隠密機動特別地下室
「
先日の護廷十三隊対抗リレーで最下位に転落し、超高温サウナ室から出て骨と皮になるまで痩せ細った二番隊副隊長・
「いや! ちょっとわかんないですよ! 何で俺がこんな目に遇わないといけないのですか!?」
突然味方の隠密機動第一分隊・刑軍になす
「隠密機動に
「いや、本当に意味わかんないし! そもそも四番隊の最下位を望むなら、一番責められるのは第2走者の
「水城? ……ああ、あのゴミのことか?」
「え?」
月光は砕蜂の視線をたどるように視線を移す。
そこにいたのは
「…………」
両手首を天井につながれた荒縄で縛られ
「
月光は四番隊十五席の
「……あ、あな……た……」
月光の声に顔を上げた女性はすぐに意識を失い項垂れる。
「今助けるぞ、音芽!!」
両手首を縛られていることを忘れ、女性を助けようとした月光を
「ウグッ!?」
直属の上司である裏見隊分隊長の
「クソッ! ふざけるなっ! 離せ、離しやがれ、てめぇら!!」
裏見隊の平隊員でありながら卍解を会得した月光といえど、無防備状態で取り押さえらえた上に大前田希千代と月読を除く、砕蜂と各分隊長&副分隊長達が相手では勝ち目はなかった。
「そうだ、月光。条件を出してやろう」
そう言って砕蜂はとある金額が書かれた紙を、頬を床に押し付けられる月光に見せつける。
「もし近日中にこの金額に達する金を用意できれば水城を開放してやろう」
「金?」
そう言って砕蜂は金額が書かれた紙を月光につきつける。そこには
『小学中学と塾通いをして……常に成績はクラスのトップクラス、有名中学有名進学校と受験戦争のコマを進める一流大学に入る……入って3年もすれば今度は就職戦争‥‥頭を下げ会社からの会社を歩き回り、足を棒にしてやっと取る内定……やっと入る一流企業‥‥これが一つのゴールだが‥‥‥‥‥ホッとするのも
ギャンブルにも酒にも女にも
に匹敵する金額が記されていた。
「その金を用意できれば、水城を解放してくれるんだな?」
「あぁ、約束する」
「わかった。用意してやる。だが!」
そう言って月光は砕蜂を睨みつける。
「もし水城を殺せば、砕蜂……お前を殺す!!」
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月光が隠密機動特別地下室を後にした数分後。
「……」
四番隊平隊士、
「お帰りなさい。珍しいわね、あなたが家に帰って『ただいまっ!』って挨拶しないなんて……!」
夫の近寄りがたいほどの真剣な空気に、妻の
「
「わかったわ。でも何のために?」
「
それ以上のことは何も言わず、仏宇野は自宅を後にした。その後ろ姿を、音芽はポカーンと見ていた。
「囚われの私って……私ここにいるんだけど?」
「音芽ちゃん! お久しぶり!」
夫の言葉に理解が追いつかない音芽の前にツインテールの可愛らしい美少女が現れる。
「お、お義母様!?」
音芽は義理の母、
「お義母様! どうしたんですか、その格好は!?」
「ところでうちのバカ息子見なかった?」
「え?」
回答ではなく夫の行方を尋ねられた音芽は数秒固まった後に質問に答える。
「お義母様と入れ替わるように家を出ていきましたが……」
「そう……」
中学生言っても通じる女性は深いため息をついた。
「ところでお義母様……ッ!?」
音芽は先ほどの質問を再度しようとし、大きく目を見開いた。瞬きした僅かな時間に目の前の美少女は妖艶でグラマラスな美女へと変わっていたからだ。
「あの子も本当にバカよね。嫁に化けた母親くらい見抜きなさいよ。それとも私の成りすましが域に達していたのかしら?」
「意味わからないこと言っていないで早く服を着替えてください!! 普段から男を誘惑するほど服をはだけさせている人がそんなボロボロの服……ハレンチです!!」
そう言って音芽は周囲を確認すると、急いで月読を家へと入れた。
次回は12日に投稿予定です。