本編とは違うところが多々あります。
本編と矛盾するところがあるかと思います。
他にもおかしいところはあると思います。
以上のことを了解した上で読んで下さると助かります。
マユリの自室
「出来た、出来たぞ!」
奇怪な顔の技術開発局局長は自身がパソコンで作り出した発明に狂喜乱舞した。
「これは突発性誘惑電子麻薬。このプログラムを見た人間は何らかの願望を達成するためならば躊躇なく犯罪に手を染めてしまう。今は犯罪だけだが上手くいけば他人を意のままに動かすことも可能!……さてと。ではこの実験に
数分後。
「クズ。何も言わず黙ってここに座ってパソコンを凝視しろ」
「え、何を言っているんですか
「誰が発言を許可した?」
言い訳一つ許さない上司の静かに言い放つ怒りの言葉に、マユリにクズと呼ばれている男は慌てて口を塞ぐ。
男は覚悟を決め、黙ってパソコン画面を凝視する。
流れる映像は男の好みの色っぽい女性達のいやらしい画像だった。
もしこれが周囲に誰も居ない状況ならば男は安心して目の前の女性達を眺めていたかもしれない。しかしこれは石橋を叩いた後でも安心できない危険な上司、涅マユリが用意したものだ。その警戒心がじっくりと女性を見ようとする男の欲望を抑える。
「……ん?」
その時だった。
オンナ犯シタイ、オンナ犯セ!コンナ女ヲ欲望ノ
心の奥底から脳内に直接何かが
「お、女……女…………」
理性や倫理という壁は役に立たなかった。その声に侵された男の目はせわしなく泳ぎ、口からは
「ウウゥ!女ッ!オンナァッ!!」
男はパソコンを掴み、画面にこれでもかと顔を近づける。その様子はまるで一週間以上何も食べていない猛獣が極上のエサを見つけて飛びかかるようであった。
その時だった。
ガチャッ!
「マユリ様。少し相談したいことが」
その声に完全に理性を失った男が振り返る。
そこに立っていたのは憂い顔でほっそりとした体格に不釣合いなほどふくよかな胸を持った女性、涅ネム。
「オンナ、オンナオンナッ!オンナァァァァァァッッッ!!」
目を血ばらせて、男はネムを犯そうと跳びかかった。その時だった。
(待テ、僕。ココハ涅隊長ノ部屋。隊長ハ近クニイル。目ノ前ノ女性ハ涅副隊長……副隊長ヲ犯ス→……涅隊長に殺される!!)
目の前の女性に手を出せば殺される。
生存本能の囁きで理性を取り戻した男はネムの目の前で着地する。
「あぁ、涅副隊長。肩にゴミがついてますよ~」
男はそう言って肩についた埃を取ってごまかす。
その様子を見たマユリは男に尋ねる。
「クズ。何か変わったことにならなかったか?」
「え?……あ、いや!何もなかったですよ!!えぇ、本当に!!!」
映像を見た瞬間理性が飛んでもうちょっとのところで副隊長を犯すところでした、とは言えずに男は笑ってごまかした。
「そうか……じゃあ用は済んだからさっさと帰れ。ネム、私は忙しいから用件は後にしろ」
そう言ってマユリは男と娘のネムを下がらせた。
「う~む。あのクズの様子からして電子麻薬の効果はかなり低い、ということか?」
マユリに散々刷り込まれた男の恐怖心が電子麻薬の誘惑に打ち克ったとは夢にも思っていないマユリはそう結論づける。
「じゃあ試しに私が被験体になってみようか」
そう言ってマユリは電子麻薬が流れているパソコンの前に座った。
数分後。
「何も変わりはしない。どうやらこの実験は失敗だったようだな」
そう言ってマユリは突発性誘惑電子麻薬を処分した。
実は突発性誘惑電子麻薬はその者が持つ“悪意”を強制的に引き出すものなのだがその者が強烈な“悪意”を持っている場合は最初から効果がなかった。
効果がないと処分し、自身がそんな強烈な“悪意”の持ち主だと気づいていないマユリはその真実に気づくことはなかった。
今回の突発性誘惑電子麻薬の元ネタは松井優征先生の『魔人探偵脳噛ネウロ』であった電子ドラックです。
涅マユリが電子麻薬に侵されなかったのは上記の作品に登場するシックスと同じく、常人には耐えられない悪意にも耐えられる悪意を持っていたからです。