天才・涅マユリの秘密道具   作:筆先文十郎

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この小説はBLEACHの二次創作です。
本編とは違うところが多々あります。
本編と矛盾するところがあるかと思います。
他にもおかしいところはあると思います。
以上のことを了解した上で読んで下さると助かります。


番外編 涅ネムは葛原粕人に頼みごとをするようです

マユリにクズと呼ばれている男の自室。

「えっと……どうしたんですか。……(くろつち)副隊長」

一畳という狭い部屋で正座する男の前には十二番隊隊長・涅マユリの娘であり副隊長の

涅ネムが正座をしていた。

「貴方に相談したいことがあります」

そう言うと憂いた顔の女性は男の元を訪れた理由を話した。

 

 

 

「……つまり。涅隊長が本当に自分を愛しているかという実感が欲しい、と」

要約した男の説明にネムはコクリと頷く。

「マユリ様は私を大事にしていることは分かります。それでも愛されているという実感は欲しい時だってあります。なので(マユリ様の逆鱗に触れても生き返ることが出来る)貴方の力をお借りしたいと思って貴方の元を訪れました」

悪い意味で男でないといけないという理由を伏せて、ネムは男に説明する。

「涅副隊長!」

男は感激する。

十二番隊の最下層である男にとって頼られることは皆無に等しい。そんな男に№2である副隊長が協力を求める。

 

誰かのためになりたい。頼りにされたい。

 

その欲求が強い男にとって副隊長であるネムに頼られるというのは天にも昇る快感だった。

「わかりました!この葛原(くずはら)粕人(かすと)、涅隊長から全力で涅副隊長を愛しているかという実感を引き出して見せます!!」

 

 

 

翌日。マユリの部屋。

「何だね、これは?」

仕事を終えたマユリは机の上の置かれたビデオテープを手に取った。

タイトルには『葛原粕人編集セクシーボディなお姉さま特集』を二重抹線で消し、新たに『涅マユリへ』と書かれてあった。

「……」

マユリはビデオデッキを取り出し、ビデオテープを入れた。

 

 

 

最初に映し出された映像は十二番隊隊舎の廊下だった。壁には『葛原粕人』という名札がある。

『も、もう撮ってる?』

椅子に座ったXと書かれた紙袋を被った男が尋ねる。

『もう撮っているぞ、葛原』

『これ、おかしくない?』

そう言ってXと書かれた紙袋を被った男がカメラを持っているだろう男に確認を取る。

『うん、大丈夫だ』

『そう?それじゃあ仏宇野(ふつうの)。撮影始めて』

そう言ってXと書かれた紙袋を被った男は咳払いした。

『くくく、涅マユリよ。私は……そう仮にミスターXとしておこうか。涅マユリよ!この人質が見えるかな?』

映像がミスターXから一畳の部屋で座っている涅ネムの背中に変わる。

『昇○拳!○龍拳!波○拳!○動拳!竜巻旋風○!』

『涅副隊長、涅副隊長!』

ミスターXの小声に、格闘ゲームをしていたネムはカメラの方へ振り返る。

『た、助けて~、マユリ様~!(棒読み)』

その後再びミスターXに画面が切り替わる。

『ご、ごらんの通り我々は貴様の娘を誘拐させてもらった。この異常な状況下で体力と精神力がいつまで持つかな?涅マユリよ。娘の命を救いたいのであれば今夜19時に1丁目の広場にこい』

その後ザザッと画面が乱れた後、胸を大きく揺らした水着ギャルが楽しそうにビーチバレーをしている映像に変わった。

 

 

 

19時。1丁目の広場。

マユリにクズと呼ばれている男は広場の中央にある大木の裏でネムと一緒に隠れていた。

「こんなことで大丈夫なのでしょうか?」

「大丈夫ですよ、涅副隊長!どこぞの者とも分からない男に最高傑作とも言える娘を攫われたのです!その怒りは尋常じゃないはず!その男を殺すため、隊長は必ず来るはずです!!」

自分が殺されるということに気づかず、男は自信満々に副隊長の顔を見ながら伝える。

「あ!」

ネムの声に男は振り返る。そこには立ち止まる涅マユリの姿があった。

「約束どおり来たぞ!ミスターX。出て来い!」

マユリが叫ぶ。

「行きますよ、涅副隊長!」

ミスターXと書かれた紙袋を被ると、男はネムと共に大木の裏から姿を現した。

「ミスターX。ネムを返してもらおうか?」

「よかろう」

男はネムの身体をポンッと前に押す。

「マユリ様」

マユリの傍に立つとネムは頭を下げた。

「ご心配をかけてしまい、申し訳ございませんでした」

「ふんっ!」

マユリは不機嫌そうに鼻で言う。

「まったくだ。これからやることがいっぱいあったのに。……まぁ、いい。この近くに美味しい秋刀魚(さんま)を焼く店がある。日ごろの苦労を(ねぎら)う意味で特別に連れて行ってやろう」

「あ、ありがとうございます。マユリ様」

『日ごろの苦労を労う』。その言葉にネムは顔を(ほころ)ばせ、礼を言う。

「ふふっ。その美しい親子愛に免じてこの場は立ち去ろう。さらばだ、涅マユリ!」

ミスターXはそう言って二人の前から立ち去ろうとする。

「まあ待ちたまえミスターX」

不気味な笑みを浮かべて、マユリはパチンと指を鳴らした。

「え、うわあああぁぁぁっ!?」

地中から突然網が飛び出し、男は抵抗する間もなく大木に吊るされた。

「いやぁ~、ミスターXが場所と時間を予め設定してくれたおかげで罠を仕掛けることができた。というわけで君には私の実験に付き合ってもらうよ」

そう言ってマユリは懐から大量の虫が入ったビンを取り出して、開けた。

放たれた虫は迷うことなく網に閉じ込められた男に向かっていく。

「な、何ですか!涅隊長!?」

ミスターXの演技を忘れ、男はマユリに向かって叫ぶ。

「それは通常の蚊の何万倍の(かゆ)みを引き起こす蚊だ。まあ安心したまえ。それは我が十二番隊にいる葛原粕人(・・・・)という男にしか吸血しないように遺伝子を操作している。だから”ミスターX(きみ)”が葛原粕人(・・・・)と同じ遺伝子でない限り……刺されることはない」

「え、う……嘘でしょ!?い、嫌……痒い、痒過ぎる!!」

吸血された箇所が痛いほど痒い。蚊から逃れようと男はもがくが網で動きを制限されている状況ではなす術もなく、男は体中を刺されていく。

「じゃあネム。行くとしよう」

「はい、マユリ様」

二人は男の断末魔の叫びにも似た苦痛の叫びを背に、美味しい秋刀魚を提供する店へと足を進めた。

 

 

 

その後。網から脱出した男が部屋に戻ると『葛原粕人編集セクシーボディなお姉さま特集』一式が無くなっていたが、それはまた別の話である。

 




脅迫ビデオのシーンは「なんか見たことあるぞ」と思った方はいると思いますが、くぼたまこと先生の『天体戦士サンレッド』の『恐怖!フロシャイム作戦第一号』が元ネタです。
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