天才・涅マユリの秘密道具   作:筆先文十郎

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仏宇野は金ほしさに親友を脅すようです(後編)

 十二番隊隊舎 葛原(くずはら)粕人(かすと)の部屋。

「葛原、金を出せ。今すぐにだ」

 四番隊平隊士・仏宇野(ふつうの)段士(だんし)は親友である粕人を壁に押し付け首に斬魄刀を押し付けていた。その目は触れただけで切れてしまうのではと思うほど鋭く、そして冷たかった。

「ちょ、ちょっと待て! 仏宇野!!」

 真央霊術院(しんおうれいじゅついん)時代から苦楽を共にし、十二番隊に異動になってからも月に一度は飲みに行っている親友からは想像もできない行動に、粕人は慌てふためく。

「お前はバカでスケベで何か失敗したらボコられる三枚目キャラだろ!! 何『普段はバカな三枚目を演じているけど本性は任務遂行や大事な者のためならば親友すらも躊躇(ちゅうちょ)することなく手にかける忍者』みたいなキャラになっているんだよ!! キャラが違いすぎるだろ!?」

「そんなくだらない話に付き合ってる暇はないんだよ。こっちは音芽()の命がかかっているんだ。やるかやらないかどっちなんだ?」

「うぐっ! やる! やるから放してくれ!!」

 その言葉で仏宇野は粕人を解放する。粕人は「ゲホゲホッ!」と呼吸を整えてから続ける。

「実はちょうど僕も金が必要だったんだ。仏宇野も手伝ってくれれば都合がいい。現世でいい儲け話があるか調べてみたらちょうどいいのがあったんだ。早速現世に行こう」

 

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 数時間後。

 二人はとあるホテルで”パーティの余興”として衆人環視のなかで地上から数メートルもある鉄骨を渡るギャンブルに大金を求める多数の参加者と共に参加。渡りきった挑戦者上位2名には大金との引換券を取得する。

 その数時間後。引換券を換金するため今度は地上からは74m(約20階分)の高さがある、手を触れれば落下は必須の死なない程度に電流が流れた鉄骨を渡るゲームに参加。失敗すれば即死亡という恐怖と心理的圧力に負けて、参加者は「金はいらないから電流を切ってくれ」と懇願。しかし責任者の男は「世惑い言だ」と一蹴。無惨にも参加者は次々と転落、粕人と仏宇野を残して死亡した。

 そんな恐怖と闘いながら粕人は先に鉄骨を渡り切った。しかし

 

「!」

 

 橋のスタート地点から見えるゴールポイントのドアは気圧の変化による突風で落下。

 

「……え? う、ウワアアアアアアァァァァァァッッッ!!!!」

 

 命からがらやっとたどり着きやり遂げたという安堵、大金を得ることができるという歓喜、それらを容赦なくもぎ取られ思考を「なぜ?」と思考を停止させて粕人は転落した。

 

「く、葛原ァァァァァァッッッ!!!!」

 

 暗闇で見えなくなった親友の最期に気力を奪われ、仏宇野はその場に立ち尽くすしかなかった。

(進むべきなのか? ……それとも戻るべきなのか?)

 親友の死に絶望しつつもどうすればいいか思案していた仏宇野。その時ゴール付近にガラスで出来た新たな道を発見した。

 

(このままゴールと思われたドアを開けば葛原の二の舞。だからといって戻る気力も体力もない。これに賭けるしかない!)

 

 覚悟を決めて仏宇野はガラスの道に片方の踵を置いた。踏んだ瞬間、砕け散る恐怖が脳裏をかすめるも勇気を振り絞り足をつける。

「よし!」

 両足をガラスの道に乗せて壊れないことを確信した仏宇野はそのままガラスの道を歩き本当のゴールに到達。そこで待っていた責任者の男に換金を要求するが、男はは「金はいらないから電流を切ってくれという願いを聞き入れた。だから換金は無効」と拒否。

 

「だったらその場で切れよ!!」

 

 そんな返答に納得できるはずもなく暴れる仏宇野に、その場で様子を見ていた主催者側のトップが「こちらにも落ち度があるからチャンスを与えよう」と一勝負を提案。その案を仏宇野は呑む。

 その後仏宇野は皇帝カードというそれぞれのプレイヤーが先手後手の順に分かれカードを裏向きに伏せて出す変則じゃんけん型のゲームを受ける。

 幾多の修羅場をくぐり抜けた対戦相手に苦戦する仏宇野だったが、ゲーム前に渡され身に付けさせられた時計が脈拍などを相手に伝えていると見抜くと、自身の持つ斬魄刀・写絵(うつしえ)の力で自分が場に出したカードが別のものであると自分自身を錯覚させ勝利。

 その後イカサマなしの真剣勝負に勝利し、主催者側のトップをティッシュの箱を用いたクジでさらに大金を得ると尸魂界(ソウル・ソサエティ)へと帰還した。

 

 

 なお粕人は自身の斬魄刀、幽世(かくりよ)閉門(へいもん)ですでに尸魂界に戻っていたことは言うまでもない。




本作とはまっっったく関係ありませんが、福本伸行先生のカイジシリーズは人生やこの世の真理をついた名作だと思いますのでおすすめします。
なお「賭博黙示録カイジと展開が似ているなぁ」と思う人はいるかもしれませんが、気のせいです。もう一度言います、気のせいです。
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