くなっていた導火線の火は、ゴールまであと体一つ分という所でダイナマイト本体に到達。粕人の肉体は木っ端微塵に吹き飛んだ。
「「「………………」」」
降り注ぐ肉片と血の雨が地面に広がっていく光景に、肩で息をする三人は恐怖で青ざめていた。
日曜日に続編を投稿する予定です。